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3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

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告示番号 1 糖尿病 ( ) 年度小児慢性特定疾病医療意 書 新規申請用 病名 1 1 型糖尿病 受給者番号受診日年月日 受付種別 新規 1/2 ふりがな 氏名 (Alphabet) ( 変更があった場合 ) ふりがな以前の登録氏名 (Alphabet) 生年月日年月日意見書記載時の年齢歳か月日性別

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

やまぐち糖尿病療養指導士講習会  第1回 確認試験

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

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4 職業から考える治療法 ( 運動不足 肉体労働 不規則な生活など ) 4 Keyword 肥満 1 度 病態をどうとらえるか parameter を読み解く 海外出張頻繁 アマリール 服用中 通院が不定期 肥満と家族歴の存在, およびこれまでの治療経過から 2 型糖尿病と考 罹病期間約 5 年 え

経口血糖降下薬について

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

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神緑会学術誌 平成24年度 第29巻 2013年 神緑会研究事業年間報告書 糖尿病発症におけるインクレチン効果の疫学的研究 第2報 ー妊娠糖尿病のスクリーニングからのアプローチー 研究代表者 社会医療法人愛仁会 研究協力者 社会医療法人愛仁会 社会医療法人愛仁会 社会医療法人愛仁会 産婦人科 概 要

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2型糖尿病の成因と病態

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T O P I C S 食後高血糖改善薬を用いた BOT の有効性 SMBG のデータを治療へのモチベーションとして活かす 東大介先生 関西労災病院糖尿病内分泌内科 < 略歴 > 2002 年香川医科大学医学部医学科卒業香川医科大学医学部附属病院研修医 2005 年香川県済生会病院内科 2007 年

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する 3( ) ホルモンによる作用を内分泌と呼ぶ

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(検8)05資料4 門脇構成員 随時血糖値の判定基準について

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある インスリンが血糖値を下げる唯一のホルモンです 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する

HbA1c GLP-1 11 HbA1c 2 GLP-1 1 DPP-4 GLP-1 SGLT2 1 2 HbA1c 7% 130mg/dL 2 180mg/dL , 2014

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わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

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第12回 代謝統合の破綻 (糖尿病と肥満)

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 今年のスギやヒノキ花粉の飛散は、「少なく」または「非常に少なく」なりそうです

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

糖尿病は 初めは無症状で経過しますが 血糖値の高い状態が長く続くと口渇 多飲 多尿 体重減少 倦怠感などの症状がみられます 糖尿病は自覚症状が乏しいので 血糖値がある程度改善すると 通院しなくなる人がいます 血液検査を行わなければ糖尿病の状態を知ることはできないので 自覚症状だけに頼ってはいけません

糖尿病

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

3. 発症時の尿中 Cペプチド<10µg/day, または, 空腹時血清 Cペプチド<0.3ng/mLかつグルカゴン負荷後 ( または食後 2 時間 ) 血清 Cペプチド<0.5ng/mLである *: 劇症 1 型糖尿病発症前に耐糖能異常が存在した場合は, 必ずしもこの数字は該当しない < 参考所見


中間とりまとめ素案(公的賃貸住宅のあり方について)

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糸球体で濾過されたブドウ糖の約 90% を再吸収するトランスポータである SGLT2 阻害薬は 尿糖排泄を促進し インスリン作用とは独立した血糖降下及び体重減少作用を有する これまでに ストレプトゾトシンによりインスリン分泌能を低下させた糖尿病モデルマウスで SGLT2 阻害薬の脂肪肝改善効果が報告

糖尿病予備群は症状がないから からだはなんともないの 糖尿病予備群と言われた事のある方のなかには まだ糖尿病になったわけじゃないから 今は食生活を改善したり 運動をしたりする必要はない と思っている人がいるかもしれません 糖尿病予備群の段階ではなんの症状もないので そう考えるのも無理はないです しか

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

デベルザ錠20mg 適正使用のお願い

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< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

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小松市医師会 糖尿病連携推進協議会 の取り組み 小松市医師会糖尿病連携推進協議会湯淺豊司

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第90回日本感染症学会学術講演会抄録(I)

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B 糖尿病に関する指標 1 疾患の考え方1 平均血糖値を反映する指標 HbA1c(hemoglobin A1c, グリコヘモグロビン ): ヘモグロビン A0の安定型糖化産物である HbA1c の値は, 採血時から過去 1,2 ヵ月間の平均血糖値を反映し, 糖尿病の診断に用いられる (21 頁 :

Ⅰ. 糖尿病について Ⅱ. 患者教育の基本 Ⅲ. 血糖自己測定 Ⅳ. 指導の実際 Ⅴ. 日本糖尿病療養指導士制度 Ⅵ. 当院での取り組み

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(6/5 19:00修正)資料3 標準的な健診・保健指導プログラム改定のポイント (2) (2)

