医師 薬剤師の先生方へ 2012 年 1 月 中外製薬株式会社 安全管理責任者 エディロール R カプセル 0.5µg 0.75µg 市販直後調査結果のご報告 市販直後調査期間 :2011 年 4 月 11 日 ~2011 年 10 月 31 日 謹啓 先生方におかれましては ますますご清祥のこととお慶び申し上げます 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます エディロール カプセル 0.5µg 0.75µg ( 一般名 : エルデカルシトール 以下本剤 ) につきましては 2011 年 1 月 21 日に 骨粗鬆症 に対する効能 効果により製造販売承認を取得し 4 月 11 日の販売開始より 10 月 31 日まで市販直後調査を実施して参りました 先生方におかれましては 本調査にご協力賜り 誠にありがとうございました このたび 市販直後調査期間中にご報告いただきました副作用情報をまとめましたので ご報告いたします 日常のご診療の一助となれば幸甚に存じます 引き続き 本剤の適正使用にご留意いただき 副作用等をご経験された場合には 速やかに弊社医薬情報担当者までご連絡くださいますようよろしくお願い申し上げます 謹白 はじめに 本情報につきましては ご報告いただいた内容を速やかにお伝えすることを目的としており 調査が終了していない症例や情報が十分でない症例も含まれております 今後の調査の進行 詳細な情報の検討により 副作用の重篤度判定 本剤との因果関係等が変更となる場合がございますので ご了承いただきますようお願い申し上げます
副作用収集状況 市販直後調査期間中 (2011 年 4 月 11 日 ~2011 年 10 月 31 日 ) に収集された副作用は 200 例 258 件でした そのうち 重篤な副作用は 8 例 14 件でした 副作用の内訳を表 1 に示します 重篤な副作用は 高カルシウム血症 3 件 意識変容状態 2 件 脱水 下痢 冷汗 発疹 急性腎前性腎不全 腎不全 胸痛 死亡 血中カルシウム増加 の各 1 件でした 表 1 副作用収集件数 器官別大分類 副作用 注 ) 重篤 重篤性 非重篤 計 感染症および寄生虫症 * 白癬感染 1 1 感染症および寄生虫症集計 1 1 内分泌障害 * 抗利尿ホルモン不適合分泌 1 1 内分泌障害集計 1 1 代謝および栄養障害 * 脱水 1 1 2 高カルシウム血症 3 13 16 * 高リン酸塩血症 2 2 * 低ナトリウム血症 1 1 * 食欲減退 2 2 代謝および栄養障害集計 4 19 23 精神障害 * 不眠症 1 1 精神障害集計 1 1 神経系障害 * 意識変容状態 2 2 * 浮動性めまい 9 9 * 味覚異常 3 3 * 頭部不快感 1 1 * 頭痛 5 5 * 感覚鈍麻 1 1 神経系障害集計 2 19 21 眼障害 * 結膜炎 1 1 眼障害集計 1 1 耳および迷路障害 * 難聴 1 1 耳鳴 1 1 耳および迷路障害集計 2 2 心臓障害 * 動悸 1 1 心臓障害集計 1 1 血管障害 * 潮紅 1 1 * ほてり 3 3 血管障害集計 4 4 呼吸器 胸郭および縦隔障害 * 咽喉刺激感 1 1 呼吸器 胸郭および縦隔障害集計 1 1 *: 添付文書の 使用上の注意 から予測できない副作用 注 ): は MedDRA/J( 国際医学用語集の一つ )Ver.14.1 の基本語 (PT) を使用 1
表 1 副作用収集件数 ( 続き ) 器官別大分類 副作用 注 ) 重篤 重篤性 非重篤 計 胃腸障害 腹部不快感 12 12 * 腹部膨満 1 1 * 腹痛 1 1 * 上腹部痛 2 2 便秘 12 12 * 下痢 1 8 9 * 消化不良 2 2 * 胃腸障害 1 1 * 歯肉痛 1 1 * 歯肉腫脹 1 1 * 舌炎 1 1 * 悪心 6 6 * 口腔内痛 1 1 * 流涎過多 1 1 * 口内炎 3 3 * 嘔吐 1 1 * 口の感覚鈍麻 1 1 胃腸障害集計 1 55 56 皮膚および皮下組織障害 * 水疱 1 1 * 冷汗 1 1 薬疹 3 3 湿疹 8 8 * 紅斑 4 4 * 多汗症 1 1 * 爪変色 1 1 * 爪の障害 2 2 * 爪肥厚 1 1 * 皮膚疼痛 1 1 そう痒症 12 12 発疹 1 14 15 * 皮膚障害 1 1 * 皮膚剥脱 2 2 * 顔面腫脹 1 1 全身性そう痒症 1 1 皮膚および皮下組織障害集計 2 53 55 筋骨格系および結合組織障害 * 関節痛 1 1 * 背部痛 4 4 * 骨痛 1 1 * 筋痙縮 1 1 * 筋力低下 1 1 * 筋肉痛 2 2 * 筋骨格硬直 2 2 筋骨格系および結合組織障害集計 12 12 *: 添付文書の 使用上の注意 から予測できない副作用 注 ): は MedDRA/J( 国際医学用語集の一つ )Ver.14.1 の基本語 (PT) を使用 2
