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< 図形と方程式 > 点間の距離 A x, y, B x, y のとき x y x y : に分ける点 æ ç è A x, y, B x, y のとき 線分 AB を : に分ける点は x x y y, ö ø 注 < のとき外分点 三角形の重心 点 A x, y, B x, y, C x, を頂

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

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1. 線形シフト不変システムと z 変換 ここで言う システム とは? 入力数列 T[ ] 出力数列 一意変換 ( 演算子 ) 概念的には,, x 2, x 1, x 0, x 1, x 2, を入力すると, y 2, y 1, y 0, y 1, y 2, が出力される. 線形システム : 線形シ

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Transcription:

制御工学 I 第二回ラプラス変換 平成 年 4 月 9 日 /4/9

授業の予定 制御工学概論 ( 回 ) 制御技術は現在様々な工学分野において重要な基本技術となっている 工学における制御工学の位置づけと歴史について説明する さらに 制御システムの基本構成と種類を紹介する ラプラス変換 ( 回 ) 制御工学 特に古典制御ではラプラス変換が重要な役割を果たしている ラプラス変換と逆ラプラス変換の定義を紹介し 微分方程式のラプラス変換について解説する 制御システムのモデリングと伝達関数 (3 回 ) システムの相似性について概説し システムの入出力特性を表す手法である伝達関数について詳述する システムの図的表現であるブロック線図とその等価変換について解説する 過渡特性 (3 回 ) システムの過渡状態を評価する方法であるインパルス応答とインディシャル応答について解説する システムの速応性や安定性の指標である整定時間 立ち上がり量 行き過ぎ量について述べる 安定性 ( 回 ) システムの安定性の概念を述べ 安定性を判定する代数的方法であるラウス - フルビッツの方法について説明する 周波数特性 (4 回 ) 周波数領域におけるシステムの特性を周波数特性という 周波数特性と伝達関数との関係を説明し ベクトル軌跡とボード線図の作成方法を説明する /4/9

ラプラス変換 Pirr Simo lc 749/Mr./3 87/Mr./5 フランス /4/9 3

ラプラス変換 線形常微分方程式 lc 変換 d 微分 積分演算を, 複素変数 ( 演算子 )を用いて表す事により, 代数演算として扱う事を可能にする変換 代数方程式の解を求める事で, 微分方程式を求解 逆 lc 変換により, 通常の微分方程式の解として 表す d q i Cv C q E Ri v Ri C d v 一般解 q RC /4/9 4 EC 特解 E S i R C

複素変数 関数の復習 ラプラス変換では実関数から複素関数へ変換 複素関数 複素変数の性質を持つ σ 複素変数に対する関数も複素量として表される F ( ) F x Fy 振幅 F x F y 位相 rc ( F ) y F x 逆回転の ( 共役 ) 複素数 F ( ) F x Fy /4/9 5

ラプラス変換 定義 () < ( ) 時間関数 に対して 複素変数 : ラプラス演算記号 F () ( ) ラプラス変換の定義 関数のラプラス変換 [ () ] F() () () d () 部分積分 g dx [ g] gdx /4/9 6

ラプラス変換 ラプラス変換の効能 線形常微分方程式を代数方程式に変換できる F () ( ) ( ) 従って [ ] d ( ) ( ) d () lim d ( ) F () () ラプラス変換関数と初期値で表せる /4/9 7

/4/9 8 ラプラス変換 高次の微分方程式の変換 () () () () () ( ) () () [ ] ( ) () () () F F d F d d () ( ) ( ) ( ) F d

ラプラス変換 原関数が で不連続の場合 で微分できない ステップ関数等 の周りで分ける ( ) ( ) ( ) d F() ( ) d ( ) F() ( ) < /4/9 9 ただし ( ) ラプラス変換では, 微分方程式を代数方程式の形で表せる 微分方程式を求解するという点では, まだその効能は不明

ラプラス逆変換 ラプラス変換した関数から原関数を求める Bromwich 積分 ( 複素積分 ) c [ ()] () F F () d π c ただしcは定数, 特異点より大きい必要有 この積分はめんどい 部分分数展開して, 逆変換を簡単化する /4/9

