ニュートン重力理論.pptx

Similar documents
2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

自由落下と非慣性系における運動方程式 目次無重力... 2 加速度計は重力加速度を測れない... 3 重量は質量と同じ数値で kg が使える... 3 慣性系における運動方程式... 4 非慣性系における運動方程式... 6 見かけの力... 7 慣性系には実在する慣

1/12 平成 29 年 3 月 24 日午後 1 時 1 分第 3 章測地線 第 3 章測地線 Ⅰ. 変分法と運動方程式最小作用の原理に基づくラグランジュの方法により 重力場中の粒子の運動方程式が求められる これは 力が未知の時に有効な方法であり 今のような 一般相対性理論における力を求めるのに使

<4D F736F F F696E74202D D488A778AEE B4F93B982CC8AEE A2E707074>

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

18 2 F 12 r 2 r 1 (3) Coulomb km Coulomb M = kg F G = ( ) ( ) ( ) 2 = [N]. Coulomb

線積分.indd

Microsoft PowerPoint - H21生物計算化学2.ppt

DVIOUT-SS_Ma

Microsoft Word - thesis.doc

1 I 1.1 ± e = = - = C C MKSA [m], [Kg] [s] [A] 1C 1A 1 MKSA 1C 1C +q q +q q 1

解析力学B - 第11回: 正準変換

パソコンシミュレータの現状

Microsoft PowerPoint - siryo7

領域シンポ発表

<4D F736F F D20824F E B82CC90FC90CF95AA2E646F63>

プランクの公式と量子化

多次元レーザー分光で探る凝縮分子系の超高速動力学

1 (Berry,1975) 2-6 p (S πr 2 )p πr 2 p 2πRγ p p = 2γ R (2.5).1-1 : : : : ( ).2 α, β α, β () X S = X X α X β (.1) 1 2

木村の物理小ネタ ケプラーの第 2 法則と角運動量保存則 A. 面積速度面積速度とは平面内に定点 O と動点 P があるとき, 定点 O と動点 P を結ぶ線分 OP( 動径 OP という) が単位時間に描く面積を 動点 P の定点 O に

OCW-iダランベールの原理

Microsoft PowerPoint - 1章 [互換モード]

今週の内容 後半全体のおさらい ラグランジュの運動方程式の導出 リンク機構のラグランジュの運動方程式 慣性行列 リンク機構のエネルギー保存則 エネルギー パワー 速度 力の関係 外力が作用する場合の運動方程式 粘性 粘性によるエネルギーの消散 慣性 粘性 剛性と微分方程式 拘束条件 ラグランジュの未

Gmech08.dvi

: (a) ( ) A (b) B ( ) A B 11.: (a) x,y (b) r,θ (c) A (x) V A B (x + dx) ( ) ( 11.(a)) dv dt = 0 (11.6) r= θ =

Gmech08.dvi

(Microsoft Word - \216\221\227\277\201i\220\333\223\256\201jv2.doc)


流体地球科学第 7 回 力のバランス永遠に回れるバランス ( 以下, 北半球 =コリオリ力は進行方向の右向き ) 慣性振動 : 遠心力 =コリオリ力 地衡風 : コリオリ力 = 圧力傾度力 東京大学大気海洋研究所准教授藤尾伸三

Chap2.key

相対性理論入門 1 Lorentz 変換 光がどのような座標系に対しても同一の速さ c で進むことから導かれる座標の一次変換である. (x, y, z, t ) の座標系が (x, y, z, t) の座標系に対して x 軸方向に w の速度で進んでいる場合, 座標系が一次変換で関係づけられるとする

高校電磁気学 ~ 電磁誘導編 ~ 問題演習

1/17 平成 29 年 3 月 25 日 ( 土 ) 午前 11 時 1 分量子力学とクライン ゴルドン方程式 ( 学部 3 年次秋学期向 ) 量子力学とクライン ゴルドン方程式 素粒子の満たす場 y ( x,t) の運動方程式 : クライン ゴルドン方程式 : æ 3 ö ç å è m= 0

A

ポリトロープ、対流と輻射、時間尺度

物性基礎

Microsoft PowerPoint - 流体力学の基礎02(OpenFOAM 勉強会 for geginner).pptx

Microsoft PowerPoint - 夏の学校(CFD).pptx

19年度一次基礎科目計算問題略解

物理学 II( 熱力学 ) 期末試験問題 (2) 問 (2) : 以下のカルノーサイクルの p V 線図に関して以下の問題に答えなさい. (a) "! (a) p V 線図の各過程 ( ) の名称とそのと (& きの仕事 W の面積を図示せよ. # " %&! (' $! #! " $ %'!!!

