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298 モダンメディア 62 巻 9 号 2016[ 医学検査のあゆみ ] 医学検査のあゆみ 28 骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの実践的活用法について み三 うらまさ浦雅 Masakazu MIURA かず一 はじめに高齢化に伴い わが国の骨粗鬆症の患者数は年々増加し その患者数は 現時点で 1,280 万人と推定されている 骨粗鬆症により 椎体 前腕骨および大腿骨近位部などに骨折を生じると 手術や入院を必要とすることが多く 患者の QOL に大きく影響することが考えられる 骨粗鬆症の予防と効果的な治療がなされれば 骨粗鬆症患者の QOL 維持や骨折に対する医療費負担の軽減が可能となる このためには骨粗鬆症の早期診断と既に罹患してしまった骨粗鬆症に対する効果的な治療およびより精度良い治療モニタリング そして骨折への危険度の評価が必須な事項となる 現時点では このような要件を備えたバイオマーカーとして 骨代謝マーカーのような動的なマーカーがある 骨の代謝は日々動的に変化し 同じ骨密度 (BMD) であっても代謝状態は異なり 病的な意義も異なる このため BMD 測定を動的マーカーとするためには 半年ないし 1 年の観察期間を置いた再測定を待たなければならないが 骨代謝マーカーは現時点での骨代謝状態を鋭敏に反映する 骨代謝マーカーが骨粗鬆症の実臨床で求められる役割としては 1 骨代謝状態の評価ないしは骨量減少危険度の評価 2 骨折危険度の評価 3 薬物治療の評価が挙げられ わが国においては骨代謝マーカーの実臨床での使用指標として 日本骨粗鬆症学会等よりガイドラン 1, 2) が策定され 骨代謝マーカーは骨粗鬆症診療における必須の検査項目になっている 本稿では 骨粗鬆症診療において実臨床で使用されている骨代謝マーカーの実際と展望などに概説する Ⅰ. 骨代謝マーカーとは骨代謝マーカーには 骨芽細胞に関与する骨形成マーカーおよび破骨細胞に関与する骨吸収マーカー ならびに骨質に関与する骨マトリックス関連マーカーがある これらの骨代謝マーカーは 肝臓や腎臓で代謝されることが知られており 1) ( 図 1) そのため 腎臓機能低下または肝臓機能低下といった病態により代謝が変化することが知られている 1992 年以前は 骨代謝を評価できる指標としてハイドロキシプロリンのようなコラーゲン含有のアミノ酸測定が中心であったが コラーゲン研究の飛躍的な進歩により骨代謝マーカーは 臨床でその使用の重要性が確立されていった 特に 2000 年に Delmas らの研究グループにより初めて 骨粗鬆症診療に有用なバイオマーカーとしてコラーゲン架橋物質を含む骨代謝マーカーが報告された意義は大きい このような経緯の中で 日本骨粗鬆症学会でも西澤良記先生 ( 前大阪市立大学理事長 学長 現医療法人蒼龍会井上病院名誉院長 副理事長 ) を中心として骨代謝マーカー検討委員会が設立され わが国において骨代謝マーカーは骨粗鬆症診療の検査項目としてその地位を確立していった 現在では 骨代謝マーカーは骨代謝回転を臨床的に評価できるツールとしてのポジションを得てきており 骨代謝マーカー以外に骨代謝回転の評価を臨 北陸大学薬学部生命薬学講座臨床解析学分野 920-1181 石川県金沢市金川町ホ 3 番地 Faculty of Pharmaceutical Sciences, Hokuriku University (Ho3 Kangawamachi, Kanazawa 920-1181, JAPAN) ( 8 )

299 P1NP 骨芽細胞 プロコラーゲン分解 Ⅰ 型コラーゲン TRACP-5b BAP OC ucoc OC 類骨 細胞活性化による分泌 1 増殖期 P1NP 2マトリックス形成 成熟期 3 石灰化期 OC 破骨細胞 肝臓 腎臓代謝 尿中 NTX CTX 血中 NTX コラーゲン断片 CTX α 1 (Y)DEKSTGG(Ⅰ) α 1 EKAHDGGR α 2 QYDGKVG(L) α 1 EKAHDGGR BAP 1 非石灰化期 ucoc 2マトリックス形成期 ペントシジン 1 破骨細胞活性期 TRACP-5b 2 吸収期 PYD DPD NTX CTX N + (H) K N + カテプシン K によるコラーゲン分解 N + N + (H) K 血中 尿中 PYD DPD 石灰化骨 図 1 骨粗鬆症診療で用いられている骨代謝マーカーの種類 床的に評価する手段がないとされている 現時点では 骨代謝マーカーは骨粗鬆症診療においては必要不可欠なバイオマーカーに成長しさらに発展を続けている 3) Ⅱ. 