<4D F736F F D208E9197BF332D CF897A689BB94C78A E646F63>

Similar documents
<4D F736F F D208CF897A689BB94C795F18D908F A2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 01CDISC概要短縮版.ppt

Microsoft Word - 報告書 最終1116.doc

内容 1. はじめに 大規模治験ネットワーク登録医療機関への支援内容 治験実施医療機関情報の登録と公開 登録の条件 事前確認 大規模治験ネットワーク への登録方法 登録の手順 登録でき

Microsoft PowerPoint - 02福島プロジェクト共通.ppt

Microsoft Word - 【061115】用語集(案).doc

医師主導治験実施医療機関を対象とした調査協力のお願い Ver 医師主導治験における治験調整事務局業務の標準化 効率化に関する研究 班へのご協力をいただき ありがとうございます 本研究班では 医師主導治験を実施する医療機関において 準備や実施に役立つ教育コンテンツやモデル標準業務手順

サマリー記載について

<4D F736F F D E34208EA18CB18EE891B182AB977697CC C8E8DB782B591D682A688CB978A>

<ヒアリング内容 > 1 依頼者からの説明 ( 概要書 プロトコールの要点 をそれぞれ10 分程度で ) ハンドアウト等の資料を準備すること 2 質疑 応答 ( 手順の確認を中心に ) 3 提出資料の確認 検討 修正指示 4その他 当該治験で検討を要する事項についての協議 保険外併用療養費の支給対象

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

<4D F736F F F696E74202D2090BB91A294CC94848CE392B28DB CC905C90BF82C982C282A282C45F F566F6C2E33>

特定臨床研究に関する手順書

標準業務手順 目次

治験事務局標準業務マニュアル

<4D F736F F F696E74202D208EA18CB B90B389BB8DEC8BC694C F E B93C782DD8EE682E890EA97705D205B8CDD8AB

研究報告書レイアウト例(当該年度が最終年度ではない研究班の場合)

IRB の 4 週間前までに事前確認に必要な資料をご提出ください 必要時にはヒアリングも実施いたします IRB 審議用確認資料 電子 ( メール ) にてご提出ください 製造販売後調査申請書 ( 様式 1) 1 部 審査用資料 1 薬品概要書 ( 添付文書でも可 ) 1 部 2 調査実施計画書 (

Microsoft PowerPoint - 運用 [互換モード]

国立病院機構大阪医療センター受託研究取扱細則

治験実施に必要な手続きについて (HP 用 ) 治験 製造販売後臨床試験 聖マリアンナ医科大学病院治験管理室 聖マリアンナ医科大学病院治験管理室 2011 年 10 月作成 2013 年 1 月改訂 2014 年 4 月改訂 2018 年 4 月改定 2018 年 5 月改定 Ⅰ. 治験審査委員会

UMIN INDICE Lower level data communication protocol for CDISC ODM規約

12_モニタリングの実施に関する手順書 

臨床試験(治験)実施の手続き

臨床試験(治験)の手続きについて

京都府立医科大学附属病院

【押印あり】日本医学会宛

医師主導治験取扱要覧

Microsoft Word _アンケート集計書HP版 .docx

PowerPoint プレゼンテーション

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

M. 旅行計画書 A. 1 申請の際には当院の標準業務手順書 契約書 ( 案 ) 覚書 ( 案 ) マニュアル等を熟読の上 目標症例数を責任医師と依頼者で十分協議 し 実施可能な症例数を申し込んでくだ 1 申請の際には当院の標準業務手順書 契約書 ( 案 ) マニュアル等を熟 読の上

製造販売後調査事務手続き等 について

Microsoft Word - CT IT report final081118edit_for_web

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院医療に係る安全管理のための指針 第 1 趣旨本指針は 医療法第 6 条の10の規定に基づく医療法施行規則第 1 条の11 の規定を踏まえ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 ( 以下 センター病院 という ) における医療事故防止について組織的に

目次

<4D F736F F D208DD08A518E9E82CC838A E8AC7979D82C98AD682B782E B836782DC82C682DF2E646F63>

Project Goals

「 タイトル 」実施要領(案)

