光通信工学 1. 復習 2. スネルの法則 3. 屈折率 4. 振幅反射 ( 透過 ) 率 5. フレネルの式 n n 媒質 1:n 1 媒質 2:n 2 nθ n nθ > n θ < θ 1 1 2 2 1 2 1 2 θ 2 n > n 1 2 t 光通信工学 22-1
光波とは : 式で書いた方が分かりやすいかも! 軸 偏光 : 電場 E の振動方向偏波面 : 電場 E ベクトルと波数ベクトルからなる平面 方向の直線偏光 軸 + 軸 H: 磁場の強さ 平面波 & 進行波 : 簡単 便利 H 偏波面 :-z 平面右ねじ : 電場 E(+) 磁場 H(+) + 軸 (, ) E co( ω + φ) (, ) H co( ω z + φ) E z t t z H zt t H E η, η > 振幅一定赤 : 正実数 波動インピーダンス :25 磁場 H ベクトル 電場 E ベクトル 進行方向 :+z 軸 注意 : 電場 E も磁場 H も同じ位相速度の波 振動方向と振幅が異なる 振動ベクトルを記述するときのお約束 ( 平面波の場合 ) 波数ベクトル (,, > ) 電場 E( 振動 ) ベクトル磁場 H( 振動 ) ベクトル E H ( E,,) (, H,) 電場 E ベクトルと磁場 H ベクトルの向きは 右ねじ で設定 現実には 電場 E と磁場 H は振動しているから向きも変化する E H 詳細は省略するが 上記関係式は電場 E と電束密度 D の向きが一致する 等方性質媒質 に限定される ( 例 : ガラス ) 参考文献 : 末田 光エレクトロニクス p.136( 昭晃堂 ) 光通信工学 22-2
平面波 Plane wave: 波数ベクトル表示 厳密に言うと 平面波 & 進行波 実数表示 平面波 : 振幅 波数ベクトルの位置依存性無 3 進行波 (, t) Aco( t + ) ψ ω φ 2 1 複素数表示 振幅一定 : 赤 : 正実数 青 : 複素数 進行波 複素振幅 ψ (, t) Aep j( ωt ) jφ jφ A A e Ae, A> 定数 -1-2 -3 λ -3-2 -1 1 2 3 無限の拡がり 波長 :µm オーダー 平面波近似 1. ビーム径が波長に比べて非常に大きければ近似可 2. 考えている領域でビームの拡がり ( 回折 ) が無視できること 平面波近似の目安 太線の長さ >> 波長太線 : 実際に波が存在 質問 : どうして 平面波近似 しますか? 1. 振幅の位置依存性無 ( 本講義では定数 ) 2. 波数ベクトルの位置依存性無 3. 数式的に簡単で取り扱いが容易 光通信工学 22-3
波 : 基本的な表現 光波に限定されない一般的な 波 の性質 注意 : 波数を位相定数と呼ぶ場合もある jθ Eule' fomula e coθ + jnθ 振幅角周波数 (ad/) 波数 (m -1 ) 初期位相 実数表示 ( ad ) 2π 36 ( z, t) Aco( t z + ) ψ ω φ 2π 2π Aco t z+ φ T λ 周期 () 波長 (m) 括弧内 : 位相 周波数 :Hz f 1 T 角周波数 ω 2π f 複素数表示 ψ ( zt, ) Aep j( ωt z + φ) ( ωt ) A Aep j z A >, ag A φ j: 虚数単位 :Imagna unt 複素振幅 A jφ A e Ae jφ 絶対値 ( ωt ) A ( ω + φ) Re A ep j z co t z 偏角 :Agument 注意 : 実数表示と複素数表示振幅 : 赤色 ( 正実数 ) 青色 ( 複素数 ) 光通信工学 22-4
周波数と波長 ( 真空中 ) 位相速度 Phae veloct v p 周波数 Fequenc ω 角周波数 Angula fequenc 波数 Wavenumbe 磁場 H λ µ m 波長 Wavelength 1 15 f ω 2π 1 T 1 Hz ω 2π f 2π λ H: 磁場の強さ 2π T 電場 E 進行方向 位相速度 : 周波数と波長の積 γ 線 X 線 紫外線可視光線赤外線 マイクロ波 注意 : 色は周波数 ( 角周波数 ) で異なる 短波 周波数 Hz 1 18 1 15 1 12 1 9 波長 m 1-9 1-6 1-3 1 遠赤外線 1 6 1 電磁波の種類光は電磁波の一種 真空中の光速 : 位相速度 Speed of lght n vacuum v c m p 8 3 1 / fλ v ωλ 2π v p 約束 : 下ツキ 真空中 p 光通信工学 22-5
