( 情報化がもたらす仕事の変化 ) 情報化が急速に進展した 21 世紀初頭において 企業における情報関連投資の目的をみると 業務のスピード向上や全体的な情報共有化のためが多く 次いでコスト削減となっている ( 付 2 (1) 2 表 ) 企業の情報関連投資は 人員削減などのコスト抑制を目的としたもの

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第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

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労働市場分析レポート第 43 号平成 26 年 10 月 31 日 マッチング指標を用いたマッチング状況の分析 労働市場における労働力需給調整を評価するための指標として 就職率や充足率があるが 求人倍率が上昇する時には 就職率が上昇し充足率が低下するなどの動きがみられ それぞれ単独の利用には注意が必

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23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

平成30年版高齢社会白書(概要版)(PDF版)

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

少子高齢化班後期総括

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人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

平成22年7月30日

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ふくい経済トピックス ( 就業編 ) 共働き率日本一の福井県 平成 2 2 年 1 0 月の国勢調査結果によると 福井県の共働き率は % と全国の % を 1 1 ポイント上回り 今回も福井県が 共働き率日本一 となりました しかし 2 0 年前の平成 2 年の共働き率は

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

中途採用実態調査(2018年上半期実績、2019年度見通し)

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平成 年 2 月 日総務省統計局 労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 24 年 10~12 月期平均 ( 速報 ) 結果の概要 1 Ⅰ 雇用者 ( 役員を除く ) 1 1 雇用形態 2 非正規の職員 従業員の内訳 Ⅱ 完全失業者 3 1 仕事につけない理由 2 失業期間 3 主な求職方法 4 前職の

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日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

結果概要 Ⅰ 人手不足への対応について 1. 人員の過不足状況について 社 % 不足している 1, 過不足はない 1, 過剰である 合計 2, 全体では 半数以上の企業が 不足している と回答 n =2,


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市報2016年3月号-10

若者の暮らしにおける変化働き方の変化第2 章第 1 節 第 2 章 若者の暮らしにおける変化 第 1 節 働き方の変化 若者の雇用環境については 我が国の経済の低迷を受け 前述のとおり若者の失業率が上昇するな ど厳しい状況が続いている 本節では 若者の雇用環境の変化について詳細に分析するため 高学歴

長野県の少子化の現状と課題

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第3節 重点的な取り組み

Ⅲ 結果の概要 1. シングル マザー は 108 万人我が国の 2010 年における シングル マザー の総数は 108 万 2 千人となっており 100 万人を大きく超えている これを世帯の区分別にみると 母子世帯 の母が 75 万 6 千人 ( 率にして 69.9%) 及び 他の世帯員がいる世

テレワーク制度等 とは〇 度テレワーク人口実態調査 において 勤務先にテレワーク制度等があると雇用者が回答した選択枝 1 社員全員を対象に 社内規定などにテレワーク等が規定されている 2 一部の社員を対象に 社内規定などにテレワーク等が規定されている 3 制度はないが会社や上司などがテレワーク等をす

雇用の現状_季刊版2014年夏号

「オリンピック・レガシーに関する意識調査」(第2回)結果概要

目次 第 1 章調査概要 調査の目的 調査の方法... 1 第 2 章分析内容 世帯主年齢階級別の世帯数割合 世帯主年齢階級別の等価可処分所得 世帯主年齢階級別の等価所得 拠出金の内訳 世帯主年齢階級別

平成22年7月30日

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2. 建設産業で働く人の高齢化平成 22 年の国勢調査により産業別に就業者の年齢構成をみると 他の産業に比べ 55~59 歳層 6~64 歳層の構成比が際立って大きい ( 図 6) これらの世代は 高度経済成長期に若くして入職した世代であり また 昭和の終わりから平成にかけ建設業が拡張する過程で 中

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図表 29 非正規労働者の転職状況 前職が非正規労働者であった者のうち 現在約 4 分の 1 が正規の雇用者となっている 非正規労働者の転職希望理由としては 収入が少ない 一時的についた仕事だから が多くなっている 前職が非正規で過去 5 年以内に転職した者の現職の雇用形態別割合 (07 年 現職役

