第 8 章弾性歪エネルギー評価法 () () 8- Khhtun の弾性歪エネルギ- 評価ここでも簡単のため A-B 元系における不規則相の整合相分離を考え この相分解組織の弾性歪エネルギーを評価する 手順は ステップ ) まず位置 の関数として与えられる濃度場 () を用いて egen 歪場 ε () を定義する ステップ ) 次に全歪場 ε () を均一全歪 ε とそこからの変動量 δε () に分けて定義する ステップ ) ε () を境界条件として平衡方程式 ( 力の釣合方程式 ) を解析し 未知量である変位 場 u ( ) を計算する式を導く δε () はu () より計算される ステップ 4) 弾性歪エネルギー式を書き下す ステップ 5) ε に課せられる境界条件 ( 物体全体の拘束条件 ) を設定して ε を決定する 以上から 弾性歪エネルギーが計算できる 以下において 式が複雑に見えるかもしれないが やっていることは単純で 既知量 ( ε () : 濃度場 () から決定 ) と境界条件 ( 平衡方程式と物体 全体の拘束条件 ) から 未知量であるε ( ) を決めているだけである 以下 上記のステップに従い順に説明しよう [ ステップ ] 相分解組織内の位置ベクトル = (,, ) における B 成分の濃度場を () とし これが弾性歪エネルギーを計算する際の境界条件 ( 既知量 ) となる 格子定数 が濃度 () に対して線形に変化する場合 (egd 則が成り立つ場合 ) d () = + () () d のように表現され 格子定数も位置 の関数 () となる この時 egen 歪は () d ε () = η() δ, η d () にて定義される つまりこの場合の egen 歪 (,) は 格子定数の局所組成依存性に起因する正味の歪である η は格子ミスマッチで 合金を構成する純成分の格子定数から決まる ( 既知量 ) 濃度場はあらかじめ与えられているので 結局 以上から egen 歪の空間分布 ε () は既知となる [ ステップ ] 次に 拘束歪 ( 全歪 ) を ε ( ) ε + δε ( ) () δε () d = (4) と置く ε は拘束歪の空間平均値で ε からの変動量 δε () は線形弾性論に基づき 変位場 u () と u() ul() δεl ( ) + (5) l 8-
の関係にある 弾性歪 ε () は 全歪から egen 歪を引いて el ε ε ε el ( ) = ( ) ( ) (6) にて与えられる また応力は フックの法則に基づき σ el ( ) = C ε el ( ) = C { ε ( ) ε ( )} l l l l l (7) と表現される ( 弾性率 C l は定数の場合を仮定している ) [ ステップ ] 平衡方程式 ( 力の釣合方程式 ) は 体積力が無い場合を想定して σ el, j el σ () ( ) = = (8) j にて与えられる これに式 (7),() および (5) を代入して 平衡方程式は C u l = Clηδ l j l j (9) と表現される ここで 濃度場 変位場 および 拘束歪の変動量場を d ( ) = ˆ ( ) ep( ) ( ) π () d u ( ) ˆ = u( ) ep( ) ( ) π () d δε ( ) ˆ = δε ( ) ep( ) ( ) π () のようにフーリエ表現する = (,, ) はフーリエ空間の波数ベクトルである これらを式 (9) に代入し 振幅部分を取り出すと C uˆ ( ) = C ηδ ĉ( ) l j l l l j () となる ( 右辺始めの は虚数の である点に注意 ) これが平衡方程式のフーリエ表現である ここで G ( ) Cljl (4) σ C ηδ (5) l l と定義することにより 式 () から 変位場のフーリエ変換は uˆ ( ) = G ( ) C ηδ ˆ( ) = G ( ) σ ĉ( ) (6) l l j j と表現される 式 (5) をフーリエ変換すると 8-
δε ˆ ( ) { ˆ ( ) ˆ l = u l + ul ( ) } (7) であるので ( 右辺始めの は虚数の であるので注意 ) これに式(6) を代入して δεˆ l ( ) = { uˆ ( ) l + uˆl ( ) } = uˆ ( ) l = G ( ) σ ˆ( ) = G ( ) C ηδ ˆ( ) j l l j mn mn (8) を得る 弾性定数 Cl と格子ミスマッッチη はあらかじめ与えられている 濃度場 () も与えられているので ( ) を数値計算によってフーリエ変換することによって ˆ( ) は得られる したがって δεˆ l ( ) は の関数として計算できるので δεl () はδεˆ l ( ) を数値計算にて逆フーリエ変換することによって求めることができる [ ステップ 4] さて 弾性歪エネルギ - 式は el el Est = ( ) ( ) Clε εl d { ( ) = C ( )}{ ( ) l ε + δε ε εl + δεl εl ( )} d (9) にて与えられる ε () は弾性歪で el ε ε ε ε δε ε () el () () () = + () () にて定義される 式 (9) を書き下すと { E () ()}{ () st = ()} Cl ε + δε ε εl + δεl εl d = l l l l () l l () C ε ε d+ C ε δε d C ε d ε + Clεl δε () d + Clδε () δεl () d Cl δε () εl () d Clεl () () () () () ε d Clε δεl d+ l l C ε ε d = Clε εl d Clε εl () d Cl ε () εl () d + Cl δε () ε l () d+ Clδε () δε l () d = Clε εl Clε δlη () {()} () () d+ Clδδlη l l d C δε ε d d = C {()} ( ) ˆ lε εl Clε δlη + Clδδlη nσω j σlnl δ( ) n ( π ) () 8-
となる ここで n / および Ω ( n) C n n で定義され また l j l δε () d = ε () d = δ η () d = δ η lδε ε l lδε δεl C () () d = C () () d () の関係を用いた なおこの最後の式は δσ () Cl{ δεl () εl ()} とおいて ガウス積分と平 衡方程式 ( σ, j () = δσ, j () = ) および物体表面における力の釣合条件( 表面にかかる圧力は と仮定 ) から S j, j j, j δσ () u () n ds δσ () u () d =, ( δσ () n =, δσ () = ) であり 上式のガウス積分 ( 部分積分 ) を元に戻して δσ () δε () d = C lδε (){ δεl () εl ()} d = C d = C d lδε () εl () lδε () δεl () のように導かれる n j は物体表面の法線ベクトル成分である [ ステップ 5] さて以上においてまだ均一歪 ε が決まっていない ε は通常 物体全体に関する拘束条件が 以下の4 種類の境界条件のいずれであるかに応じて決定される () 物体全体の境界が固定され かつ外部から何の作用も受けていない場合境界が固定されているので 均一歪は許されない したがって ε = () である () 物体に一定の均一外部歪が作用している場合これは例えば 固溶体状態にある物体が 熱膨張等によって均一に膨張 収縮したいが 境界が固定されているために変形できず 均一に歪んでいる状態を初期状態として相分解が生じるような 場合である この場合 固溶体に初期に導入されている均一歪をε とすると ε = ε (4) と置くことによって計算することができる () 物体全体の境界が固定されていない場合 ( 外力がない場合 ) この場合 物体は自由に膨張 収縮することができる したがって 定常状態における均一歪は 8-4
E ε st = (5) の条件を満足する 具体的に この式に式 () を代入して 均一歪を E ε st l = C ε C δ η ε = δ η l l l l l = (6) のように決定することができる (4) 物体全体の境界が固定されていない場合 ( 外力 σ が作用している場合 ) この場合 まず物体のギブス自由エネルギ-が G = E σ ε (7) st にて与えられる 定常状態における均一歪は 上記 () の時と同じように G ε = (8) の条件を満足するので 具体的にこれに式 (7) と () を代入して 均一歪は G = C ε C δ η σ ε l l l l ε = C σ + δ η l l l = (9) のように決定される C l はC の逆行列であり 弾性コンプライアンス S に等しい l このように 物体全体の拘束条件から均一歪場が決定される したがって 以上から弾性歪エネルギ - やギブス自由エネルギ - を求めることができる ところで 式 (6) を用いて弾性歪を表現すると l ε ε ε ε δε ηδ el () = () () = + () () = δ η + δε () ηδ () = δε () ηδ {() } となり これは 均一歪場の平衡条件を考慮すること と egen 歪をε () ηδ{() } とおくこと が等価であることを意味している また以上は弾性率が定数である場合の定式化であるが 弾性率が濃度場などの秩序変数の関数となっている場合の定式化法もすでに考案されており 詳細については Hu らの文献 [4] を参照していただきたい なお組織形成過程における弾性歪エネルギーを計算する場合には () が (,) t のように時間 t の関数になるので 組織形態が時間変化するたびに逐次 以上の計算を繰り返すことになる 8- まとめ以上 弾性歪エネルギーの定式化について Khhtun の弾性歪エネルギー評価式について説明した ここでは 秩序変数として濃度場のみを取り上げたが 他の規則度場等の秩序変数が複数関 8-5