5-仮想仕事式と種々の応力.ppt

物理演習問題

剛体過去問解答例 2 1.1) 長さの棒の慣性モーメントは 公式より l I G = Ml /12 A 点のまわりは平行軸の定理より 2 2 I A = Ml /12 + M ( l / 2) = Ml 2 / 3 B y 2) 壁からの垂直抗力を R, 床からの垂直抗力と摩擦力を N,f とすると

Microsoft Word - note02.doc

木村の物理小ネタ 単振動と単振動の力学的エネルギー 1. 弾性力と単振動 弾性力も単振動も力は F = -Kx の形で表されるが, x = 0 の位置は, 弾性力の場合, 弾性体の自然状態の位置 単振動の場合, 振動する物体に働く力のつり合

スライド 1

ハートレー近似(Hartree aproximation)


(1) D = [0, 1] [1, 2], (2x y)dxdy = D = = (2) D = [1, 2] [2, 3], (x 2 y + y 2 )dxdy = D = = (3) D = [0, 1] [ 1, 2], 1 {

浅水方程式 順圧であるためには, 静水圧近似が必要 Dw Dt + コリオリ力 = 1 p + 粘性 g ρ z w が u, v に比べて小さい 運動の水平距離に対して水深が浅い 浅水 海は深いが, 水平はさらに広い 最大 1 万 km 浅水方程式 : u, v, の式 水平 2 次元の解 D D

Microsoft PowerPoint - qchem3-9

宇宙機工学 演習問題

応用数学A

Microsoft PowerPoint - 熱力学Ⅱ2FreeEnergy2012HP.ppt [互換モード]

vecrot

ଗȨɍɫȮĘർǻ 図 : a)3 次元自由粒子の波数空間におけるエネルギー固有値の分布の様子 b) マクロなサイズの系 L ) における W E) と ΩE) の対応 として与えられる 周期境界条件を満たす波数 kn は kn = πn, L n = 0, ±, ±, 7) となる 長さ L の有限

観測的宇宙論WS2013.pptx

気体の性質-理想気体と状態方程式 

ma22-9 u ( v w) = u v w sin θê = v w sin θ u cos φ = = 2.3 ( a b) ( c d) = ( a c)( b d) ( a d)( b c) ( a b) ( c d) = (a 2 b 3 a 3 b 2 )(c 2 d 3 c 3 d

FEM原理講座 (サンプルテキスト)

静的弾性問題の有限要素法解析アルゴリズム

1. z dr er r sinθ dϕ eϕ r dθ eθ dr θ dr dθ r x 0 ϕ r sinθ dϕ r sinθ dϕ y dr dr er r dθ eθ r sinθ dϕ eϕ 2. (r, θ, φ) 2 dr 1 h r dr 1 e r h θ dθ 1 e θ h

Microsoft PowerPoint _量子力学短大.pptx

I-2 (100 ) (1) y(x) y dy dx y d2 y dx 2 (a) y + 2y 3y = 9e 2x (b) x 2 y 6y = 5x 4 (2) Bernoulli B n (n = 0, 1, 2,...) x e x 1 = n=0 B 0 B 1 B 2 (3) co

<4D F736F F F696E74202D E94D58B9393AE82F AC82B782E982BD82DF82CC8AEE E707074>

応用数学Ⅱ 偏微分方程式(2) 波動方程式(12/13)

<4D F736F F F696E74202D2095A8979D90948A CE394BC A2E707074>

大阪大学物理 8 を解いてみた Ⅱ. 問 ( g cosq a sin q ) m - 台 B 上の観測者から見ると, 小物体は, 斜面からの垂直抗力 N, 小物体の重力 mg, 水平左向きの慣性力 ma を受け, 台 B の斜面と平行な向きに運動する したがって, 小物体は台 B の斜面に垂直な方

Microsoft Word - EM_EHD_2010.doc

Microsoft PowerPoint - aep_1.ppt [互換モード]

