. 実験方法 ヒノキ板を断面形状を高さ 8mm および 16mm の 種類としいずれも幅 mm として用意した 試験片長さを 1mm mm 3mm mm mm に切断し 写真 1, のように万能試験機で垂直になるように設置後 圧縮荷重をかけ最大圧縮荷重値を最大座屈荷重値としてデータを収集した 折れ曲

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Transcription:

研究結果報告書 公益財団法人長野県学校科学教育奨励基金 理事長小根山克雄様 1 研究テーマ 座屈現象の測定について 平成 8 年 1 月 1 日 学校名長野工業高等学校 校長森本克則印 研究グループ名 長野工業高等学校機械班 西村神之将 丸山颯斗 酒井達也 塚田郁哉 3 指導者土屋善裕 研究の動機及び目標工業 機械科の教科書 機械設計 には様々な公式が記載されているが なかには式の由来について説明もなくいきなり出てくる場合もあり日常生活の実体験とイメージしにくいものがある 実体験のほとんどないことを理解させようとすることは生徒に学習を強いているようにも感じられ ややもすれば公式の羅列で苦痛すら与える危険性もあるかと思う そこで実体験的に実験を行い現象の規則性を式に表現できれば公式の表現が何故そうなるのかにつながっていき また昔の人がどのように法則を式として表現したのか考えるきっかけになると思う 座屈 現象は 応力 や ひずみ の説明よりも現象としては理解できるところであるが最も優先して学んでもらう箇所ではなくそれゆえ簡単に通過してしまうところであるがここを実験的に学ぶきっかけになればと考えた 研究内容の概要木材の断面形状を一定にして 長さを変化させ万能試験機で圧縮をかける 圧縮をかけると万能試験機に圧縮変位と荷重値の変化が記録されるがその値は木材が折れ曲がる直前に最大値となる 同じ長さの木材をいくつか実験してすべての荷重値を記録してその大きさがある範囲のなかにどれくらいあるかグラフにまとめる 長さを変えてこれを繰り返し 長さと荷重値の最大値の平均とをグラフに関連づける この結果が数式でどのように表現できるか検討する 本来であれば鉄など等方性である金属で実験をすれば良いが廃材の処理など問題が有るので燃やせば燃料にもなる木材を使用することにした 1. 始めに工業 機械設計 には様々な公式がある その中で部材に荷重をかけた時に起こる現象として座屈がある 座屈荷重の式が木材のどうような数値 ( 断面形状 長さ等 ) に関係しているかを検討した 万能試験機で試験片の座屈荷重を測定しその長さ 断面形状および木材弾性率との関係を調べる過程を通して公式の誘導について実験結果から類推してみた 1

. 実験方法 ヒノキ板を断面形状を高さ 8mm および 16mm の 種類としいずれも幅 mm として用意した 試験片長さを 1mm mm 3mm mm mm に切断し 写真 1, のように万能試験機で垂直になるように設置後 圧縮荷重をかけ最大圧縮荷重値を最大座屈荷重値としてデータを収集した 折れ曲がる位置はほぼ板の中心であるが厳密に中心とはならない 少し上であったり下であったりする また折れ曲がる方向も予測がつかない 写真ではダイヤルゲージをあて変位を測定しようと試みたがこのような理由で変位の測定はあまり意味がなかった 木材は年輪など変化の要素が非常に多く実験結果のばらつきも多かった 写真 1 荷重値 [kn] 16 1 8 写真 この結果は図 1( 長さ mm 断面 16 mm) の様に万能試験機に記録される このグラフの場合 1.kN くらいが最大荷重値となって記録された この値は材料の長さが大きくなると小さくなり 材料の長さが小さくなると大きくなる この値を実験数を増やしてデータとして採る 1 3 圧縮変位 [mm] 図 1

3. 実験結果実験結果の整理はそれぞれの試験片の最大荷重値を.kN から.kN までを 1kN 刻みの階級に分けた 座屈荷重最大値の階級における実験結果の発生頻度をたて軸に 座屈荷重値の階級を横軸にヒストグラムにまとめた 図 がヒストグラムである 図 -a は板の厚さ 8mm 図 -b は板の厚さは 16mm の実験結果である 1 1 1mm 6 1mm 1 1 mm 6 mm 1 1 3mm 3mm 1 1 1 mm mm 6 mm mm データ区間 データ区間 荷重値単位 [kn] 図 -a 図 -b 幅 8mm の長さ mm は材料が十分にそろえることができなかったためデータ数は少ない 単純にみて短い材料ほど座屈荷重値は大きくなっていることが確認できた それぞれの実験結果の分布であるが残念ながら標準的な正規分布になることを期待したがこの数ではならなかった 特に厚さ 8mm の長さ mm の試験数は 3 であるがこれでも正規分布にはならなかった ただし個別の実験結果をもう少し細かく範囲をくぎれば正規分布に近づくが全体を比較しなければならないのでヒストグラムの範囲はこんなものかと思う 全体の傾向はよくでた結果だとは思える 3