骨粗鬆症診療における骨代謝マーカー測定の意義 骨粗鬆症診療において 骨代謝回転を評価することは 治療の必要性や有効性がある程度理解でき 患者の病識を高め 治療を継続し 骨折抑制効果を高めることに役立つと考えられている 現時点で 骨代謝を評価する方法としては 骨密度と骨代謝マーカーがあるが 骨の代謝は 日々変化しているため 同じ骨密度であっても代謝状態は異なり 病的意義も異なる そのため骨密度を動的マーカーとして用いるためには 半年から 1 年の観察期間を置いた再測定を待たなければならない 骨代謝マーカーは 測定時点での骨代謝を鋭敏に反映するため 骨粗鬆診療における必須の検査項目になっている また 骨代謝マーカーは 薬物選択の指針として用いることもでき 薬物選択に迷う場合には骨代謝マーカーを用いることで より適切な選択が可能となることがある さらに 薬物治療による病態改善効果を判断するためにも できる限り診断時に骨代 謝状態を評価することが推奨されている ( 図 2) 2) Ⅲ. 骨粗鬆症と骨代謝マーカーの測定法表 1には 骨粗鬆症診療において保険適用が認められている骨代謝マーカーについて 略語 検体 測定法 診療報酬点数 ( 保険点数 ) をそれぞれ示した 1. 骨形成マーカー (1) 骨型アルカリホスファターゼ (BAP) 骨形成マーカーは 骨芽細胞の分化の各段階において骨芽細胞から直接または間接的に産生される物質であり 骨芽細胞機能および骨形成の様々な局面を表し ほとんどが血中の値として測定される その一つであるアルカリホスファターゼ (ALP) は 類骨形成および石灰化作用において重要な役割を果たす酵素である (2)I 型プロコラーゲン-N- プロペプチド (P1NP) 骨芽細胞で合成 分泌された I 型コラーゲンがペプチダーゼの作用により切断 放出される代謝産物である P1NP も測定可能となった Intact PINP( 三量体のみを測定 ) と total P1NP( 三量体と単量体の両方測定 ) の測定が行われている また Intact P1NP と total P1NP の測定値には 臨床的違いがないことも報告されている 4, 5) ( 9 )

300 #1 骨代謝に影響する薬剤服用や骨折急性期でないことを確認 PTH #5 #2 ビスホスホネート SERM エルデカルシトロールエストロゲンデノスマブ #6 #1: ピスホスホネート デノスマブ服用者は少なくとも 3 ヵ月 その他の骨粗鬆症治療薬は 1 ヵ月間休薬してから測定する テリバラチドによる治療については未確立 骨折発生時に時間は 24 時間以内の測定 #2: 長期ビスホスホネート治療予定者は 骨吸収マーカーと BAP あるいは P1NP を測定 #3: 吸収マーカーと形成マーカーを各 1 種類測定する #4: エルデカルシトールを除く #5: テリパラチド連日皮下投与製剤 #6:NTX,DPD,TRACP 5b については未報告 ( 文献 1, 2) より改変引用 ) 図 2 骨粗鬆症の薬物治療における骨代謝マーカー測定 骨形成マーカー骨型アルカリホスファターゼ 表 1 原発性骨粗鬆症診療に用いられる骨代謝マーカー マーカー略語材料測定方法 Ⅰ 型プロコラーゲン -N- プロペプチド 骨吸収マーカーデオキシピリジノリン Ⅰ 型コラーゲン架橋 N- テロペプチド Ⅰ 型コラーゲン架橋 C- テロペプチド 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ -5b BAP P1NP DPD NTX CTX TRACP-5b 血清血清血清血清 尿尿血清尿血清血清 CL RIA ECLIA ECLIA 診療報酬点数 (2016 年 4 月現在 ) 165 点 165 点 168 点 170 点 196 点 160 点 160 点 170 点 169 点 160 点 骨マトリックス ( 基質 ) 関連マーカー 低カルボキシル化オステオカルシン ucoc 血清 ECLIA 167 点 備考 Intact P1NP 測定 total P1NP 測定 :enzyme immunoassay ( 酵素免疫測定法 ),CL:chemiluminescent enzyme immunoassay ( 化学発光酵素免疫測定法 ),RIA:radio immunoasaay ( 放射免疫測定法 : ラジオイムノアッセイ ),ECLIA:electrochemiluminescent immunoassay ( 電気化学発光免疫測定法 ) 2. 骨吸収マーカー (1) デオキシピリジノリン (DPD) I 型コラーゲンのヒドロキシピリジニウム架橋である DPD は 線維原性コラーゲンの細胞外成熟中に形成され 成熟コラーゲンの分解の際に放出される (2)I 型コラーゲン架橋 N-テロペプチド (NTX) および I 型コラーゲン架橋 C-テロペプチド (CTX) NTX や CTX などの架橋部位を含むコラーゲンテロペプチドは 骨吸収評価のための有用な臨床指標であることが確認され 簡便な免疫測定法が開発されてきた 現在 骨粗鬆症においては 尿中および血中での NTX および CTX の測定が可能である (3) 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ-5b(TRACP-5b) 破骨細胞内酵素として知られている TRACP のアイソザイムである TRACP-5b の測定が可能である ( 10 )