与してくる場合でも 基本的な定式化手順は同じである 異なる点は egen 歪が濃度場だけでなく他の秩序変数も含めた 組織形態を表現する秩序変数全体の関数として ε () ε () + ε s () ( ) ( s) のように定義される点である 式の変形は複雑になるが 基本的な流れは濃度場のみの場合と同じである 上式によって 濃度場や規則度場のデータが egen 歪場のデータに変換され これと物体全体の拘束条件を境界条件として 弾性歪エネルギーが決定されるのである 参考文献 () A.Khhtun:"Theo of Stutul Tnsfomtons n Solds.", Wle, New Yo, NY, (98) () 森勉, 村外志夫 : マイクロメカニクス, 培風館, (976) () T.Mu; "Momehns of Defets n Solds", nd Rev. Ed., Kluwe Adem, (99). (4) S.Y.Hu nd L-Q.Chen: At Mte., 49(), 979. ************************************ 参考 *************************************** フ - リエ変換の簡単なまとめ フ-リエ変換の定義 F ( ) z = f( )ep( ) d z d z = = π π フ-リエ逆変換の定義 f( ) F( )ep( ) F( )ep( ) d ( ) ( ) () デルタ関数とフ-リエ変換の関係まず F( ) = δ( ) と置く これより f( ) = π F( )ep( ) d = δ ( )ep( ) d = ( ) = π ( π) ( π) ( ) したがって F( ) = f( )ep( ) d = ep( ) d = δ ( ) ep( ) d = δ ( ) である 同様に f ( ) = δ( ) とおくと F( ) = f( )ep( ) d ( )ep( ) d = δ = = であり f( ) = F( )ep( ) d ep( ) d δ ( ) ( π) = ( π) = d = π δ ep( ) ( ) ( ) 8-6
が得られる () フ-リエ変換と逆変換の関係証明 F( ) = f( )ep( ) d = F( )ep( ) d ep( ) d ( π ) ' ' ' ' = F( ) ep{ ( ) } d d ( π ) ' ' ' ' = F( )[ δ( )] d = F( ) δ( ) d F( ) ( π) ' ' ' ( π) ' ' ' = ' ' () 畳込み計算 L F * ( ) F( ) = M z O f ( )ep( ) d P L M z f ( ' )ep( ' ) d ' したがって N zz ' QN = f( ) f( ' )ep{ ( ' )} d' d g " F F " d * ( ) = ( ) ( )ep( ) ( π ) = f ( ) f( )ep{ ( )} d d ep( ) ( π ) ' ' ' " d ' = f( ) f( )ep{ ( + )} d d d ( π ) ' " ' ' ' = f( ) f( ) ep{ ( )} d d d + ( π ) ' " ' ' ' = f() f( )( π) δ( + ) d d ( π ) ' " ' ' ' = f() f( ) δ ( + ) d d ' " ' ' ' = f( ) f( ) ( ) d d ' δ " + ' ' ' = f( ) f( ) d ' ' " ' ' ' O Q P (4) 複素フ - リエ変換フ - リエ変換の定義まずフ - リエ級数は 8-7
f ( ) = A os n + B sn n = A( ) os( ) + B( )sn( ) n= n= n π n π { } () π n () にように表現され 係数 A ( ), B ( ) は / A ( ) = / f( )os( d ) / B( ) = / f( )sn( ) d () と計算される 複素フ - リエ変換の定義以上のフ - リエ表現は オイラ - の関係式を用いて f ( ) = C( ) ep( ) (4) = とも表記することができる 一般的には 振幅 C ( ) も複素数であり C ( ) = C( ) + C( ) (5) と表される これより f( ) = C( ) ep( ) = = { C ( ) + C ( )}{os( ) + sn( )} = = { C ( ) + C ( )}{os( ) sn( )} = [ C( )os( ) C( )sn( ) { C( )sn( ) C( )os( )} ] = + + + = (6) と展開することができる さて 関数 f ( ) が実関数である場合 式 (6) の虚数項は存在しないのであるから C ( ) = C ( ) C ( ) = C ( ) (7) が成立する この条件はまとめて C ( ) + C ( ) = C ( ) C ( ) C = C * ( ) ( ) (8) 8-8
