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7. プロセスの動特性 [Ⅰ] 目的液レベル制御実験および同シミュレーションを通して ステップ応答に基づくプロセス伝達関数の同定方法 ステップ応答法による PI 制御パラメータの調整方法 および PI 制御パラメータが制御性能へ与える影響について習熟する さらに 制御シミュレーションを通して むだ時間を有するプロセスに対するスミス補償型制御の有効性を確認する [Ⅱ] 理論 2.1 ステップ応答実験による伝達関数の同定 1 次遅れ要素とむだ時間からなる伝達関数 K Ls P = e (7-1) Ts + 1 の各パラメータは 図 7-1 に示すようなステップ応答実験結果から求めることができる ここで K が定常ゲイン T が時定数 L がむだ時間である 定常ゲイン K は Y * /U * で与えられる Y * 出力 63.2% 86.5% 0 L T T 入力 U * 0 図 7-1 ステップ応答 2.2 ステップ応答法による PID 制御パラメータの調整プロセスの伝達関数が式 (7-1) で近似できる場合 Ziegler-Nichols のステップ応答法による PID 制御パラメータの調整則は表 7-1 で与えられる 表 7-1 Ziegler-Nichols のステップ応答法 制御則 比例ゲイン 積分時間 微分時間 P 制御 T/KL - - PI 制御 0.9T/KL 3.33L - PID 制御 1.2T/KL 2L 0.5L

2.3 スミス補償型 PID 制御むだ時間が大きいプロセスに対して有効な制御手法として 図 7-2 に示すスミス補償型制御がある ここで P 0 (s) はプロセス伝達関数のうちむだ時間を除いた部分である スミス補償型制御では コントローラ内部でプロセスモデル Ls ˆ Pˆ s Pˆ ( ) = 0 e (7-2) を利用する なお コントローラ C(s) に PID 制御則を採用する制御をスミス補償型 PID 制御と呼ぶ R + - E + - C(s) P^ 0 (s)(1-e -Ls ^ ) U P 0 (s)e -Ls + + D Y 図 7-2 スミス補償型制御 図 7-2 のスミス補償型制御系について 設定値 R から制御変数 Y への閉ループ伝達関数は プロセスとモデルが完全に一致する場合には C( s) P0 Ls H yr = e (7-3) 1+ C( s) P0 となる これより スミス補償型制御を利用することにより むだ時間を含まない P 0 (s) のみがプロセスであるとして コントローラ C(s) を設計することができる

[Ⅲ] 実験装置および操作 3.1 実験装置装置の概略を図 7-3 に示す 図中の各部では 以下の処理が行われている 1) 検出部タンクの液レベルは差圧電送器 (A) の 2 つの測定端間の圧力差として測定される ディストリビュータ (B) は 差圧電送器に駆動用電源を供給すると共に 差圧電送器からの電流信号を電圧信号に変換する この電圧信号はアナログ ディジタル変換器 (A/D 変換器 ) でディジタル信号に変換され パソコンに取り込まれる 2) 調節部パソコンに取り込まれたディジタル信号から液レベルを計算する この液レベル測定値と設定値を利用し 与えられた制御則に基づいて操作量であるバルブ開度を決定する 決定したバルブ開度に対応する信号をディジタル アナログ変換器 (D/A 変換器 ) に送り 電圧信号に変換する 3) 操作部電圧信号に変換されたバルブ開度は電々ポジショナ (C) を経由してモーターバルブ (D) へと伝えられる 電々ポジショナは 入力信号に対応するバルブ開度を実現するための装置であり モーターバルブの開度を設定値に一致させるための制御機構を備えている 3.2 実験操作備え付けのマニュアルに詳しい操作方法が書かれている 実験を進める前に 備え付けのマニュアルを熟読すること 3.2.1 手動操作による設定値変更液レベルのステップ状設定値変更を人間が行う 1-1) 定常状態の作成 PC で実験プログラムを起動し [Operation]-[Play Game] を選択する 初期液レベル (60cm) と設定値 (70 or 80cm) を入力した後 [Start] ボタンをクリックすると PC が自動的に定常状態を作成する なお バルブ開度が変化し始めてからポンプのスイッチを ON にする 1-2) 手動制御実験液レベルが指定した初期液レベルで一定になったら [Change] ボタンをクリックする 設定値が自動的に変更されるので 液レベルが与えた設定値になるように スライドバーを用いてバルブ開度を調節する 3.2.2 ステップ応答実験による伝達関数の導出定常状態にあるプロセスにステップ状入力を与え ( バルブ開度を定常値からステップ状に変化させ ) 出力である液レベルの応答からプロセスの伝達関数を求める 2-1) 定常状態の作成 [Operation]-[Step Response] を選択する 初期液レベル (60cm) とバルブ開度変化幅 (5%) を入力した後 [Start] ボタンをクリックすると PC が自動的に定常状態を作成する 定常状態に達したら そのときのバルブ開度 液レベル 流量を記録する ( 結果の整理 1 参照 ) 2-2) バルブ開度のステップ変化 [Change] ボタンをクリックする 2-3) 結果の出力新しい定常状態に達したら 再びバルブ開度 液レベル 流量を記録する [Stop] ボタンをクリックし 実験データをファイルに保存する ここで実験を一時中止するので [File]-[Quit] を選択し ポンプのスイッチを OFF にする 結果の出力には MATLAB を利用する ( 結果の整理 1 参照 ) 2-4) 伝達関数の導出