301 3. 骨マトリックス ( 基質 ) 関連マーカー (1) 低カルボキシル化オステオカルシン (ucoc) 骨芽細胞から分泌される骨特異的非コラーゲンタンパクとしてオステオカルシンがよく知られている このオステオカルシンは 分子中にグルタミン酸残基があり この部分がビタミン K 依存性カルボキシラーゼの作用によりγカルボキシル化される 骨中のビタミン K が不足すると このγカルボキシル化が十分に起こらず その分子中のグルタミン酸はγカルボキシグルタミン酸に変換されない このような骨マトリックス ( 基質 ) 関連マーカーである ucoc 測定も可能である (2) ペントシジンおよびホモシステインペントシジンおよびホモシステインは 骨質の評価を念頭に置いたバイオマーカーであり 骨マトリックス関連マーカーとして新たに分類された ただし基礎疾患や合併症で上昇することが知られており考慮が必要となる 最近の研究成果からも ペントシジンのような骨マトリックス ( 基質 ) 関連マーカーは 骨質を評価するマーカーとしての期待も高く 骨粗鬆症診療における保険適用された測定法開発が待たれる Ⅳ. 骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの保険点数上の制約について このように各種骨代謝マーカーが骨粗鬆症診療で測定可能となったが その測定についてはいくつかの保険診療上の制約がある 骨粗鬆症における骨代謝マーカー測定の主な目的は 臨床的に骨粗鬆症と診断された患者の骨代謝状態を評価し 治療薬の選択と治療効果を判定することであり このことを反映して骨吸収マーカーについては治療開始時と開始後 6 カ月以内に 1 回限り 治療効果評価のための測定が認められている なお 骨吸収マーカーのうち DPD NTX TRACP-5b の測定を併用して行うことは認められていない Ⅴ. 骨代謝マーカーを用いた骨粗鬆症診療における薬物治療効果の判定 骨代謝マーカーは薬物選択の指針として用いる ことも考えられ 薬物選択に迷う場合には骨代謝マーカーを用いることで より適切な選択が可能となる 1 ~ 3) 薬物治療による病態改善効果を判断するためにも できる限り診断時に骨代謝状態を評価することが推奨される 骨代謝マーカー測定は 1 治療の必要性に対する患者の理解を高めたい 2 薬物治療を予定している 3 治療薬の適切な選択に役立てたい 4 骨粗鬆症の病態などを評価する場合などに有用となる 1. 効果判定が可能な骨代謝マーカーと治療薬剤の組み合わせ骨粗鬆症診療においては 3 つの評価が必要である 第一に行うべきは 個々の患者が有する骨折リスクの評価であり それに基づく薬物療法導入の可否の決定 第二には適切な薬剤選択の評価であり そして第三には治療効果の評価である 骨代謝マーカーの基準値のみでは薬物療法の効果の予測は困難であり 治療開始から一定期間後に再測定を行い 基準値からの変化を評価することにより薬物治療効果のモニタリングを行う 薬物療法により 骨代謝マーカーの基準値からの有意な変化が認められた時にのみ 骨代謝に変化があり 薬剤効果が発揮されていると判定できる 個々の患者におけるビスホスホネート薬 SERM エストロゲン薬の効果は DPD NTX CTX TRACP-5b BAP P1NP のいずれでも判定可能である 活性型ビタミン D 3 薬 ( エルデカルシトール ) の効果も NTX や BAP で判定可能である 副甲状腺ホルモン薬 ( テリパラチド遺伝子組換え : 連日皮下投与薬 ) の効果判定も P1NP で判定可能である その他の治療薬については これらの骨代謝マーカー測定による判定は容易ではない 2. 効果判定における適切な骨代謝マーカーの測定時期図 3には 骨代謝マーカーを用いた骨粗鬆症治療薬 ( 骨吸収抑制薬 ) 6) の効果判定フローを示した 骨吸収マーカーである DPD NTX CTX および TRACP-5b は 治療開始時と治療開始後から 3 ~ 6 カ月の間隔を空けて 2 回目の測定を実施し 変化率を算出する 骨形成マーカーである BAP P1NP の変化はやや遅れるため 治療開始時と治療開始後か ( 11 )

