埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 自由振動と強制振動 -1/6 テーマ H3: 自由振動と強制振動 振動の形態には, 自由振動と強制振動の 種類があります. 一般に, 外力が作用しなくても固有振動数で振動を継続する場合は自由振動であり, 外力が作用することによって強制的に振動が引き起こされる場合は強制振動になります. 摩擦抵抗の有無によって減衰系と非減衰系に区分されるため, 振動の分類は次のようになる. 減衰系自由振動 : やがて振動が停止する自由振動 非減衰系自由振動 : 永久に振動し続ける 減衰系強制振動 : 外力が減衰分を補うた強制振動 非減衰系強制振動 : 永久に振動し続ける め振動し続ける 1. 自由振動の運動方程式と解図に示す 単振り子の振動 や ばね振り子の振動 ( 単振動 ) の例では, 外力が作用しないためこれらは自由振動に分類されます. 自由振動で摩擦抵抗が発生しない場合は振動が減衰せずに無限に継続します. 摩擦抵抗が発生する場合は減衰振動となってやがて停止します. このときの抵抗力は外力には違いありませんが, 抵抗は振動に起因するものであり, 振動の停止とともに抵抗力は消滅するため, 減衰を伴う自由振動は強制振動とはみなされません. a b 釣り合いの位置 図 1 単振り子 図 単振動 (1) 運動方程式 自由振動の運動方程式は, 次式で表されます. d (1) ここで, は振動する物理量で, 変位 [m], 角度 [rad], 電圧 [V] など様々なものが考えられ ます.t は時間 [s] です. は角振動数 [rad/s] と呼ばれます. この微分方程式の解は, 複数 存在しますが, たとえば, 次式が解となります. Acos t ()
埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 自由振動と強制振動 -/6 ここで,A は振幅で, と同じ単位を持ちます. 角振動数 振動する回数を表わし, 振動数 f [Hz] と呼ばれます. f を で割った値は,1 秒間に Hz はヘルツと呼び,1/s と同じ単位です.1 回分の振動に必要な時間は, 周期 T [s] といい, 振動数の逆数となります. すなわち, 1 T f (3) (4) () 単振り子 図 1 の単振り子の振れ角 に関する運動方程式は,(4) 式で表されます. d sin (4) が十分小さいときは,(5) 式で表されます.( 参考 : 微小角の単振り子の振動は単振動とみ なすことができます.) d (5) 式の解は,() 式より初期の振れ角を として次式で表されます. cos t cos t (6) (6) 式を振れ幅 で表すと, 振幅 ( 初期の振れ幅 ) を として次式で表されます. (7) 式の cos t cos t (7) は角振動数 [rad/s] です. すなわち, 振動数 f [Hz] は, f 1 周期 T [s] は, (5) (8) (9) T 1 (1) f です. ところで, 振動の微分方程式の解は複数存在します. たとえば,(7) 式以外にも sin t Asin t Bsin t ( 振幅 A, Bは初期条件によって決まる) などが考えられます. では, なぜ複数するのかを考えましょう.
埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 自由振動と強制振動 -3/6 解が,1 cos t の場合 図 1 で,a の位置からおもりを放した瞬間を時刻 t とした場合に相当します. sin t の場合 図 1 で,a の位置から放したおもりが b の位置を通過する瞬間を時刻 相当します. t とした場合に このように, 振動の解は時刻 t をどのように定めるかで決まることになります. そこで 解を cos t (11) と表すと位相差 を変更することですべての条件に対応できるようになります. () ばね振り子 図 のばね振り子の振れ幅 に関する運動方程式は,(1) 式で表されます. d k m (1) 式の解は, 振幅 ( 初期の振れ幅 ) を として次式で表されます. (1) k cos t (13) m 角振動数 [rad/s] は, k m 振動数 f [Hz] は, f 1 周期 T [s] は, となります. k m (14) (15) 1 k T (16) f m. 強制振動の運動方程式と解 (1) 運動方程式強制振動の運動方程式は, 自由振動の運動方程式に外力の項 F が加わったものとなります. 非減衰系の強制振動は, 次式で表されます. d F (17) 強制振動の解は, 自由振動
埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 自由振動と強制振動 -4/6 d の一般解 Acos t に特解を加えたものとなります. 特解は外力 F の形によって異なります. たとえば, F F sin t のとき, 強制振動の式は d F sin t (18) となり, 特解は Bcost として与えられます.(18) 式に代入すると B sin t d d B sin t B sin t B B B cost B F F sin t F sin t となるので, 強制振動の一般解は, F Acos t sin t となります. 減衰系の強制振動は, 次式で表されます. d d F (19) この解は, 減衰の自由振動 d d の一般解に特解を加えたものとなりますが, 減衰の自由振動は十分時間がたった状態では, となるので, このときの減衰系の強制振動は特解のみとなります. 外力 F が F F cost のとき, 特解は B cos t () とおくことができ,(19) 式に代入すると
B cos cost 埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 自由振動と強制振動 -5/6 t Bcos t cos sin t sin d B sin t cos cost sin d B B B cost cos sin t sin B sin t cos cost sin cos t cos sin t sin F sin t cost cos cost sin sin t sin sin t cos F cost B cost cos sin t sin cost cos sin t sin F cos sin sin t sin cos より, すべての t で成り立つには cos sin sin cos F B B が成立しなければなりません. 両辺を 乗すると 展開すると 辺々加えると cos sin sin cos F B cos sin cos sin sin cos cos F となるので, 整理すると B sin F B B 4 F また, sin cos より
埼玉工業大学機械工学学習支援セミナー ( 小西克享 ) 自由振動と強制振動 -6/6 sin tan cos と記述できます. http://www.sit.ac.jp/user/konishi/jpn/l_support/supportpdf/freeandforcedosciation.pdf Copyriht c 14 小西克享, A Rihts Reserved. 個人的な学習の目的以外での使用, 転載, 配布等はできません. お願い : 本資料は, 埼玉工業大学在学生の学習を支援することを目的として公開しています. 本資料の内容に関する本学在学生以外からのご質問 ご要望にはお応えできません.