得られたステップ応答からプロセスの伝達関数を求める なお 伝達関数は 1 次遅れ要素とむだ時間で与えられるとする このとき 各パラメータの単位は K [cm/%], T [sec], L [sec] である ( 結果の整理 1 参照 ) 3.2.3 制御パラメータの決定表 7.1 に示した Ziegler-Nichols のステップ応答法を用いて 3.2.2 で導出したプロセス伝達関数に適した PI 制御パラメータ ( 比例ゲインと積分時間 ) を求める ( 結果の整理 2 参照 ) 図 7-4 制御応答の評価 ( 立上り時間 :T r 行過ぎ量 :A 1 /B 整定時間 :T s ) 3.2.4 制御パラメータと制御性能との関係制御シミュレーションを行い 制御パラメータが制御性能に及ぼす影響を調べる 4-1) シミュレータの作成 MATLAB/SIMULINK を用いて PI 制御系のシミュレーションを行う ここで 3.2.2 で導出した伝達関数をプロセスとして用いる 4-2) 比例ゲインの影響積分時間は変化させず 比例ゲインのみを大小に変化させて 設定値変更の制御シミュレーションを行う 得られた結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める 計算は 比例ゲインを大きくした場合 小さくした場合 元の値を用いた場合 ( 基準シミュレーション ) について各一回でよいが 違いが十分に把握できる程度に比例ゲインを変化させる ( 結果の整理 3 参照 ) 4-3) 積分時間の影響比例ゲインは変化させず 積分時間のみを大小に変化させて 設定値変更の制御シミュレーションを行う 4-2) と同様に 得られた結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める ( 結果の整理 3 参照 )

4-4) 制御パラメータの調整比例ゲインと積分時間を共に変化させて 整定時間を最も短くできる制御パラメータを求める 最適な制御パラメータを用いた制御シミュレーションの結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める ( 結果の整理 3 参照 ) 3.2.5 制御実験 4-4) で求めた最適制御パラメータを用いて 実際に設定値変更実験を行う 5-1) 定常状態の作成 [Operation]-[PI Control] を選択する 初期液レベル (60cm) 設定値 (70 or 80cm) および最適制御パラメータを入力した後 [Start] ボタンをクリックすると PC が自動的に定常状態を作成する ここで 定常状態における流量が 2-1) で記録した値と等しいことを確認する もし等しくなければ 手動バルブを開閉して流量を調節する 5-2) 設定値変更 [Change] ボタンをクリックすると 設定した PI コントローラによる設定値変更制御が行われる 液レベルがほぼ一定になったら [Stop] ボタンをクリックし 実験データをファイルに保存する 2-3) と同様に制御結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める ( 結果の整理 4 参照 ) 5-3) 制御パラメータの再調整 5-2) の制御結果をふまえて さらに整定時間が短くなるように PI 制御パラメータを調整する 最善と思われる最終制御結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める ( 結果の整理 4 参照 ) 5-4) 比例制御による設定値変更比例制御のみを用いて液レベル設定値変更を行う パラメータを調整する必要はない ここで実験を終了するので [File]-[Quit] を選択し ポンプのスイッチを OFF にする 制御結果をプリントアウトし 定常偏差を求める ( 結果の整理 5 参照 ) 3.2.6 スミス補償型 PID 制御制御シミュレーションによって スミス補償型 PID 制御の有効性を確認すると共に モデル誤差が制御性能に与える影響を調べる 6-1) シミュレータの作成 MATLAB/SIMULINK を用いてスミス補償型 PI 制御系のシミュレーションを行う 6-2) パーフェクトモデルの場合モデル誤差が存在しないと仮定し 設定値変更制御シミュレーションを行う なお 整定時間が最も短くなるように制御パラメータを調整する 得られた結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める 6-3) モデル誤差が存在する場合プロセスのむだ時間をモデルのむだ時間の 80% に設定し 6-2) で求めた制御パラメータを用いて設定値変更制御シミュレーションを行う 得られた結果をプリントアウトし 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を求める なお 制御系が不安定となった場合には,PI 制御パラメータを再調整する ( 結果の整理 6 参照 ) [Ⅳ] 結果の整理 1) ステップ応答実験の結果からプロセスの伝達関数を求める なお 各パラメータの詳細な導出手順がわかるように 図中に必要な数値や線を書き込むこと また プリントアウトした用紙の余白部分に 導出した伝達関数と 最初と最後の定常状態におけるバルブ開度 液レベル 流量の値を書いておくこと すべての数値 ( 定常ゲイン 時定数 むだ時間 バルブ開度 液レベル 流量 ) について その単位を明記すること

