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News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

虎ノ門医学セミナー

糖尿病の薬について 糖尿病とうまく付き合うために薬を知ろう

グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する 3( ) ホルモンによる作用を内分泌と呼ぶ

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経口血糖降下薬について


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日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

やまぐち糖尿病療養指導士講習会  第1回 確認試験

ブドウ糖が攻めてきた! 最初のインパクトある迎撃こそ勝利への第一歩

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第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある インスリンが血糖値を下げる唯一のホルモンです 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する

消化器病市民向け

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

T O P I C S 食後高血糖改善薬を用いた BOT の有効性 SMBG のデータを治療へのモチベーションとして活かす 東大介先生 関西労災病院糖尿病内分泌内科 < 略歴 > 2002 年香川医科大学医学部医学科卒業香川医科大学医学部附属病院研修医 2005 年香川県済生会病院内科 2007 年

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やまぐち糖尿病療養指導士講習会  第1回 確認試験

デベルザ錠20mg 適正使用のお願い

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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たな治療薬という宣伝文句で承認 販売 使用され 注目を浴びている しかし インクレチン関連薬は 近年 ( 日本では2009 年 10 月以降 ) 承認され使用されるようになった新薬であり 作用機序が未解明で長期安全性が全く確立されていない このことは インクレチン関連薬を推奨する医学文献にも明記され

糖尿病の新しい診断基準 (2010 年 7 月施行 ) と HbA1c の国際標準化

特集 インクレチンをめぐる新知見 4.GLP-1 受容体作動薬による糖尿病治療 宮川潤一郎美内雅之難波光義 はじめに経口摂取により食物が消化管内に流入すると, ブドウ糖や脂質等の刺激により消化管から膵 b 細胞のインスリン分泌を促進する因子が放出されることが古くから知られており, そのような作用を有

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リキスミア 添付文書改訂のお知らせ

第6回 糖新生とグリコーゲン分解


医療法人将優会 将優会 クリニックうしたに

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

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新技術説明会 様式例

食欲不振 全身倦怠感 皮膚や白目が黄色くなる [ 肝機能障害 黄疸 ] 尿量減少 全身のむくみ 倦怠感 [ 急性腎不全 ] 激しい上腹部の痛み 腰背部の痛み 吐き気 [ 急性膵炎 ] 発熱 から咳 呼吸困難 [ 間質性肺炎 ] 排便の停止 腹痛 腹部膨満感 [ 腸閉塞 ] 手足の筋肉の痛み こわばり

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= 専門医 + エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識 = vol.42 図 1 2 型糖尿病の病態からみた DPP-4 阻害薬の位置づけ 2 型糖尿病の病態 経 血糖降下薬 浦部晶夫ら 今日の治療薬 2011 解説と便覧, 南江堂,2011. より一部改編 られてきた これら 5 種類

糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

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第6回 糖新生とグリコーゲン分解

もくじ糖尿病は 合併症を防ぐために治療する 1 高血糖の三大原因 スルホニル尿素薬 (SU 薬 ) 4 速効型インスリン分泌促進薬 5 - グルコシダーゼ阻害薬 ビグアナイド薬 (BG 薬 ) 7 チアゾリジン薬 9 DPP-4 阻害薬 10 SGLT2 阻害薬 11 糖尿病の治療薬で起こる 低血糖

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『糖尿病(H27年度1-1グループ)』

血糖変動を読み解く vol.1

虎ノ門医学セミナー

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研究成果報告書

脂質が消化管ホルモンの分泌を促進する仕組み 1. 発表者 : 原田一貴 ( 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程 2 年 ) 北口哲也 ( 早稲田バイオサイエンスシンガポール研究所主任研究員 ( 研究当時 )) 神谷泰智 ( 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修士課程 2 年 (

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

糸球体で濾過されたブドウ糖の約 90% を再吸収するトランスポータである SGLT2 阻害薬は 尿糖排泄を促進し インスリン作用とは独立した血糖降下及び体重減少作用を有する これまでに ストレプトゾトシンによりインスリン分泌能を低下させた糖尿病モデルマウスで SGLT2 阻害薬の脂肪肝改善効果が報告