取材時における留意事項 1 撮影は 参加者の個人が特定されることのないよう撮影願います ( 参加者の顔については撮影不可 声についても収録後消去もしくは編集すること ) 2 参加者のプライバシーに配慮願います 3 その他 (1) 撮影時のカメラ位置等については 職員の指示に従ってください (2) 参

調査結果 転職決定者に聞く入社の決め手 ( 男 別 ) 入社の決め手 を男 別でみた際 性は男性に比べると 勤務時間 休日休暇 育児環境 服装 オフィス環境 職場の上司 同僚 の項目で 10 ポイント以上 かった ( 図 1) 特に 勤務時間 休日休暇 の項目は 20 ポイント以上 かった ( 図

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第 2 節キャリア コンサルティングの理解 (4) キャリア コンサルタントの能力 Ⅰ キャリア コンサルティングの社会的意義に対する理解 1 社会 経済的動向とキャリア形成支援の必要性の認識 2 キャリア コンサルティングの役割の理解 3 キャリア コンサルティングを担う者の活動範囲と義務 ( 活

テキスト 3 キャリアカウンセリングの理論 Ⅰ キャリアカウンセリングに関するな理論主要 P17 テキスト 4 アセスメント / キャリア情報 目次構成巻末資料 p81 巻末資料 p79 目次 2 米国におけるキャリア情報 71 参考 引用文献 巻末資料 81 索引 ----

職場環境 回答者数 654 人員構成タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % % 質問 1_ 採用 回答 /654 中途採用 % 新卒採用 % タ

緑の雇用 事業を開始するまでは 林業の新規就業者数は年平均約 2 千人程度でしたが 事業 を開始した以後は約 3 千 4 百人に増加し 平成 22 年度には 4,013 人となっています ( 図 ) 2

2 外国人労働者の属性 (1) 国籍別にみると 中国 ( 香港等を含む 以下同じ ) が全体の 57.4% を占め 次いで フィリピンが 15.0% となっている また ベトナムについては対前年同期比で 62 人 (52.1%) 増加しており 同 181 人 (4.2%) を占めている 図 1 別表

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2013 年 9 月 5 日一般財団法人南西地域産業活性化センター 沖縄県の最近の雇用情勢 沖縄県の労働力調査によると 2013 年 6 月の完全失業率は 4.9%( 原数値 ) で 前年同月と比べて 1.7% ポイント改善し 1995 年 6 月の 4.9% 以来 18 年ぶりに4% 台に低下した

第 1 子出産前後の女性の継続就業率 及び出産 育児と女性の就業状況について 平成 30 年 11 月 内閣府男女共同参画局

< F2D906C8CFB93AE91D48A77322E6A7464>

厚生労働省発表

表紙

厚生労働省告示第六十四号中小企業等経営強化法平成十一年法律第十八号第十二条第一項の規定に基づき職業紹介事業 ( ) 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指針を次のように定めたので同条第五項の規定に基づき公 表する平成三十一年三月十四日厚生労働大臣根本匠職業紹介事業 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指

Microsoft Word 結果の概要(1世帯)

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

平成29年度     地域経済動向調査      調査報告書

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本研究ではこれに対し 各年の年齢 - 賃金プロファイルの分布を描くことで 1980 年代から2000 年代までの年齢間の賃金プロファイルの変化を考察する 年齢 - 賃金プロファイル変化の有無を検証する 年齢 - 賃金プロファイルに変化があったとすれば 変化の時期 どの年齢階層の賃金が変化したかを検証

第 表性別 年齢階層別にみた就業形態別推計実数 H6 H11 H15 H19 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 正社員契約社員嘱託社員出向社員 常用雇用型派遣労働者 登録型派遣労働者 臨時的雇用者 パートタイム労働者 歳 83,790 0

 第1節 国における子育て環境の現状と今後の課題         

<4D F736F F D CD CC88DB8E9D814188C092E882D682CC8EE682E DD82C98AD682B782E98BD98B7D B F578C768C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家


