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日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会 ( 五十音順 ) 朝比奈靖浩 東京医科歯科大学消化器内科 大学院肝臓病態制御学 安藤亮一 武蔵野赤十字病院腎臓内科 ( 日本透析医学会より推薦 ) 池上徹 九州大学消化器 総合外科 泉並木 武蔵野赤十字病院消化器科 菊地 勘 下落合クリニック腎臓内科 (

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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第 4 章感染患者への対策マニュアル ウイルス性肝炎の定義と届け出基準 1) 定義ウイルス感染が原因と考えられる急性肝炎 (B 型肝炎,C 型肝炎, その他のウイルス性肝炎 ) である. 慢性肝疾患, 無症候性キャリア及びこれらの急性増悪例は含まない. したがって, 透析室では HBs

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1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

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Transcription:

最新の肝炎治療 肝臓病教室 2014 年 12 月 12 日 大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学河田則文

C 型肝炎は我が国の肝硬変 肝癌の主な成因 肝硬変の成因 n=25,020 B+C 型 1.1% HCV 抗体 n=18,624 肝細胞癌の成因 判定保留 0.1% B 型 12.0% 非 B 非 C 型 26.0% 陽性 67.7% 陰性 32.2% HBs 抗原 n=18,317 判定保留 0.1% C 型 60.9% 陽性 15.0% 陰性 84.9% 高後裕我が国における非 B 非 C 肝硬変の実態調査 2011 響文社 : p8-9, 2012 より改変 第 18 回全国原発性肝癌追跡調査報告工藤正俊他 : 肝臓. 51: 460, 2010

都道府県年齢調整死亡率

C 型肝炎ウイルス (HCV) 1989 年 ( 平成元年 ) に発見 Flaviviridae 科 外膜で覆われている 一本鎖プラス鎖 RNA(9.6 キロベース ) 3000 のアミノ酸残基のポリタンパクを含有 RNA ポリメラーゼの校正能がない 準種 t1/2= 約 2.7 時間 1 日あたりの生成 :10 兆 (10 12 ) 個のビリオン 感染 : 輸血 血液製剤 入れ墨 薬物中毒 など 構造領域 非構造領域 5 -UTR E1 E2 P NS C E1 E2 7 NS2 NS3 NS4B NS5A NS5B 4A 3 -UTR コア エンベロープ イオンチャンネル システイン プロテアーゼ ヘリカーゼ セリン プロテアーゼ RNA 結合 ウイルス粒子形成 RNA ポリメラーゼ 1. Purcell RH. NIH Consensus Conference on Hepatitis C. 1997. 2. Neumann AU et al. Science. 1998;282:103-107. 3. Rosenberg S. J Mol Biol. 2001;313:451-464. 4. Lauer GM, Walker BD. N Engl J Med. 2001;345:41-52.

肝臓の状態を調べる検査 肝臓の働きや状態を調べる 1) 血液検査 : a) AST(GOT) ALT(GPT) 肝臓の細胞の破壊 b) アルブミン プロトロンビン活性 肝臓の合成能 c) 総ビリルビン 黄疸の有無 d) 血小板数 ヒアルロン酸 コラーゲン 肝の線維化 e) AFP PIVKA-II 肝がんマーカー 2) 画像検査 : 腹部エコー 腹部 CT 腹部 MRI 肝硬度測定 3) 組織検査 : 腹腔鏡検査 肝生検 ( 必要に応じて実施 ) ウイルスについて詳しく調べる 1) 感染の有無 HCV 抗体 2) ウイルスの量 HCVRNA リアルタイム PCR 3) ウイルスのタイプ ジェノタイプ セロタイプ 4) ウイルスの薬への反応性 ( 薬剤耐性 ) 変異 宿主について詳しく調べる 1)IL-28B などの SNPs 検査 超音波検査と FibroScan

最もシンプルな HCV 感染の調べ方 C 型肝炎ウイルス感染の検査方法 1. 抗体の有無を調べる (HCV 抗体検査 ) 陰性 C 型肝炎の心配なし ( ごくまれに感染直後で抗体ができておらず 陰性 となる場合があり ) 陽性 C 型肝炎ウイルスに現在感染 あるいは過去に感染したことあり 2. ウイルスの量を調べる (HCV-RNA 検査 ) 陰性 過去に感染したことがあるが HCV は既に排除されている 陽性 HCV が存在 さらに詳細な検討が必要 HCV ジェノタイプ HCV コア変異 ISDR 変異 薬剤耐性変異 IL-28B, ITPA SNPs 2008 年 7 月作成

