平成 29 年度先駆的臨床検査技術研修会 第 1 回日臨技骨髄像伝達研修会 2017 今から使える 骨髄像の見方 考え方 所見の書き方 東京大学医学部附属病院検査部常名政弘 2017 年 8 月 26 日
MDS( 骨髄異形成症候群 ) とは ( 定義 ) 無効造血 ( 造ってはいるが末梢に出て来れない ) 造血細胞の形態学的異形成 末梢における血球減少 上記を特徴とする骨髄のクローン性腫瘍疾患で しばしば急性骨髄性白血病へ移行する.
血球減少とは 1 ヘモグロビン 10g/dL 好中球数 1.8x10 9 /L 血小板数 100x10 9 /L 国際予後スコア法 (IPSS) WHO2008 でこの基準が採用 2 13g/dL( 男性 ) 12g/dL( 女性 ) 1.8x10 9 /L 150x10 9 /L 厚生労働省特発性造血器障害に関する調査研究班の診断基準 ( 平成 28 年度改定 )
MDS( 骨髄異形成症候群 ) とは ( 定義 ) 無効造血 ( 造ってはいるが末梢に出て来れない ) 造血細胞の形態学的異形成 末梢における血球減少 上記を特徴とする骨髄のクローン性腫瘍疾患で しばしば急性骨髄性白血病へ移行する.
MDS( 骨髄異形成症候群 ) とは ( 定義 ) 赤芽球系 ( 赤血球 ) 顆粒球系 ( 白血球 ; 主に好中球 ) 巨核球系 ( 血小板 ) これらの細胞 1~ 多系統に異常 ( 異形成 ) を来す または芽球が少し増加する
MDS( 骨髄異形成症候群 ) の分類 単一血球に異形成を伴うMDS 多系統に異形成を伴うMDS 芽球の増加している (20% 未満 )MDS 環状鉄芽球を有するMDS ( 異形成は単一または多系統 )
顆粒球系の異形成 偽 Pelger 核異常 偽 Pelger 核異常 環状核好中球 脱顆粒 80% 以上の顆粒減少 巨大好中球 Auer 小体
赤芽球系の異形成 環状鉄芽球 15% 以上巨赤芽球様変化核間架橋 多核赤芽球 核の断片化 核形不整
巨核球系の異形成 微小巨核球 2 核の微小巨核球 分離多核巨核球 微小巨核球 単核巨核球 分離多核巨核球
好中球の異形成 偽 Pelger 核異常 脱 ( 低 ) 顆粒好中球偽 Pelger 核異常 ( 染色性には要注意!) 芽球 Auer 小体 (MDS-EB2 AML)
二相性赤血球形態 環状鉄芽球の存在
巨大血小板 メイ ベル
顆粒球系の異形成カテゴリ -A(MDS に特異性が高い ) 偽 Pelger 核異常 脱顆粒 80% 以上の顆粒減少
顆粒球系の異形成 カテゴリ -B 巨大好中球 環状核好中球 Auer 小体
赤芽球系の異形成カテゴリ -A(MDS に特異性が高い ) 環状鉄芽球 15% 以上
赤芽球系の異形成カテゴリ -B 巨赤芽球様変化核間架橋 PAS 陽性赤芽球
赤芽球系の異形成カテゴリ -B 多核赤芽球 核の断片化 核形不整
赤芽球系の異形成カテゴリ -A(MDS に特異性が高い ) 微小巨核球
赤芽球系の異形成カテゴリ -B 単核巨核球 分離多核巨核球
赤芽球系の異形成カテゴリ -B 異形成の合計が 10% 以上 ( 環状鉄芽球は 15% 以上 ) あると意義がある 単核巨核球 基礎
MDS に特徴的な染色体異常 核型異常 原発性での頻度治療関連性での頻度 +8 * 10% -7 or del(7q) 10% 50% -5 or del(5q) 10% 40% del(20q) * 5~8 % -Y * 5% i(17q) or t(17p) 3~5% -13 or del(13q) 3% del(11q) 3% del(12p) or t(12p) 3% del(9q) 1~2% idic(x)(q13) 1~2% 基礎 * は単独異常の場合, 異形成が確認される必要がある他の異常は, 形態学的に異形成がない場合でも MDS の暫定的な診断が可能
本日の内容 骨髄像の見方 考え方 白血病診断の進め方 骨髄像の所見の書き方
骨髄像の所見の書き方
骨髄像の所見の書き方
骨髄像の所見の書き方
骨髄標本分析をする前に 1. 検査の目的, 臨床的背景の把握 2. 血算 生化学 3. 年齢
