静岡県臨床検査技師会精度管理調査

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1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

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リンパ球は 体内に侵入してきた異物を除去する (= 免疫 ) 役割を担う細胞です リンパ球は 骨の中にある 骨髄 という組織でつくられます 骨髄中には すべての血液細胞の基になる 造血幹細胞 があります 造血幹細胞から分化 成熟したリンパ球は免疫力を獲得し からだを異物から守ります 骨髄 リンパ球の

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STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

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検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

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2009年8月17日

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患者必携 がんになったら手にとるガイド 編著 国立がん研究センターがん対策情報センター 発行 学研メディカル秀潤社 患者必携 血液 リンパのがんの療養情報 白血病や悪性リンパ腫などの血液 リンパのがんでは 全身の病気として薬物療法 抗がん剤治療 による治療を中心に行います 治療の間は感染予防を 治療

第 7 6 回内科学研鑽会臨床病理検討会 日時 :2013 年 2 月 2 日 ( 土 ) 午後 2 時から場所 : 市立堺病院 ( 大阪府堺市堺区南安井町 1 丁 1 1) 3 階講堂症例 : 股関節痛と発熱を来たし 死の転帰をとった 47 歳男性 縮 ( 大腿周径 :R 46.

基準値一覧 ( 平成 24 年 6 月 1 日 ) 独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床検査科

125 2 P 1st washout 2 PB P mg/dL nd washout 2 P 5.5mg/dL< mg/dL <2.5mg/dL P P 2 D D 3 Ca 10

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質の高い病理診断のために 病理技術 診断基準の標準化を 目指した精度評価を実現します

血液内科的データ解釈

70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

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入院時検査所見検査所見 WBC /µl RBC /µl Hb 13.4 g/dl Ht 38.4 % MCV 85.7 Fl MCH 29.2 pg MCHC 34.9 % PLT /µl PT-% 63.8 % PT-INR 1.23 APTT

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ロミプレート 患者用冊子 特発性血小板減少性紫斑病の治療を受ける患者さんへ

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

血清学的検査 Ⅰ. はじめに 平成 27 年度の免疫血清学的検査部門精度管理調査として下記の要領でサーベイを実施し たので報告する 登録衛生検査所 10 施設と一般病院等 60 施設の計 70 施設を対象に実施し た 試料を配布した全 70 施設中 69 施設より回答があり 全体の回収率は 98.6

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

検査項目情報 EBウイルスVCA 抗体 IgM [EIA] Epstein-Barr virus. viral capsid antigen, viral antibody IgM 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLA

Transcription:

平成 26 度第 31 回静岡県臨床検査精度管理調査報告 血液検査形態部門 参加施設数 66 施設 ( 平成 25 年度 64 施設 ) 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院検査技術室鈴木勝己

血液検査形態部門参加施設内訳 施設分類施設数率 (%) 一般病院 (Ⅰ~Ⅲ) 48 72.7 検査所 10 15.2 その他 (8 施設 :12 1%) 診療所 3 4.5 健診センター 1 1.5 検診センター 1 1.5 精神病院 1 1.5 その他 2 3.0

一般病院 (48 施設 ) の施設区分と病床数 区分 / 病床数 未記入 20~99 100~ 199 200~ 299 300~ 499 500~ 699 700~ 999 Ⅰ: 特定機能 2 2 施設 (%) 100 Ⅱ: 地域医療支援 2 1 4 8 3 18 施設 (%) 11.1 5.5 22.2 44.4 16.7 Ⅲ: 機能指定なし 3 5 6 6 5 3 28 施設 (%) 11.5 19.2 23.1 23.1 19.2 11.5

配布試料 今年度も業務を反映する精度管理調査を理想に掲げ静岡県内で実施する小規模調査だから実現可能な 実際の標本観察による血液像精度管理調査を実施した ウェッシ 法にて作成しメイ キ ムザ染色した 末梢血塗抹標本 2 種類 ( 試料 27,28) を試料 とし調査を実施した

試料 27 調査目的 61 歳男性 マラリア原虫 ( 環状体 ) 検出 桿状核球と分葉核球の分類状況確認 実施要項の患者年齢が 81 歳になっていました 訂正をお願いします

試料 27 現病歴 初診時より 14~21 日前までギニアに渡航 していた 現地滞在中や帰国後 3 日前まで は変わった様子なし 2 日前より悪寒を感じることが何度かあっ たが 体温は平熱であった 当日 37 台の発熱ありその後 38.7 まで 体温上がり 悪寒も続いた為 当院救急外来受診

試料 27 参考検査データ (Ⅰ) 血算 WBC( 10 2 /μl) 66 RBC( 10 4 /μl) 531 Hgb(g/dl) 16.3 Hct(%) 45.8 MCV(fL) 86.3 MCH(pg) 30.7 MCHC(g/dl) 35.6 PLT( 10 4 /μl) 13.6 機器による白血球分類 Neutro(%) 86.5 Lympho(%) 9.5 Mono(%) 3.8 Eosino(%) 0.0 Baso(%) 0.2 機器メッセージ Lymphopenia : リンハ 球減少