<4D F736F F D2092F18F6F81468F BC682C982A882AF82E9906C8DDE92E A68CFC8FE382C98AD682B782E98D6C8E C A>

18歳人口の分布図(推計)

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

我が国中小企業の課題と対応策

経済のプリズム 第108号

2 累計 収入階級別 各都市とも 概ね収入額が高いほども高い 特別区は 世帯収入階級別に見ると 他都市に比べてが特に高いとは言えない 階級では 大阪市が最もが高くなっている については 各都市とも世帯収入階級別の傾向は類似しているが 特別区と大阪市が 若干 多摩地域や横浜市よりも高い 東京都特別区

ANNUAL REPORT

②H2904 県内の雇用情勢(完成1)

資料2(コラム)

若年者の就業状況 キャリア 職業能力開発の現状 - 平成 19 年版 就業構造基本調査 特別集計より - 独立行政法人労働政策研究 研修機構 The Japan Institute for Labour Policy and Training

Transcription:

第 2 章 経済社会の推移と世代ごとにみた働き方 だけでなく非婚化も生じている可能性がある 女性の出生行動はライフスタイルや働き方の変化に影響を受けている 高齢化が急速に進行している中で 社会を担う世代を育んでいくためにも 安心して子どもが産める環境の整備に社会全体で取り組むことが必要である 4) 情報化と社会の変化 (1990 年代以降急速に進んだ情報化 ) 1990 年代から2000 年にかけて 情報通信技術が急速に発展し いわゆる情報化が進んだ インターネットの普及により 大量の情報が瞬時に入手できる環境が整備され 携帯電話は 今や生活に欠かせない通信手段となるなど 情報化は産業社会のみならず家庭や個人のライフスタイルにも大きな変化をもたらし さらには 人々の働き方にも大きな変化をもたらした 第 2 (1) 16 図により 携帯電話 インターネット普及率をみると 携帯電話 PHS については 1990 年代後半から大きく上昇し 2000 年に 52.6% 2009 年に 91.0% となっている インターネットについても同様に 1990 年代後半から大きく上昇し 特に 従業者 100 人以上規模の企業では インターネット普及率はほぼ 100% であり 情報化が短期間のうちに急速に進んだことがわかる 第 2-(1)-16 図 携帯電話 インターネット普及率の推移 98 平成 23 年版労働経済の分析

( 情報化がもたらす仕事の変化 ) 情報化が急速に進展した 21 世紀初頭において 企業における情報関連投資の目的をみると 業務のスピード向上や全体的な情報共有化のためが多く 次いでコスト削減となっている ( 付 2 (1) 2 表 ) 企業の情報関連投資は 人員削減などのコスト抑制を目的としたものというよりは 業務の改善をねらったものであったことがわかる また こうした変化の中で 社員に求められる能力も次第に変化するものと考えられた 第 2 (1) 17 図により 2000 年当時において情報化により求められると考えられる能力や知識をみると 情報を収集したり 整理 分析する能力とともに 自分自身で新たな企画を生み出す能力や既存業務を改善する能力などが より求められるようになっている 標準化 定型化が可能な業務については情報化の恩恵を受けるが 標準化 定型化になじまない企画や判断業務については 人が果たす役割は大きいものと考えられていたことがわかる また 第 2 (1) 18 図により 2010 年時点での企業が見通す 今後の労働者の働き方の変化についてみると 従業員に幅広い知識や技術が求められるようになる 従業員に第 2-(1)-17 図情報化により今後求められる能力や知識 99 我が国の経済社会の変化第 1 節第1 節

より高い専門性が求められるようになる 職場で連携 協力して行う仕事が多くなる などと見通す企業が多くなっている また 企業規模別に特徴をみると 従業員により高い専門性が求められるようになる 部門を超えた全社的なコミュニケーションが活発になる などで 規模間の違いが大きく 大企業での回答割合が高くなっている 誰もがインターネット等で情報に容易にアクセスできる社会の中で 企業内で従業員が能第 2 (1) 18 図今後の働き方の見通し 平成 23 年版労働経済の分析 100 経済社会の推移と世代ごとにみた働き方第 2 章