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Section 5 糖尿病の治療 5-1 糖尿病治療の考え方 5-2 食事療法 5-3 運動療法 5-4 経口血糖降下薬 5-5 インスリン療法 5-6 インクレチン関連薬 Lilly Diabetes 2

第12回 代謝統合の破綻 (糖尿病と肥満)

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2型糖尿病の成因と病態

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HbA1c GLP-1 11 HbA1c 2 GLP-1 1 DPP-4 GLP-1 SGLT2 1 2 HbA1c 7% 130mg/dL 2 180mg/dL , 2014

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

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血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

糖尿病は 初めは無症状で経過しますが 血糖値の高い状態が長く続くと口渇 多飲 多尿 体重減少 倦怠感などの症状がみられます 糖尿病は自覚症状が乏しいので 血糖値がある程度改善すると 通院しなくなる人がいます 血液検査を行わなければ糖尿病の状態を知ることはできないので 自覚症状だけに頼ってはいけません

2011年度版アンチエイジング01.ppt

ン投与を組み合わせた膵島移植手術法を新たに樹立しました 移植後の膵島に十分な栄養血管が構築されるまでの間 移植膵島をしっかりと休めることで 生着率が改善することが明らかとなりました ( 図 1) この新規の膵島移植手術法は 極めてシンプルかつ現実的な治療法であり 臨床現場での今後の普及が期待されます

糖尿病

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7 系統ある経口糖尿病治療薬 (OHA) のそれぞれのリハビリテーションにおけるリスクの考察 7 系統ある経口糖尿病治療薬 (OHA) のそれぞれのリハビリテーションにおけるリスクの考察 * 南場芳文 * 小林俊博 * 武政誠一 * 友枝美樹 * 上杉雅之 * 宮本重範 Key words 経口糖尿

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スライド 1

老人 2 型 DM の血糖コントロール JAMA,March8,2016 西伊豆早朝カンファランス H 西伊豆健育会病院仲田和正 A Review of Glycemic Control in Older Adults with Type 2 Diabetes 著者 Kasja J.Li

糖尿病と治療の目的 糖尿病とは 糖尿病とは 体内でインスリンというホルモン p.3参照 が不足したり はたらきが悪くなったりすることによって 血液中に含まれる糖 血糖 の値が高い状態が続く病気です 糖尿病 患者さんの 場合 健康な 人の場合 インスリンによって糖が細胞に取り込まれ 血液中の糖が使われ

第 546 回 (12 月 ) 例会 糖尿病ケアまるわかり講座 糖尿病 Now Up To Date 辻野元祥 1. 東京都立多摩総合医療センターおよび内科内分泌代謝内科のご紹介 東京都立多摩総合医療センターは,2010 年 2 月末に前身である旧東京都立府中病院が移 管して新しい病院として生まれ変

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説明書

日本内科学会雑誌第105巻第4号

このプログラムでは高血糖管理の個別化のアプローチについて 禁忌など様々な高血糖治療薬の限界や用量調整の必要性および低血糖リスクについて そして高齢患者や腎機能障害の患者を含む固有の特徴を有した糖尿病 (T2DM) 患者の高血糖管理に最適な治療戦略についての理論的解釈および内容についてディスカッション

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糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

最近の糖尿病治療の動向と 当院での取り組み

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新しい糖尿病治療薬 インクレチン療法について

インクレチンとは? インクレチンは消化管 ( 小腸 ) から分泌され インスリン分泌を促進するホルモンである インクレチンとして GLP-1 と GIP が知られている 2 型糖尿病患者では GLP-1 の方が GIP よりインスリン分泌効果が高い GLP-1 が特に注目されている

