<4D F736F F F696E74202D F88E397C F282CC95AA82E882E282B782A298625F82AA82F182DC82BF D E83672E >

Similar documents
PowerPoint プレゼンテーション

【目的】

スライド 1

スライド 1

FileNewTemplate

資料

緩和ケア領域の薬剤について

オピオイド

Ⅱ章 背景知識 しかし 骨転移の体動時痛を 動いても痛くないようにすることは難しい場合が ある また神経障害性疼痛の場合 症状の完全な緩和が困難な場合もある これら のことを患者に理解してもらえるように 繰り返し丁寧に説明することが重要であ る 鎮痛薬の使用法 の治療は薬物療法と非薬物療法の組み合わ

がん疼痛緩和に必要な知識

あなたの痛みについてお話しましょう

がんの痛みのコントロール

癌性疼痛管理の指針

<4D F736F F F696E74202D CF68A4A A E312E31338C6F8E598FC E093A190E690B6816A2E B8CDD8AB B83685D>

オピオイドの患者指導

<4D F736F F F696E74202D20956C8FBC82AA82F196F295A897C A837E B B94D A2E >

痛み止めの上手な使い方

Microsoft PowerPoint - 緩和ケア勉強会 ppt

38 龍島靖明 西垣玲奈 赤木徹 他 1 オピオイド製剤処方量の年次推移.A: 注射製剤,B: 徐放性製剤.a: フェンタニル注射剤 : 術後疼痛 がん性疼痛への適応拡大 ( ),b: デュロテップパッチ 院内採用 ( ),c: オキシコンチン, 院内採用 ( )

モーニングセミナー   がんの痛みの緩和        平成26年12月1日(月)

痛み目次 1. 痛み治療の基本 3 2. 第 1 段階 (WHO 3 段階ラダー ) 4 3. 第 2 段階 (WHO 3 段階ラダー ) 5 4. 第 3 段階 (WHO 3 段階ラダー ) 6 5. 各オピオイドの特徴 9 6. 経口投与可能な場合のオピオイドの初回処方 副作用対策

PowerPoint プレゼンテーション

がんの痛みの治療を受けられる方へ

看護に役立つ知っておきたい オピオイドの知識

表 Ⅲ 46 診療記録調査 対象患者背景 n % n % 性別 1) 専門的緩和ケアの診療日数 男性 % 平均 ± 標準偏差 79.5 ± 女性 % 緩和ケア病棟入院回数 年齢 1 回 % 平均 (± 標準偏差 ) 70.4 ± 12

<4D F736F F F696E74202D2088AB90AB905690B695A C192C996F295D2816A836E E B8CDD8AB B83685D>

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

スライド 1

愛知医科大学  緩和医療マニュアル

BV+mFOLFOX6 療法について 2 回目以降 ( アバスチン +5-FU+ レボホリナート + エルプラット ) 薬の名前アロキシ注吐き気止めです デキサート注 アバスチン注 エルプラット注 レボホリナート注 作用めやすの時間 5-FU の効果を強める薬です 90 分 2 回目から点滴時間が短

Microsoft PowerPoint - 資料

スライド 1

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

<4D F736F F F696E74202D C189EA924A90E690B E B8CDD8AB B83685D>

のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

疼痛の処方

スライド タイトルなし

【目的】

スライド 1

<4D F736F F D F28B7982D18CFC90B8905F96F28EE692F796402E646F63>

疼痛マニュアル第5版.indd

BD( 寛解導入 ) 皮下注療法について お薬の名前と治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 薬の名前作用めやすの時間 1 日目

目 次 WHO 方 式 がん 疼 痛 治 療 法 P.2~3 がん 疼 痛 フローチャート P.4 薬 剤 の 比 較 (NSAIDS オヒ オイト ) P.5 初 回 投 与 量 設 定 内 服 可 能 時 P.6~9 初 回 投 与 量 設 定 内 服 困 難 時 P.10~12 レスキュー P

PowerPoint プレゼンテーション

ポプスカイン0.75% 注シリンジ 75mg /10 院 Popscaine 75mg /10 院 / 筒 丸石 薬価 円 / 筒 効 硬膜外麻酔 用 ( 注 )1 回 150mg ( 本剤として20 院 ) までを硬膜外腔に投与 禁 大量出血やショック状態, 注射部位またはその周辺に