我が国の経済社会の変化第 1 節力を発揮するためには 高い技術力や幅広い専門知識など 他人とは違うプラスアルファの能力や それらを持つ人同士を有機的に結びつけるコミュニケーション能力が重要になっていることがわかるが これはまさに 2000 年当時に必要だと考えられた標準化 定型化になじまない業務に対応するための能力でもある 今後 企業はこうした人的能力の形成 発揮に組織的に取り組むことで 多様で個性あふれる人材を採用 育成し 多くの人材を蓄積することとなり その組織的な利点を活かすことができると考えられる また 多様な人材第が連携し 組織的に働いていくためには コミュニケーションが大切であり 大企業において 部門を越えた全社的なコミュニケーション に対する期待が大きいのも 個性的な人 1 節材が活発に働くことができる組織風土を創造していくことが課題となっていることの表れであると考えられる 5) 雇用情勢にみられる変化 ( 大企業で大きかった1990 年代の入職抑制 ) 戦後社会の変化の中で 日本企業の雇用慣行には 人材の採用 配置 育成をできるだけ長期的な視点に立って行おうとする姿勢がみられ そうした企業の姿勢から新規学卒者の一括採用が定着し 若年時の入職から定年退職までの雇用の安定や企業内人材育成の充実が図られてきた こうした雇用慣行は 1980 年代までは高い機能性を評価されてきたが バブル崩壊以降の長期の経済停滞により 長期安定雇用のもとにある労働者の絞り込みと不安定就業者の増加が生じ 企業の雇用に関する方針にも変化が生じることとなった 第 2 (1) 19 図により 事業所規模別に入職と離職の動向をみると バブル崩壊後の 1991 年 3 月からの景気後退過程において離職率は 30 99 人規模事業所では 景気後退過程の終わりに向けて やや上昇する傾向がみられたが 100 499 人規模及び500 人以上規模においては ほぼ横ばいであった これに対し 入職率は 事業所規模が大きいほど低下幅が大きく 特に 500 人以上規模において大きな離職超過が生じている これは 大企業を中心に 解雇などの在職者に対する雇用調整ではなく 新規採用をはじめとする厳しい入職抑制によって雇用調整が行われたことを示している また 離職超過は 景気後退過程を脱した後も 1990 年代を通じて発生しており こうした厳しい入職抑制の態度が長期にわたり維持されたことがうかがえ 新規学卒者の就職機会は大きく削減されることとなった 2000 年 12 月からの景気後退過程では 離職率の上昇がみられ 特に 500 人以上の大規模事業所での上昇が大きかった 1990 年代までは堅持されてきた雇用方針が 2000 年代初めに揺らぎがみられたことが これらの雇用指標の変化にもあらわれている (1990 年代以降大きく上昇した完全失業率と非正規雇用比率 ) 第 2 (1) 20 図により 年齢階級別完全失業率の推移をみると 1980 年代までは 景気循環に伴う変動はあったものの 1% から 2% 台の低い水準で推移していたが バブル崩壊以降 2000 年代初頭にかけて完全失業率は上昇し 1998 年 2001 年にはそれぞれ 4% 5% を上回り 2002 年には年平均で過去最高の 5.4% を記録した この完全失業率上昇過程においては 全ての年齢階級で上昇がみられたが 特に 15 24 歳層で大きく上昇し 女性よ 101

第 2 章 経済社会の推移と世代ごとにみた働き方 第 2-(1)-19 図 事業所規模別入職率及び離職率の推移 りも男性で上昇幅が大きかった その後 景気の回復に伴い 完全失業率は低下したが 若年層は他の年齢階級よりも高い水準であり 若年層の雇用情勢は相対的に厳しかったといえる また 20 歳台前半層の改善に比べ 20 歳台後半以降層の改善ポイントは小さく 新規学卒採用時に入職機会を逸すると その後の就職環境が厳しくなる可能性がある 102 平成 23 年版労働経済の分析

