ハートリー近似 ( 量子多体系の平均場近似 1) 0. ハミルトニアンの期待値の変分がシュレディンガー方程式と等価であること 1. 独立粒子近似という考え方. 電子系におけるハートリー近似 3.3 電子系におけるハートリー近似 Mde by R. Okmoto (Kyushu Institute of Technology) filenme=rtree080609.ppt
(0) ハミルトニアンの期待値の変分と シュレディンガー方程式が等価であること 規格化条件 極値問題 Ψ * ( x) Ψ ( x) dx = 1 (0.1) 0 = δ ( x ) ( xdx ) Ψ Ψ (0.) * ˆ 条件付極値問題に対するラグランジュの未定乗数法 ( E : 未定乗数 ) = δ Ψ ˆ Ψ Ψ Ψ * * 0 ( x ) ( xdx ) E ( x) ( xdx ) (0.3) = δψ xˆψ xdx+ Ψ xˆ δψ xdx * * 0 ( ) ( ) ( ) ( ) δψ ( ) Ψ( ) Ψ ( ) δψ( ) * * E x x dx E x x dx ( x) ˆ ( x) E ( x) dx ( x) ˆ E ( x) ( x) dx (0.4) * * * = δψ Ψ Ψ + Ψ Ψ δψ
δ Ψ * ( x) とδ Ψ( x) は独立な変分であるから それぞれの ( 係数 ) はゼロである ˆΨ( x) EΨ ( x) = 0 ˆΨ ( x) = EΨ( x) (0.5) δ Ψ( x) についても同様に ( ) ˆ ( ) 0 * * Ψ x EΨ x = である しかし 両辺のエルミート共役を考えると ˆ * ( ) ( ) 0 Ψ x E Ψ x = となる また ˆ = ˆ, E = E * であるので ˆΨ( x) EΨ ( x) = 0 ˆΨ ( x) = EΨ( x) (0.6) となり 式 (0.5) と等しくなる
1. 独立粒子近似という考え方 1 中心 1 電子系は 自然系としては 解析的に解かれる唯一の量子系である 多電子系のシュレディンガー方程式は解析的に解くことはできず 数値的にも厳密解は得られていない 多電子系は電子の集合体であるから 1) その中の 1 つの電子に着目して 他の電子からの影響 ( クーロン相互作用 ) を何らかの形で取り込んだ上で その電子の波動関数 ( 軌道関数 ) を計算できれば ) 各電子に対して計算した波動関数を最後に合成することにより 全電子系の波動関数を ( 近似的に ) 計算できるだろう というアイデア
. 電子系に対するハートリー近似 多電子系に対する自己無撞着平均場近似 反対称性は考慮されていない 半導体へテロ界面における 次元電子系ではよい近似 方向には平面波 自由電子的運動 ) それに直交した方向には量子閉じ込め 量子ドットなど閉じ込められた有限電子系ではあまりよくない近似
e 原子中の 電子状態ー外場の中の相互作用する同種 粒子系ー 電子 r r r 1 1 電子 相互作用ポテンシャル e r 1 r 1 r r1 = r1 r = r1 + r r1 r = r + r rr cos( r, r ) 1 1 1 e 核 静止 近似 重心運動と相対運動の分離が容易ではない
( 外場 V の下の )1 電子に対するハミルトニアンとシュレディンガー方程式 e h1 Δ 1+ V( r1), h Δ + V( r), V( r) (1.1) m m r (4πε = 1 という単位系を採用 ) (0) (0) h1φ ( r1) = Eφ ( r1), 量子状態 ( n,, m) (1. ) (0) (0) h φ ( r ) = E φ ( r ), 量子状態 b ( n,, m ) (1. b) b b b b b b 相互作用する 電子系のハミルトニアン Φ ˆ e h1 + h + V1; V1 (.) r 電子系に対する近似的な波動関数 ( ハートリー積 ) 1 1 b ' ' b b' bb' 1 ( r, r ) φ ( r) φ ( r ) (.3 ) φ φ = δ, φ φ = δ (.3 b) 0 まだ未定の一電子状態を用いて!! φ ( r), φ ( r ) 1 b 既知とする
