有限要素法入門 中島研吾 東京大学情報基盤センター
EM-ntro 有限要素法入門 偏微分方程式の数値解法 重み付き残差法 偏微分方程式の数値解法 変分法
EM-ntro 差分法と有限要素法 偏微分方程式の近似解法 全領域を小領域 メッシュ 要素 に分割する 差分法 微分係数を直接近似 Tylor 展開
nte fference Method M Tylor Seres Epnson -!!!! nd -Order Centrl fference! 4 EM-ntro
5 nte fference Method M 有限 差分法 : 巨視的微分 mcroscopc dfferentton d d d d / / lm /
EM 6 nd Order fferentton n M Tylor Seres Epnson Appromte ervtve t center of nd - / d / d : Rel ervtve nd-order ff. t d d d d d / d / - -/ /
Intro- 一次元熱伝導方程式要素単位の線形方程式 各要素における線形方程式は以下のような形になる / / d d d d d d 差分法による離散化 A A A N B A A A R L R L B d d N B N B 差分法 7 EM-ntro
EM-ntro 8 差分法と有限要素法 偏微分方程式の近似解法 全領域を小領域 メッシュ 要素 に分割する 差分法 微分係数を直接近似 Tylor 展開 有限要素法 nte Element MethodEM 積分形式で定式化された 弱形式 ek form を解く 微分方程式の解 古典解 に対して 弱解 ek solton 重み付き残差法 変分法 複雑形状への適用 差分でもある程度の複雑形状は扱うことが可能
EM-ntro 9 差分法で複雑形状を扱う例 Hndbook of Grd Generton 座標変換
EM-ntro 分でわかる有限要素法 nte-element Method EM 偏微分方程式の解法として広く知られている elements meshes 要素 & nodes vertces 節点 以下の二次元熱伝導問題を考える : T T λ y Q 6 節点 9 要素 四角形 一様な熱伝導率 λ 一様な体積発熱 Q 節点 で温度固定 :T 周囲断熱 4 5 6 7 8 9 9 4 5 6 5 6 7 8 4
EM-ntro 分でわかる有限要素法 Glerkn EM procedres 各要素にガラーキン法を適用 : V T T y [ N] T λ Q dv 各要素で : T [ ] } N { [N] : 形状関数 内挿関数 偏微分方程式に対して ガウス グリーンの定理を適用し 以下の 弱形式 を導く V V λ T T [ N] [ N] [ N] [ N] T [ ] dv Q N y y dv { } 4 5 6 7 8 9 9 4 5 6 5 6 7 8 4
Element Mtr: 要素マトリクス 各要素において積分を実行し 要素マトリクスを得る e B C A } { } ]{ [ e e C e B e A e e C e B e A e e C e B e A e C e CC e CB e CA e B e BC e BB e BA e A e AC e AB e AA e e e f f f f k k k k k k k k k k k k k k k k f k [ ] [ ] [ ] [ ] { } [ ] dv Q N dv y N y N N N V T T T V λ 分でわかる有限要素法 EM-ntro
Globl/overll Mtr: 全体マトリクス各要素マトリクスを全体マトリクスに足しこむ 4 5 6 7 8 9 4 5 6 7 8 9 4 5 6 6 5 4 9 8 7 6 5 4 6 5 4 9 8 7 6 5 4 } { } ]{ [ K 分でわかる有限要素法 EM-ntro
Globl/overll Mtr: 全体マトリクス各要素マトリクスを全体マトリクスに足しこむ 4 5 6 7 8 9 4 5 6 7 8 9 4 5 6 6 5 4 9 8 7 6 5 4 6 5 4 9 8 7 6 5 4 } { } ]{ [ K 分でわかる有限要素法 4 EM-ntro