表 1-a は厚さが 8mm 表 1-b は 16mm のそれぞれの実験データの平均値 標準偏差その他の値であ る 表 1-1( 図 1-a) 長さ 1mm mm 3mm mm mm 平均 8.877.86 3.6937 1.8 1.369 標準誤差.63389.39.18.897131.8688 中央値 ( メジアン ) 8.837 6.37 3.37 1.87 1.387 最頻値 ( モード ) 9. #N/A.687.37 #N/A 標準偏差 1.31 1.37133.88873.66167.6616 分散 1.79896 1.88869.3866.17377.6793 尖度.633 -.83 -.889 -.88 -.7761 歪度 -1.131677 -.376 -.83379.18999 -.111 範囲.1 6..387 1.8.787 最小.887..337.97.9 最大 1.37 8..7.8 1.737 合計 18. 18.8 8.6 9.9 11.76 標本数 6 3 7 9 表 1-( 図 1-b) 1mm 平均 19.833 標準誤差.3313 中央値 ( メジアン ) 18.8 最頻値 ( モード ) #N/A 標準偏差 1.98 分散 1.6881 尖度 -.3388 歪度.739 範囲.36 最小 17. 最大 1.887 合計 88. 標本数 1 mm 1.66.3999 16.687 #N/A 1.389819 1.93197.797919-1.99.7 1.71 17.187 16.6 1 3mm 1.3987.81 1.67 #N/A 1.797.96867.6966 -.8711.66 1.887 16. 13.987 1 mm 11.87.66 1.6937 #N/A 1.9799 3.9187 -.963.966. 9.7 1 11.87 1 mm 9.9833.619 1.187 #N/A 1.683177.83386 -.1161.9338. 7.637 1.86 89.1 9 断面の高さ 16mm の実験は多くの材料を入手できなかったため試験数が少ないため標準偏差が大きく断面 8mm と比較してやや信頼性にかける危険性もあるかもしれない これより各データ単純平均値は表 のようになった 表 1( 図 1-a) 長さ (mm) 荷重値 (kn) 1 8..81 3 3.6 1.8 1.31 表 -( 図 1-b) 長さmm) 荷重値 (kn) 1 19. 1.7 3 1. 11.6 1.

それぞれの長さの試験片の座屈荷重値の平均値と試験片長さの関係を図 3 のグラフにした 座屈荷重 [kn] 1 このグラフから試験片長さと座屈荷重の関係を考えたい グラフから負の直線関係というよりは反比例的関係があることが考えられる 単純に考えると 長さ は分母の位置にくることが考えられる 座屈加重 :W とし断面の何か :x とし材料の長さ :h とすると x W = h 試験片長さ [mm] 図 3 表 3 の関係が考えられる 分子 x を mm または mm との断面積として分母 h を 1 から まで変化させたデータを作ると表 3のようになる この計算結果は非常に小さすぎてグラフを満足さ 試験片長さ断面積 mm 断面積 mm せない 分子側を大きな値にするかまたは係数が必 1.. 要になる 1.. 材料の断面はいずれも長方形で座屈は長方形の 3.7 1.3 長い辺に直角の方向に曲がり けっして短い辺に直. 1...8 角に曲がることはない つまり単純に分子側に面積 の値を入れることはできなかったのである x を断面の何かと書いたが実は材料の断面に力が作用する方向に関係する 剛性 を数値化した値が 必要になる 実験では 1 種類の木材しか行っていないが例えば同じ断面積をもつ金属などの実験を行 えば座屈荷重値は別の値になるはずなのではっきりすことが予想されるがそれはできなかった 座屈 の分野の学習の前にはりの曲げについて学習するがそのときに曲がりにくさの指標を示す数値に断面二次モーメントがある 材料の断面形状は幅がともに同じ mm である mm を底辺に高さを 8mm 16mm としたそれぞれの断面二次モーメントの数値を計算する また剛性を構成するもうひとつの指標にたて弾性係数がある これを実験で確認する 材料の荷重に対する伸びや圧縮などの変形の起こりやすさ 起こりにくさを実験により求めた数値としてたて弾性係数があるがここでは試験片をかた持ちはりとして写真 3のように荷重をかけそのたわみを測定することでたて弾性係数を得てその値ともうひとつの指標の断面二次モーメントとを仮想した座屈荷重の式の分子側に入れて写真 3