表1



PowerPoint プレゼンテーション

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

「             」  説明および同意書

5 がん化学療法に附随する消化器症状への対応 下痢, 便秘および 重篤な消化管症状への対応 後藤歩, 小栗千里, 光永幸代, 市川靖史 小林規俊, 前田愼, 遠藤格

進行癌における嘔気・嘔吐

点滴治療を受けられる

相互作用DB

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

Microsoft PowerPoint 第3講_疼痛マネジメント_配布資料 (1)

スライド 1

終末期癌患者に対する 輸液治療の是非

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

減量・コース投与期間短縮の基準

Microsoft Word - CDDP+VNR患者用パンフレット doc

スライド 1

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

術後AC療法

外来化学療法における 薬剤師の役割

痛み(Pain)の定義

<4D F736F F F696E74202D E6338D AA82F1E17592C9837D836C F B8CDD8AB B83685D>

181012_いたみやわらげ完成版

Microsoft Word - 基準文書1.doc

緩和ケアに関する医療者の知識 困難感 実践尺度 のデータを解釈するための参考データについて 緩和ケアに関する医療者の知識 困難感 実践尺度 はいくつ以上だったら 知識がある 実践が出来ている 困難感が高いなどの基準はありますか? という質問をよく受けます 残念ながら そのような明確な基準はございませ

Microsoft PowerPoint - タルセバ療法 ppt [互換モード]

医師のためのTUE申請ガイドブック2013_本文.indd

目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

DRAFT#9 2011

9_痛みをやわらげる方法160502修正

放射線併用全身化学療法 (GC+RT 療法 ) 様の予定表 No.1 月日 経過 達成目標 治療 ( 点滴 内服 ) 検査 処置 活動 安静度 リハビリ 食事 栄養指導 清潔 排泄 / 入院当日 ~ 治療前日 化学療法について理解でき 精神的に安定した状態で治療が

記載データ一覧 品目名 製造販売業者 BE 品質再評価 1 マグミット錠 250mg 協和化学工業 2 酸化マグネシウム錠 250mg TX みらいファーマ 3 酸化マグネシウム錠 250mg モチダ 持田製薬販売 # 4 酸化マグネシウム錠 250mg マイラン マイラン製薬 # 5 酸化マグネシ

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

( 別添 ) 御意見 該当箇所 一般用医薬品のリスク区分 ( 案 ) のうち イブプロフェン ( 高用量 )(No.4) について 意見内容 <イブプロフェン ( 高用量 )> 本剤は 低用量製剤 ( 最大 400mg/ 日 ) と比べても製造販売後調査では重篤な副作用の報告等はない 一方で 今まで

緩和ケア基本教育のための指導医研修会

用法・用量DB

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

Epilepsy2015

<4D F736F F F696E74202D F91E592B082AA82F182CC8F708CE396F295A897C C982A882AF82E996F28DDC8E7482CC8AD682ED82E E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

困難となり意識レベルも低下する やがて 下 顎呼吸が始まり その生を全うする これらが くれ 何もできなくなることもある 常に寄り添い 傾聴する それだけでも家族 には大きな力になり やがて自ら立ち直ること 一般的な死に至るプロセスである このような死に至るプロセスそのものをコン が多い トロールす

スライド 1

日本内科学会雑誌第98巻第12号

PowerPoint プレゼンテーション

医薬品の誤飲

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D E6338D AA82F1E17592C9837D836C F B8CDD8AB B83685D>

スライド タイトルなし

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

Module03.ec8

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

1 薬事委員会報告

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

Transcription:

がんになっても安 して暮らせるためのなかまづくり ~ がんを取り巻く医療と介護の相互理解のために ~ 平成 24 年 2 4 ( ) 14 時 ~17 時浜松商 会議所 10 階会議室 医療 薬の分りやすい話 宮本康敬医療法 圭友会浜松オンコロジーセンター ymiyamo@oncoloplan.com がん患者は痛い!! 倦怠感痛みエネルギー減退衰弱 欲低下過敏体重減少 渇抑うつ気分便秘 配不眠呼吸困難嘔気不安 焦燥 37 39 37 36 36 35 31 30 48 46 53 60 74 71 69 0 10 20 30 40 50 60 70 80 (%) J Pain Symptom Manage, 34(1), 94, 2007 1