得られた大規模連立一次方程式を解くある適切な境界条件 ここでは を適用 疎 ゼロが多い な行列 6 5 4 9 8 7 6 5 4 6 5 4 9 8 7 6 5 4 分でわかる有限要素法 5 EM-ntro
EM-ntro 分でわかる有限要素法 6 計算結果 T λ T y Q 4 5 6 7 8 9 9 4 5 6 5 6 7 8 4
EM-ntro 7 有限要素法の歴史 航空機の構造計算の手法として 95 年代前半 ボーイング社 ワシントン大学 Unversty of Wshngton の研究者ら M.J.Trner H.C.Mrtn によって提案 後退翼 : 梁理論では対応できない 様々な分野への拡張 非線形 :T.J.Oden 構造力学以外の分野 :O.C.Zenkecz 商用パッケージ NASTRAN NASA によって開発された有限要素法による構造解析プログラム 米国 MSC 社によって商用化 製造業において広く使用されている PC 化により爆発的に普及
EM-ntro 8 参考文献 / 菊地 有限要素法概説 新訂版 サイエンス社 999. 竹内 樫山 寺田 日本計算工学会編 計算力学 : 有限要素法の基礎 森北出版. 登坂 大西 偏微分方程式の数値シミュレーション第 版 東大出版会. 差分法 境界要素法との比較 福森 よくわかる有限要素法 オーム社 5. ヘルムホルツ方程式 矢川 宮崎 有限要素法による熱応力 クリープ 熱伝導解析 サイエンス社 985. 品切 Segerlnd L. 川井監訳 応用有限要素解析第 版 丸善 99. 品切
EM-ntro 9 参考文献 / sh Belytschko 山田 永井 松井訳 有限要素法 丸善 8. 原著 A rst Corse n nte Elements ABAQUS Stdent Edton が附属
EM-ntro 参考文献 より進んだ読者向け 菊池 岡部 有限要素システム入門 日科技連 986. 山田 高性能有限要素法 丸善 7. 奥田 中島 並列有限要素法 培風館 4. Smth I. 他 Progrmmng the nte Element Method 4th edton Wley.
EM-ntro 有限要素法入門 偏微分方程式の数値解法 重み付き残差法 偏微分方程式の数値解法 変分法
EM-ntro 偏微分方程式の近似解法 領域 V 境界 S における以下の微分方程式を解くことを考える 境界値問題 : L f 微分方程式の解 が以下のような関数 M で近似的に表されるものとする 一次結合 線形結合 : M M Ψ Ψ 領域 境界において定義される 位置座標のみ既知関数 互いに独立である : 試行関数 trl/test fncton と呼ばれる 線形代数における基底 bss に相当する 係数 未知数
EM-ntro 重み付き残差法 Method of Weghted Resdl MWR 以下に示す残差 resdlr が であれば厳密解である : R L M f 重み付き残差法では残差 R に重み関数 eght/eghtng fncton を乗じて 領域全体で積分した量が になるような条件を考える : V R M dv 重み付き残差法は 残差 の条件を領域において 平均的に 満たす近似解法である
EM-ntro 4 変分法 Rtz 法 / 多くの問題においては汎関数 fnctonli が存在し 厳密解 が I を極値にすること 停留 が知られている 汎関数が極値を持つために が満たすべき微分方程式をオイラー Eler 方程式という 逆に Eler 方程式を満たすためには が I を停留させていれば良い 例えば 弾性力学の支配方程式 平衡方程式 仮想仕事の原理 と等価な汎関数は 最小ポテンシャルエネルギの原理 ひずみエネルギ最小の法則 である
EM-ntro 5 変分法 Rtz 法 / 以下の近似解の式をI に代入し I M I M が極値になるようにすれば 係数 が求められ M が決定される M M Ψ 変分法は偏微分方程式の近似解法としては 理論的 数学的 物理的な背景が堅牢で理解しやすいのであるが 等価な変分問題を持つような微分方程式で無いと適用できない : 本授業では重み付き残差法を使用する 厳密解 解析解に近いものと考えられる
EM-ntro 6 有限要素法 全体を細かい要素に分割し 各要素に対して以下の近似を適用する : M M Ψ 各要素に対して 重み付き残差法 または変分法 後述 を適用する 全体の効果を足し合わせて 結果的に得られる連立一次方程式を解くことによって 偏微分方程式の近似解を求める 分で分かる有限要素法