荷重 [N] 荷重 [N] 荷重値 [N] 表 -1 変位 [mm] 曲げ弾性率 [Mpa] 8.8.3 37.319 底辺 mm 18.8 1.16 736.99716 高さ 8mm 7. 1.13 6.99381 36..19 89.9839 断面二次モーメント..6 37.1918 166.667 8.7 3.1 139.16338. 3.6 3811.6731.6 397.668 6..1 318.9616 8.7.1 99.86369 6.33 776.6196 61.3 6.1 66.33611 表 - 変位 [mm] 曲げ弾性率 [Mpa] 11.3.3 31.1868 底辺 8mm 18.8 1.8 681.69781 高さ mm 6. 1.1 9.71639 3..1 116.7671 断面二次モーメント 37..8 3797.63 116.67 1.3 3. 396.818 3.7 3.36 3163.79781 7..3 31.36813. 88.73 3.8.7 739.76 6..36 98.8361 7. 6.3 1.119883 6 6.3 3.139 6. 7.9 76.7668 63.7 7.3 187.99789 6 検討をしてみる たわみの測定は 以下のように行った 試験機の上側にダイヤルゲー ジを設置し試験片の下側から荷重をかけて変位を記録した 結果は表 -1 である 同じ試験片を縦横を交換して同様に測定を行った 似たような値になることがわ かった 荷重が小さいときの弾性率が大きく荷重が大きくなると弾性率は大きくなるがどのあたりの数値を採用するかが問題になる 変位と荷重との関係をグラフにすると図 のようになる このグラフから変位が 3mm 前後から大きく変化していることがわかり弾性率が変化していることになる したがって変位が 1mm から mm までの 3 つのデータの平均を曲げ弾性係数とすることにしたい.7GPa とした この値は文献などにある範囲にある ただし文献の値は引張りまたは圧縮試験による値であることが通常でありまた曲げ試験は 点曲げモーメントにより得たものであることが多い 金属などの曲げ試験から得られた値は引張りなどの試験から得られた数値の 9% 程度と言われている したがってこの数値はやや低めの値と思われる そこできりよくこれを GPa として以後扱うことにする 6 変位 [mm] 図 6

前述の座屈荷重値の仮定の数式 x W = h の分子を材料の曲がりにくさの曲げ弾性係数と曲がる方向の断面二次モーメントの積 ( 曲げ剛性 ) に置き換える EI W = l I: 断面二次モーメントでこの場合 166.7 を使用する E: 通常はたて弾性係数であるがこの場合 GPa で MPa を式に使用する 以上から計算上の荷重値 W のデータを作ると 表 表 のようになる 1は分母の長さをそのまま 1 =(EI)/l =(EI)/l^ 数式に入れは分母の長さの 乗を入れて計算した この計算結果を図 3に改めて入れてみ る それを図 とした 図では断面の高さ 8mm 1 333 33.3 底辺 mm について入れてみた 表 の計算 6667. 133.337 3 17778.33333 9.6111111 値の単位は [N] なので図 には [kn] に変換して 13333.7 33.3337 ある y 軸の範囲は図 3と比較してかなり拡大 1667 1.33 6 8889.166667 1.817778 した これで長さ 3mm から mm までに 6 ついては実験結果と計算結果は少し近づいた 係数や分母の次数をいろいろ変化させればも っと実験値に近づくものと思われる これにつ いてはグラフ作成ソフトで行ったが報告書の 量も多くなり今回の実験の報告からは少しそ れていくのでここではこのままにしたい 改めて長さ 1mm 以下の実験の必要性が出 てきたがもし実験を行えば急激に上昇してい くことが予想される つまり今回の木材の実験 は x 軸 y 軸にかなり接近したグラフになるかと 考えられる 工業 機械科の教科書 機械設計 のオイラーの座屈の公式は厳密には微分方程 式から誘導しているので実験データからたど 図 り着けるかは無理があるがここまでの実験で 座屈荷重値に試験片の形状がどのように関係 しているかは十分裏付けられたと思う オイラーの式は以下のように教科書には記述されている EI W = nπ l min 分子の Imin は たて横断面の小さいほうの断面二次モーメントである 7

6 研究のまとめと今後の問題膨大な数の実験をひたすら行った 結果的にはまだ不足していた 長さ 1mm 以下の実験結果が必要であった 過去の偉人たちは微分方程式から得られた理論値と実験を重ねて理論の正しさを確認したことを想像すればやはり長さの変化はもちろんのこと材料を変えた実験数を数多くこなさなければ実用に耐えるものはできなかったであろうことがわかった 報告書は結果だけしか出てこないが膨大な実験データをエクセルで処理したのでエクセルの使い方が向上した もう少し実験データを数式に変換できるソフトウェアがあればいいが苦労しながら変換していくのも勉強になった 実験は木材を使用したがやはり等方性の材料で行ったほうがいいかと思う 金属は廃棄物の問題があるが木材にはバラツキがあり一律に実験データとして扱うには少し問題があり 結局どちらもなかなか後々難しい問題が残ることがわかった 7 その他実験途中で課題が生まれ そのための装置を急きょ作ろうとしたが時間もなく 問題もありこの部分は中途半端になった しかし今後の活用に向けて工夫して活用していく 8