スライド 1

糖尿病患者 : 世界の動向 我が国を含む西太平洋地区にかなりの患者が存在する 2040 年 642M 全世界には 3 億 8200 万人の糖尿病患者が存在する 2035 年には世界の糖尿病患者数は 5 億 9200 万人になると予測される 診断すらついていない人が多い 418M IDF Diabet

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人間ドック結果報告書 1/5 ページ 所属 : 株式会社 ケンコウタロウ健康太郎 様 性別 / 年齢 男性 / 49 歳 生年月日 昭和 40 年 3 月 17 日 受診日 平成 26 年 5 月 2 日 受診コース 人間ドック ( 胃カメラ ) 問診項目 今回前回前々回平成 26 年 5 月 2

薬事58巻7月増刊

血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

糖尿病の治験から CRC 業務を考える ~ 糖尿病治験を経験して ~ JASMO 第 11 回 CRC 継続研修会 2010 年 2 月 27 日 ノイエス株式会社 畑中かおる

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当院における虚血性心疾患患者の 糖尿病および耐糖能異常についての現状

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

血糖変動を読み解く vol.1

『糖尿病(H27年度1-1グループ)』

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消化器病市民向け

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Microsoft Word - 血液検査.docx

Microsoft Word - 44-第4編頭紙.doc

Transcription:

第 36 回長崎県糖尿病治療研究会 症例検討会 使用したスライドは近日中に研究会の HP へ掲載いたします http://www2.nim.co.jp/ndmm/

症例 1.41 歳 男性 1 型糖尿病または MODY 現病歴 :2014 年 2 月 業務中に転倒し受傷 S 病院に搬送され左大腿骨頸部骨折の診断を受けた 採血の結果 高血糖および尿ケトン体陽性を認め精査加療目的で内科へ紹介となった これまでに糖尿病の治療歴はない 家族歴 : 母 兄 姉 1 型糖尿病 姉 2 型糖尿病 母の兄弟も糖尿病 現症 : 身長 169.0 cm 体重 50.7 kg(bmi 17.8 kg/m 2 ) 糖尿病神経障害 (-) 糖尿病網膜症 (-) 検査所見 : 尿たんぱく (-) 尿糖 (+) 尿ケトン体 (2+) Hb 12.2g/dl AST 21IU/l ALT 20IU/l γ-gtp 17IU/l BUN 9.5mg/dl Cr 0.32mg/dl LDL-C 88mg/dl TG 173mg/dl 随時血糖 334mg/dl HbA1c 13.5% GAD65 抗体 (-) IA-2 抗体 1.7U/ml IRI 0.4µU/ml CPR 0.3ng/ml HOMA-R 0.12 HOMA-β 2.67% CPI 0.34 内服薬 : ネシーナ 25mg 1x アピドラ (4 2 4) ランタス (0 0 0 6) 質問 緩徐進行 1 型糖尿病と MODY について教えてください

症例 1 のまとめ 41 歳 男性 糖尿病の家族歴濃厚 BMI 17.8 と肥満 (-) GAD65 抗体 (-) IA-2 抗体 (+) ケトーシス (+) HOMA-R 0.12 HOMA-β 2.67 ネシーナ 25mg 1x アピドラ (4,2,4) ランタス (0,0,0,6) で治療中 質問 緩徐進行 1 型糖尿病と MODY の鑑別について

HOMA-R と HOMA-β 1. HOMA-R 空腹時インスリン (µu/ml) 空腹時血糖 (mg/dl) 405 1.6 以下が正常 2.5 以上はインスリン抵抗性の存在 2. HOMA-β 空腹時インスリン (µu/ml) 360 症例 1 のデータ : HOMA-R 0.12 HOMA-β 2.67% 空腹時血糖 (mg/dl)-63 40~60% が正常 30% 未満はインスリン分泌能低下

緩徐進行 1 型糖尿病の診断基準 (2012 年 ) 1 型糖尿病調査研究委員会 ( 緩徐進行 1 型糖尿病分科会 ) 必須項目 1. 経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 抗体もしくは膵島細胞抗体 (ICA) が陽性である a) 2. 糖尿病の発症 ( もしくは診断 ) 時, ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく, ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない b) 判定 : 上記 1 2 を満たす場合 緩徐進行 1 型糖尿病 と診断する a) Insulinoma-associated antigen-2(ia-2) 抗体, インスリン自己抗体 ( IAA) もしくは亜鉛輸送担体 8(ZnT8) 抗体に関するエビデンスは不十分であるため現段階では診断基準に含まない b) ソフトドリンクケトーシス ( ケトアシドーシス ) で発症した場合はこの限り ではない ( 田中昌一郎ほか. 糖尿病 56(8):590~597 2013)