PowerPoint プレゼンテーション

1. はじめに我が国では 臨床研究 治験活性化 5 か年計画 2012 をはじめとした種々の取り組みにより治験実施体制の整備が行われ 治験環境に改善がみられてきた しかし 医療機関の一部の治験業務において治験依頼者からの支援を要する医療機関が少なからず存在すること 治験担当医師の GCP 関連知識や

PowerPoint プレゼンテーション

untitled

(Microsoft PowerPoint - \220V\213\214\225\266\217\221\224\344\212r\203\\\203t\203g\202o\202o\202s\216\221\227\277ADVIT1-30\224\305.ppt)

目次 1. はじめに 2. 実際の応募手続き 2-a. 手続きを始める前に 2-b. 研究開発提案書様式の取得 2-c. 応募の新規登録 2-d. 応募情報の入力 2

平成 30 年度データマネジャー養成研修 研修生募集要項 主催千葉大学医学部附属病院実施千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1. 研修の目的 ICH-GCP の改訂や CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium) 標準の規格での PMDA

ワークシート 原資料 電子カルテ EDC SDV 監査 質問 当院の状況 原資料 原資料のうち 電子情報として取り扱われているものを教えてください データの保管期間は治験終了から 15 年を満たしていますか? 診療録 ( 入院 外来 ) 臨床検査値 画像情報 (X 線 内視鏡等 ) 波形情報 ( 心

<4D F736F F F696E74202D2089D489AA90E690B C835B8393>

<4D F736F F D2090BB91A294CC94848CE392B28DB8905C90BF8E9E92F18F6F8F9197DE82A882E682D1928D88D38E968D E48DEC90AC816A

I

<93648EA593498B4C985E82C98AD682B782E E838A F E315F C668DDA95AA292E786C7378>

Ⅱ. 国立がんセンター研究センター用申請書の作成について Ⅱ-1. カット ドゥ スクエアにおける中央病院と東病院の表示区分 がん研究センターにおいては 中央病院と東病院が独立して治験を実施する一方 実施医療機関としては 独立行政法人がん研究センター となることから カット ドゥ スクエアにおいて

スライド 1

平成 28 年 4 月版 別紙様式 3 研究に係る利益相反状況申告書 Q&A Q1. 学内研究分担者等の氏名 Q1-1 Q1-2 Q1-3 Q1-4 質問学外の研究分担者名を記載しなくてもよいのですか? 学内研究分担者等 というのは どのような人をいうのですか? モニタリング 監査とはどのようなもの

PowerPoint プレゼンテーション

総合行政ネットワーク-9.indd

Microsoft PowerPoint - 【配布・WEB公開用】ACRONET_Kitahara.ppt [互換モード]

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

な技術がある この技術は 臨床研究 治験活性化 5 か年計画 2012 でも提案されており 当協会でも本技術を利用した治験関連書式の授受について 信頼性確保と効率化の両面で検討していく 3. 規制上 押印は必須ではなく 押印以外の方法で当該書類の信頼性を担保することにより 実質上は問題ないことを実施

申請等の手引き

<4D F736F F D208D B B835896F2938A975E82CC8D6C82A695FB2E646F63>

Microsoft Word - 4月議事録概要

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

説明文書

倫理委員会審査手順書

第 2 回中部放射線医療技術学術大会 RIS 導入時の時の病院側作業に関して 2009 年 11 月 横河電機株式会社 医療ソリューション本部 1 横河電機株式会社医療ソリューション本部 2006Yokogawa Electric Corporation

課題名

<4D F736F F D208EA18CB182C98AD682B782E995578F808BC696B18EE88F878F E38E748EE593B1816A E7B8D732E646F637

Ⅲ 治験に係る直接費用と間接費用 ( 但し 治験検討会議出席に係る旅費については 下記 Ⅳにて記載する ) 1. 算出方法 (1) 治験に係る経費設定( 表 1) に従い費用を算出する 2. 覚書の作成と請求方法 (1) 治験契約の際 病院長と治験依頼者は 治験契約書 ( 別記様式第 12 号第 3