302 1 骨粗鬆症における薬物治療 ( 骨吸収抑制薬 ) 治療開始前に骨吸収マーカー 骨形成マーカーを測定 1 治療方法選択 ( 薬剤選択等 ) 時の測定 2 治療開始 3~6 ヵ月後に骨吸収マーカーを治療効果判定のため再測定 2 治療効果判定のため再測定 骨吸収マーカーが最小有意変化 (MSC) を超えている または閉経前女性の基準値内に維持されている 骨吸収マーカーが最小有意変化 (MSC) を超えて変化せず 閉経前女性の基準値内に達しない 現在の治療を継続 6 ヵ月 ~1 年程度の間隔で骨形成マーカーの再測定を推奨 原因 があれば除去する 原因 がなければ 薬剤の変更も検討 基準値内に達しない基準値内に維持される基準値の下限値以下に抑制される 3 3 治療方針変更後の治療効果判定のため再測定 薬剤の再検討現在の治療を継続長期にわたれば休薬, 中止など薬剤を調整 さまざまな変動 検体採取に関連した原因 正しい服薬が実際に守られていない あるいは不十分 治療薬自体が骨代謝を変化させにくい 続発性骨粗鬆症で惹起する他の疾患 ( 文献 1, 2) より改変引用 ) 図 3 骨代謝マーカーを用いた骨吸収抑制薬の治療効果判定 ら 6 カ月の間隔を空けて 2 回目の測定を実施し 変化率を算出するとよい 骨形成促進剤である副甲状腺ホルモン薬 ( テリパラチド遺伝子組換え ) 投与後 骨形成マーカーにおいて BAP と比較した P1NP の変化は顕著である これらは 治療開始時と治療開始後 1 ~ 3 カ月の 2 回測定を実施し 変化率を計算する必要がある しかし 週に一度投与される PTH 製剤では 投与 24 週の推移では OC は投与期間 (24 週 ) を通して高値傾向で Intact P1NP は 4 週目までは高値を示すものの 4 週目以降は低値傾向を示す また 骨吸収マーカーの DPD と untx は処置開始後に低値を示すことが報告されているので 考慮する必要がある 抗 RANKL 抗体薬であるデノスマブ投与時の治療効果判定やモニタリングにも 骨代謝マーカーの sctx や P1NP が有用であることが報告されている 3. 測定結果の表示について骨代謝マーカーの測定結果は 2 通りの方法で図示すると変化の解釈が容易となる 治療に反応した骨代謝マーカーのレベルの変化率を計算し 基準値からの変化としてプロットする グラフには最小有意変化 (MSC) を示す閾値も含めるとよい さらに 骨代謝マーカーの測定の絶対値を閉経前女性から得られた基準値と一緒に図示するのもよい このよう にデータを図示すれば患者への説明が容易になる おわりに ( 1) 骨代謝マーカーは骨粗鬆症診療では保険適用の範囲内でしか使用できない 現時点で保険適用となっている骨形成マーカー (BAP P1NP) 骨吸収マーカー ( DPD sntx untx sctx uctx TRACP- 5b) に加え 骨マトリックス ( 基質 ) 関連マーカー (ucoc) については 保険適用の内容を逸脱しない範囲で 骨粗鬆症診療における薬物治療の提案がなされている 特に骨吸収抑制剤の治療経過のモニタリングでは繰り返し測定は困難である また ガイドラインでは原発性骨粗鬆症 特に閉経後骨粗鬆症を想定しており 関節リウマチ疾患などの基礎疾患やステロイド薬によって誘発される続発性骨粗鬆症のへの適用拡大について検討することなどが課題として挙げられる ( 2) 骨マトリックス ( 基質 ) 関連マーカーの中でも AGEs のひとつであるペントシジンおよび葉酸代謝に関係するホモシステインについては さらなる基礎および臨床データの蓄積が必要のように思われる 特に ペントシジンは 腎疾患 関節リウマチ 糖尿病 ( 特に 2 型糖尿病 ) 動脈硬化症などで早期に上昇することもこれまでの臨床研究で知られてい ( 12 )

303 る ホモシステインについても 古くから心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾患 特に動脈硬化症などでは上昇することも知られている このため ペントシジンやホモシステインを骨代謝マーカーとして臨床で活用する際は 基礎疾患や合併症等について考慮する必要がある ( 3) 骨代謝マーカー測定では 施設間差是正のための方策も十分に整備する必要がある わが国では 日本骨粗鬆症学会骨代謝マーカー検討委員会が中心となって施設間差の問題についてはこれまで対応し ほぼ是正された傾向にある 7) しかし 国際的には同じ骨代謝マーカーであっても 全自動免疫測定装置による測定と用手法による測定によっては その基準値には大きな差があり 各国間での施設に大きな違いがあることが問題視されている 