ラプラス逆変換 原関数 () のラプラス変換 F() (),B() はの多項式 () の次数はB() より大 部分分数展開 分母関数の因数分解必要 F ラプラス逆変換 ( ) F ( ) F ( ) F ( ) /4/9 () F B ( ) () [ F ( )] [ F ( )] [ F ( )] [ F ( )] () () ()

/4/9 ラプラス逆変換 関数 F() が重根を持たない場合 部分分数展開 () ( ) () ( )( ) ( ) ( )( ) ( ) m z z z K B F m < ( ) () () ( ) ( ) ( ) ( ) B 係数 が求まる

/4/9 3 ラプラス逆変換 関数 F() が重根を持たない場合 部分分数の逆変換 全体 ( ) ( ) [ ] F

線形時不変常微分方程式の解法 微分方程式の求解において積分定数の算出が必要 ラプラス変換では初期値込みで計算 d/をに置き換えて計算できる ラプラス変換での微分方程式の求解法 微分方程式をラプラス変換し,に関する代数方程式に変換 ラプラス逆変換で時間領域の解を得る /4/9 4

ラプラス変換の適用範囲 関数 () のラプラス変換が存在するには, ラプラス積分が収束する必要有 収束の条件 任意の>において,() が区分連続 関数 () は指数 α 位の関数 ( 指数位数 αの指数 α 関数 ) ( ) σ α lim 収束座標 σ-α において への収束条件は σ>-α () /4/9 5 は, の実部である σ が収束座標実部より大きい時収束

ラプラス変換の収束性 ラプラス変換が発散する ( 定義不可 ) の例 ( ) [ () ] () 4 ( ) ( ) ただし, 時間を有限に区切れば収束する () /4/9 6 < T, T < < 4

ラプラス変換の諸性質 ラプラス変換の線形作要素としての性質 関数の定数倍 [ ( ) ] [ ( ) ] 和 [ () ( ) ] [ ( ) ] [ ( ) ] /4/9 7

ラプラス変換の諸性質 指数関数 () α [ () ] () α < α [ ] ( α ) ( α ) α () ただし, 収束するには の実部は -α より大 /4/9 8

ラプラス変換の諸性質 ステップ関数 () [ () ] () < [ ] ただし, 収束するにはの実部はより大 の場合を単位ステップ関数 () /4/9 9

ラプラス変換の諸性質 ランプ ( 傾斜 ) 関数 部分積分 同様にして [ () ] () () [ ]! < () /4/9 () 3 ()

線形時不変常微分方程式の求解例 二次の微分方程式と初期値 && x 3 x& x, x( ), x& ( ) b ラプラス変換 [ x( )] X ( ) [ x& () ] X () x() X () [ && x() ] X () x() x& () X () b [ () ( ) ( )] X x x& 3[ X ( ) x( ) ] X ( ) [ () ] X b 3[ X ( ) ] X ( ) [ ] 3 X ( ) b 3 [ 3 ] X ( ) b 3 /4/9

/4/9 線形時不変常微分方程式の求解例 部分分数展開 逆変換 () ( )( ) 3 3 3 b b b b X ( ) ( ) ( ) 3 b b X S の項 S の項 ( ) ( ) ( ) 3 b b X () ( ) [ ] ( ) ( ) b b b b X x この例は, 重根無しの最も簡単なもの もう少し複雑な微分方程式を解くために, ラプラス変換の諸性質を知る事が必要

おまけ /4/9 3

/4/9 4 ラプラス変換の諸性質 正弦波関数 オイラーの公式 () < i () [ ] () ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) i ()

/4/9 5 ラプラス変換の諸性質 余弦波関数 オイラーの公式 () < co () [ ] () ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) co ()

/4/9 6 複素変数 関数の復習 複素関数の微分 ( 正則関数 微分可能 ) 変数 直交平面上で極限のとり方が一意でない 実軸上での微分 虚軸上での微分 () ( ) ( ) d d lim lim σ () σ σ σ σ σ y x y x d d lim () y x y x d d lim

/4/9 7 複素変数 関数の復習 複素関数の微分 複素微分可能 どのような近づけ方でも一つの値に収束 コーシー リーマンの関係 σ σ y x y x σ σ x y y x