CROCO について

臨床研究に関する研修会1

<4D F736F F D2088E396F BB91A28BC EF C8EA695DB8AC78BE695AA816A C826F8AEE8F808F918EE88F878F B2E646F63>

<4D F736F F D C98EFB82DF82E9816A819C F28BC78BA68B6389EF CE936381A88B7B90EC81A890568

また 今後も申請があったものから順次 審査を行い 情報開示が適切と判断されるサービスを認定していく予定です 医療情報 ASP SaaS 申請 :1 件 (1 事業者 ) No サービスの名称事業者の名称サービスの概要 1 カナミッククラウドサービス 株式会社カナミックネットワーク 介護業務において他

<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

治験手続きについて

調査票を入力いただく環境について Adobe Reader のバージョンについて本調査票は Adobe Reader 11 以降のバージョンに対応しています (Adobe Reader11 より古いバージョンですと ファイルの保存の際に下記等のエラーメッセージが表示され ファイルの保存がされません

山形県立中央病院治験審査委員会業務手順書

ICH-GCPとJ-GCPとの比較表

<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

書類が整理できない ~ 書類 書類棚の 5S~ 書類が整理できない 岐阜赤十字病院看護部係長会小柳葉子村瀬彩はじめに当院は 平成 25 年度より 業務 KAIZEN 活動 (QC サークル活動 ) を開始し 毎年 20 前後のチームが活動に取り組んでいる 看護部係長会も 当初から 5S 班 を結成し

ビットストロング製品のご提案

1. 各項目に共通する注意点等について *IRB 審査資料の提出期限は IRB 開催日の 2 週間前までとします * 事前確認依頼については 資料提出期限の 1 週間前を目安に電子にて事務局担当者までご依頼ください スケジュールについては 当センター HP の IRB 年間開催日程と書類提出締切日

研究者を支援するために 必要な人材 CRC データマネージャー 国際化 生物統計家 プロジェクトマネージャー 開発戦略と知財戦略の担当者 高度化 煩雑化 多様化 利益相反マネージャー IRB/EC 事務局担当者 教育 / 研修担当者 薬事担当者 新薬開発の多様化 国際化の時代 ICH-GCP に則っ

( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

独立行政法人国立病院機構仙台医療センターにおける医薬 品等の使用成績調査 特定使用成績調査及び副作用 感染 症報告 その他の受託研究の実施に関する標準業務手順書 2018 年 7 月 26 日第 9 版

<4D F736F F F696E74202D E48FE A92C789C192CA926D82C982C282A282C45F696E6F75652E >

300401採用公募・HP原稿

Microsoft Word - å‹¥æ·»ã••ã•’æ§Ÿå¼‘ã•‚å•‰äººæ…–å€±ã…Łã‡¡ã‡¤ã…«ç°¿ï¼‹ ï¼›.doc

PowerPoint プレゼンテーション

個人情報保護方針の例

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

治験は、医薬品として未だ認められていない物質を人(被験者)に投与して、有効性、安全性等を検討する臨床試験のことであり、新薬の承認申請資料の作成を目的としています

平成19年度 病院立入検査結果について

1 検査の背景 国立大学附属病院は 平成 16 年の国立大学の法人化以降 収支の企業的管理が必要 となり 個々の国立大学附属病院がその経営について独自に責任を負うこととなった そして 医療制度改革等では 国立大学附属病院を含めた病院の役割分担による医 療提供体制の再構築が求められている さらに 医療

概要 PMDAにおける次世代審査 相談体制の構築 データ標準の利用 承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方 ( 案 ) について パイロット実施について CDISC 利用に関する今後の検討と展望 2014/05/16 CDISC 概説コース 2

院内 SOP 等の入手 (web*/ メール / 郵送 ) 施設 SOP の入手 IC 施設テンプレート 契約書式の確認 IRB の SOP 入手 要件確認 費用算定基準の確認 ( 研究費 負担軽減費 保険外併用療養費等 ) 依頼手続きスケジュール確認 モニタリングの実施方法 場所等確認 院内 /I