急性発症 1 型糖尿病診断基準 (2012) 1. 口渇 多飲 多尿 体重減少などの糖尿病 ( 高血糖 ) 症状の出現後 おおむね 3 か月以内にケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る 2. 糖尿病の診断早期より継続してインスリン治療を必要とする 3. 膵島関連自己抗体が陽性である 4. 膵島関連自己抗体が陰性であるが 内因性インスリン分泌が欠乏している * 判定 :1~3 を満たす場合 急性発症 1 型糖尿病 ( 自己免疫性 ) と診断する 1 2 4 を満たす場合 急性発症 1 型糖尿病 と診断してよい 内因性インスリン分泌の欠乏が証明されない場合 あるいは膵島関連自己抗体が不明の場合には 診断保留とし 期間をおいて再評価する * 空腹時血清 C ペプチド <0.6 ng/ml を 内因性インスリン分泌欠乏の基準とする ( 川﨑英二ほか. 糖尿病 56 (8): 584-589, 2013)

MODY (Maturity- Onset Diabetes of the Young) 1.25 歳未満に発症し 2. 少なくとも 3 世代にわたって垂直遺伝の家族歴があり 3. 片親および同胞の約半数が 2 型糖尿病である

MODY MODY における異常遺伝子と臨床像 異常遺伝子 インスリン依存状態 MODY 1 Hepatocyte Nuclear Factor (HNF) 4α Yes MODY 2 Glucokinase No MODY 3 HNF-1α Yes MODY 4 Insulin Promotor Factor (IPF) - 1 No MODY 5 HNF-1β Yes MODY 6 NeuroD1 Yes

症例 1 の診断方針 緩徐進行 1 型糖尿病の可能性 GAD65 抗体の再測定 発症時の保存血清があればインスリン抗体を測定 MODY の可能性 HNF-1α HNF-1β HNF-4α NeuroD1 遺伝子の解析 < 清野先生コメント > 遺伝子異常の可能性が高い

症例 2.67 歳 男性 2 型糖尿病 陳旧性心筋梗塞 冠動脈ステント留置術後 現病歴 : 平成 14 年に急性心筋梗塞でステント治療を受け平成 16 年に紹介受診 初診時の血糖値 235mg/dl HbA1c 8.2% ありアマリール 1mg 開始 HbA1c は 6.9% まで改善するも コンプライアンスの低下もあり平成 19 年 7 月には 15.6% まで上昇したため 内服薬を徐々に追加し平成 25 年 12 月にはアマリール 4mg メトグルコ 750mg グラクティブ 100mg にて HbA1c 11.1% アクトス 7.5mg を追加し HbA1c 10.5% となるも 15mg への増量で浮腫をきたし中止となった BOT は拒否している 現症 : 身長 160.4 cm 体重 59.1 kg(bmi 22.9 kg/m 2 ) 糖尿病網膜症 (-) 検査所見 : 尿たんぱく (-) AST 16IU/l ALT 20IU/l γ-gtp 34IU/l Cr 0.66mg/dl 随時血糖 304mg/dl HbA1c 10.5% IRI 31.2µU/ml( 食後 2 時間 ) GAD65 抗体 (-) 質問 今後の治療方針について教えてください

症例 2 のまとめ 67 歳 男性 2 型糖尿病 陳旧性心筋梗塞 冠動脈ステント術後 BMI 22.9 と肥満 (-) 内服コンプライアンス不良 アマリール 4mg メトグルコ 750mg グラクティブ 100mg にて HbA1c 10.5% アクトス 15mg で体重増加あり中止 質問 今後の治療はどうしたらよいか

メトホルミン単独高容量投与による血糖改善効果 HbA1c 空腹時血糖 食事 運動療法で血糖コントロールが不十分な2 型糖尿病患者を対象に メトグルコ 500mgより開始し 750mgまたは1500mgまで増量 14 週間投与試験 承認申請資料

症例 2 への対応策 1. 内服コンプライアンスの確認をおこなう ( 残薬のチェック ) 2. 食事療法の指導 ( 食べる順番など ) 3. グラクティブを他の DPP-4 阻害薬または GLP-1 受容体作動薬へ切り替える 4. メトグルコを増量 (2250mg まで可能 ) 5. SGLT2 阻害薬の併用? < 清野先生コメント >SGLT2 阻害薬は使用すべきでない症例アマリール オイグルコンは心筋梗塞後の症例には適さない