単位 1の乗数を表す接頭語 呼び方 呼び方 1 18 ea E 1-3 mll m 1 15 peta P 1-6 mco µ 1 12 tea T 1-9 nano n 1 9 gga G 1-12 pco p 1 6 mega M 1-15 femto f 1 3 lo 1-18 atto a 可視光スペクトル 真空中の波長屈折率 1 光ファイバ通信低損失帯 (.2-.3dB/m) 4nm 5nm 6nm 7nm 1.3-1.55µm 6THz µm: マイクロメートル 注意 : fλ v ωλ 2π v p p 色は周波数 ( 角周波数 ) で異なる と覚えましょう 波長 ( 波数 ) で異なる としても構いませんが 本講義では 角周波数 を頻繁に使用します 光通信工学 22-6
進行波 : 前進 後退波 注意 : 符号 前進 ( 進行 ) 波 :Fowad tavelng wave > 後退 ( 進行 ) 波 :Bacwad tavelng wave > ( z, t) Aco( t z + ) ψ ( z, t) Aco( ωt + z + φ) ψ ω φ 波の速度 位相速度 :21 等位相位置が移動する速度なので位相速度と呼ぶ場合もある z ω vp lm vp c t t 平面波なら : 振幅一定 注意 : 実数表示と複素数表示振幅 : 赤色 ( 正実数 ) 青色 ( 複素数 ) 光速の場合 : 記号 c で表わす場合が多い ラテン語で速さを意味する celeta の頭文字 光通信工学 22-7
前進波と後退波 : 光の場合 平面波 : 定数振幅 ( 波の拡がり無限大 非現実的だけど ) 電場 E 進行方向 : 電場 E 磁場 H( 右ねじ ) 磁場 H: 電場 E 前進波 : 直線偏光 (, ) E co( ω + φ) ( z, t) ( E η) co( ωt z + φ) E z t t z H > 後退波 : 直線偏光赤 : 正実数 (, ) E co( ω + + φ) (, ) ( E η) co( ω + + φ) E z t t z H z t t z 後退波 磁場 H 前進波 z 磁場 H を - 方向 波動インピーダンス :25 電場 E ベクトル表示をしましょう! 1 H ( E), E ωµ ( ( ) ) ( ) 磁場 H 係数 :25:μ: 透磁率磁場 H: 電場 E ( ) ( ) E E zt,,,, H, H zt,,,,, ±, > z 光通信工学 22-8
ベクトル表示 : 光波の場合 関係式 : 電場 E と磁場 H と波数ベクトル 1 H ( E), E ωµ 電場 E 進行方向 : 電場 E 磁場 H( 右ねじ ) 磁場 H: 電場 E E H ( E( zt, ),, ), H ( zt, ), ( ) ( ),, ±, > 電場 E 磁場 H 前進波 z 一般化 E H ( E, E, Ez) ( H, H, Hz) (,, z) 磁場 H H E 前進波 光通信工学 22-9
スネルの法則 Snell' law : 屈折 思い出してみましょう! スネルの法則 n nθ n n θ, n > n θ < θ 1 1 2 2 1 2 1 2 波数ベクトル入射波 波数ベクトル反射波 n c c, n 1 2 c1 c2 入射波 : 波数ベクトルの大きさ (21-13) 約束 : 下ツキ 真空中真空中の光速 ( 位相速度 ) v p ω 媒質 1:n 1 媒質 2:n 2 n > n 1 2 t ω c ω ω n 1 >, c1 c1 c c 波数ベクトル透過波 θ 2 反射波 : 波数ベクトルの大きさ 透過波 : 波数ベクトルの大きさ ω c ω ω c ω n > n 1 > t c1 c1 c c2 c2 c 2 媒質中の光速 ( 位相速度 ): 波数ベクトルの大きさ n1 > n2 c1 < c2 > t 光通信工学 22-1
スネルの法則が教えてくれること 教えてくれないこと 教えてくれること 入射波 透過波 : 波数ベクトル情報のみ つまり 屈折率が異なる媒質の境界で透過波がどちらの方向に進むのかを教えてくれる 入射波 : 平面波近似波数ベクトルの位置依存性無 反射波 : 平面波近似 z 軸 : 奥から手前 等位相面 電場 E: 境界面内方向成分 (z 軸 ) のみ θ 2 境界面 :z- 屈折率媒質 1:n1 屈折率媒質 1:n2 透過波 : 平面波近似 t スネルの法則で教えてくれないこと : 光 の特徴である波としての電場 E や磁場 H の振る舞い ( 振幅情報 )? 添え字 :Incdent( 入射 ), Reflecton( 反射 ), Tanmon( 透過 ) 光通信工学 22-11