電子系のハミルトニアンの期待値をエネルギー一定条件の下で極値を考える 未定乗数を E とするラグランジュの未定乗数法を用いると ) * 0 δ ˆ = Φ ( r1, r)( E ) Φ ( r1, r) drdr 1 * ˆ = δφ ( r1, r)( E ) Φ ( r1, r) drdr 1 + Φ ( r, r )( ˆ E ) δφ ( r, r ) drdr (.4) δφ * 1 1 1 ( r, r ) とδΦ ( r, r ) * 1 1 ここでは変分 は互いに独立な変分であるから どちら一方の変分を考えればよい * ˆ 0 = δφ ( r1, r)( E ) Φ ( r1, r) drdr 1 * * * * ˆ = δφ( r1) φb( r) + φ( r1) δφb( r) ( E ) φ( r1) φb( r) dr1dr (.5) δφ * ( r, r ) 1 を考えると
さらに δφ ( r), δφ ( r ) * * 1 b は互いに独立な変分であるから どちらか一方を考慮 * すればよく δφ ( r ) の係数をゼロとおくと 次式が得られる * 0 = φb( r)( h1+ h+ V1 E ) φ( r1) φb( r) dr { } { } * * = h1+ φb( r) hφb( r) dr + φb( r) V1φb( r) dr E φ( r1) (.6) 1 ここで { * ε' } b φb( r) h φb( r) dr φb h φb, (.7 ) * V 1 φ V1 φ φ ( r ) V1φ ( r ) dr, (.7 b) ε E b b b { } b ε', (.7c) b 電子 1 に対するハートリー方程式が得られる ( ) h1 + V 1 φ( r1) = εφ( r1) (.8) 電子 1に対するハートリーポテンシャル 他の電子 ( 今は電子 だけ ) の影響 ( 電子 1 と の相互作用 ) を 他の電子の存在確率密度をかけて積分 (= 平均化 )
同様に * δφ ( r ) の係数をゼロとおくと 次式が得られる * 0 = φ( r1)( h1+ h+ V1 E ) φ( r1) φb( r) dr1 { } { } * * = h+ φ() r1 h1φ() r1 dr1 + φ() r1v1φ() dr1 E φ() r1 (.9) ここで { * ε' } φ( r1) h1φ( r1) dr1 φ h1 φ, (.10) * V φ V1 φ ( r1) V1 φ φ( r1) dr1 ε b E { }, (.10 b) ε ', (.10 c) b 電子 に対するハートリー方程式が得られる ( ) h + V φb( r ) = εbφb( r) (.11) 相互作用だから V = V 電子 に対するハートリーポテンシャル 他の電子 ( 今は電子 1 だけ ) の影響 ( 電子 1 と の相互作用 ) を 他の電子の存在確率密度をかけて積分 (= 平均化 ) ij ji
電子系におけるハートリー方程式 ( 全系のハミルトニアン期待値を極小にする一粒子状態を決める ) Δ 1+ Ur ( 1) φ( r1) = εφ( r1) m U ( e * r1 ) + φb( r) φb( r) dr r 1 r1 e = + V r1 1 e 外部ポテンシャル 電子 1 に対する自己無撞着ポテンシャル Φ が決まるまで未定のはず!! ( 狭義の ) 自己無撞着ポテンシャル 電子 1に対する電子 の電荷分布による斥力ポテンシャル
電子 に対するハートリー方程式 Δ + Ur ( ) φ ( ) = m Ur ( ) e + r ( b r εφb r e r 1 φ * ) ( r) φ ( r) dr 1 1 1 電子 に対する自己無撞着ポテンシャル Φ が決まるまで未定のはず!! 電子 に対する電子 1の電荷分布による斥力ポテンシャル
E 電子系の基底状態の全エネルギー Φ ˆ Φ = Φ h 1+ h + V 1 Φ = Φ h 1+ V1 Φ + Φ h + V1 Φ Φ V1 Φ e = ε ε φ φ φ φ * * + b ( r1) b( r) ( r1) b( r) dr1dr r1 E ε + εb 電子間相互作用の二重勘定の除去