医師等の確保対策に関する行政評価・監視結果報告書 第4-1

依頼者様

厚生労働省による 平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.1) に対する 八王子介護支援専門員連絡協議会からの質問内容と八王子市からの回答 Q1 訪問看護ステーションによるリハビリのみの提供の場合の考え方について厚労省 Q&A(Vol.1) での該当項目問 21 問 22 問 23 A

Transcription:

資料 3-4 治験の効率化に向けた治験書式 手続き IT 化に関する現状調査班 報告書 概要版 調査班構成員 班長伊藤澄信 国立病院機構本部医療部研究課長 班員池田俊也 国際医療福祉大学薬学部 石川洋一 国立成育医療センター治験管理室主任 神谷晃 山口大学医学部附属病院薬剤部長 河村俊一 慶應義塾大学病院副薬剤部長 木内貴弘 東京大学医学部教授 (UMIN センター長 ) 木村通男 浜松医科大学附属病院医療情報部長 長田徹人 日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会長 ( 五十音順 ) - 1 -

1. 概要我が国では 治験に関する契約手続きや契約様式等について一部の機関を除き標準化が行われていないため 治験依頼者は治験実施機関によって個別の対応が求められている また 本来は医療機関側で行うべき治験書類の作成等の業務についても治験依頼者側が実施していたり 治験依頼者が治験実施機関へ治験データの確認作業や治験情報の伝達作業等を行うために頻回に機関を訪問していたりすることによる費用 ( 人件費等 ) が治験コスト増加要因となっていることが問題として指摘されている 本調査班では 治験を効率的 効果的に推進するということに主眼をおき 次期治験活性化計画の検討に資するため 以下の事項の調査を実施し 対策について検討した 1) 治験実施者と治験依頼者の役割の明確化 2) 治験書式の標準化 3) 治験データ交換様式の標準化と治験データの電子化収集の促進 2. 医療機関及び製薬団体に対するアンケート調査大規模治験ネットワークに登録している医療機関及び治験推進協議会に加盟している施設など約 2,000 施設を対象に治験実施等に関する一次調査を実施し 協力が得られた 346 施設に対して 治験実施者の治験業務に関する認知度 治験書式の実態 IT 化への対応などについて二次調査 ( 詳細調査 ) を実施した なお 役割の明確化に関する調査については JPMA( 製薬協 ) PhRMA EFPIA に対しても調査を実施した 調査項目 1 治験実施者と治験依頼者の役割の明確化 治験の契約形態に関する調査 Q15. 治験に関わる事項を取り扱う専門的な部署 ( 治験管理室等 ) の設置 Q16. 治験依頼窓口の一元化について Q16-1.(Q16 で 一元化されている とお答えの方に ) 対応窓口について Q17. 治験の契約締結までに治験依頼者が訪問する必要がある部署について Q18. 治験手続きに関する書類の受付について ( 郵送対応の可否について ) Q20. 書類の作成者について Q21. 治験関連資材の作成者について Q22. 貴院では IRB の説明のために治験依頼者の出席を求めていますか Q23. 治験の契約形態を教えてください 2 治験書式の標準化に関する調査 Q24. 契約様式について Q25. 設立形態によらない統一契約様式の利用希望について 3 治験書式の IT 化に係るデータ変換様式 (EDC) に関する調査 Q30.EDC(Electric Data Capture) への対応について - 2 -

