参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 参考 11 慢性貧血患者における代償反応 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 赤血球液 RBC 赤血球液

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設問 3 FFP PC が必要になった場合 輸血できるものを優先する順番に並べてください 1A 型 2B 型 3O 型 4AB 型また 今回この症例患者は男性ですが 女性で AB 型 (-) だった場合 PC の輸血で注意する点はありますか? 患者は AB 型なので 4AB 型 >1A 型 =2B


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1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

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また 大量輸血時の適合血にも 交差試験につい スライド 9 赤血球輸血でどれくらいの血漿量が入るのか 具 スライド 11 て言及している部分があります 主試験を行って 体的に量で考えてみましょう Hct( ヘマトクリット ) ABO の血液型の間違いだけは起こさないように配 20% ヘモグロビン 7

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10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

背景 1) 赤血球輸血は治療の一貫としてよく用いられる 赤血球輸血は免疫能に影響を与え 医療関連感染症のリスクであるとされてきた Blood Cells Mol Dis. 2013;50(1): ) 白血球除去が感染のリスクを減らすともいわれてきた Best Pract Res Clin

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1. 重篤な不正出血の発現状況 ( 患者背景 ) (1) 患者背景 ( 子宮腺筋症 子宮筋腫合併例の割合 ) 重篤な不正出血発現例の多くは子宮腺筋症を合併する症例でした 重篤な不正出血を発現した 54 例中 48 例 (88.9%) は 子宮腺筋症を合併する症例でした また 子宮腺筋症 子宮筋腫のい

岡山県血液製剤使用適正化普及委員会 事業目的 背景 我が国の医療に使用されている血液製剤のうち 全血製剤及び血漿製剤は全て献血で確保されているが 血漿分画製剤は外国からの輸血に依存している 本邦の血液製剤の使用量が諸外国に比べて多い 感染症発症の危険性を完全には排除できない 血液製剤を適正に使用する

3. 不規則抗体スクリーニング検査 間接抗グロブリン試験を含む不規則抗体のスクリ ニング検査を行う 不規則抗体が検出された場合には, 同定試験を行う なお,37 で反応する臨床的に意義 ( 副作用をおこす可能性 ) のある不規則抗体が検出された場合には, 患者にその旨を記載したカードを常時携帯させる

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別添 1 Ⅱ 赤血球液の適正使用 血液製剤の使用指針新旧対照表 項目改定案現行 3 適正使用 3) 周術期の輸血 b) 術中投与手術中の出血に対して必要となる輸血について, 予め術前に判断して準備する さらに, ワルファリンなどの抗凝固薬が投与されている場合などでは, 術前の抗凝固 抗血小板療法につ


3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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今日のお話 1. 看護師さんと輸血 2. 輸血ガイドライン ( 指針 ) の位置付け 3. 血液製剤について 4. 輸血療法の考え方と方法 5. 血液型検査 6. 不規則抗体スクリーニング 7. 血液の準備 8. コンピュータクロスマッチ 9. 在宅輸血

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

45号表紙

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値


2 Vol. 17, No.1, 2009

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

輸血副作用の症状項目並びに診断項目表について

血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

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ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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血漿交換療法 (PE/PA/DFPP)

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一について第一に 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号 以下 感染症法 という )第十二条の規定に基づき 後天性免疫不全症候群(以下 エイズという )の患者及びその病原体を保有している者であって無症状のもの(以下 HIV感染者 という )(以下 エイズの患者等

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参考 血液製剤の使用指針 ( 新旧対照表 ) 平成 28 年 6 月一部改正 目次 項目新旧赤血球液赤血球濃厚液 [ 要約 ] 赤血球液の適正使用 使用指針 3) 周術期の輸血 (2) 術中投与 投与量 使用上の注意点 はじめに Ⅰ 血液製剤の使用の在り方 3. 製剤ごとの使用指針の考え方 1) 赤血球液と全血の投与について 3) 新鮮凍結血漿の投与について 4) アルブミン製剤の投与について 5) 小児に対する輸血療法について Ⅱ 赤血球濃厚液の適正使用 1. 目的 2. 使用指針 3) 周術期の輸血 (2) 術中投与 (3) 術後投与 3. 投与量 4. 効果の評価 5. 不適切な使用 1) 凝固因子の補充を目的としない新鮮凍結血漿との併用 1) 使用法 2) 感染症の伝播 3) 鉄の過剰負荷 4) 輸血後移植片対宿主病 (PT-GVHD) の予防対策 5) 高カリウム血症 9) サイトメガロウイルス (CMV) 抗体陰性赤血球液 3. 新生児への新鮮凍結血漿の適正使用 1) 使用指針 6) 輸血用血液製剤の血液型の選択 参考 6 整形外科手術 1