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
練習症例 年齢性別 :65 歳男性既往歴 : 発熱を訴え近医受診, 白血球減少, 貧血を指摘され, 精査のため当院を受診した. 主 訴 : 発熱, 肝脾腫 腹部膨満感 バーキットリンパ腫肝脾腫 CML HCL 不明熱 リンパ腫 HPS
練習症例 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 117x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 生化学 TP 7.0 g/dl ALB 3.9 g/dl LD 148 U/L AST 8 U/L ALT 5 U/L ALP U/L T-Bil 1.1 mg/dl D-Bil mg/dl BUN 14.9 mg/dl Cre 0.67 mg/dl UA 6.4 mg/dl sil2r U/mL 凝固 PTs 13.9 秒 PT% 74.0 % PT-INR 1.20 APTT 31.2 秒 Fbg 283 mg/dl FDP μg/ml D-D μg/ml AT % TAT ng/ml PC% % PS % PIC μg/ml
練習症例 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 117x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 生化学 TP 7.0 g/dl ALB 3.9 g/dl LD 148 U/L AST 8 U/L ALT 5 U/L ALP U/L T-Bil 1.1 mg/dl D-Bil mg/dl BUN 14.9 mg/dl Cre 0.67 mg/dl UA 6.4 mg/dl sil2r U/mL 凝固 PTs 13.9 秒 PT% 74.0 % PT-INR 1.20 APTT 31.2 秒 Fbg 283 mg/dl FDP μg/ml D-D μg/ml AT % TAT ng/ml PC% % PS % PIC μg/ml
設問 貧血時に先ずは何を確認? 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 A B C D MCV RDW ヘマトクリット財布の中身
設問 貧血時に先ずは何を確認? 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 A B C D MCV RDW ヘマトクリット財布の中身
赤血球系 ( 貧血 ) 赤血球指数による貧血の分類 小球性低色素性貧血 MCV<80fL MCHC<30% ヘモグロビンが造れない 正球性正色素性貧血 MCV80~100fL MCHC30~35% 1. 造ってない 2. 造れと指示がない 3. 造っているけど壊される 大球性正色素性貧血 MCV>100fL MCHC30~35% DNA 合成が上手くできない
赤血球系 ( 貧血 ) 赤血球指数による貧血の分類 小球性低色素性貧血 MCV<80fL MCHC<30% 1. 鉄欠乏性貧血 2. 慢性炎症に伴う二次性貧血 (ACD) 3. サラセミア 4. 鉄芽球性貧血 正球性正色素性貧血 MCV80~100fL MCHC30~35% 1. 再生不良性貧血 2. 溶血性貧血 3. 赤芽球癆 4. 腎性貧血 大球性正色素性貧血 MCV>100fL MCHC30~35% 1. 巨赤芽球性貧血 2. 骨髄異形成症候群
設問 貧血時に先ずは何を確認? 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 A B C D MCV RDW ヘマトクリット 財布の中身 Lym 20.0 E-Bla 1.0 MCV=Ht/RBC=14.9/1.17x10=127.4fL
設問 貧血時に先ずは何を確認? 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 A MCV=127.4fL 大きいということは DNA 合成が上手くいって いないということ!