Q31. 処方オーダリングシステムの導入の有無について Q32. 電子カルテの導入の有無について (Q33,Q34 は電子カルテ導入施設を対象 ) Q33. 電子カルテから治験データを任意抽出できるか Q34. 治験依頼者のSDVに電子カルテを利用できるか 調査結果 二次調査に基づき 国立病院機構 国公立病院 私立病院等 346 施設から得られたアンケート結果 ( 回収率 72.7%) を分析した アンケート結果の概略は以下のとおり IRBは65% 以上で 月 1 回開催 71.4% の施設では治験の専門的部署を設置 94.2% の施設では治験依頼者への窓口を一元化 対応窓口の61% は治験管理室 21.2% は薬剤科 治験契約までに治験責任医師のほか 66.2% の施設では治験管理室 41.3% の施設ではCRC 39.6% の施設では薬剤科へ訪問する必要がある 半数以上の施設で郵送での書類受付が可能だが 約 16% の施設では持参が基本 治験に応じられる診療科や過去の実績など治験を依頼するかどうかの判断材料となり得る情報を求めに応じて公開している施設は多いが 疾患別患者数 や 実施中の治験の情報 については3 割の施設で未公開 治験を実施する際に必要とされる書類のうち 臨床検査基準値一覧 や 指示決定通知書 は施設で作成しているが 同意説明文書 逸脱に関する報告書 原資料との矛盾を説明した記録 などは依頼者が主に原案を作成 ポケット版プロトコル 症例ファイル 同種同効薬リスト など治験関連の資材については 主に依頼者が作成 34.4% の施設では申請時にIRBへ治験依頼者の出席させている 76% の施設では複数年度契約が可能であり 出来高払いを導入しているが 13.9% では前納返金なしという支払い形態をとっている 統一様式の中では 国立病院機構の様式が一番使われているが(30.6%) 39% の施設では独自様式を採用 3. 治験データ交換仕様の標準化の動向と我が国おける治験データの電子化収集の指針 現在 日本の医療機関の治験情報システムは 治験実施管理を支援する情報を取り扱うものがほとんどである 治験データの電子的収集を行っているケースはごく一部で行われているが 国際的なデータ交換標準に対応していない 現時点での EDC は 迅速なデータ収集等の点で製薬会社側には利点があるが 医療機関側には利点が殆どない - 3 -

今後 治験データを 原資料として電子カルテ内に蓄積されるほか 外部への抽出 製薬企業への送付ができるようにする必要がある ( 図 X) 電子カルテ 院内の治験関連情報システム EDC を連携させるとともに データ交換標準を行うことが必要である 海外の状況 米国において 治験データ交換標準として CDISC 標準仕様の策定と普及が近年急速に進んでおり 既に実験期から実用期に達している ( 図 Y) 米国では FDA への新薬申請の際の症例データ提出のデータ仕様として CDISC 標準仕様をすでに採用しており 今後国際的な普及が期待される 図 X. データ交換標準を用いた治験データの電子的収集のイメージ 1. データフォーム組込み データ交換標準による治験データフォーム (XML) 2. データ自動抽出 ( 再入力の 2 度手間なし ) データ交換標準による治験症例データ (XML) オーダー ( 処方 検査等 ) オーダー ( 処方 検査等 ) オーダー ( 処方 検査等 ) オーダー ( 処方 検査等 ) HL7 HL7 HL7 HL7 電子カルテ電子カルテ電子カルテ電子カルテ 患者基本データ 検査データ 医薬品処方等 患者基本データ 検査データ 医薬品処方等 患者基本データ 検査データ 医薬品処方 患者基本データ 検査データ 医薬品処方 電子カルテ上に存在しなかったデータ ( 電子カルテ上の症例データフォームで入力 ) 治験診察所見 治験用の特殊検査 電子カルテ上に存在しなかったデータ ( 電子カルテ上の症例データフォームで入力 ) 治験診察所見 治験用の特殊検査 3. 原資料として保存 - 4 -