とも表記できる 式 (4) の逆フ-リエ変換によって C ( ) は / / / C ( ) = f( ) ep( d ) = f( ) os( d ) + f( )sn( d ) / / / (9) と計算され これと式 () を比較することによって / A ( ) = C ( ) = / f( )os( d ) / B( ) = C ( ) = / f( )sn( ) d () であることがわかる 以上より関数 f ( ) が実関数である場合 虚数項を除いて改めて式 (6) を書くと { } () f ( ) = C ( )os( ) + C ( )sn( ) = と表現できるが 高速フ-リエ変換を用いた実際の数値計算では このC ( ) とC ( ) が得られる 振幅項に演算を施した場合の逆フ-リエ変換しばしば 高速フ-リエ変換して得られたC ( ) とC ( ) に何らかの演算を施した後 それらを逆フ-リエ変換して 実空間の物理量を求める場合がある この際 演算後の振幅成分の奇関数および偶関数が変化する場合が出現するので注意を要する 具体的に C ( ) とC ( ) に をかけて逆フ-リエ変換する場合を考えてみよう g( ) = C( ) ep( ) = = { C ( ) + C ( )}{os( ) sn( )} = = [ C( )os( ) C( )sn( ) { C( )sn( ) C( )os( )} ] = + + + = { C ( )os( ) C ( )sn( )} = () のようになり g ( ) は実関数ではなくなってしまっている 同様に今度は C ( ) とC ( ) に をかけて逆フ - リエ変換してみよう ( これは による 階微分に相当する ) ( ) = ( ) ep( ) h C = { C( ) C( )}{os( ) sn( )} = = + = C( )os( ) + C( )sn( ) + { C( )sn( ) + C( )os( )} = = + = { C( )}os( ) { C( )}sn( ) () となり h ( ) は実関数のままである つまり C ( ) とC ( ) に偶関数を作用させた場合は まと 8-9
もに逆フ-リエ変換を行って差し支えないが 奇関数を作用させ逆フ-リエ変換した際に得られる関数は もはや実関数ではなくなっている 奇関数を作用させ かつ逆フ-リエ変換後の関数が実関数である場合の例としては 奇数回微分操作がある 微分によって 展開基底である sn と os が入れ替わるので 結局展開基底の偶奇が入れ替わる事になり 奇関数を作用させた後 逆フ-リエ変換した関数は実関数となる ただし この場合 常に- も同時に作用させる必要がある すなわち 例えば ではなく を作用させる ( これは による 階微分に相当する ) 具体的に計算してみよう g( ) = C( ) ep( ) = = { C ( ) C ( )}{os( ) sn( )} = [ C( ) os( ) C( ) sn( ) { C( ) sn( ) C( ) os( )} ] = = { C ( ) sn( ) C ( ) os( )} = = { C ( )os( ) C ( )sn( )} = + + = = {( ) C ( ) os( ) ( ) C ( ) sn( )} = (4) となる なお先の 階微分は を 回作用させ ( )( ) = とした場合に対応している ここで 式 () と (4) の和は u ( ) = g ( ) + h ( ) {( ) C( ) ( C ) ( )}os( ) {( ) C( ) ( C ) ( )}sn( ) = = + + (5) と表現される これより 実空間における微分演算を逆空間で行う場合 C ( ) とC ( ) に作用さ せる実関数を q m m m m m m ( ) = ( ) = ( ) ( ) = ( ) ( ), ( ) q = = = = n ) n+ n n n n n+ ( ) ( ) ( )( ) ( )( ) ( ) ( )( ) ( ), ( (6) とし [ ] p( ) = { q ( ) C ( ) + q ( ) C ( )}os( ) + { q ( ) C ( ) q ( ) C ( )}sn( ) = m m n n+ {( ) ( ) C( ) + ( )( ) ( ) C( )}os( ) = m m n n+ = + {( ) ( ) C( ) ( )( ) ( ) C( )}sn( ) = m m {( ) ( ) ( n n+ C ) + ( ) ( ) C ( )}os( ) m m n n+ = + {( ) ( ) C( ) ( ) ( ) C( )}sn( ) (7) として良いことがわかる さらにこれは 8-