赤血球系 ( 貧血 ) 赤血球指数による貧血の分類 小球性低色素性貧血 MCV<80fL MCHC<30% 1. 鉄欠乏性貧血 2. 慢性炎症に伴う二次性貧血 (ACD) 3. サラセミア 4. 鉄芽球性貧血 正球性正色素性貧血 MCV80~100fL MCHC30~35% 1. 再生不良性貧血 2. 溶血性貧血 3. 赤芽球癆 4. 腎性貧血 大球性正色素性貧血 MCV>100fL MCHC30~35% 1. 巨赤芽球性貧血 2. 骨髄異形成症候群
設問 貧血時に生化学では何を確認? 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 A B C D LD T-Bil D-Bil ハプトグロビン
設問 貧血時に生化学では何を確認? 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 A B C D LD T-Bil D-Bil ハプトグロビン
LD (U/L) MDS と MA との鑑別点 ; 生化学検査 AML-M6 MA MDS Normal
練習症例 ん なるほど 入院時検査所見 CBC WBC 1.9x10 9 /L RBC 1.17x10 12 /L Hb 4.9 g/dl Hct 14.9 % PLT 165x10 9 /L Reti 3.3 % St 1.0 Seg 62.0 Eo 3.0 Mono 9.0 Lym 20.0 E-Bla 1.0 生化学 TP 7.0 g/dl ALB 3.9 g/dl LD 148 U/L AST 8 U/L ALT 5 U/L ALP U/L T-Bil 1.1 mg/dl D-Bil mg/dl BUN 14.9 mg/dl Cre 0.67 mg/dl UA 6.4 mg/dl sil2r U/mL 凝固 PTs 13.9 秒 PT% 74.0 % PT-INR 1.20 APTT 31.2 秒 Fbg 283 mg/dl FDP μg/ml D-D μg/ml AT % TAT ng/ml PC% % PS % PIC μg/ml
練習症例 末梢血液 MG 染色 好中球 : 脱顆粒, 偽ペルゲル核異常 血小板 : 巨大血小板
練習症例 末梢血液 MG 染色 何となく MDS??? 好中球 : 脱顆粒, 偽ペルゲル核異常 血小板 : 巨大血小板
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
1. 塗抹標本の肉眼的観察 症例 低形成 過形成
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 )
2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 正形成低形成過形成
2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 )
練習症例
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 ) 症例
3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 ) 過形成
練習症例
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 ) 集塊像は認めず
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 ) 赤芽球の過形成による M/E 比低下
練習症例
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞, 形態異常の確認 顆粒球系 : 低形成, 芽球増加なし 脱顆粒 (7%), 偽ペルゲル核異常 (20%)
練習症例
6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞, 形態異常の確認 赤芽球系 : 過形成, 巨赤芽球変化 (50% 以上 ) 多核赤芽球 (10% 以上 )
練習症例
6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞, 形態異常の確認 巨核球系 : 過形成, 単核巨核球 (50% 以上 )
練習症例
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
7. 有核細胞のカウント
骨髄標本分析法の手順 1. 塗抹標本の肉眼的観察 2. 骨髄有核細胞密度 ( 弱拡大 X100 or X200) 3. 骨髄巨核球の分布状態 ( 弱拡大 X100 or X200) 4. 異常細胞の集塊の有無 ( 弱拡大 X100 or X200) 5. 顆粒球系と赤芽球系の比率 ( 弱拡大 X200 or X400) 6. 各血球系の成熟段階の確認, 異常細胞の確認 ( 中拡大 X400) 7. 有核細胞のカウント, 異形成の確認 ( 強拡大 X1000) 8. 報告書の作成
8. 報告書の作成
N/C の基準 ( 面積比 ) 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 顕微鏡検査ハンドブック臨床に役立つ形態学
8. 報告書の作成 細胞密度は過形成, 芽球の増加は認めない. 赤芽球系の過形成に伴う M/E 比の低下を認める. 顆粒球系は低形成で, 脱顆粒, 偽ペルゲル核異常を認める. 赤芽球系は過形成で, 巨赤芽球変化, 多核を認める. 巨核球系は過形成で単核巨核球を認める. 3 系統に異形成を認め, 芽球の増加はみられないことから, 多血球系異形成を伴う骨髄異形成症候群 (MDS-MLD) が疑われる. 単核巨核球が目立つことより,5 番染色体異常が疑われる. 追加検査としては, 鉄染色にて環状鉄芽球の比率を確認する必要がある. 試験ではこのくらいまで!
8. 報告書の作成 細胞密度は過形成, 芽球の増加は認めない. 赤芽球系の過形成に伴う M/E 比の低下を認める. 顆粒球系は低形成で, 脱顆粒, 偽ペルゲル核異常を認める. 赤芽球系は過形成で, 巨赤芽球変化, 多核を認める. 巨核球系は過形成で単核巨核球を認める. 3 系統に異形成を認め, 芽球の増加はみられないことから, 多血球系異形成を伴う骨髄異形成症候群 (MDS-MLD) が疑われる. 単核巨核球が目立つことより,5 番染色体異常が疑われる. 追加検査としては, 鉄染色にて環状鉄芽球の比率を確認する必要がある. 病院ではもう少し控えめに!
症例 79 歳の男性 某年, 汎血球減少を指摘され, 紹介入院となった.