インクレチンによるインスリン分泌のメカニズム GLP-1 GIP 受容体 インクレチン (GLP-1 GIP) 電位依存性 Ca 2+ チャネル Ca 2+ SU 剤 K ATP チャネル Gs アデニル酸シクラーゼ ATP camp 増幅経路 Ca 2+ 惹起経路 ATP/ADP 代謝 GLUT2 グルコース 膵 β 細胞 インスリン分泌 SU 剤とインクレチンのインスリン分泌機構は異なるので SU 剤の 2 次無効症例にも有効

従来の経口血糖降下薬の作用 : 多彩な要因に対する治療の必要性 インスリン抵抗性 ( インスリン作用の障害 ) 膵島機能障害 グルコース吸収 グルカゴン過剰分泌 インスリン分泌低下 β 細胞機能の低下 ビグアナイド薬 チアゾリジン薬 α- グルコシダーゼ阻害薬 スルホニル尿素薬 速効型インスリン分泌促進薬

インスリン分泌を増加させ グルカゴンの過剰分泌を抑制する インクレチンによる膵島機能の改善 グルコース 2 型糖尿病 インクレチン反応の低下 インスリン 膵島機能悪化 高血糖 グルカゴン グルコース DPP-4 阻害薬 インクレチン活性の維持 インスリン 膵島機能改善 血糖コントロール改善 DPP-4=dipeptidyl peptidase-4 グルカゴン

膵 b 細胞機能 (%) 2 型糖尿病歴と膵 β 細胞機能低下 100 糖尿病患者の膵 b 細胞機能自然歴 75 50 IGT 膵 β 細胞機能 = 正常の 50% 25 0 食後高血糖 糖尿病第 1 期 糖尿病第 2 期 糖尿病第 3 期 -12-10 -6-2 0 2 6 10 14 ( 年数 ) 糖尿病の診断 Lebovitz H.E.:Diabetes Reviews,7,139,1999. より改変

GLP-1&DPP-IV 阻害薬は膵ラ氏島組織を保護する db/m db/db 12 week GLP-1 18 week No treatment GLP-1

膵 b 細胞機能 (%) 2 型糖尿病歴と膵 β 細胞機能低下 100 糖尿病患者の膵 b 細胞機能自然歴 膵 b 細胞を守る治療を考慮した場合の膵 b 細胞機能 75 GLP-1, DPP-IV 阻害薬による介入 50 25 IGT 食後高血糖 糖尿病第 1 期 糖尿病第 2 期 糖尿病第 3 期 0-12 -10-6 -2 0 2 6 10 14 ( 年数 ) 糖尿病の診断 Lebovitz HE.: Diabetes Reviews,7,139,1999. より改変

インクレチン作用の特徴 膵作用 インクレチン療法で期待されるメリット β α インスリン分泌促進 グルカゴン分泌抑制 (GLP-1 のみ ) 血糖依存的 低血糖のリスクが少ない β β 細胞量増加 * 膵保護 * 膵外作用 食欲抑制 (GLP-1 のみ ) 胃排出遅延 (GLP-1 のみ ) 体重減少 (GLP-1 のみ ) * 非臨床試験でのみ確認されている Schemitz O: J Clin Endocrinol Metab 93, 375-377, 2008 Drucker DJ, et al: Gastroenterology 132, 2131-2157, 2007 より作成

GLP-1 の膵作用と膵外作用 神経保護 胃 食欲 胃内容物排出 心臓 脳 胃酸分泌 心保護 心拍出量 糖産生 消化管 GLP-1 膵臓 インスリン分泌 肝臓 GLP-1=glucagon-like peptide-1 インスリン感受性 筋肉 グルカゴン分泌インスリン合成 β 細胞増殖 β 細胞アポトーシス

DPP-4 阻害による活性型 GLP-1 の増加 食事 GLP-1 t ½ =1~2 分 消化管から GLP-1 分泌 活性型 GLP-1 不活性型 GLP-1 ( 全体の 80% 以上 ) DPP-4