がん性疼痛のマネージメント 基本的には薬物療法を中 に考える 最も い効果が期待できる薬剤を選択する 期待できる効果が同等な場合には 副作 の少ない薬剤を選択する 患者の状態に最も適した薬剤を選択する 患者が無理なく継続できる薬剤を選択する 他の薬物療法と同様 痛みどめの種類 ステロイド性消炎鎮痛剤 (NSAIDs) ロキソニン ボルタレン セレコックス アセトアミノフェン オピオイド性鎮痛薬 トラマール トラムセット オピオイド性鎮痛薬 オキシコンチン MS コンチン カディアン フェントステープ ワンデュロパッチ 鎮痛補助薬 テグレトール トリプタノール メキシチール ガバペン リリカ リンデロン 2

NSAIDs( エヌセイズ ) ステロイド性 消炎 鎮痛 剤 (Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs) ステロイドではなく 消炎 鎮痛 解熱の作 を有する薬剤 ロキソニン ボルタレン ナイキサン セレコックス アセトアミノフェン 薬店でも売られている ( バファリン A ロキソニン S) NSAIDs( エヌセイズ ) 使 量に上限がある ( 毎 服 する場合 ) ロキソニン 180mg (60mg 3 錠 ) ボルタレン 75mg (25mg 3 錠 37.5mg 2 錠 ) セレコックス 400mg (100mg 4 錠 200mg 2 錠 ) 胃腸障害がある 消化性潰瘍がある患者には使 できない タケプロン オメプラール ガスター ザンタックなどを併 腎障害がある 腎機能低下がある患者では使 しづらい 3

アセトアミノフェン 使 量に上限があがった 1 4000mg まで使 可能 1 回 300~1000mg を 1 4~6 回 胃腸障害の 配はほとんどない 腎障害の 配はほとんどない NSAIDs と併 できる 肝障害の懸念は多少ある 痛みどめの種類 ステロイド性消炎鎮痛剤 (NSAIDs) ロキソニン ボルタレン セレコックス アセトアミノフェン オピオイド性鎮痛薬 トラマール トラムセット オピオイド性鎮痛薬 オキシコンチン MS コンチン カディアン フェントステープ ワンデュロパッチ 鎮痛補助薬 テグレトール トリプタノール メキシチール ガバペン リリカ リンデロン 4

薬の捉え ま - やく 薬 痲薬 ( 広辞苑より ) 酔作 を持ち 常 すると習慣性となって中毒症状を起す物質の総称 阿 モルヒネ コカインの類 酔剤として医療に使 するが 嗜好的濫 は きな害あるので法律で規制 覚醒剤 幻覚発現薬コカイン まったく別物 医療 薬モルヒネコデインフェンタニル 般に医療で いている医療 薬だけだが 般の は幻覚剤や覚醒剤 などを含めて 薬と考えていることが多い 医療 薬のイメージオ療 薬のイメージオピ 薬のイメージオピオ 薬のイメージオピオイ薬のイメージオピオイドのイメージ 痛みが強くなった使い続けると投与量を増やすことで対応効かなくなる 薬を使うのは 痛いから使う 末期 のがん患者だけ咳 めも 医療 薬 精神依存になることは使い続けると 薬中毒になるほとんどない オピオイド使 の有無やその量で 薬を使うと寿命が縮まることはない寿命が縮む がん治療の効果が出れば使い続けると減量 中 も可能であるやめられなくなる 薬を使うことで 薬を使うと出来ない事ができるようにもなるもうおしまいだ 5

オピオイドは特別な薬? 医療 薬であり 管理は特別である 分類上の区別にすぎない ( 普通薬 劇薬 毒薬 向精神薬 覚せい剤原料 薬 ) 投与量不 の際には 患者が 痛い! と教えてくれる 副作 は予測可能で対応可能 オピオイドは特別な薬ではない! と 医療従事者や介護従事者が思っていないと 患者の誤解を解くことはできないし 患者に誤解を与えてしまう可能性もある オピオイドの種類 ( 成分別 ) モルヒネオキシコドンフェンタニル MS コンチンカディアンモルぺス MS ツワイスロンピーガードパシーフオプソモルヒネ末 錠アンペックモルヒネ注 オキシコンチンオキノームオキファスト注 アクレフデュロテップ MT パッチワンデュロパッチフェントステープフェンタニル注 6