症例 CBC WBC 2.2x10 9 /L RBC 2.84x10 12 /L Hb 8.4 g/dl Hct 27.7 % PLT 55x10 9 /L Reti 1.8 % Blast 5.5 St 0.0 Seg 42.0 Eo 1.5 Mono 2.5 Lym 48.5 Elb 6.5 入院時検査所見 生化学 TP 6.7 g/dl ALB 3.8 g/dl LD 182 U/L AST 16 U/L ALT 16 U/L ALP 190 U/L T-Bil 0.7 mg/dl D-Bil 0.2 mg/dl BUN 14.0 mg/dl Cre 0.84 mg/dl UA 4.6 mg/dl Ca 8.3 mg/dl sil2r U/mL 凝固 PTs 12.1 秒 PT% 100.0 % PT-INR 1.00 APTT 27.2 秒 Fbg 363 mg/dl FDP 5.2 μg/ml D-D 0.5 μg/ml AT % TAT ng/ml PC% % PS % PIC μg/ml
症例 CBC WBC 2.2x10 9 /L RBC 2.84x10 12 /L Hb 8.4 g/dl Hct 27.7 % PLT 55x10 9 /L Reti 1.8 % Blast 5.5 St 0.0 Seg 42.0 Eo 1.5 Mono 2.5 Lym 48.5 Elb 6.5 入院時検査所見 生化学 TP 6.7 g/dl ALB 3.8 g/dl LD 182 U/L AST 16 U/L ALT 16 U/L ALP 190 U/L T-Bil 0.7 mg/dl D-Bil 0.2 mg/dl BUN 14.0 mg/dl Cre 0.84 mg/dl UA 4.6 mg/dl Ca 8.3 mg/dl sil2r U/mL 坂場幸冶先生 凝固 PTs 12.1 秒 PT% 100.0 % PT-INR 1.00 APTT 27.2 秒 Fbg 363 mg/dl FDP 5.2 μg/ml D-D 0.5 μg/ml AT % TAT ng/ml PC% % PS % PIC μg/ml
症例骨髄所見 1 細胞密度 : 正形成
症例骨髄所見 2 巨核球系 : 正形成
症例骨髄所見 3
症例骨髄所見 4 赤芽球系 : 過形成,M/E 比低下
症例
症例骨髄所見 5 顆粒球系 : 低形成, 偽ペルゲル核異常 ( 約 5% )
症例骨髄所見 6 顆粒球系 : 脱顆粒好中球 (50% 以上 )
症例骨髄所見 7 顆粒球系 : 芽球増加あり
症例
症例骨髄所見 8
症例骨髄所見 9 赤芽球系 : 過形成, 多核 (10% 以上 ), 核不整 (50% 以上 )
症例
症例骨髄所見 10 巨核球系 : 微小巨核球 ( 約 20%)
症例骨髄所見 11 巨核球系 : 単核巨核球 (50% 以上 )
症例
症例 細胞密度は正形成, 芽球は増加. 赤芽球系の過形成に伴う M/E 比の低下を認める. 顆粒球系は低形成で一部に偽ペルゲル核異常を認めるが 10% 未満, 脱顆粒好中球を 50% 以上認める. 赤芽球系は過形成 (ANC の 50% 以上 ) 多核, 核不整, 核融解像, 核断片化で 50% 以上の異形成がみられる. 巨核球系は正形成で単核巨核球, 微小巨核球がみられ異形成は 50% 以上に認める. 赤芽球系は ANC の 60%, 芽球は ANC の 15% であった. 以上のことより と考えられる. 追加検査には,MPO 染色,PAS 染色, 鉄染色,FCM にて芽球の形質の検索, 染色体検査があげられる.