参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 参考 11 慢性貧血患者における代償反応 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 赤血球液 RBC 赤血球液 -LR 日赤 及び照射赤血球液 -LR 日赤 MAP 加赤血球濃厚液 MAP 加 RCC 赤血球濃厚液 -LR 日赤 及び照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 [ 要約 ] 血小板濃厚液の適正使用項目 新 旧 使用上の注意点新規 8) 洗浄 置換血小板の適応 及びその調製 Ⅱ 赤血球液の適正使用項目 新 旧 1. 目的 Red Blood Cells; RBC Red Cell Concentrate; RCC 2. 使用指針図 1 出血患者における輸液 成分輸血療法の適応 RBC: 赤血球液 RCC: 赤血球濃厚液または MAP 加赤血球濃厚液 3. 投与量 赤血球液 -LR 日赤 赤血球濃厚液 -LR 日赤 Ⅲ 血小板濃厚液の適正使用項目 新 旧 7)ABO 血液型不適合輸血 ABO 血液型同型血小板濃厚液が入手困難な場合は ABO 血液型不適合の血小板濃厚液を使用する この場合, 血小板濃厚液中の抗 A, 抗 B 抗体 7)ABO 血液型不適合輸血 ABO 血液型同型血小板濃厚液が入手困難な場合は ABO 血液型不適合の血小板濃厚液を使用する この場合, 血小板濃厚液中の抗 A, 抗 2

による溶血の可能性に注意する また, 患者の抗 A, 抗 B 抗体価が極めて高い場合には,ABO 血液型不適合血小板輸血では十分な効果が期待できないことがある なお, やむを得ず ABO 血液型不適合の血小板濃厚液を輸血する場合, 輸血しようとする製剤の抗体価が 128 倍以上の場合, または患者が低年齢の小児の場合には, 可能な限り洗浄血小板を考慮することが望ましい 7) 新規 8) 洗浄 置換血小板の適応及びその調製以下の 1~3 の状態にある患者に対し, 血小板濃厚液の輸血による副作用を防止する目的で, 血小板を洗浄したのち, 患者に投与することが望ましい 1. アナフィラキシーショック等の重篤な副作用が 1 度でも観察された場合 2. 種々の薬剤の前投与の処置等で予防できない, 蕁麻疹, 発熱, 呼吸困難, 血圧低下等の副作用が 2 回以上観察された場合 3. その他上記 7) の場合 新規 7) Berseus O, Boman K, Nessen SC, Wearerberg LA: Risk of hemolysis due to anti-a and anti-b caused by the transfusion of blood or blood components containing ABO-incompatible plasma. Transfusion, 53:114S-123S, 2013 B 抗体による溶血の可能性に注意する また, 患者の抗 A, 抗 B 抗体価が極めて高い場合には, ABO 血液型不適合血小板輸血では十分な効果が期待できないことがある 文献 Ⅳ 新鮮凍結血漿の適正使用項目 新 旧 3. 投与量 日本赤十字社から供給される白血球を除去した全血採血由来製剤 ( 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 ) の容量は, 従来製剤の約 1.5 倍 (200mL 採血由来 (FFP-LR120) では約 120mL, 400mL 採血由 日本赤十字社から供給される白血球を除去した全血採血由来製剤 ( 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 ) の容量は, 従来製剤の約 1.5 倍 (200mL 採血由来 (FFP-LR-1) では約 120mL, 400mL 採血由 来 (FFP-LR240) では約 240mL) であるため, 来 (FFP-LR-2) では約 240mL) であるため, 200mL 採血由来 (FFP-LR120) の場合は約 4~ 5 本分に, 400mL 採血由来 (FFP-LR240) では約 2~3 本分に相当することとなる また, 成分採血由来製剤 (FFP-LR480) は容量が 480mL であるため 約 1 本分に相当する 200mL 採血由来 (FFP-LR-1) の場合は約 4~5 本分に, 400mL 採血由来 (FFP-LR-2) では約 2 ~3 本分に相当することとなる また, 成分採血由来製剤は容量が 450mL であるため 約 1 本分に相当する 4) ナトリウムの負荷 白血球を除去した全血採血由来製剤 ( 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 ) は血液保存液として CPD41 液を用いている 容量は, 従来製剤の約 1.5 倍 (200mL 採血由来 (FFP-LR120) では約 120mL, 400mL 採血由来 (FFP-LR240) では約 240mL) であり, 200mL 採血由来の場合は約 0.45g (19mEq), 400mL 採血由来 (FFP-LR240) では約 0.9g(38 meq) のナトリウム (Na+) が負荷される また, 成分採血由来製剤 (FFP-LR480) は血液保存液として ACD-A 液を用いている 容量は 480mL であり, 約 1.6g (71mEq) のナトリウム (Na+) が負荷される 3 白血球を除去した全血採血由来製剤 ( 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 ) は血液保存液として CPD41 液を用いている 容量は, 従来製剤の約 1.5 倍 (200mL 採血由来 (FFP-LR-1) では約 120mL, 400mL 採血由来 (FFP-LR-2) では約 240mL) であり, 200mL 採血由来の場合は約 0.45g (19mEq), 400mL 採血由来 (FFP-LR-2) では約 0.9g(38 meq) のナトリウム (Na+) が負荷される また, 成分採血由来製剤は血液保存液として ACD-A 液を用いている 容量は 450mL であり, 約 1.6g(69mEq) のナトリウム (Na+) が負荷される