注射剤坐剤直腸 服剤第 2 回がんになっても安 して暮らせるためのなかまづくり くすりが効果を発現し 消失するまで 1. 胃 腸で溶解 2. 腸で吸収 3. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 4. 全 へめぐり 効果を発現 効果発現 5. 吸収されなかった分は糞便で排泄 6. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 7. 腎臓を経て膀胱から排泄 体内から消失内飲んでから効果発現 消失まで 1. 胃 腸で溶解 2. 腸で吸収吸収の速さが 事 3. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 4. 全 へめぐり 効果を発現 5. 吸収されなかった分は糞便で排泄 6. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 7. 腎臓を経て膀胱から排泄 濃度効果 吸収が早い 吸収がゆっくり 時間 7

吸収の違いと薬剤の使 法 濃度効果 吸収がゆっくり 徐放性製剤 貼布剤 持続注射 定時服 定速投与 時間を決めて服 投与 濃度効果 吸収が早い 時間 速放性製剤 坐剤 急速静注 痛い時に使 レスキュー 時間 オピオイドの種類 ( 成分別 ) モルヒネオキシコドンフェンタニル MS コンチンカディアンモルぺス MS ツワイスロンピーガードパシーフオプソモルヒネ末 錠アンペックモルヒネ注 オキシコンチンオキノームオキファスト注 * アクレフデュロテップ MT パッチワンデュロパッチフェントステープフェンタニル注 8

オピオイドの種類 ( 剤型別 ) モルヒネオキシコドンフェンタニル 経 徐放性製剤 速放性製剤 坐剤 MS コンチンカディアンモルぺス MS ツワイスロンピーガードパシーフ オプソモルヒネ末 錠アンペック オキシコンチン オキノームアクレフ * デュロテップMTパッチ 貼布剤 ワンデュロパッチ フェントステープ 注射剤 モルヒネ注 オキファスト注 * フェンタニル注 * 近 発売 障害部位による症状と薬剤 障害部位症状薬剤 体性痛 膚 関節 結合組織などの 限局した疼痛 圧痛 体動に伴った疼痛 NSAIDs ステロイド BP 鎮痛補助薬 内臓痛 消化管など管腔臓器 肝臓 腎臓など固形臓器 局在が不明瞭 深く絞られるような疼痛 押されるような疼痛 オピオイド 神経障害性疼痛 末梢神経 脊髄神経 脳など 痺れ感を伴う疼痛 電気が るような痛み 鎮痛補助薬 ステロイド 神経ブロック 9

痛みの種類と剤型 持続痛 :24 時間のうち 12 時間以上経験される痛み 定時薬で対応 ( 徐放性製剤 貼布剤 ) 突出痛 : 過性の痛みの状況 レスキューで対応 ( 速放性製剤 坐剤 ) 定時薬切れ の痛み : 定時薬投与前に出現 レスキューで対応し ( 速放性製剤 坐剤 ) 定時薬を増量 ( 徐放性製剤 貼布剤 ) 痛みの種類に応じたくすりの使い 速放性製剤 ( レスキュードーズ ) 徐放性製剤 ( 定時服 薬 ) 突出痛 切れ の痛み 持続痛 10

定時服 薬 オピオイドは 毎 決まった時間に服 する 8 時間ごと 12 時間ごと 24 時間ごと 患者の 活リズムも考慮 服 前に痛みが じても 服 時間を早めない 投与量が均等に割れない場合は 寝る前の服 量を増やす 5 錠分 2 朝 8 時 2 錠 夜 8 時 3 錠 24 時間徐放性製剤は 朝あるいは夜いずれに投与してもよい レスキュードーズ 1 オピオイドを処 されている患者の70% は 突出痛を経験する 突出痛や切れ の痛みが出現した場合などに服 する 速放性製剤や坐剤 注射剤を いる 1 服 量の1/4 1/6 量を1 回量とする 11

レスキュードーズ 2 1 服 量を増量したら レスキューの1 回投与量も増量する 定時投与薬と同じ成分を使 する 痛みを感じ始めたら 服 する 1 時間の間隔をおけば 1 何回服 しても良い 4 回以上服 するようであれば 定時服 薬を増量を検討 がん性疼痛治療の 標 第 標 痛みに妨げられない夜の良眠 第 標 安静時に痛みが消失 第三 標 体動時の痛みの消失 最終 標 平常の 活に近づく 12