第1 節第 2-(1)-20 図年齢階級別完全失業率の推移 我が国の経済社会の変化 第 1 節 103

第 2 章 経済社会の推移と世代ごとにみた働き方 なお 景気後退の影響を受け 2008 年 2009 年は完全失業率は上昇し 2010 年については横ばいとなったが 15 24 歳層は 2010 年も上昇しており 2010 年 3 月卒の厳しい新規学卒者の採用状況も要因のひとつと考えられる また 第 2 (1) 21 図により 年齢階級別の非正規雇用比率をみると どの年齢層においても上昇傾向が見られるが 若年層ほど大きく上昇しており 特に 15 24 歳層において 1990 年代半ばから 2000 年代のはじめにかけて大きな上昇がみられた なお 完全失業者の動きと同様に 2000 年代半ばでは15 24 歳層で低下がみられる 1990 年代には新規学卒者が正規雇用者として採用される機会が大きく絞り込まれ 若年層の完全失業率は上昇し 同時に 非正規雇用の雇用形態で働く若者も著しく増加した ( 就業形態に大きな影響を与えた大企業の採用行動 ) 第 2 (1) 22 図により 企業規模別雇用変化率と雇用形態別寄与度の推移をみると 1987 93 年のバブル景気前後の時期では 大企業ほど雇用増加率が高まり 特に 正規雇用の増加寄与が大きかった この時期には 大企業による同時一斉的な新規学卒採用の増加がみられ 中小企業の採用活動に支障を与えた可能性もあり また この過程で 中小企業における人材確保手段として非正規雇用が定着した面があったと思われる バブル崩壊後は 1993 年以降 大企業で入職抑制がなされ 正規雇用は減少寄与を示したが 1993 97 年の間は 1 29 人規模 30 499 人規模では正規雇用者の増加がみられた しかし 1997 年以降は全ての企業規模で正規雇用者は減少し 大企業ほどその減少寄与は大きかった 雇用は非正規雇用で増加し 非正規雇用比率の上昇も大企業を中心に高まることとなった さらに 景気拡張が始まった 2002 年以降の雇用をみると 大企業ほど雇用を拡大させたが 非正規雇用による寄与が大きく 2000 年代の非正規雇用比率の上昇は 大企業による非正規雇用の増加が主要因であったと考えられる なお こうした大企業を中心とした採用態度は 社会的にみた雇用の安定という観点ばかりでなく それぞれの企業における技術 技能の継承や人材育成という観点でも問題が多く 大企業の採用態度も次第に修正されてきている 2008 年から 2009 年にかけては 全ての企業規模で雇用者数が減少する中で 大企業においてのみ正規雇用の寄与が増加となっている このように 新規学卒採用行動はバブル崩壊を境に大きく変化し 若年層の失業や不安定な就業を増加させる直接的な契機となったと考えられる しかし 当初は非正規雇用やフリーターなどの働き方は 自分の都合の良い時間に働けるからなどの理由で 若年層を中心に積極的に受け入れられていたという側面を考えると 長期の職業キャリアを十分に展望することなく 安易に職業選択を行う若者側にも課題があったものと思われる また こうした動きには 制度の改正も影響していたと考えられる 労働者派遣制度については 1985 年に労働者派遣法が制定され 職を求める人々のニーズと 専門業務の人材を即時に確保した企業ニーズの双方を結びつけ 労働力需給を調整する制度として位置付けられた その後 経済の変化や労働者の多様な働き方に対するニーズに対応すべく 種々の改正が実施され 1999 年には 適用対象業務が建設 港湾業務や医療などを除き 原則自由化され 2004 年には 製造業務への派遣解禁や派遣期間の延長などが行われた ( 付 2 104 平成 23 年版労働経済の分析

第 2-(1)-21 図 第1 節年齢階級別非正規雇用比率の推移 我が国の経済社会の変化 第 1 節 105