Microsoft Word - 1B2011.doc

計算機シミュレーション

ギリシャ文字の読み方を教えてください

物性物理学 I( 平山 ) 補足資料 No.6 ( 量子ポイントコンタクト ) 右図のように 2つ物質が非常に小さな接点を介して接触している状況を考えましょう 物質中の電子の平均自由行程に比べて 接点のサイズが非常に小さな場合 この接点を量子ポイントコンタクトと呼ぶことがあります この系で左右の2つ

運動方程式の基本 ニュートンの第一法則 力 = 質量 加速度 大気や海洋に加わる力を, 思いつくだけ挙げてみよう 重力, 圧力傾度力, コリオリ力, 摩擦力 水平方向に働く力に下線をつけよう. したがって水平方向の運動方程式は 質量 水平加速度 = コリオリ力 + 圧力傾度力 + 摩擦力 流体の運動

外から中心に投げたボールの動画 1 中心に向かってまっすぐ投げる 回転盤でボールをキャッチ 円盤の回転速度とボールの速度を合わせれば, 投げたボールを取れる ( 投げた人にはボールが回ってくるように見える ) 投げてからの時間は, 回転の半周期 円盤の外から見る図斜めに飛んでいく 投げた人が見る図コ

ÿþŸb8bn0irt

<4D F736F F D20837D834E B95FB92F68EAE>

GJG160842_O.QXD

Microsoft PowerPoint - シミュレーション工学-2010-第1回.ppt

Phys1_03.key

微分積分 サンプルページ この本の定価 判型などは, 以下の URL からご覧いただけます. このサンプルページの内容は, 初版 1 刷発行時のものです.

DVIOUT

1/10 平成 29 年 3 月 24 日午後 1 時 37 分第 5 章ローレンツ変換と回転 第 5 章ローレンツ変換と回転 Ⅰ. 回転 第 3 章光速度不変の原理とローレンツ変換 では 時間の遅れをローレンツ変換 ct 移動 v相対 v相対 ct - x x - ct = c, x c 2 移動

スライド 1

A

pdf

120 9 I I 1 I 2 I 1 I 2 ( a) ( b) ( c ) I I 2 I 1 I ( d) ( e) ( f ) 9.1: Ampère (c) (d) (e) S I 1 I 2 B ds = µ 0 ( I 1 I 2 ) I 1 I 2 B ds =0. I 1 I 2

<4D F736F F F696E74202D20906C8D488AC28BAB90DD8C7689F090CD8D488A D91E F1>

Microsoft Word

c y /2 ddy = = 2π sin θ /2 dθd /2 [ ] 2π cos θ d = log 2 + a 2 d = log 2 + a 2 = log 2 + a a 2 d d + 2 = l

えられる球体について考えよ 慣性モーメント C と体積 M が以下の式で与えられることを示せ (5.8) (5.81) 地球のマントルと核の密度の平均値を求めよ C= kg m 2, M= kg, a=6378km, rc=3486km 次に (5.82) で与えら

運動方程式の基本 座標系と変数を導入 (u,v) ニュートンの第一法則 力 = 質量 加速度 大気や海洋に加わる力を, 思いつくだけ挙げてみよう 重力, 圧力傾度力, コリオリ力, 摩擦力 水平方向に働く力に下線をつけよう. したがって水平方向の運動方程式は 質量 水平加速度 = コリオリ力 + 圧

1 1. x 1 (1) x 2 + 2x + 5 dx d dx (x2 + 2x + 5) = 2(x + 1) x 1 x 2 + 2x + 5 = x + 1 x 2 + 2x x 2 + 2x + 5 y = x 2 + 2x + 5 dy = 2(x + 1)dx x + 1

Gmech08.dvi

Microsoft PowerPoint - 第7章(自然対流熱伝達 )_H27.ppt [互換モード]

50 2 I SI MKSA r q r q F F = 1 qq 4πε 0 r r 2 r r r r (2.2 ε 0 = 1 c 2 µ 0 c = m/s q 2.1 r q' F r = 0 µ 0 = 4π 10 7 N/A 2 k = 1/(4πε 0 qq

テンソル ( その ) テンソル ( その ) スカラー ( 階のテンソル ) スカラー ( 階のテンソル ) 階数 ベクトル ( 階のテンソル ) ベクトル ( 階のテンソル ) 行列表現 シンボリック表現 [ ]