表 1 副作用収集件数 ( 続き ) 器官別大分類 副作用 注 ) 重篤 重篤性 非重篤 計 腎および尿路障害 急性腎前性腎不全 1 1 * 膀胱痛 1 1 * 着色尿 1 1 * 排尿困難 4 4 腎不全 1 1 * 尿閉 1 1 * 尿異常 2 2 腎および尿路障害集計 2 9 11 生殖系および乳房障害 * 乳房痛 2 2 * 乳房腫脹 1 1 生殖系および乳房障害集計 3 3 一般 全身障害および投与部位の状態 * 胸痛 1 1 * 死亡 1 1 * 異常感 7 7 * 熱感 2 2 * 倦怠感 8 8 * 浮腫 1 1 末梢性浮腫 7 7 * 疼痛 1 1 口渇 10 10 一般 全身障害および投与部位の状態集計 2 36 38 臨床検査 アラニン アミノトランスフェラーゼ増加 1 1 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 1 1 血中カルシウム増加 1 8 9 血中クレアチニン増加 3 3 * 血圧上昇 4 4 血中尿酸増加 1 1 * 好酸球数増加 1 1 肝機能検査異常 1 1 * 血小板数減少 1 1 白血球数減少 1 1 尿中蛋白陽性 1 1 血中アルカリホスファターゼ増加 1 1 * 尿量減少 1 1 * 尿量増加 1 1 臨床検査集計 1 26 27 総計 14 244 258 *: 添付文書の 使用上の注意 から予測できない副作用注 ): は MedDRA/J( 国際医学用語集の一つ )Ver.14.1 の基本語 (PT) を使用 3
~7 日 ~14 日 ~21 日 ~28 日 ~35 日 ~42 日 ~49 日 ~56 日 ~63 日 ~70 日 ~77 日 ~84 日 ~91 日 ~98 日 ~105 日 ~112 日 ~119 日 120 日 ~ 不明 1. 高カルシウム血症 血中カルシウム増加発現症例 市販直後調査期間中に収集した副作用のうち 高カルシウム血症 が 16 例 16 件 血中カルシウム増加 が 9 例 9 件認められました 発現時の血中カルシウム値 高カルシウム血症 および 血中カルシウム増加 発現症例( 計 25 件 ) における 発現時の血中カルシウム値を図 1 に示します 発現時の血中カルシウム値が確認できた 19 件において 10.4mg/dL 以下 が 2 件 10.4mg/dL を超え 11mg/dL 以下 が 6 件 11 mg/dl を超え 12mg/dL 以下 が 4 件 12 mg/dl を超える が 7 件でした (mg/dl) 血中カルシウム値 10.4 10.4<, 11 11<, 12 * 12< 不明 非重篤 重篤 * 発現 2 日前の血中カルシウム値 1 件を含む 0 2 4 6 8 10 ( 件 ) 図 1 高カルシウム血症 血中カルシウム増加 発現時の血中カルシウム値 発現までの期間 高カルシウム血症 および 血中カルシウム増加 発現症例 ( 計 25 件 ) における 発現までの期間 を図 2 に示します 発現までの期間に一定の傾向は認められませんでした ( 件 ) 10 8 6 4 2 0 発現までの期間 図 2 高カルシウム血症 血中カルシウム増加 発現までの期間 転帰 高カルシウム血症 および 血中カルシウム増加 発現症例( 計 25 件 ) における 転帰を図 3 に示します 転帰が確認できた 16 件中 15 件が回復 / 軽快しました 処置が確認できた症例では 本剤の減量 中止 ( 休薬中を含む ) 生理食塩水の投与等が行われました 回復 13 件 軽快 2 件未回復 1 件 不明 9 件 0% 20% 40% 60% 80% 100% 処置 : 本剤の減量 中止 ( 休薬中を含む ) 補液 ( 生理食塩水 電解質製剤 ) エルカトニンの投与等 図 3 高カルシウム血症 血中カルシウム増加 の転帰 4