2)Ziegler-Nichols のステップ応答法を用いて PI 制御パラメータを求める なお 計算方法がわかるように 計算に利用した数値も示すこと 制御パラメータの単位を明記すること 3)3.2.4 の制御シミュレーション結果について 用いた制御パラメータ 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を 1 つの表にまとめる なお 立上り時間 行過ぎ量 整定時間の計算方法がわかるように すべての図に必要な数値や線を書き込むこと 立上り時間 行過ぎ量 整定時間の単位を明記すること 4)3.2.5 の制御実験結果について 用いた制御パラメータ 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を 1 つの表にまとめる なお 立上り時間 行過ぎ量 整定時間の計算方法がわかるように すべての図に必要な数値や線を書き込むこと 立上り時間 行過ぎ量 整定時間の単位を明記すること 5) 比例制御による設定値変更制御実験の結果について 用いた制御パラメータと定常偏差を示す なお 定常偏差の計算方法がわかるように 図中に必要な数値や線を書き込むこと 定常偏差の単位を明記すること 6)3.2.6 の制御シミュレーション結果について 用いた制御パラメータ 立上り時間 行過ぎ量 整定時間を 1 つの表にまとめる なお 立上り時間 行過ぎ量 整定時間の計算方法がわかるように すべての図に必要な数値や線を書き込むこと 立上り時間 行過ぎ量 整定時間の単位を明記すること [Ⅴ] 考察 [ 注意事項 ] すべての数値について その単位を明確に示すこと 計算方法や式の導出過程を丁寧に示すこと 文章は論理的にも文法的にも正しく かつ必要十分な長さでなければならない 必要であれば図や表を用いて 自分の意見を説得力のある形で示すこと 1) 差圧とディストリビュータからの出力の関係は表 7-2 で与えられる また A/D 変換器において電圧信号が 12 ビットのディジタル信号に変換されるときの関係は表 7-3 で与えられる なお 各機器では入出力間に線形関係が成り立つとする 液体密度を q [g/cm 3 ] としたとき A/D 変換器の出力 x から液レベル y を計算する式を求めよ また これらの測定機器で区別可能な液レベルの差の最小値を求めよ 最小値の計算に際しては 密度 q に適切な値を代入すること 表 7-2 差圧と電圧信号の関係 差圧 出力 ( 電圧 ) 0.0Pa 1.0V 9.807x10 3 Pa (0.1kg/cm 2 ) 5.0V 表 7-3 電圧信号とディジタル信号の関係 出力 ( 電圧 ) ディジタル信号 0.0V 0(2 進数で 000000000000) 5.0V 4095(2 進数で 111111111111) 2) タンクへの流入流量を w [cm 3 /s] 液レベルを y [cm] 流出流量を ay b [cm 3 /s] として タンクの物質収支式を求めよ ただし a, b は定数であり タンク断面積 A [cm 2 ] と液密度 q [g/cm 3 ] は一定とする さらに 物質収支式を定常点 ( 液レベル 60cm 時 ) 周りで線形近似して 流入流量 w から液レベル y への伝達関数 P T (s) を求めよ 3) バルブ開度から流量への伝達関数は P V V L s V = K e (7-4) で与えられる ここで K V, L V は定数である このとき バルブ開度から液レベルへの伝達関数は

P = PT PV (7-4) となる 実験結果と考察 2の結果を用いて 流出流量と液レベルの関係を規定する定数 a, b の値 およびバルブの動特性を規定する定数 K V, L V の値を求めよ 4)3.2.4 の制御シミュレーション結果に基づいて 制御パラメータと制御応答との関係について考察せよ なお 比例ゲインと積分時間が 立上がり時間 行過ぎ量 整定時間に与える影響について漏れなく明確に述べること さらに PI 制御パラメータを試行錯誤で調整する場合 どのような考え ( 手順 ) に基づいて調整すればよいか 自分の意見を述べよ シミュレーション結果は でした というのは考察ではない 結果を羅列するだけではなく 実験結果を踏まえて PI 制御パラメータと制御応答との一般的な関係について考察すること 5) 同一の制御パラメータを用いた 3.2.4 のシミュレーション結果と 3.2.5 の実験結果とを比較せよ 僅かでも異なる結果が得られた場合には その違いが生じた原因について考察せよ なお 自分が考えた原因が妥当である ( 可能性が高い ) か否かを検証し 自分の意見の正しさを明確に主張すること 根拠のない原因の羅列は考察と認めない 6) スミス補償型制御について 式 (7-3) を導出せよ 7)3.2.6 の制御シミュレーション結果に基づいて スミス補償型 PI 制御の有効性について考察せよ 特に スミス補償型制御によって高い制御性能を実現するために必要な条件について述べること