全血採血由来製剤と成分採血由来製剤 (FFP-LR480) のナトリウム濃度の差は CPD 液と ACD-A 液に含まれるナトリウム量の違いによる 全血採血由来製剤と成分採血由来製剤のナトリウム濃度の差は CPD 液と ACD-A 液に含まれるナトリウム量の違いによる 項目 新 旧 RBC RCC 参考 15 赤血球液の製法と性状項目 新 旧 赤血球液 (RBC) MAP 加赤血球濃厚液 (MAP 加 RCC) 日本赤十字社は, 過去,MAP 加赤血球濃厚液として赤血球 M A P 日赤 及び照射赤血球 M A P 日赤 を供給してきた その後, 平成 19 年 1 月より供給開始した保存前に白血球を除去した赤血球濃厚液 (RCC: 赤血球濃厚液 -LR 日赤 及び照射赤血球濃厚液-LR 日赤 ) を経て, 平成 26 年 6 月より, かつての MAP 加赤血球濃厚液は赤血球液 (RBC: 赤血球液 -LR 日赤 及び照射赤血球液 -LR 日赤 ) に名称変更されている 赤血球液 -LR 日赤 は, 血液保存液 (CPD 液 ) を 28mL 又は 56mL 混合したヒト血液 200mL 又は 400mL から, 当該血液バッグに組み込まれた白血球除去フィルターを用いたろ過により白血球を除去した後に血漿の大部分を除去した赤血球層に, 血球保存用添加液 (MAP 液 ) をそれぞれ約 46mL, 約 92mL 混和したもので,CPD 日本赤十字社は, これまで,MAP 加赤血球濃厚液として赤血球 M A P 日赤 及び照射赤血球 M A P 日赤 を供給してきたが, 平成 19 年 1 月より, 保存前に白血球を除去した MAP 加赤血球濃厚液 ( 赤血球濃厚液 -LR 日赤 及び照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 ) を供給している 赤血球濃厚液 -LR 日赤 は, 血液保存液 (CPD 液 ) を 28mL 又は 56mL 混合したヒト血液 200mL 又は 400mL から, 当該血液バッグに組み込まれた白血球除去フィルターを用いたろ過により白血球を除去した後に血漿の大部分を除去した赤血球層に, 血球保存用添加液 (MAP 液 ) をそれぞれ約 46mL, 約 92mL 混和したもので,CPD 液を少量含有する 照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 は, これに放射線を照射したものである 赤血球濃厚液 -LR 日赤 及び照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 の容量は, 200mL 全血由来 液を少量含有する 照射赤血球液 -LR 日赤 は, (RCC-LR-1) の約 140mL と 400mL 全血由来 これに放射線を照射したものである 赤血球液 -LR 日赤 及び照射赤血球液-LR 日赤 の容量は,200mL 全血由来 (RBC-LR-1) の約 140mL と 400mL 全血由来 (RBC-LR-2) の約 280mL の 2 種類がある 製剤中の白血球数は1バッグ当たり 1 10 6 個以下であり,400mL 全血由来の製剤では,Ht 値は 50~55% 程度で, ヘモグロビン (Hb) 含有量は 20g/dL 程度である 赤血球液 -LR 日赤 及び照射赤血球液-LR 日赤 の保存中の経時的な変化を示す ( 表 2) 50,51 ) 赤血球液 -LR 日赤 及び照射赤血球液-LR 日赤 は,2~6 で保存する なお, 日本赤十字社では, かつての MAP 加赤血球濃厚液 ( 赤血球 M A P 日赤 ) の製造承 (RCC-LR-2) の約 280mL の 2 種類がある 製剤中の白血球数は1バッグ当たり 1 10 6 個以下であり,400mL 全血由来の製剤では,Ht 値は 50~55% 程度で, ヘモグロビン (Hb) 含有量は 20g/dL 程度である 赤血球濃厚液 -LR 日赤 及び照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 の保存中の経時的な変化を示す( 表 2) 50,51) 赤血球濃厚液 -LR 日赤 及び照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 は,2~6 で保存する 日本赤十字社では, MAP 加赤血球濃厚液 ( 赤血球 M A P 日赤 ) の製造承認取得時には有効期間を 42 日間としていたが, エルシニア菌混入の可能性があるため, 現在は有効期間を 21 日間としている 認取得時には有効期間を 42 日間としていたが, エルシニア菌混入の可能性があるため, 現在は有 効期間を 21 日間としている 表 2 赤血球赤血球液 -LR 日赤 赤血球濃厚液 -LR 日赤 4