ALT (IU/L) 大阪市大病院群 PEG-IFN/RBV 治療時の ALT 推移 (G1) 70 60 50 40 P<0.0001 59 62 P<0.0001 P=0.0001 ALTの正常値は 男性 :2054 30 台女性 :10 20 台と認識するべき これ以上だと積極的に 38 治療すべき 56 治療前 EOT 観察 24W 後 P=0.0001 35 30 20 22 23 22 18 20 26 10 0 全例 (n=289) SVR(n=179) Relapse(n=59) NVR(n=54) SVR = sustained virological response 投与前と治療終了 24W 後の比較 (Wilcoxon signed-ranks test)

IFN 治療後の HCC 発生 全ての年齢 : 非肝硬変 60 歳未満 HCV 排除はHCC 発生を予防する 早く治療を開始すべきである全ての年齢 SVR : 肝硬変でも発癌する場合がある 60 歳以上 TVR, transient virological response J Hepatology 58, 495-501 (2013)

日本肝臓学会 C 型慢性肝炎に対する初回治療ガイドライン 高発癌リスク群 ( 高齢者かつ線維化進展例 ) IFN 適格 IFN 不適格 SMV/Peg-IFN/RBV 併用 DCV/ASV 1 中発癌リスク群 ( 高齢者または線維化進展例 ) 低発癌リスク群 ( 非高齢者かつ線維化軽度例 ) IFN 適格 IFN 不適格 IFN 適格 IFN 不適格 SMV/Peg-IFN/RBV 併用 DCV/ASV 1 治療待機 2 SMV/Peg-IFN/RBV 併用 治療待機 2 (DCV/ASV 1 ) 1: 極力 Y93/L31 変異を測定し 変異があれば 治療待機を考慮する 即ち 治療待機の場合の発癌リスクならびに変異例に対して DCV/ASV 治療を行う場合の著効率と多剤耐性獲得のリスクを十分に勘案して方針を決定する 2:ALT 値異常例では肝庇護療法または Peg-IFN(IFN) 少量長期を行う 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会編, C 型肝炎治療ガイドライン ( 第 3 版 )2014

シメプレビル (SMV; TMC435) 第 2 世代の経口 HCV NS3/4A プロテアーゼ阻害剤 ゲノタイプ 1 型の C 型肝炎患者を対象にした国内第 II 相試験において, 1 日 1 回 1 錠 (50 mg 又は 100 mg) で強い抗ウイルス活性が認められた 1 良好な安全性プロフィール 1-5 In vitro profile EC 50 = 9.4 nm ( HCV ゲノタイプ 1b レプリコン細胞 ) Ki = 1.4 nm ( HCV ゲノタイプ 1b 酵素 ) 5 -UTR C E1 E2 P NS E1 E2 7 NS2 NS3 NS4B NS5A NS5B 4A 3 -UTR 2013 年 12 月 6 日の発売開始から 2014 年 9 月 30 日時点で ソブリアードは約 19,200 症例に使用された 1 Hayashi et al Poster P-41 presented at JDDW 2011 2 Reesink HW et al Gastroenterology 2010;138:913-921 3 Moreno C et al J Hepatology 2012;56:1247-53 4 Fried MW et al Oral presentation at AASLD 2011 5 Zeuzem S et al Poster LB-2998 presented at EASL 2011

CONCERTO-4 : 血漿中 HCV RNA 量の推移 (Log IU/mL) 8 RVR が得られると SVR 94% というデータがある 初回治療 前治療再燃 6 RVR = rapid virological response 前治療無効 血漿中平 H 均 C 値 V R N A 量 4 2 Speed up PEG-IFN/RBV 療法の時は 12 週でウイルスが消失するかどうかが議論されていた 1.2 0 BL D3 D7 2 3 4 8 12 ( 週 )

CONCERTO-4 :SVR12 / SVR24 SVR12 SVR24 初回治療 91.7 100.0 91.7 96.6 前治療再燃 前治療無効 S V R 率 38.5 38.5 22/24 29/29 10/26 22/24 28/29 10/26

CONCERTO-1 : 年齢カテゴリー別の SVR24 PEG/RBV 治療では高齢者 女性の SVR 率が低いのが問題点であった 100 87.0 89.7 86.4 S V R 率 80 60 63.6 51.3 70.0 40 20 0 20/23 70/78 19/22 7/11 20/39 7/10 45 歳以下 45 歳超 65 歳未満 SMV 65 歳以上 45 歳以下 45 歳超 65 歳未満 PBO 65 歳以上 治療期間短縮でアドヒアランスが良くなったことが一因 PBO: プラセボ ;SMV: シメプレビル