WHO2016 分類の MDS (MDS-RSSLD) 5q-; 単一の付加的染色体は容認 (7 番染色体関連は除く )
WHO2016 分類の MDS RS;Ring Sideroblasts: 環状鉄芽球 高率に SF3B1 の変異が認められ, 基本的には予後良好の因子 15% 以上,SF3B1 の変異があれば 5% 以上で良い 芽球 5% 以下の低リスク MDS では, SF3B1 調節薬 ( スプライシングインヒンビター ) が今後試される
AML-M6,AML-MRC,RAEB の鑑別 AML-M6 Acute erythroid leukemia 急性赤白血病 AML-MRC Acute myeloid leukemia with myelodysplasia related change 骨髄異形成関連変化を伴う急性骨髄性白血病 MDS-EB Myelodysplastic syndrome with excess blasts 芽球の増加を伴う骨髄異形成症候群
ANC と NEC の当院の定義 ANC 芽球, 前単球, 前骨髄球, 骨髄球, 後骨髄球, 桿状核好中球, 分葉核好中球, 好酸球, 好塩基球, リンパ球, 形質細胞, 赤芽球, 肥満細胞 ( 巨核球,MØ, 骨芽細胞, 破骨細胞, 間質細胞は含まない ) AML-M6の芽球比率 NECで20% 以上は廃止! NEC ANCから赤芽球および非骨髄系細胞 ( リンパ球, 形質細胞 ) を除いたもの しかし最近では芽球比率は NEC で判定するほうが良いという報告もある
症例の病型はどれでしょう? 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの15% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
症例の病型はどれでしょう? 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの15%(NECの約 37.5%) 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
症例の病型はどれでしょう? 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの15%(NECの約 37.5%) 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
例えば 芽球がANCの21% だったら 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの21% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
例えば 芽球がANCの21% だったら 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの21% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
例えば 異形成が50% 未満であったら 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの21% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
例えば 芽球がANCの7% だったら 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの7% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
例えば 芽球がANCの7% だったら 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの7% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
例えば 芽球が ANC の 7% だったら CBC WBC 2.2x10 9 /L RBC 2.84x10 12 /L Hb 8.4 g/dl Hct 27.7 % PLT 55x10 9 /L Reti 1.8 % Blast 5.5 St 0.0 Seg 42.0 Eo 1.5 Mono 2.5 Lym 48.5 Elb 6.5 生化学 TP 6.7 g/dl ALB 3.8 g/dl LD 182 U/L AST 16 U/L ALT 16 U/L ALP 190 U/L T-Bil 0.7 mg/dl D-Bil 0.2 mg/dl BUN 14.0 mg/dl Cre 0.84 mg/dl UA 4.6 mg/dl Ca 8.3 mg/dl sil2r U/mL 坂場幸冶先生 凝固 PTs 12.1 秒 PT% 100.0 % PT-INR 1.00 APTT 27.2 秒 Fbg 363 mg/dl FDP 5.2 μg/ml D-D 0.5 μg/ml AT % TAT ng/ml PC% % PS % PIC μg/ml
例えば 芽球がANCの7% だったら 赤芽球比率はANCの60% 芽球はANCの7% 異形成は全体の50% 以上 1:MDS-EB2 2:AML-M6 3:AML-MRC
新 AML-M6( 未分化型赤白血病のみ ) 赤芽球比率が ANC の 80% 以上 前赤芽球比率が ANC の 30% 以上 赤芽球が 50% 以上でも ANC の芽球比率で診断! 赤芽球 50% 以上 芽球 20% 以上の場合は M2 or M4
AML-MRC,MDS-EBの鑑別 赤芽球比率は関係なし 芽球比率がANCの20% の以上下記のいずれか1つを満たす 1:MDSの既往 2:MDSに関連した染色体異常 3: 多系統に50% 以上の異形成但し, 治療関連, 反復性遺伝子関連 AMLは除く
AML-MRC,MDS-EB の鑑別 芽球比率が ANC の 5% 以上 20% 未満の場合 末梢血液で芽球 1% を超えた場合 (20% 未満 )
新 AML-M6,AML-MRC,MDS-EB の鑑別疾患カテゴリ - 末梢血所見骨髄所見 RCUD(refractory cytopenias with unlineage dysplasia) (MDS-SLD) 単一血球系統の異形成を伴う不応性血球減少 RA(refractory anaemia) 不応性貧血 RN(refractory neutropenia) 不応性好中球減少症 RT(refractory thrombocytepenia) 不応性血小板減少症 RARS(MDS-RSSLD) (refractory anaemia with ring sideroblasts) 環状鉄芽球を伴う不応性貧血 RCMD(MDS-MLD,MDS-RSMLD) (refractory anaemia with multilineage dysplasia) 多血球系異形成を伴う不応性貧血 RAEB-1(MDS-EB1) (refractory anaemia with excess blasts-1) 芽球増加を伴う不応性貧血 -1 1~2 血球減少 1) 1% > 芽球 2) 貧血のみ芽球なし 血球減少 1% > 芽球 2) Auer- 1x10 9 /L > Mono 血球減少 5% > 芽球 Auer- 1x10 9 /L > Mono 10% 異形成 1 系統 5% > 芽球 15% > 環状鉄芽球 15% 環状鉄芽球異形成は赤芽球系のみ 5% > 芽球 10% 異形成 2 系統以上 5% > 芽球 Auer- 環状鉄芽球 ± 10% 異形成 1~3 系統 5~9% 芽球 3) Auer- RAEB-2(MDS-EB2) (refractory anaemia with excess blasts-2) 芽球増加を伴う不応性貧血 -2 血球減少 5~19% 芽球 Auer± 3) 1x10 9 /L > Mono 10% 異形成 1~3 系統 10~19% 芽球 Auer± 3)