<4D F736F F D FCD B90DB93AE96402E646F63>

Transcription:

3 ニュートン重力理論 1. ニュートン重力理論の基本 : 慣性系とガリレイ変換不変性 2. ニュートン重力理論の定式化 3. 等価原理 4. 流体力学方程式とその基礎

3.1 ニュートン重力理論の基本 u ニュートンの第一法則 = 力がかからなければ 等速直線運動を続ける u 等速直線運動に見える系を 慣性系 と呼ぶ ² 直線とはどんな空間の直線か? ニュートン理論では 3 次元ユークリッド空間 ( 平坦空間 ) の直線 つまり 力がかからなければ 物体は空間の最短距離を進む とも言える ² 等速とはどのような時間で測った速度か? 絶対時間当たりに進んだ距離 式で書くと 慣性系で運動方程式は 2 2 2 dx dy dz = 0, = 0, = 0 x, y, z は 直交座標 2 2 2 dt dt dt

v 慣性系は無数にある 慣性系の特徴 まず慣性系を 1 つ選ぶ それが (x, y, z) で表されるとする すると以下の変換で移ったものも全て慣性系 : 1. 並進 : x =x d 2. 回転 : x =cosθ x sinθ y, y =sinθ x + cosθ y 3. 他の等速運動系 : x =x v t ただし 時間はどの慣性系で見ても一緒 絶対時間 t =t

ガリレイ変換 x x' = x v t y y' = y v t z z' = z v t t ' = t 等速運動する系から 別の等速運動する系 への座標変換 v ニュートン理論では 当時の実験事実 を鑑み 全ての慣性系で同じ物理法則が成り立つ ことを原理として要求する ü 言い換えれば ニュートン理論はガリレイ変換に対して不変 特定の慣性系は存在しない

m d 2 x dt 2 3.2 万有引力の法則の定式化 = F = GMm r 2 r r = m Φ; m r Φ x Φ( x )= GM r 連続体の場合 ( ) = d 3 x' Gρ ( x ') x x ' (r = x x I ) ΔΦ = 4πGρ M 密度 m 重力ポテンシャル ポアソン方程式 注 : デルタ関数 Δ # " 1 x x ' $ (3) = 4πδ & % x x ' ( ) ρ

ポアソン方程式はガリレイ変換不変 x' = x v x t y' = y v y t z' = z v z t この変換に対して Δ = 2 x 2 + 2 y 2 + 2 z 2 = 2 x' 2 + 2 y' 2 + 2 z' 2 が成り立つから 理論の整合性が満たされている 注 : 重力ポテンシャルはスカラーだから 座標系に依存しない量

例 : 球状の静的な星の基本方程式 P(r Δr / 2)4π (r Δr / 2) 2 P(r + Δr / 2)4π (r + Δr / 2) 2 = GM (r) r 2 Δr 0 : dp dr 4πr2 Δr = dp dr 4πr 2 Δrρ(r) GM (r) r 2 = GM (r) r 2 ΔΦ = 4πGρ 1 r 2 ρ(r) M (r) = 4π ρ(r)r 2 dr P = ρ Φ 4πr 2 Δrρ(r) d ' dφ* ) dr ( r2, = 4πGρ dr + P(r+Δr/2) P(r-Δr/2) GM (r) 4πr 2 Δrρ(r) r 2 一般の場合に成り立つ式

3.3 等価原理 : 慣性質量と重力質量 m d 2 x dt = m Φ " EOM 運動方程式 2 左辺と右辺の質量は 本来意味が異なる 左辺は慣性質量 加速のし難さを表す量 右辺は重力質量 重力場に対する反応を表す量 一般には d 2 x m I dt = m Φ 2 g m I d 2 x dt 2 しかし 実験事実は m I = m g = q E = q φ 静電場中の EOM 電磁気学を思い起こせば m I m g でよいはず 不思議と思うべき

エトベスの実験 棒 重力 遠心力 異なる 2 物質 A と B 遠心力は慣性質量に比例 重力は重力質量に比例 捩れ具合を 測って調べる 全ての物体で 慣性質量 / 重力質量 の比が等しければ 棒は捩れない