重篤症例の概要市販直後調査期間中に収集した副作用のうち 重篤な 高カルシウム血症 が 3 例 3 件 血中カルシウム増加 が 1 例 1 件認められました これらの症例の概要を表 2 に示します 4 例中 3 例 ( 表 2 No.2 3 4) については本剤投与前の血中カルシウム値が不明であるものの 4 例とも本剤投与開始後に血中カルシウム値が高値であることが確認されました 意識変容状態 脱水 急性腎前性腎不全 腎不全 は 血中カルシウム値が高値であることに伴って発現した事象と考えられました 転帰が確認できた症例については 本剤の投与中止や生理食塩水の投与後に血中カルシウム値および随伴症状の改善が認められました 表 2 重篤な 高カルシウム血症 血中カルシウム増加 発現症例の概要 No. 性別 年齢 開始 ~ 発現 発現 ~ 転帰 転帰 血中カルシウム値 (mg/dl) 開始時発現時転帰時 備考 1 女性 70 歳代 高カルシウム血症 38 日 24 日 回復 8.9 12.3 9.5 本剤投与開始前日までアルファカルシ 意識変容状態 38 日 24 日 回復 ドール投与 脱水 48 日 29 日 回復 症状 : 意識レベル低下 経口摂取不良 急性腎前性腎不全 48 日 29 日 回復 脱水 腎不全処置 : 本剤投与中止 生理食塩水の投与 2 女性 高カルシウム血症不明不明回復不明発現約 2 週後 : 回復 1 日前 : 20 年来ビタミン D 製剤を投与しており 70 歳代 14.2 8.8 アルファカルシドールから本剤に変更 ( 補正カルシウム値 ) 症状 : 口渇処置 : 本剤投与中止 生理食塩水の投与 3 女性 高カルシウム血症 63 日 11 日回復不明発現 2 日前 : 回復 7 日後 : 症状 : 脱水 腎不全 80 歳代 腎不全不明不明軽快 13.0 9.2 処置 : 本剤投与中止 4 不明 高齢者 血中カルシウム増加不明不明不明不明 15 不明症状 : 意識障害 意識変容状態不明不明回復 処置 : 本剤投与中止 2. その他の重篤な副作用発現症例 市販直後調査期間中に収集した重篤な副作用のうち 前述した高カルシウム血症 血中カルシウム増加に関連する副作用の他に 下痢 冷汗 発疹 胸痛 死亡 が各 1 件認められました これらの症例の概要を表 3 に示します いずれの症例も 本剤投与後に発現していることから因果関係は否定できないものの 情報不足のため評価困難な症例でした 表 3 その他の重篤な副作用発現症例の概要 No. 性別 年齢 開始 ~ 発現 発現 ~ 転帰 転帰 備考 1 女性 80 歳代 2 女性 70 歳代 3 女性 60 歳代 4 男性 70 歳代 下痢 58 日 14 日 回復 詳細不明 冷汗 57 日 1 日 回復 詳細不明 胸痛 57 日 1 日 回復 発疹 3 日 不明 不明 全身 ( 顔 頚以外 ) に発疹 蕁麻疹様で散在 色は黒っぽい 経過 処置 : 不明 死亡 21 日 1 日 死亡 警察より 死亡しており自殺の可能性が高いとの連絡あり 合併症 体質 環境等 自殺企図を思わせるようなものはなし 5
血中または尿中カルシウム増加に関する適正使用のお願い 本剤の投与により 血中または尿中カルシウム増加が報告されています 本剤の投与にあたっては 以下の点にご留意いただき 適正使用にご協力をお願いいたします 本剤投与中は血清カルシウム値を定期的 (3~6 カ月に 1 回程度 ) に測定してください 異常が認められた場合には直ちに休薬し 適切な処置を行ってください 高カルシウム血症に関連する症状 ( 倦怠感 いらいら感 嘔気 口渇感等 ) の発現に注意してください これらの症状が認められた場合は 血清カルシウム値を測定するなどして慎重に経過観察を行ってください 本剤の投与にあたっては 患者さんに以下の点をご指導ください 1 定期的な血液検査 本剤投与中は血清カルシウム値を定期的 (3~6 カ月に 1 回程度 ) に測定するために来院していた だくようご指導ください 2 慎重に投与していただきたい患者次の方は高カルシウム血症を発現しやすいため 血清カルシウム値が更に上昇するおそれがあることをお伝えください また 投与初期に頻回に血清カルシウム値を測定するために来院していただくようご指導ください 腎機能障害のある患者 悪性腫瘍のある患者 原発性副甲状腺機能亢進症の患者等次の方は高カルシウム尿症により病態が悪化するおそれがあることをお伝えください また 尿中カルシウム値を定期的に測定するために来院していただくようご指導ください 尿路結石のある患者 尿路結石の既往歴のある患者 3 高カルシウム血症の症状について本剤服用後 高カルシウム血症に関連する以下の症状が認められた場合は 血清カルシウム値を測定するために来院していただくようご指導ください 倦怠感 いらいら感 嘔気 口渇感等 6