痛みの評価 痛みの治療は 痛みの評価から始まる 痛みはあるか? ないか? どこが痛い? どんなふうに痛いのか? いつ痛いのか? どれくらい痛いのか? 痛みによって 活はどの程度影響しているか? どうすれば楽になるのか? ( 薬? マッサージ? 浴?) 薬の副作 はどうか? 患者はどうしたいのか? 3 段階がん除痛ラダー WHO 式がん疼痛治療法 鎮痛薬使 の 5 原則 13

3 段階がん除痛ラダー III II I 弱オピオイド 強オピオイド NSAIDs NSAIDs NSAIDs 必要に応じて 鎮痛補助薬 がん性疼痛に対する鎮痛薬使 法の 5 原則 1. 経 的に (by mouth) 2. 時刻を決めて規則正しく (by the clock) 3. 除痛ラダーにそって効 の順に (by the ladder) 4. 患者ごとの個別的な量で (for the individual) 5. そのうえで細かい配慮を (attention to detail) 14

1. 経 的に 患者にとって簡単で維持 管理がしやすい投与経路を優先的に選択する 医療従事者が簡単と思う 法ではない 現在は 経 剤以外にも坐剤や貼付剤も使 可能となっているので 適切な剤型を選択する (using best form) 2. 時刻を決めて規則正しく 薬剤の作 時間が途切れないように投与間隔を決める 1 1 回 :24 時間おき 1 2 回 :12 時間おき 1 3 回 :8 時間おき 特にオピオイドは毎 後という指 ではなく 均 な 中濃度を保つために 均等な時間間隔で指 することが重要である 痛いからといって 時間を早めて服 してはいけない 15

3. 除痛ラダーにそって効 の順に 患者にとって鎮痛が不 分な場合には 3 段階のラダーにしたがって段階的に治療薬のレベルを上げていく オピオイドを避けて第 1 段階を引き延ばさない 必要に応じて 第 2, 3 段階から開始する 弱オピオイドあるいは強オピオイドいずれから開始しても安全で有効 I II 弱オピオイド III 強オピオイド NSAIDs NSAIDs NSAIDs 必要に応じて 鎮痛補助薬 4. 患者ごとの個別的な量で オピオイドによる鎮痛では 患者ごとに必要量が異なる 投与量の上限はない 同じ患者でも が経つにつれて投与量は変化する 16

5. そのうえで細かい配慮を 副作 が新たな苦痛にならないように注意し 予防に努める 治療への不安や疑問 病状の変化による投与経路や薬剤の変更が必要となることなどに常に配慮する オピオイドの副作 便秘 吐き気 嘔吐 動抑制 呼吸抑制 内乾燥 渇 発汗 掻痒感 排尿障害 便秘は 必ず発現し継続する 吐き気 嘔吐は 投与初期や増量時発現するが 2 週間程度で消失する 度な 動抑制 ( 眠気 ) は過量投与の兆候 17

便秘への対応緩下剤塩類下剤酸化マグネシウム マグミット マグラックスなどその他の 第 2 回がんになっても安 して暮らせるためのなかまづくり モルヒネの 50% 鎮痛 量に対する各作 の 率 モルヒネの 50% 鎮痛 量に対する各作 の 率 1000 100 10 1 0.1 0.01 0.02 便秘 眠気 ( 投与後 ) 0.1 吐き気嘔吐 1 鎮痛 2.6 動抑制 10.4 呼吸抑制 357.5 死亡 鈴 勉 : オピオイド治療 - 課題と新潮流 東京 : ミクス 2001 より改変 腸刺激性下剤 センナ製剤 プルゼニドアローゼン ラキソベロン 坐剤浣腸摘便 新レシカルボングリセリン浣腸 事管理 分 繊維の多い 物 プルゼニド :3 4 6 8 錠と増量 ラキソベロン液 :5 7 10 15 20 30 40 と増量 酸化マグネシウム : 他の緩下剤との併 が便秘管理を助ける 18

がん治療による排便異常 便秘 カイトリル アロキシ ナゼア ゾフラン セロトーン シンセロン (5HT 3 受容体拮抗剤 : 吐き気 め ) 下痢 カンプト トポテシン ( 塩酸イリノテカン : 抗がん剤 ) 5-FU ゼローダ TS-1 UFT フルツロン (5-FU 系抗がん剤 ) イレッサ タルセバ タイケルブ ネクサバール スーテント アフィニトール ( チロシンキナーゼ阻害剤 : 抗がん剤 ) ベクティビックス アービタックス ( 抗 EGFR 抗体 : 抗がん剤 ) 吐き気 嘔吐への対応 オピオイド投与開始時 増量時に制吐剤を併 する 抗ドパミン薬 消化管運動促進剤 抗ヒスタミン薬 ノバミンセレネース プリンペランナウゼリン トラベルミンアタラックスP 2 週間にわたり嘔気がなければ 中 を考慮してよい 便秘も吐き気の原因となるので 便秘対策も重要 19