反射と透過を考える : 偏光成分 enecht( 垂直 ) 簡単のため電場 E: 境界面内方向成分 (z 軸 ) のみ波数ベクトル : 紙面内方向成分のみ ( z) ( ) E,, E,,,, >, E 磁場 H:22-9 1 1 H E ωµ ωµ ( ) ( E z, E z,) 非磁性体 : ガラスなど真空中の透磁率 µ µ 入射波 : 平面波近似波数ベクトルの位置依存性無 E (,, Ez ) E (,, Ez ) 反射波 : 平面波近似 z 軸 : 奥から手前 等位相面 反射前後 境界面 :z- 屈折率媒質 1:n1 屈折率媒質 1:n2 θ 2 透過波 : 平面波近似 t E t (,, Etz ) これから反射波と透過波の振幅を求めましょう! 但し 電場 E のみ Ke wod: 振幅反射率 振幅透過率 光通信工学 22-12
電場 E を複素数表示で記述 :z 成分のみ 入射電場 E(z 成分のみ ): 平面波近似 青 : 複素振幅 ( 定数 ) 添え字 :Incdent( 入射 ) Reflecton( 反射 ), Tanmon( 透過 ) z (, ) E ep ( ω ) E t j t ep j( ωt ) (,,) ( n 1 n, n 1 co,) E n > 1 反射電場 E(z 成分のみ ): 平面波近似 (, ) E ep ( ω ) (,,) ( n 1 n, n1 co,) E t j t z 透過電場 E(z 成分のみ ): 平面波近似 (, ) Et ep ( ω ) ( t, t,) ( n 2 n θ2, n2co θ2,) E t j t tz t t t 参照 :22-1 E E t E (,, Ez ) (,, Etz ) ( ) ( ) ( ),, E, E, t E zt,,, z z z 注意 真空中の波数 媒質 1:n 1 媒質 2:n 2 波数ベクトル透過波 θ 2 n 屈折率 > n 1 2 t ω c c, n, n 1 2 c c1 c2 光通信工学 22-13
境界条件 : 結論のみ 境界条件の導出 :25 磁場 H は簡単!:22-12 電場 E の境界条件 : 電場 E の面内方向成分 (z 成分 ) が一致 媒質 1 側 : 入射波と反射波の合成波 1 E H ωµ (,, ), (,, Ez), ( E z, E z,) 媒質 2 側 : 透過波 波数ベクトル入射波 波数ベクトル反射波 ( ) ( ) ( ) E, t + E, t E, t,@ z z tz 磁場 H の境界条件 : 磁場 H の面内方向成分 ( 成分 ) が一致 ( ) ( ) ( ) (, ) + (, ) (, ) H, t + H, t H, t,@ t E t E t E t z z t tz 入射電場 E z 成分のみ 反射電場 E z 成分のみ 透過電場 E z 成分のみ (, ) E ep ( ω ) (, ) E ep ( ω ) (, t) Et ep j( ωt ) E t j t z E t j t E z tz t t 注意 : 未知数が 2 個だから方程式が 2 個 媒質 1:n 1 媒質 2:n 2 波数ベクトル透過波 θ 2 n > n 1 2 t 求めたい関係? 複素振幅反射率と複素振幅透過率 E E, t t E E 光通信工学 22-14
計算 : 電場 E 電場 E の境界条件 : 電場 E の面内方向成分 (z 成分 ) が一致青 : 複素振幅 ( 定数 ) 22-13 ( ) ( ) ( ) E, t + E, t E, t,@ z z tz (, ) E ep ( ω ) E ep ( ω ) E t j t j t z (, ) E ep ( ω ) E ep ( ω ) E t j t j t z (, ) E ep ( ω ) E ep ( ω ) E t j t j t tz t t t t t 22-13 n n nθ 1 1 nθ 1 1 スネルの法則 n1n n2nθ2 n nθ n nθ t 2 2 t 1 1 t 関係式 : 電場 E の複素振幅 波数ベクトル : 面内方向成分 ( 成分 ) が一致 E + E Et 添え字 :Incdent( 入射 ) Reflecton( 反射 ), Tanmon( 透過 ) 光通信工学 22-15