8) このため 国際的には骨代謝マーカー測定の標準化作業が 国際臨床化学連合 (IFCC) と国際骨粗鬆症財団 (IOF) とで共同作業部会を設立して取り進められた 9 ~ 11) IFCC/IOF 作業部会 (IFCC/IOF Working Group on the Standardization of Bone Marker Assays) では ランダムアクセス測定が可能な全自動免疫測定装置での P1NP および sctx 測定を推奨している 8) 一方 同じ全自動免疫測定法であっても 測定機器および試薬キットも含めたメーカーの違いによって その測定値にバイアスがあり問題もあることを周知しておくべきであろう 今後も骨粗鬆症診療にはこれまでとは異なる作用機序の薬剤が登場する予定であるが 適正な骨代謝マーカーの使用には それぞれの薬剤の特徴をよく理解して 最適のマーカーについてさらなるエビデンスの集積が望まれる 文献 1 ) 日本骨粗鬆症学会骨代謝マーカー検討委員会. 骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン2012 年版. Osteoporosis Jpn, 20 : 31, 2012. 2 ) 日本骨粗鬆症学会骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会. 骨粗鬆症の治療と予防ガイドライン2015 年版. ライフサイエンス出版 pp.68-71, 2015. 3 ) 三浦雅一 ( 訳 ): 骨代謝マーカーによる骨粗鬆症治療効果のモニタリング骨折の二次予防および高リスク群における骨折の一時予防のためのシステマティックレビュー. ロシュダイアグノスティックス, 2015. 4 ) Blumsohn A, Marin F, Nickelsen T, at al. Early changes in biochemical markers of bone turnover and their relationship with bone mineral density changes after 24 months of treatment with teriparatide. Osteoporos Int, 22 : 1925, 2011. 5 ) Koivula MK, Risteli L, Risteli J. Measurement of aminoterminal propeptide of type I procollagen(pinp)in serum. Clin Biochem, 45 : 920, 2012. 6 ) 三浦雅一, 佐藤友紀 : ガイドライン改訂でこう変わる- 骨粗鬆症の治療と薬の使い方. 月刊薬事, 58 : 91, 2016. 7 ) 三浦雅一 : 骨代謝マーカー測定の現状. Osteoporosis Jpn, 20 : 166, 2012. 8 ) Eastell R, et al : Reference intervals of bone turnover markers in healthy premenopausal women : results from a cross-sectional European study. Bone, 50 : 1141, 2012 9 ) Vasikaran S, et al.: Markers of bone turnover for the prediction of fracture risk and monitoring of osteoporosis treatment : a need for international reference standards. Osteoporos Int, 22 : 391, 2011. 10) Johoon L, Vasikaran S : Current recommendations for laboratory testing and use of bone turnover markers in management of osteoporosis. Ann Lab Med, 32 : 105, 2012. 11) Bauer D, Krege J, Lane N, et al : National Bone Health Alliance Bone Turnover Marker Project : current practices and the need for US harmonization, standardization, and common reference ranges. Osteoporos Int. 23 : 2425, 2012. ( 13 )