CONCERTO-4 : 有害事象 ( 全投与期間 ) 件数 (%) 初回治療 N=24 前治療再燃 N=29 前治療無効 N=26 合計 グレード3の有害事象 5 (20.8) 5 (17.2) 7 (26.9) 17 (21.5) グレード4の有害事象 a 1 (4.2) 0 0 1 (1.3) 重篤な有害事象 b 1 (4.2) 0 1 (3.8) 2 (2.5) 死亡に至った有害事象 0 0 0 0 治療中止に至った有害事象 c 1 (4.2) 1 (3.4) 1 (3.8) 3 (3.8) シメプレビルのみ中止 0 0 0 0 a 好中球数減少 b 高ビリルビン血症 ( 初回治療 ) 及び末梢性 T 細胞性リンパ腫 組織型不明 ( 前治療無効 ) c アレルギー性皮膚炎 ( 初回治療 ), 貧血 ( 前治療再燃 ) 及びうつ病 ( 前治療無効 )

バニプレビル国内第 Ⅲ 相試験 / 初回治療例対象試験 男女別 年齢別 IL28B(rs12979860) 別 (%) (%) (%) S V R 24 率 100 80 60 40 88.1% (37/42) 56.5% (26/46) 80.4% (45/56) 53.8% (28/52) 100 80 60 40 85.5% (71/83) 57.3% (47/82) 73.3% (11/15) 43.8% (7/16) 100 80 60 40 92.2% (59/64) 68.7% (46/67) 67.6% (23/34) 25.8% (8/31) 20 20 20 0 男性 女性 0 <65 歳 65 歳 0 CC CT/TT 3 剤併用群 2 剤併用群 バニプレビル承認時評価資料

日本肝臓学会 C 型慢性肝炎に対する治療ガイドライン ~ 既治療 :IFN(+RBV) 副作用中止 ~ 高発癌リスク群 ( 高齢者かつ線維化進展例 ) DCV/ASV 1 中発癌リスク群 ( 高齢者または線維化進展例 ) DCV/ASV 1 治療待機 2 低発癌リスク群 ( 非高齢者かつ線維化軽度例 ) 治療待機 2 (DCV/ASV 1 ) 1: 極力 Y93/L31 変異を測定し 変異があれば 治療待機を考慮する 即ち 治療待機の場合の発癌リスクならびに変異例に対して DCV/ASV 治療を行う場合の著効率と多剤耐性獲得のリスクを十分に勘案して方針を決定する 2:ALT 値異常例では肝庇護療法または Peg-IFN(IFN) 少量長期を行う 0000-00 本ガイドラインにおいて IFN 不適格 は IFN(+ リバビリン ) 未治療であるが IFN(+ リバビリン ) 使用困難と考えられる症例 IFN(+ リバビリン ) 既治療での IFN(+ リバビリン ) 不耐容の症例 の両方を含む すべての IFN(+ リバビリン ) 使用困難と考えられる症例 と定義 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会編, C 型肝炎治療ガイドライン ( 第 3 版 )2014

SVR24 達成割合 日本における IFN free, 国内第 3 相臨床試験, NS5A 阻害薬 (Daclatasvir)/NS3 プロテアーゼ阻害薬 (Asunaprevir) n=222 (%) 100 80 87.4 80.5 84.7 60 40 20 0 70/87 118/135 188/222 IFN 不適格未治療 / 不耐容患者 前治療無効患者 合計 Kumada H et al. Hepatology 2014;59:2083

SVR24 率 (%) Daclatasvir/Asunaprevir:SVR24 率の層別解析 IL-28B SNP 性別 年齢 HCVRNA 量 肝硬変に左右されない 100 80 84.5 84.8 83.1 85.5 81.2 89.9 93.9 83.1 84.0 84.8 60 40 20 0 64/77 124/145 108/133 80/89 31/22 157/189 168/200 20/22 93/116 95/112 CC CT/TT 男性女性 < 65 65 < 800 800 no yes IL28B 性別 年齢 HCV RNA 肝硬変 Kumada H et al. Hepatology 2014;59:2083

市大病院における DCV+ASV 治療成績 ( 治験 ) SVR = 7/8 症例 (87.5%)

Daclatasvir/Asunaprevir: 有害事象 n (%) IFN-Ineligible/ Intolerant (n=135) Non-responder (n=87) Total (n=222) 重篤な有害事象 ( 治療中 ) 9 (6.7%) 4 (4.6) 13 (5.9) 10% 以上発現した有害事象 鼻咽頭炎 40 (29.6%) 27 (31.0%) 67 (30.2%) ALT 値上昇 24 (17.8%) 11 (12.6%) 35 (15.8%) AST 値上昇 18 (13.3%) 10 (11.5%) 28 (12.6%) 頭痛 18 (13.3%) 17 (19.5%) 35 (15.8%) 下痢 12 (8.9%) 10 (11.5%) 22 (9.9%) 発熱 12 (8.9%) 15 (17.2%) 27 (12.2%) grade 3-4 の臨床検査値異常 (>3%) ALT 値上昇 12 (8.9%) 4 (4.6%) 16 (7.2%) AST 値上昇 10 (7.4%) 2 (2.3%) 12 (5.4%) Hb 値減少 6 (4.4%) 1 (1.1%) 7 (3.2%) Chayama K et al. AASLD 2013 oral 211