[ ] (8) p( ) = { QC ( ) ( ) + QC ( ) ( )}os( ) + { QC ( ) ( ) QC ( ) ( )}sn( ) = Q m n m m n n+ ( ) ( ) ( ) + ( ) ( ), (, ) (9) と書き直すことができる 一見 余分な項が含まれているようにように見えるが 余分な部分は和を取る際にキャンセルアウトされている 次元の場合まず 次元における複素フ - リエ変換は + () = = f (, ) = C(, ) ep{ ( )} にて定義される 振幅 C (, ) は C (, ) = C(, ) + C(, ) () と表される これより f(, ) = C(, ) ep{ ( + )} = = = { C (, ) + C (, )}ep{ ( + )} = = = { C (, ) + C (, )}[os( + ) sn( + )] = = = C(, )os( + ) + C(, )sn( + ) + { C (, )os( + ) C (, )sn( + ) } = = () と展開される さて先と同様に 関数 f (, ) が実関数である場合 式 () の虚数項は存在しないのであるから os( + ) = os( ) os( ) sn( ) sn( ) sn( + ) = sn( ) os( ) + os( ) sn( ) を考慮して C(, ) = C(, ), C(, ) = C(, ) C (, ) = C (, ), C (, ) = C (, ) が成立する この条件はベクトルで表現した方がわかりやすい すなわち C ( ) = C ( ) C ( ) = C ( ) () 8-
である さらにこの条件はまとめて C ( ) + C ( ) = C ( ) C ( ) C = * ( ) C ( ) (4) とも表記できる 式 () の逆フ-リエ変換によって C (, ) は / / C (, ) = f(, )ep{( )} dd / + / (5) / / / / = f (, )os( ) (, )sn( ) dd f / / dd + + / + / と計算され / / C(, ) = f (, ) os( ) dd / + / / / C(, ) = f (, )sn( ) dd + / / (6) であることがわかる 以上より関数 f ( ) が実関数である場合 虚数項を除いて改めて式 () を書くと { + } f (, ) = C (, )os( + ) + C (, )sn( ) = = (7) と表現できるが 高速フ-リエ変換を用いた実際の数値計算では この C(, ) とC(, ) が得られる 多次元の場合先の議論をそのまま多次元に拡張してみよう まず多次元における複素フ - リエ変換は f() = C( )ep( ) = (8) にて定義される 振幅 C( ) は C( ) = C ( ) + C ( ) (9) と表される これより 8-
f( ) = C( ) ep( ) = = { C ( ) + C ( )}ep( ) = = { C ( ) + C ( )}{os( ) sn( )} = { } = C( )os( ) + C( )sn( ) + C( )os( ) C( )sn( ) = () と展開される さて先と同様に 関数 f () が実関数である場合 式 () の虚数項は存在しないのであるから C ( ) = C ( ) C ( ) = C ( ) () が成立する さらにこの条件はまとめて C ( ) + C ( ) = C ( ) C ( ) C = * ( ) C ( ) () とも表記できる 式 (8) の逆フ-リエ変換によって C( ) は C( ) = f( ) ep( ) d f( ) os( ) d f( ) sn( ) = + d () と計算され C ( ) = f( )os( ) d C ( ) = f( )sn( ) d (4) であることがわかる 以上より関数 f () が実関数である場合 虚数項を除いて改めて式 () を書くと = { + } f() C ( )os( ) C ( )sn( ) = (5) と表現できる 高速フ-リエ変換を用いた実際の数値計算では このC ( ) と C ( ) が得られる さて C ( ) やC ( ) にある関数 B( ) をかけて 逆フ-リエ変換をする場合 B( ) が偶関数で B( ) = B( ) ならば B( ) C( )os( ) + B( ) C( )sn( ) f ( ) = = + { B( ) C( )os( ) B( ) C( )sn( ) } = { B( ) C ( )os( ) + B( ) C ( )sn( ) } = 8-
とすれば良い 偶関数の B( ) = B( ) である場合の例としては B( ) =,,,,, などが重要である 8-4