図 Y.CDISC 標準仕様の策定の経過と今後の予定 医療機関で実現できる機能 2005 2005-2006 2006 2007-2010 検査データ 交換 EDC 端末の単一化 電子カルテと EDC の連携 研究プロトコールとの連携 製薬企業で実現できる機能 検査データ交換 CDISC 標準対応の情報システム EDC 米国における申請 CDISC standards SDTM SEND( 臨床 ) 個別策定 LAB( 検査データ ) 個別策定 ODM( 操作データ ) 個別策定 define.xml( 製薬会社定義 ) 個別策定 ADaM( 統計解析データ ) 個別策定 PR( プロトコール ) 個別策定 Terminology( 用語 ) 個別策定 2005 2005-2006 2006 2007-2010 SDTM LAB SDTM SEND LAB ODM define.xml SDTM SEND LAB ODM define.xml ADaM SDTM SEND LAB ODM define.xml ADaM PR HL7 2.x HL7 3.x 5. まとめ (1) 我が国の治験の効率化の課題わが国の治験は1 施設当たりの症例数が少ないためプロトコル当たりの施設数が多いという問題があり そのためにモニター一人当たりの対応症例数の少なさ モニター数の多さ 治験依頼者費用の増大を生んでいる さらに施設毎のカスタマイズが人件費の増大をきたしていると考えられる (2) 事務の効率化 今回の調査結果により 治験対応の専門的部署は多くの医療機関に設置され 窓口は一元化されつつあるが 治験依頼者のモニターが治験契約締結までに複数箇所に訪問する必要があることが明らかになった 郵送などで書類の受付ができない施設もまだあり 治験依頼者の人的 経済的負担を軽減する余地が多く残されていることが判明した 現在 統一様式には国立病院機構 国立大学病院 私立大学協会の3つがあるが IT 化をするためには様式 ( 少なくとも項目 ) の統一化が必要であり 協議の上 厚生労働省や国立大学病院長会議等で了解された統一版の作成が望まれる (3) 医療機関と依頼者の役割分担 治験を実施する際に必要となる医療機関固有の臨床検査値一覧を治験依頼者が作成していること IRB での審議時に治験依頼者の出席は本来不要であるが 出席を求めている施設が 1/3 を越えていることなど 本来医療機 - 5 -

関が担うべき役割を治験依頼者が実施している場合があるため 本来のあるべき役割を整理する必要がある その上で 医療機関が最初から作成することが非効率であるような事務作業などを依頼者と効率的に役割分担できるよう 事例に応じて 相互に取り決めていく必要がある 現在 医療機関内で作成すべき治験責任医師から医療機関の長への申請書類など治験実施プロセスで必要とされる書類や治験依頼者がひな形を作成しているポケット版プロトコルなどの治験用資材を医療機関が最初から作成することは非効率であると思われるが 医療機関毎にカスタマイズすることは治験依頼者にとって多大な負担になっている 効率化のためには これら書類や資材のうち 現時点必ず医療機関内で作成すべき書類や段階的に医療機関側で作成できるようにする書類の検討並びに過度のカスタマイズを制限することや様式を統一することも必要 電子的フォーマットが統一できていれば印刷形式を変えることは比較的容易であり医療機関側 依頼者側と検討し 整理していく必要がある 契約形態は複数年度契約 出来高払いが主流となっているが まだ 国立高度専門医療センター ( ナショナルセンター ) 公立病院の一部で前金返納なしの支払い形態も残存している (4) データの電子的交換 治験データの電子的交換のためには 治験データの電子的交換の標準仕様が必要である 標準仕様を使わなければ 治験データの電子的交換による治験の効率化がなされることは困難である FDAでの採用状況からみて 国際的に CDISC 標準仕様が治験データの電子的交換の標準となる見込みは高く CDISC 標準仕様の積極的な活用と定着を促進することによって EDC のデータ交換が標準化されるとともに CDISC 標準仕様のインターフェイスの電子カルテへの導入によって 電子カルテと EDC の連携が可能となり 治験データの収集が飛躍的に効率化することが期待される 自社の臨床試験データ管理に CDISC 標準仕様を導入しつつある世界の大手製薬企業の動向も注視しながら 受託する医療機関側の病院情報システム / 電子カルテの CDISC 標準仕様対応を支援することは 業務の効率化のみならず 国際的な共同治験 臨床研究の推進において早急に対応すべき課題である 医療機関側には 自らの病院情報システム / 電子カルテを CDISC 標準仕様対応にするための資金が不足している このため 治験電子化のためには 国による医療機関の支援が必要である - 6 -

6. 結語わが国の治験を空洞化させないためには 他国に比べて治験経費の高額化の主因である治験依頼者業務負担を軽減する必要がある また IT 化を進めるためにもデータ交換様式の統一化 項目の統一化が必須である - 7 -