液 -LR 日赤 及び照射赤血球液 -LR 日赤 の経時的変化 照射赤血球液 -LR 日赤 RBC-LR-2 Ir-RBC-LR-2 照射赤血球濃厚液 -LR 日赤 RCC-LR-2 Ir-RCC-LR-2 参考 17 新鮮凍結血漿 (FFP) の製法と性状 項目 新 旧 全血採血由来の新鮮凍結血漿 ( 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 ) は, 血液保存液 (CPD 液 ) を 28mL 又は 56mL 混合したヒト血液 200mL 又は 400mL から当該血液バッグに組み込まれた白血球除去フィルターを用いたろ過により白血球の大部分を除去し, 採血後 8 時間以内に分離した新鮮な血漿を-20 以下に置き, 凍結したもので, 容量は約 120mL ( FFP-LR120 ) 及び約 240mL (FFP-LR240) である 全血採血由来の新鮮凍結血漿 ( 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 ) は, 血液保存液 (CPD 液 ) を 28mL 又は 56mL 混合したヒト血液 200mL 又は 400mL から当該血液バッグに組み込まれた白血球除去フィルターを用いたろ過により白血球の大部分を除去し, 採血後 8 時間以内に分離した新鮮な血漿を-20 以下に置き, 凍結したもので, 容量は約 120mL(FFP-LR-1) 及び約 240mL(FFP-LR-2) である 成分採血由来の新鮮凍結血漿 (FFP-LR480) は, 成分採血由来の新鮮凍結血漿 ( 新鮮凍結血漿 日 血液保存液 (ACD-A 液 ) を混合し, 血液成分採血により白血球の大部分を除去して採取した新鮮な血漿を採血後 6 時間以内に-20 以下に置き, 凍結したもので, 容量は約 480mL である 赤 ) は, 血液保存液 (ACD-A 液 ) を混合し, 血液成分採血により白血球の大部分を除去して採取した新鮮な血漿を採血後 6 時間以内に-20 以下に置き, 凍結したもので, 容量は約 450mL (FFP-5) である 表 4 新鮮凍結血漿 -LR 日赤 の経時的変化 FFP-LR240 FFP-LR-2 5