捩れ方向のつりあい m I A a A = m g A g, 具体的数式 m I B a B = m g B g 捩れ度 η 2 a A a B a A + a = 2 m A / m A g I m B B g / m I B m A g / m A I + m B B g / m I 現在の最も正確な実験結果 η 2 10 13 Wagner et al. (2012) 重力質量と慣性質量は高精度で等しい # ちなみにエトベスの最初の実験結果は 10-7 程度

地球と月は同じように落ちるか? Lunar laser ranging test 強い等価原理 の検証実験 月も地球も太陽の周りを回っている ( 遠心力 = 重力 ) 太陽重力との反応の仕方が月と地球で異なったら 月の地球周りの軌道が変化する

簡単のため 地球も月も太陽の重力のみで軌道が決まっているとする 力の釣り合い : 遠心力 = 重力 m I v 2 r = GM m g v 2 = GM r 2 r m g m I 公転軌道速度は 重力質量と慣性質量の比による # 遠心力は 運動方程式を回転系で書いたときに 現れる慣性力 ( コリオリ力も同じ )

例えば 月の方が太陽重力に敏感に反応したら 月は太陽方向にシフトするであろう 円軌道が楕円軌道に変化する 実際は地球に引き付けられるからもっと複雑だが いずれにせよ軌道は変化するはず

Lunar laser ranging 反射板の位置 ( アポロなど で設置 ) McDonald Obs. 距離精度 : 数 cm の範囲で 月の軌道は不変 ; 加速度 にして 1.5 10-13 の精度 月面の 反射板

実験結果から得られた結論 v 慣性質量と重力質量は 何故だか分からない がおそらく等しい v 自己重力が重要な役割を果たす天体の場合ですら 同様に成り立つ 等しいという事実を原理として採用する v 一般相対論ではこれを等価原理と呼び 理論の骨幹とする ( これは後述 )

3.4 流体力学方程式とその基礎 多くの星は流体力学で記述される 完全流体を仮定して良い場合が多い ( 粘性は考える必要がない場合が多い ) 以下では完全流体を仮定する

流体力学の基本方程式 0. オイラー微分とラグランジュ微分 オイラー微分 : ある固定点での時間微分 ( ) Q( t, x ) Q t = lim Q t + Δt, x Δt 0 Δt ラグランジュ微分 : 流体と一緒に動く系で見た時間微分 ( ) Q( t, x ) dq dt = lim Q t + Δt, x + vδt Δt 0 Δt d v dt = v t + ( v ) v 時間 t = Q t + ( v )Q Q( t + Δt, x ) Q( t + Δt, x + vδt ) Q( t, x ) x

流体力学の基本方程式 1 1. 連続の式 ( 質量保存則 ): P M = P = V V P: 圧力 v ρ dv ρ v dv n P d dt ρ dv = ρ v n ds V S ρ t dv = ( ρ v )dv V V 任意の領域に対して成立するので ρ t + ρ v ( ) = 0 dv ρ t + dv ( ρ v ) = 0 d dt M = ρ は密度, v は速度 dv ρ = 0 連続の式 質量保存

流体力学の基本方程式 2 2. オイラーの式 ( 運動方程式 ): d dt P dv = " P n ds ρ ΦdV V S d P dv = d ρ v dv = ρ d v ここで dt V dt V dt dv V ' = ρ v ) t + ( v ) v * -,dv / Note : d ρdv V ( +. dt ' ρ v ) t + ( v ) v *,dv = P dv ρ ΦdV ( + V V V V ラグランジュ微分 ( ) = 0 0 2 1 任意の領域に対して成立するので ρ v t + ρ ( v ) v = P ρ Φ オイラーの式

流体力学の基本方程式 3 3. エネルギー方程式 ( エネルギー保存則 ): 熱力学第一法則 ( ラグランジュ微分で書かれている ) " dε = Pd 1 % $ ' ρ dε # ρ & dt = P dρ ρ dt = P v ρ ε t + ρ v ( )ε = P v e ε + v2 2 オイラー方程式を用いる ρ e t + ρ v ( )e + P v ( ) = ρ v Φ ε は単位質量当たりの内部エネルギー ( ) ρe t. ( ) v + / ρe + P 0 1 = ρ v Φ

d dt ( ρe) dv + dv % ( ρe + P) v ' t & ( = dv ρ v Φ dv ρe + 0 = dvρ d x dt Φ これは非自明 d dt U +T ( ) = d dt W de dt エネルギー保存則 エネルギー方程式を体積積分すると導出される : = 0, E =U +T +W U = dv ρε, T = dv 1 2 ρv2, W = dv 1 2 ρφ 内部エネルギー運動エネルギー エネルギー保存則 重力ポテンシャルエネルギー