EM-ntro 7 重み付き残差法の例 / 熱伝導方程式 Q y T T λ T t 境界 S n 領域 V S V 近似解 j n j j T Ψ λ: 熱伝導率 領域 V で一様 Q: 体積あたり発熱量 残差 Q y y R j j n j j j Ψ Ψ λ
EM-ntro 8 重み付き残差法の例 / 重み関数 を乗じて積分 R dv V 重み関数 が n 個の異なる関数であるとすれば 上式は n 個の連立一次方程式となる 試行関数の数 重み関数の数 n j Ψj Ψ j j λ dv Q dv y V V... n
EM-ntro 9 重み付き残差法の例 / 行列の形式で書くと以下のようになる [ B ]{ } { Q} B j Ψj Ψ j λ dv y V Q V Q dv 実際はこれとは少しちがう
EM-ntro 様々な重み付き残差法 重み関数の定義の仕方が異なる 選点法 Collocton Method 最小二乗法 Lest Sqre Method ガラーキン法 Glerkn Method
EM-ntro 選点法 Collocton Method ディラックのデルタ関数を重み関数として選ぶ 引数 のとき無限大 それ以外では の値をとる 積分すると δ : 座標ベクトル デルタ関数の性質を利用して n 個の選点 collocton pont で残差 R が になるように定め n を増加させることによって領域全体で残差 となる dv R Rδ V
EM-ntro 最小二乗法 Lest Sqre Method 重み関数として 以下を与える : R 以下の積分を未知数 について最小化する : [ ] dv R I V [ ] dv R R I V dv R R V
EM-ntro ガラーキン法 Glerkn Method 重み関数 試行関数 Ψ Glerkn Bors Grgorevch 87-945 ロシア 旧ソビエト連邦の工学者 数学者にして技術者 96 年 ~97 年に反帝政派として投獄中にガラーキン法のアイディアを考えついたらしい
EM-ntro 4 支配方程式 d d 境界条件 @ @ 例題 / 厳密解 確かめてみよ sn sn 固定境界条件 第一種境界条件 rchlet 型境界条件とも呼ぶ 従属変数の微分係数が境界条件として与えられる場合を第二種または Nemnn 型境界条件と呼ぶ
EM-ntro 5 厳密解 sn sn.8.6.4...5.5.75.
EM-ntro 6 例題 / 近似解を以下のように仮定する : Ψ Ψ Ψ Ψ 試行関数 : @ を満たす 残差は以下のように表される : R 6 この問題に重みつき残差法の各手法を適用してみよう 未知数 試行関数 は の つなので 独立な 重み関数も つになる
EM-ntro 7 選点法 Collocton Method n であるので /4/ を選点とすると : R R 4 R 6 したがって : 9 /6 7 / 4 5 / 64 7 / 8 / / 4 6 4 7 4 7 4
EM-ntro 8 最小二乗法 Lest Sqre Method 定義により : したがって : 99 55 57 77 6 R R 6 d R d R R d R d R R 467 47 467 466 47 466 467 6 R
EM-ntro 9 ガラーキン法 Glerkn Method 定義により : したがって : / / /5 / / / 4 7 69 7 Ψ Ψ Ψ Ψ d R d R d R d R 6 7 69 6 R
EM-ntro 4 計算結果の比較 Anlytcl Collocton.5-.5 Collocton.-.67 Lest- Sqre Glerkn.5.44.449.446.4.448.5.6975.74.7.687.6944.75.66.6.684.59.69 ガラーキン法が最も精度がよい 汎関数がある問題については 変分法とガラーキン法は答えが一致する 菊地 岡部 矢川 宮崎 一種の解析解 多くの商用コードでガラーキン法を使用 本授業でも今後ガラーキン法を扱う 高レイノルズ数 Nver-Stokes 方程式など 最小二乗法を適用して安定化する場合もある