フレネルの式 Fenel equaton 磁場 H の境界条件 : 磁場 H の面内方向成分 ( 成分 ) が一致 ( ) ( ) ( ) E, t + E, t E, t,@ z z t tz 省略 :p 偏光成分 :paallel( 平行 ) 参考文献 : 本宮 波動光学の風景 O plu E, 29, 11, p.1168 (27) O plu E, 29, 12, p.1286 (27) 22-14 22-13 E + E te t n t n coθ 2 2 coθ 1 1 細かい計算手順は省略 ( E ) E E t t 青 : 複素振幅 ( 定数 ) 関係式 : 電場 Eの複素振幅 E + E Et 複素振幅反射率と複素振幅透過率 : 実数 t coθ n n 2 2 E t n1co n2coθ2 n n2/ n1 1 1 E 2 2 + t n1co θ2 + n2coθ2 co+ n n E 2 t 2n1co n n2/ n1 2co E + t n coθ + n coθ coθ + n n θ 2 2 1 1 2 2 1 1 θ 光通信工学 22-16
フレネルの式が教えてくれること ( 一例 ): 反射光の位相変化 スネルの法則のみでは分かりません 屈折率の高い媒質から低い媒質へ入射するときの反射光は 境界面において位相は不変屈折率の低い媒質から高い媒質へ入射するときの反射光は 境界面において位相が π シフト 位相シフトがなければ 入射波と反射波は反射点で位相ずれ無し 山なら山 谷なら谷 位相シフトが π の場合 入射波と反射波は反射点で位相シフト 山なら谷 谷なら山 反射波 反射波 入射波 入射波 屈折率高い 屈折率低い 屈折率低い 透過波 屈折率高い 入射波と透過波は屈折率の大小に係わらず位相シフト無し これを 入射波と透過波の位相は連続であると言う 光通信工学 22-17
複素振幅反射率と屈折率の関係 フレネルの式 Fenel equaton 波数ベクトル入射波 媒質 1:n 1 媒質 2:n 2 t 波数ベクトル反射波 t E coθ n n E coθ + n n 2 1 θ 2 2 1 1 θ 2 2 1 1 Et 2co E coθ + n n n n n θ 2 2 1 1 θ 2 波数ベクトル透過波 複素振幅反射率 : 屈折率の高い媒質から低い媒質へ入射する場合 複素振幅透過率 : 全反射を除く t coθ 2coθ 1 2 2 1+ n n 1 2 2 n n θ 1 > Et > E θ 注意 : 屈折率の大小に係わらず成立但し 青色 ( 複素振幅 ) 複素数 / 複素数 正実数 n > n coθ > n n n< 1 2 2 1 2 1 1 E E > 複素振幅反射率 : 屈折率の低い媒質から高い媒質へ入射する場合 n < n coθ < n n n> 1 2 2 1 2 1 1 E E < θ 複素数 / 複素数 正実数 θ 複素数 / 複素数 負実数光通信工学 22-18
反射光の位相変化 : 複素数表示と実数表示 入射電場 E(z 成分のみ ): 平面波近似 22-13 (, ) E ep ( ω ) E co( ωt φ ) E t j t z + E jφ jφ E e E e, E > 反射電場 E(z 成分のみ ): 平面波近似 (, ) E ep ( ω ) co( ωt φ ) E t j t z E + E jφ jφ E e E e, E > 波数ベクトル入射波 媒質 1:n 1 媒質 2:n 2 波数ベクトル透過波 青色 ( 複素数 ) 赤色 ( 正実数 ) θ 2 波数ベクトル反射波 n > n 1 2 t 複素振幅反射率 : 屈折率の高い媒質から低い媒質へ入射する場合 E E 複素数 / 複素数 正実数 φ φ 位相は不変 ( 連続 ) 複素振幅反射率 : 屈折率の高い媒質から低い媒質へ入射する場合 E E 複素数 / 複素数 負実数 φ φ + π 位相が π シフト 光通信工学 22-19
結論 : 反射光の位相変化 ( 偏光 ) 実は p 偏光でも状況は同じであるが やや座標系が複雑になるためちょっと解釈が難しい 参考文献 : 河合 光学設計のための基礎知識 p.145 オプトロニクス社 屈折率の高い媒質から低い媒質へ入射するときの反射光は 境界面において位相は不変屈折率の低い媒質から高い媒質へ入射するときの反射光は 境界面において位相が π シフト 位相シフトがなければ 入射波と反射波は反射点で位相ずれ無し 山なら山 谷なら谷 位相シフトが π の場合 入射波と反射波は反射点で位相シフト 山なら谷 谷なら山 反射波 反射波 入射波 入射波 屈折率高い 屈折率低い 屈折率低い 屈折率高い 26: 光の干渉で この結論 を利用します 透過波 光通信工学 22-2