動抑制 ( 眠気 ) 投与開始時や増量時に現れやすい 投与量が多くなると 眠気が じやすい 患者にとって眠気が 不快であれば 減量を考慮 不快でなければ そのまま 中濃度が くなった時に出現しやすい レスキューを使った後 (30 分 ~1 時間前後 ) 定時薬服 後 ( 製剤によって異なる ) オピオイドの特徴 モルヒネオキシコドンフェンタニル 剤型レスキュー 内服坐剤注射 内服注射 * 腔粘膜吸収 * 経 剤注射 吐き気 嘔吐ありあり少ない 便秘ありあり少ない 鎮痛薬の上限なしなしあり? 特徴 充実した剤型 腎障害時には使いづらい 腎障害患者に適応 低 量の徐放性製剤がある 環境により吸収率が変化 消化器症状の副作 が少ない * 近 発売 20

フェンタニル製剤の貼布 胸部 腹部 上腕部 腿部などに貼る 体 がないところに貼る 貼る場所をタオルなどでよくふき 汗などを 分に取り除く 薬を貼った後は のひらでしっかり押さえる (30 秒 ) 体が温まると吸収量が増す 時間のお 呂 熱いお 呂 こたつ ホットカーペット まとめ がん患者の多くは 痛みを経験する がん性疼痛には オピオイドが効果的である オピオイドは 特別な薬剤ではない がん性疼痛に対する鎮痛薬使 法の5 原則を念頭におく 痛みと眠気をよく聞き オピオイドの投与量調節を う 各種鎮痛剤の特性を理解し 患者にあった薬剤 剤型を選択する 21

ご静聴ありがとうございました ご静聴ありがとうございました 22

モルヒネ製剤 製品名 吸収開始 最 中濃度 作 時間 投与間隔 徐放性製剤 MSコンチン錠 70-90 分 2-4 時間 8-12 時間 8~12 時間 モルペス細粒 30 分 2-4 時間 8-12 時間 8~12 時間 MSツワイスロン 60 分 2-4 時間 8-12 時間 8~12 時間 カディアン 40-60 分 6-8 時間 24 時間 24 時間 パシーフ 15-30 分 40-60 分 24 時間 24 時間 ピーガード 40-60 分 4-6 時間 24 時間 24 時間 速放性製剤 塩酸モルヒネ末 錠 オプソ 10-15 分 30-60 分 3-5 時間 4 時間 坐剤 アンペック坐剤 20 分 1-2 時間 6-10 時間 8 時間 オキシコドン製剤 製品名 吸収開始 最 中濃度 作 時間 投与間隔 徐放性製剤 オキシコンチン 60 分 2-3 時間 12 時間 8~12 時間 速放性製剤 オキノーム散 10-15 分 100~120 分 4~6 時間 4~6 時間 23

フェンタニル製剤 製品名 吸収開始 最 中濃度 作 時間 投与間隔 貼布剤 フェントステープ 3~6 時間 20~24 時間 24 時間 24 時間 デュロテップMTパッチ 120 分 24~48 時間 48~72 時間 48~72 時間 ワンデュロパッチ 3~6 時間 16~20 時間 24 時間 24 時間 腔内崩壊製剤 アクレフ 15-30 分 15-30 分 坐薬を挿 してから効果発現 消失まで 1. 胃 腸で溶解 2. 直腸で吸収 3. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 4. 全 へめぐり 効果を発現 5. 吸収されなかった分は糞便で排泄 6. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 7. 腎臓を経て膀胱から排泄 濃度効果 短時間 時間 24

注射 貼布してから効果発現 消失まで 1. 胃 腸で溶解 2. 腸で吸収 3. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 4. 全 へめぐり 効果を発現 5. 吸収されなかった分は糞便で排泄 6. 肝臓で代謝 ( 変換 ) 7. 腎臓を経て膀胱から排泄 濃度効果 短時間で 時間で 時間 25