EM-ntro 4 有限要素法入門 偏微分方程式の数値解法 重み付き残差法 偏微分方程式の数値解法 変分法
EM-ntro 4 再出 変分法 Rtz 法 / 多くの問題においては汎関数 fnctonli が存在し 厳密解 が I を極値にすること 停留 が知られている 汎関数が極値を持つために が満たすべき微分方程式をオイラー Eler 方程式という 逆に Eler 方程式を満たすためには が I を停留させていれば良い 例えば 弾性力学の支配方程式 平衡方程式 仮想仕事の原理 と等価な汎関数は 最小ポテンシャルエネルギの原理 ひずみエネルギ最小の法則 である
EM-ntro 4 再出 変分法 Rtz 法 / 以下の近似解の式をI に代入し I M I M が極値になるようにすれば 係数 が求められ M が決定される M M Ψ 変分法は偏微分方程式の近似解法としては 理論的 数学的 物理的な背景が堅牢で理解しやすいのであるが 等価な変分問題を持つような微分方程式で無いと適用できない : 本授業では重み付き残差法を使用する
EM-ntro 44 汎関数 変分法による近似解例 /4 d I d d 境界条件 @ @ 汎関数 I を上記の境界条件のもとに停留させる を求めよ 対応するオイラー方程式は以下である 重み付き残差法と同じ : d B- d
EM-ntro 45 変分法による近似解例 /4 回連続微分可能な関数 に対して n 次の試行関数を以下のように仮定する : n n 試行関数の次数 n を増加させることにより n は真の解 に近づくことから 汎関数 I も I n によって近似可能である I n が停留すれば I も停留する 未知係数 k に対して 以下の停留条件を満たす k を求めれば良い : I k k n n ~ n B- B-
EM-ntro 46 リッツ Rtz 法 式 B- は ~ n を未知数とする連立一次方程式となる この解を式 B- に代入することにより I n を停留させる解 すなわちオイラー方程式 B- を満たす解の近似解 が得られる 近似解ではあるが 停留条件を厳密に満たす このように 関数 を有限個の試行関数の列に展開し その際に導入される未知定数によって汎関数を停留する解を求める方法をリッツ Rtz 法と呼ぶ
EM-ntro 47 変分法による近似解例 /4 リッツ法適用 n I { } d d d I { } d d d
/4 の補足 / リッツ法適用 n d d d I [ ] [ ] [ ] d d
/4 の補足 / { } { } d d d [ ] [ ] [ ] d d I
/4 の補足 / { } { } 4 d d d [ ] [ ] [ ] d d I
EM-ntro 5 変分法による近似解例 4/4 これを整理すると以下のようになる : / / / /5 / / 7 69 7 4 7 69 6 この結果はガラーキン法と一致する 決して偶然ではない
EM-ntro 5 ガラーキン法 Glerkn Method 定義により : したがって : / / /5 / / / 4 7 69 7 Ψ Ψ Ψ Ψ d R d R d R d R 6 7 69 6 R 試行関数 : @ を満たす
EM-ntro 5 リッツ法とガラーキン法 /4 I I d d d I { } d d d d d d d d { } d d d d d d d d [ ] d d d d d d d d d d d d
EM-ntro 54 リッツ法とガラーキン法 /4 I { } d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d d Ψ Ψ d d d d d d d d d d d d d d d d
EM-ntro 55 リッツ法とガラーキン法 /4 I d d d d d d d d I d d d d d d d d ガラーキン法そのもの d d
EM-ntro 56 リッツ法とガラーキン法 4/4 今回示したのは非常に特殊な例ではあるが 一般的に汎関数が存在する場合 ガラーキン法とリッツ法は一致する リッツ法は近似解ではあるが オイラー方程式を厳密に満たしているので 厳密解 により近いと言える ガラーキン法の 精度 が高い理由 この事実だけをとりあえず覚えておいてください 汎関数が存在しない場合は成立しない 精度 安定性等の観点からガラーキン法が最良でない場合もある