症例 3.67 歳 男性 2 型糖尿病 陳旧性心筋梗塞 現病歴 : 平成 21 年 9 月当院転院時 ノボラピット (10 10 10) ランタス (0 0 10) 使用していた 平成 23 年 1 月 HbA1c 8.0 9.1% まで悪化したため 4 月よりグラクティブ 50mg 追加 しかし体重が初診より 84 89.7kg と増加したためグラクティブ中止し 平成 24 年 3 月からメトグルコ 1000mg 2 へ変更 その後血糖コントロール改善せずアルコール多飲が判明したためメトグルコ中止し グラクティブ再開 また ランタスも 10 12 13 と増量したが 平成 26 年 5 月 HbA1c 9.4% 体重 97kg と治療抵抗状態となっている 元々わがままな性格でまた経済的理由で薬剤追加や専門医紹介を拒んでいる 現症 : 身長 168.0 cm 体重 95.8kg(BMI 33.9 kg/m 2 ) 検査所見 : 尿たんぱく (-) AST 38U/l ALT 31U/l BUN 13 mg/dl Cr 0.69mg/dl 随時血糖値 208 mg/dl HbA1c 9.4% GAD65 抗体 (-) 質問 今後の治療方針について教えてください

症例 3 のまとめ 67 歳 男性 2 型糖尿病 陳旧性心筋梗塞 BMI 33.9 と肥満 (+) 体重が徐々に増加している (13kg/5 年 ) ノボラピッド 30 単位 ランタス 13 単位 グラクティブ 50mg にて HbA1c 9.4% アルコール多飲ありメトグルコを中止 質問 今後の治療はどうしたらよいか

症例 3 の治療 <BMI 33.9kg/m 2 の肥満 5 年で 13kg 体重増加 > 食事療法による減量が重要! 1. 調理担当者を明らかにする 栄養指導時には同席を 2. 問題点を明確にする 食べる速度 咀嚼回数 食べる順番 飲酒 3. 達成可能かつ明確な目標を設定する 体重 1kg 減量 =-7000kcal 3~5% 減を目標に

症例 3 への対応策 1. アルコール摂取量を含め食事療法の見直しを行う アルコール摂取量 <25g/ 日 食べる速度 炭水化摂取量 食べる順番などを指導 2. インスリン注射のコンプライアンスを確認 SMBG のデータも確認 3. GLP-1 受容体作動薬の併用 < 清野先生コメント > 超速効型インスリンを GLP-1 受容体作動薬へ変更するのがよい

症例 4.73 歳 男性 2 型糖尿病 直腸癌術後 高血圧 陳旧性心筋梗塞 糖尿病網膜症 現病歴 : 平成 17 年当院転院後 アマリール 2mg メルビン 750mg ベイスン 0.6mg で HbA1c 6.5% 前後でコントロールされていた その後 内服薬の変更あり平成 25 年 12 月にはアマリール 2mg メトグルコ 750mg セイブル 150mg ネシーナ 12.5mg で HbA1c 6.4% であったが 平成 26 年 3 月に心筋梗塞後アマリール 1mg ネシーナ 25mg で退院 4 月の HbA1c 8.0% にてセイブル 150mg 再開し 6 月には 7.9% となっている 妻が入院中であり朝食 : 缶詰 パン 昼食 : 喫茶店で摂取 夕食 : 外食となっている 現症 : 身長 169.3cm 体重 66.7kg(BMI 23.4 kg/m 2 ) 検査所見 : 空腹時血糖値 159mg/dl HbA1c 7.9% GAD65 抗体 (-) 空腹時 IRI 5.18µU/ml HOMA-R 2.2 HOMA-β 19.4 質問 今後の治療方針について教えてください

症例 4 のまとめ 73 歳 男性 2 型糖尿病 直腸癌術後 陳旧性心筋梗塞 BMI 23.4 と肥満 (-) HOMA-R 2.2 HOMA-β 19.4 アマリール 2mg メトグルコ 750mg セイブル 150mg ネシーナ 12.5mg で HbA1c 6.4% アマリール 1mg セイブル 150mg ネシーナ 25mg にて HbA1c 7.9% 質問 今後の治療はどうしたらよいか

症例 4 への対応策 1. 退院後の血糖コントロール悪化の要因として 食事療法のウエィトが大きいと考えられるため なるべく和食 ( 定食 ) を食べるよう指導 砂糖と油の摂り過ぎに注意 2. セイブルをメトグルコ (500mg 2x より ) ヘ変更 3. アマリールを 2mg へ増量 < 清野先生コメント > 目標を HbA1c<7.5% として 1 2 をおこなってみる

今回 症例をお寄せいただいた先生方 (50 音順 ) 馬場医院深堀内科医院本田内科わたべクリニック 馬場是明先生深堀茂樹先生本田孝也先生渡部誠一郎先生 ありがとうございました