試料 27 参考検査データ (Ⅱ) 凝固 PT ( 秒 ) 13.0 (%) 74 (INR) 1.14 APTT( 秒 ) 30.3 ( 対照コントロール秒 ) 30.4 フィフ リノーケ ン (mg/dl) 525 FDP(μg/ml) 4.7 生化学 TP(g/dl) 8.0 Alb(g/dl) 4.1 AST(U/L) 28 ALT(U/L) 24 LDH(U/L) 279 ALP(U/L) 253 T Bil (mg/dl) 0.9 BUN(mg/dl) 9 Cre(mg/dl) 0.93 CRP(mg/dl) 1.61

マラリアについて マラリア原虫感染ハマタ ラ蚊に刺されることにで赤血球内感染がおこり発症する熱性疾患 世界中で年間 3~5 億人が感染し 150~200 万人 ( ほとんどが熱帯熱 ) の死亡者がある 海外 ( 特定の地域 ) で感染する輸入感染症 日本では年間 100 人程度の患者報告がある 診断 血液塗抹標本によるマラリア原虫の確認 PCR による病原体遺伝子の検出 マラリア抗原検出キットでの検出

各種マラリアの特徴 熱帯熱マラリア 3 日熱マラリア 4 日熱マラリア卵形マラリア 感染赤血球 潜伏期 * 形態 分裂体のメロゾイト数感染赤血球の原虫数 幼若赤血球 ( 全赤血球に感染可能 ) 7~14 日 通常輪状体のみ一部バナナ型の生殖母体 2 週齢までの赤血球 12~17 日またはそれ以上 不定形の後期輪状体および栄養型 膨大した赤血球 schuffner 班点 網状赤血球 18~40 日またはそれ以上 バンド状あるいは長方形の栄養型が一般的 高日齢の赤血球 11~18 日またはそれ以上 膨大鋸歯状端を有する卵形の感染赤血球 schuffner 班点 8 ~ 18 個 12 ~ 24 個 8 ~ 12 個 6 ~ 12 個 2 個以上 1 個 ** 1 個 ** 1 個 ** * 東大医研 感染免疫内科のホームページより ** 2 個以上は稀

各種マラリアの形態 輪状態アメーバ体分裂体生殖母体 ( 雌 ) 生殖母体 ( 雄 ) 熱帯熱マラリア 三日熱マラリア 四日熱マラリア 卵形マラリア

マラリア簡易キット 熱帯熱 :P.f 三日熱 :P.v 四日熱 :P.m 卵形 :P.o

試料 27 マラリア原虫 ( 輪状体 )

試料 27 マラリア検出状況 一般病院未検出施設病床数別状況 病床数未記入 20~99 施設数 (%) 100~ 199 200~ 299 300~ 499 500~ 699 700~ 999 1(33%) 1(20%) 2(25%) 1(14%) 4(44%) 4(31%) 1(33%)

試料 27 白血球分類値統計表 骨髄球 (%) 後骨髄球 (%) 桿状核球 (%) 分葉核リンパ異型リンハ球 (%) 球 (%) 球 (%) 単球 (%) 好酸球 (%) 好塩基球 (%) 機器分類 86.5 9.5 3.8 0.0 0.2 赤芽球 / 200WB C Mean 0.07 0.16 18.00 68.34 9.26 0.28 3.45 0.27 0.20 0.05 Min 0.0 0.0 2.0 37.0 4.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 Max 0.5 1.5 52.0 84.5 13.0 3.5 6.0 5.0 1.0 1.0 SD 0.17 031 10.07 10.09 1.57 0.59 1.13 0.84 0.29 0.21 CV 251.7 200.8 56.0 14.77 16.90 206.3 32.89 306.4 142.1 458.3 M-2SD -0.28-0.47-2.15 48.16 6.13-0.89 1.18-1.40-0.37-0.37 M+2SD 0.41 0.78 38.12 88.53 12.39 1.46 5.71 1.94 0.77 0.46-2SD 境界値 +2SD 境界値 0.0 00 0.0 47.5 5.5 0.0 1.0 0.0 0.0 00 1.0 1.5 390 89.5 13.0 2.0 6.5 2.5 1.5 1.5

2 8 14 20 26 32 38 44 50 56 62 68 74 80 86 92 98 施設数 30 桿状核球 & 桿 + 分葉核球分類値ヒストク ラム 25 20 15 10 桿状核球 桿 + 分葉核球 5 0 分類値 (%)