ビリアル定理 オイラーの式に x をかけて体積積分する : dvρ x d v x d v dt = x d 2 x dt 2 dt = dv x P dv & ) = d dt ( ' x d x dt dvρ x d v dt = 1 d 2 2 dt 2 / dv x P 1 = Here, 0 21 dvρ x Φ =W 1 2 d 2 dt 2 + v 2 = 1 * 2 ρ x Φ d 2 x 2 dt 2 v 2 ρ x 2 dv 2 ρv 2 dv ρ x 2 dv = 2T + 3Π +W dvp x = 3 P dv 3Π これは非自明 定常な系なら 左辺はゼロ

ΔΦ = 4πGρ Φ x 非自明部分の説明 ( ) = G ρ ( y ) d 3 y x y d 3 xρ x Φ = G d 3 x d 3 y ρ ( x)ρ y = 1 2 G d 3 x d 3 y ρ ( x)ρ y = 1 2 G d 3 xρ ( x) ( ) ( ) ( ) x ( x y ) d 3 y ρ y x y = 1 2 d 3 xρ d x dt Φ = G d 3 x d 3 y ρ ( x)ρ y = 1 2 G d 3 x d 3 y ρ ( x)ρ y = 1 2 G d 3 x d 3 y ρ ( x)ρ y = 1 2 G d dt ( ) d ( x y ) ( ) d dt d 3 x d 3 y ρ ( x)ρ ( y) dt 1 x y x y x y = 1 3 2 original + x y x y x y 3 d 3 xρ ( x)φ x ( ) d x 1 x y = dw dt ( ) =W x y dt x y 3 x y x y 3 ( ( )) ( ) Here, d d 3 xρ x dt " # $ = 0

定常な星に成り立つ関係 1 d 2 ρ x 2 dv = 2T + 3Π +W = 0 2 dt 2 E =U +T +W =U 3Π T Assume ideal fluid: P = ( Γ 1)ρε Π = 3 P dv = 3 ( Γ 1)U E = ( 4 3Γ)U T 常温で単原子理想気体なら Γ=5/3 2 原子分子なら Γ=7/5 U > 0, T 0 if T = 0, E 0 only for Γ 4 3 束縛系と存在できるのは 限られた状態方程式のときのみ 自然界では Γ 4/3 となる場合が数多くあり 不安定現象が起こるゆえに 現象が多様になる

星の安定性 : 簡単のため球対称を仮定 dv dt = 1 P ρ r Φ r = 1 P ρ r M (r) = 4π r 0 ρ ( r' )r' 2 dr' GM (r) r 2 : v dr dt ideal fluid + adiabatic: P = ( Γ 1)ρε & dε = Pdρ 1 P = Kρ Γ : Γ = adiabatic constant 次元解析 M ~ ρr 3 GM / r 2 ~ GM 1/3 ρ 2/3 ( P / r) / ρ ~ Kρ Γ 1 / R ~ KM 1/3 ρ Γ 2/3 dv dt ~ KM 1/3 ρ Γ 2/3 GM 1/3 ρ 2/3 Γ > 4/3 の場合安定 ln F KM 1/3 ρ Γ 2/3 (Γ > 4 / 3) 平衡状態 GM 1/3 ρ 2/3 KM 1/3 ρ Γ 2/3 (Γ < 4 / 3) ln ρ

Γ=4/3 の星の特徴 dv dt = 1 P ρ r Φ r = 1 P ρ r GM (r) r 2 = 0 ( ~ KM 1/3 ρ Γ 2/3 ) (~ GM 1/3 ρ 2/3 ) = 0 For Γ = 4 3 [~KM 1/3 (~ GM 1/3 )]ρ 2/3 = 0 M ~ & ( ' K G ) + * 3/2 正確には & M = ( 2.7477K ' G ) + * 3/2 質量が決まってしまう (K の値で決まる ) 最も重要な重力の性質の 1 つ