IFN 不適格未治療 / 不耐容患者における ALT の推移 経口 2 剤を用いた治療では ALT とビリルビンの上昇に注意を要する (IU/L) 700 600 500 投与期間 投与継続中 投与終了後 投与中止時点 ( 肝機能検査値異常による ) A L T 400 300 200 100 0 0 2 (14) 4 (28) 6 (42) 8 (56) 10 (70) 12 (84) 14 (98) 投与開始後日数 * 投与開始後 ALT が 150 IU/L 以上に増加した患者 16 18 20 (112)(126)(140)(154) 22 24 26 (168)(182)(196) 28 ( 週 ) ( 日 ) ダクルインザ スンベプラ併用療法適正使用ハンドブック (2014 年 9 月作成 )

ASV と DCV の G1b 症例における主な耐性部位 C E1 E2 p7 NS2 NS3 NS4A NS4B NS5A NS5B アスナプレビル ダクラタスビル アミノ酸置換 EC 50 (nm) WT に対する倍率 アミノ酸置換 EC 50 (pm) WT に対する倍率 WT( 野生型 ) 0.86±0.3 1 D168A 109±19 127 D168C 56±4 65 D168E 67±11 78 D168G 13±4 16 D168H 85±24 98 D168V 241±17 280 D168Y 205±29 238 McPhee F, et al. ANTIMICROB AGENTS CHEMOTHER. 2012;56(7):3670 WT( 野生型 ) 2.6±0.3 1 L31F 12.6±1.2 5 L31M 8.4±1.9 3 L31V 61±15 23 Y93H 49.2±12.8 19 Y93N 73.5±5.5 28 L31F+Y93H 14,874.3±1,762.9 5,721 L31M+Y93H 10,989.4±122.9 4,227 L31V+Y93H 21,674.5±9,461.3 8,336 Fridell R, et al. ANTIMICROB AGENTS CHEMOTHER. 2010;54(9):3641

Number of patients Daclatasvir/Asunaprevir 国内 phase 3: 治療前耐性変異の検討 NS5A 領域 (n=214) NS3 領域 (n=221) M,V K,L,Q F,M,V E,G,H,I N,V,Y A,L,R, S,T E,H,K,L, N,R,V E,P,T,V F,H S S K,L C,G,N,T E 治療前の各耐性変異と SVR 率 L28 R30 L31 Q54 P58 Q62 A92 Y93 T54 N77 Q80 S122 D168 SVR 78% 83% 33% 83% 94% 94% 80% 45% 80% 100% 81% 88% 50% (n/n) (14/18) (26/31) (3/9) (65/78) (15/16) (16/17) (12/15) (14/31) (4/5) (1/1) (22/27) (64/73) (1/2) McPhee F, Toyota J, Chayama K, Kumada H et al. AASLD 2013 poster 1111

B 型肝炎ウイルス (HBV) の構造 HBs 抗原 エンヘ ローフ HBe 抗原 HBV-DNA HBc 抗原 DNA ホ リメラーセ 2008 年 7 月作成

本邦における肝がんによる死亡数の推移 B 型肝炎関連の肝がんは一定の割合で継続的に存在する 30 HBs 抗原陰性 HBs 抗原陽性 HCV 抗原陽性 非 B 非 C 20 10 0 ( 人口 10 万人対 ) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 田中純子日本臨床 69 巻増刊号 4;15-22(2011)

肝臓癌の発現率 (%) B 型肝炎ウイルス HBVDNA 量と肝発癌率 40 Basesline HBV DNA Level (n = 3,582, copies/ml) 30 10 6 10 5 <10 6 10 4 <10 5 20 10 300 <10 4 <300 Log rank test of trend P < 0.001 血液中 HBV DNA 量を 10 4 copies/ml 未満にするのが治療の目的の一つ 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 観察期間 ( 年 ) Chen et al. JAMA 295: 65-73, 2006

B 型肝炎に対する抗ウイルス薬認可の歴史

エンテカビルの臨床成績 肝臓死に対する効果 ー最近出版された香港からの成績ー 肝関連イベント 肝がん 肝関連死 死亡 Wong Gl, et al. Hepatology (2013) 58:1537-47

未治療例に対する Tenofovir (vs Entecavir) の効果 国内治験 HBV DNA 陰性化率 HBsAg 変化率 TDF (n = 109) ETV (n = 56) TDF (n = 109) ETV (n = 56) http://tenozet.jp/

Osaka City University Medical School Department of Hepatology