桿状核球と分葉核球の分類基準 日本検査血液学会案 (JSLH) 直径 12~15μm 核は 2~5 個に分葉し 核間はクロマチン構造が見えない核糸でつながる クロマチンは粗剛である 核糸が確認できないものは桿状核球とする ただし 核が重なり合って分葉核球か 桿状核球か明瞭でないときは分葉核球とする 日本臨床衛生検査技師会案 直径 12~15μm 核は 2~5 個に分葉し 重なり合うこともある 核同士は細かいクロマチン糸で相互につながる クロマチンは凝集塊状 核の最小幅部分が最大幅部分の 1/3 以下であること 米国臨床病理学会 (NCCLS) 核糸を認めたものは分葉核球に分類する

平成 21 設問年静岡県内施設の採用分類基準内訳 1: 基準 3 3.0% 核糸では判断せず 核の幅 1/3 も考慮して総合的に判断している 核の最小幅部分が最大幅の 1/3 以下であること ただし核が重なり合って分葉核球か桿状核球か明瞭でないときは 分葉核球とする 基準 1 16.4% 67 施設 基準 2 80.6% 1: 日本検査血液学会案 2: 日本臨床衛生検査学会案 3: その他

桿状核球と分葉核球の新分類基準 (1) 新目視分類法 (2014 年 10 月 ) (2015 年 5 月より JSLH 法と日臨技法が統一される ) 新しい好中球の目視区分法は顕微鏡 400 倍での鏡検判定を想定 核クロマチンはいずれも粗剛 桿状核球 桿状核球は 核の長径と短径の比率が 3:1 以上かつ核の最小幅部分が最大幅部分の 1/3 以上で長いまがった核を持つ

桿状核球と分葉核球の新分類基準 (2) 分葉核球 分葉核球は 分葉した核の間は核糸でつながるが 核の最小幅部分が十分に狭小化した場合は核糸形成が進行したとみなして分葉核球として判定する 実用上 400 倍にて 核の最小幅が最大部分の 1/3 未満 あるいは赤血球の 1/4( 約 2μm) 未満であれば核糸形成とみなす また 核が重なりあって分葉核球か桿状核球が明確でないときは分葉核球と判定する

赤血球所見 試料 27 その他血球所見 (5%) 以上の記載所見 マラリア原虫 ( 環状体 ) 検出 45 施設 (68%) 白血球所見 左方移動 6 施設 (9.1%) 血小板所見 巨大 大型 大小 施設数 14 11 9 施設 % 21.2 16.7 13.6

試料 28 調査目的 64 歳男性 異常細胞 (Follicular Lymphoma:FL Cell) の検出および同定 ( 細胞帰属推測 )

血算 試料 28 参考検査データ (Ⅰ) WBC( 10 2 /μl) 90 機器による白血球分類 RBC( 10 4 /μl) 414 Neutro(%) 62.8 Hgb(g/dl) 12.0 Lympho(%) 32.6 HCT(%) 37.0 Mono(%) 4.5 MCV(fL) 89 Eosino(%) 0.0 MCH(pg) 29.0 Baso(%) 0.1 MCHC(g/dl) 32.4 PLT( 10 4 /μl) 3.7 機器メッセージ Reti( ) n.t Thrombocytopenia : 血小板減少 異常細胞の出現メッセージなし

試料 28 参考検査データ (Ⅱ) 凝固 * 生化学 * PT ( 秒 ) 12.3 TP(g/dl) 6.2 (%) 82 Alb(g/dl) 3.5 (INR) 1.09 AST(U/L) 31 APTT( 秒 ) 22.4 ALT(U/L) 24 ( 対照コントロール秒 ) 30.4 LDH(U/L) 427 フイフ リノーケ ン (mg/dl) 315 ALP(U/L) 778 FDP(μg/ml) 35.1 T-Bil(mg/dl) 0.8 BUN(mg/dl) 14 Cre(mg/dl) 0.85 CRP(mg/dl) 4.49 * 凝固 生化学検査は試料作成日 -1dayの結果です

試料 28 疾病経過 平成 11 年より慢性膵炎急性憎悪を繰り返す平成 13 年 Echo 等により胆石と診断平成 16 年 CTにて腹腔内リンハ 節多発腫大平成 17 年開腹胆石摘出とリンハ 節生検施行病理検査で悪性リンハ 腫 (ML) の診断 ( 骨髄浸潤なし ) 平成 26 年再発骨髄浸潤あり 末梢血にML 細胞認められ調査試料として使用

再発時骨髄の病理診断 Follicular lymphoma invasion of the bone marrow 免疫染色 CD10 CD20 CD79a bcl-2 陽性 遺伝子検査 IgH-BCL2(FISH) 融合シグナル72.0% IgH:14q32/BCL2:18q21