自己無撞着解法の手順 ( 狭義の ) 自己無撞着ポテンシャルの適当な関数形を仮定する (0) ( ) U r j φ (0) ( r ) φ j U U (0) ( rj ) ( j = 1,) というポテンシャルをもつハートリー方程式を解く ( n) ( n+ 1) φ ( r ), ε (0) (0) j を用いて 自己無撞着ポテンシャルを計算する (1) ( ) U r j のように n 番目の rtree 解を用いて (n+1) 番目のポテンシャルを計算し 予め設定した 次のような 収束半径 δ を用いた収束判定条件を満たすまで計算を反復する ( n ) ( n+ 1) φ φ < δ
3.3 電子系に対するハートリー近似 相互作用する 3 電子系のハミルトニアン ˆ e h1+ h + h3 + ( V1 + V13 + V 3); V1, etc (3.1) r 3 3 3 1 h i V ij hi V = + = + i= 1 1= i< j i= 1 i, j 3 ij V 1 相互作用だから V = V 13 31 ij V = V ji = V 1 1 3 電子系に対する近似的な波動関数 ( ハートリー積 ) Φ ( r, r ) φ ( r) φ ( r ) φ ( r ) (3. ) 1 1 b c 3 φ φ = δ, φ φ = δ φ φ = δ (3. b) ' ' b b' bb' c c' cc' V = V 3 3
電子系と同様にして 条件付変分を考える 変分 δφ * より 0 = φφ b c h1+ h + h3+ ( V1 + V13 + V 3) E φφ b c φ = h 1+ φb h φb + φc h3 φc + φb V1 φb + φc V13 φc + φφ b c V 3 φφ b c E ε' φ h φ, ε' φ h3 φ (3.4) b b b c c c ε E ε' ε', (3.5) b c (3.3) 3 電子系におけるハートリー ポテンシャルを導入する V 1 φ ( V1 + V13) φ = φ V1j φ, (3.6 ) j 1 3 3 V φ V j φ, V 3 φ V 3j φ.(3.6 b) b b c c j j 3 3 相互作用だから V ij = V ji
電子,3 に対しても 同様にして 3 電子系におけるハートリー方程式が得られる h 1+ V1 φ ( r1) = ε φ ( r1), (3.7 ) ( ) ( ) ( ) 次のように まとめて表記することもできる : ( ) hi + V i φ ( ri) = ε ( i), (3.8) i φ i r i 3 V i = φ V ij φ,( 1, b, 3 c)(3.9) j i h + V φ r = r b b( ) εbφb( ), (3.7 ) h3+ V 3 φ r = r c c( 3) εcφc( 3), (3.7 ) i i
3 電子系の基底状態エネルギー ( ハートリー近似 ) E Φ Φ = φφφ b c h1+ h + h3 + ( V1 + V13 + V 3) φφφ b c = φ h 1 φ + φ h φ + φ h3 φ b b c c + φ φ V 1 φ φ + φ φ V13 φ φ + φ φ V 3 φ φ b b c c b c b c = φ h1 + φb V 1 φb + φc V 13 φ c φ + φ b h + φ V 1 φ + φc V 3 φ c φ b + φ c h3 + φ V 31 φ + φb V 3 φ b φ c φφ V 1 φφ φφ V 13 φφ φφ V 3 φφ b 3 3 1 = φ ( h ) i + V i φ φ V i φ i i i i i= 1 i= 1 3 1 E = ε + ε + ε φ V i φ b c c b c b c b c i i= 1 i (3.10)
参考文献 [1] 小出昭一郎 量子力学 (II) ( 改訂版 ) 裳華房,1990 年 [] 武次徹也 平尾公彦 早分かり分子軌道法 裳華房,003 年 [3] 大野公男 量子化学 裳華房