濾胞性リンパ腫 (Follicular Lymphoma) 日本でのリンハ 腫の 10~15% を占め病気の進行が比較的遅いタイプ ( 低悪性度 ) に分類される 頸部 腋窩 足の付け根の痛みの無いリンハ 節の腫れ ( 腫脹 ) で受診することが多い 診断時病期 Ⅲ/Ⅳ が 80% 以上を占める その他検診などの胸部レントゲンで肺のまわりや腹部超音波検査や CT で腹部大動脈のまわりや骨盤内リンハ 節腫脹でみつかることがある 化学療法により寛解が得られやすいが再発が多く 完全に治すことは難しく抗 CD20 抗体であるリツキシマフ の効果が期待される

試料 28 白血球分類値統計表 骨髄球 (%) 後骨髄球 (%) 桿状核球 (%) 分葉核球 (%) リンパ球 (%) 異型リンパ球 (%) 単球 (%) 好酸球 (%) 好塩基球 (%) 赤芽球 /200WBC その他細胞 1(%) 機器分類 62.8 32.6 4.5 0.0 0.1 Mean 0.07 0.07 2.01 58.00 16.90 0.88 3.77 0.07 0.08 0.61 21.37 Min 0.00 0.00 0.00 47.00 2.00 0.00 0.50 0.00 0.00 0.00 2.30 Max 1.00 0.50 8.00 68.50 43.00 9.00 10.00 0.50 1.00 2.00 34.00 SD 0.19 0.17 1.69 3.66 9.76 2.12 1.62 0.17 0.20 0.55 7.72 CV 282.19 251.66 83.92 6.31 57.74 41.41 42.99 238.81 263.06 90.28 36.13-2SD 境界値 +2SD 境界値 0.0 0.0 0.0 50.0 0.0 0.0 1.0 0.0 0.0 0.0 5.0 1.0 1.0 6.0 66.0 37.0 6.0 8.0 1.0 1.0 2.5 37.5 ( 異型リンハ は 10% 以上の分類値 その他細胞は 0.0% を除外後統計処理実施 )

試料 28ML 細胞

その他リンパ系腫瘍細胞 ATL セザリー症候群

その他リンパ系腫瘍細胞 (ALL)

その他リンパ系腫瘍細胞 (MM)

その他リンパ系腫瘍細胞 (HCL) 冷風乾燥標本 自然乾燥標本

その他リンパ系腫瘍細胞 (CLL) ウエッジ法標本 スピナー法標本

試料 28 赤血球所見 (5% 以上の指摘 ) 所見 大小不同 多染 奇形 赤芽球 施設数 20 8 6 4 % 30.3 12.1 9.1 6.1 試料 28 血小板所見 (5% 以上の指摘 ) 所見 大型 巨大 施設数 7 6 % 10.6 9.1

試料 28 白血球所見 (5% 以上の指摘 ) 所見 切れ込み異常リンハ 核形不整 N/C 比大 施設数 31 13 11 10 % 47.0 19.7 16.7 15.2 所見 くびれフラワー ( 花弁 ) 核影 核網粗荒 施設数 5 5 5 4 % 7.6 7.6 7.6 6.1

資料 28 ML 細胞検出状況 一般病院未検出施設病床数別状況 病床数未記入 20~99 100~199 200~299 300~499 500~699 700~999 未検出施設数 (%) 0(0%) 2(40%) 4(50%) 0(0%) 2(22%) 0(0%) 0(0%)

異常リンパ球検出なしまたは低値施設の ML 細胞の分類状況 ML 細胞の分類状況 施設数 (%) 正常リンハ 球に分類? ( リンハ 球 30% 以上 ) 6(9.1) 異型リンハ 球に分類? ( 異形リンハ 球 10% 以上 ) 5(7.6) リンハ 球と異型リンハ 球の両細胞に分類? ( 異形リンハ 球 5-10% 未満 ) 4(6.1) 一部の細胞だけを異常リンハ に分類? ( 異常リンハ 5% 以下 ) 2(3.0)

試料 27 のまとめ マラリアの検出率は total で 68% であった 病床数の多い病院でも検出率が低かった マラリア検出の. ホ イントは渡航歴や潜伏期間 発熱間隔など適切な患者情報を入手し 強拡大 ( 1000) で慎重な観察が必要となる 桿状核球と分葉核球の分類に大きな施設間差が認められた 新分類基準が作られたが 今後施設間差の是正が大きな課題と思われる

試料 28 のまとめ 異常細胞 (ML 細胞 ) の検出率は 78% であり 病床数の少ない病院で検出率が低い傾向がみられた リンパ球系の腫瘍細胞 ( 異常リンハ 球 ) は核や細胞の形が重要になる場合があるのでしっかりホ イントを確認しておきたい リンパ球系の腫瘍細胞 ( 異常リンハ 球 ) は形態上鑑別が非常に難しい場合も多く 総合的な判断 ( 細胞数や細胞形質検査 ) が必要となる場合がある