インクレチンとインスリン分泌 インスリン 栄養素 膵島 DPP-Ⅳ 阻害剤 ( 内服薬 ) DPP-Ⅳ L 細胞 GLP-1 岡芳知編 : 文光堂糖尿病カレントライブラリー 2 インスリン分泌 P29 2005 第 1 版第 2 刷

インクレチンとインスリン分泌 インスリン 栄養素 膵島 DPP-Ⅳ 抵抗性 GLP 受容体作動薬 ( 注射薬 ) DPP-Ⅳ L 細胞 GLP-1 岡芳知編 : 文光堂糖尿病カレントライブラリー 2 インスリン分泌 P29 2005 第 1 版第 2 刷

これまで GLP-1 は 全身に発現している DPP-Ⅳ という分解酵素により 速やかに不活化される ( 半減期は 2 分 ) ため治療薬になりませんでした 臨床応用するには DPP-Ⅳ:dipeptidyl peptidase-Ⅳ DPP-Ⅳ を阻害により GLP-1 の効果を増強する製剤の開発 (DPP-IV 阻害薬 ) DPP-Ⅳ による分解を受けにくいアナログ製剤の開発 (GLP-1 注射薬 )

DPP-IV 阻害薬の種類 製品 Sitagliptin ( ジャヌビア ) Vildagliptin ( エクア ) Alogliptin ( ネシーナ ) SSR162369 Saxagliptin PSN-9301 R1438 TA-6666 PHX1146 GRC8200 SYR-619 TS-021 ALS2-0426 会社名万有製薬 / 小野薬品 Novartis 武田薬品 Sanofi-Aventis Bristol-Myers-Squibb OSI Pharmaceuticals Roche 田辺三菱製薬 Phenomix Glenmark Pharmaceuticals 武田薬品大正製薬 Alantos Pharmaceuticals 使用可能 使用可能 使用可能

GLP-1 注射薬 (Liraglutide ( ビクトーザ )) の臨床効果 観察期間 ( 週 ) 年齢 ( 歳 ) HbA1c (%) Baseline 体重 (Kg) BMI (kg/m 2 ) 治療内容 HbA1c 変化量 (%) HbA1c<7% 達成率 (%) 体重変化 (Kg) 52 53 8.3 BMI33 Liraglutide Glimepiride -1.1-0.5 51 28-2.5 +1.1 26 不明 8.4 体重 88.6 Met+Liraglutide Met+Glimepiride -1.0-1.0 42 36-2.8 +0.9 26 56 8.4 BMI30 Glimepiride+Liraglutide Glimepiride+Rosiglitazone -1.1-0.4 42 22-0.2 +2.1 17 58 8.2 BMI31 Glim, Met+Liraglutide Glim, Met+Glargine -1.3-1.1 37 24-1.8 +1.6 下田将司 : Progress in Medicice, 28, 2008 より改変

GLP-1 注射薬 (Exenatide) の臨床効果 観察期間 ( 週 ) 30 30 30 16 15 52 26 年齢 ( 歳 ) 55 53 55 56 54 59 59 HbA1c (%) 8.6 8.2 8.5 7.9 8.5 8.6 8.3 Baseline 体重 (Kg) 96 100 98 97 106 84 88 治療内容 SU+Exenatide SU+placebo Met+Exenatide Met+placebo Met, SU+Exenatide Met, SU+placebo Thiazolidine+Exenatide Thiazolidine+placebo Ex-LAR placebo Met, SU+Exenatide Met, SU+Aspart Met, SU+Exenatide Met, SU+Glargine HbA1c 変化量 (%) -0.9 +0.1-0.8 +0.1-0.8 +0.2-0.9 +0.1-1.7 +0.4-1.0-0.9-1.1-1.1 体重変化 (Kg) -1.6-0.6-2.8-0.3-1.6-0.9-1.8-0.2-3.8 0.0-2.5 +2.9-2.3 +1.8 下田将司 : Progress in Medicice, 28, 2008 より改変

GLP-1 の膵作用と膵外作用 神経保護 胃 食欲 胃内容物排出 心臓 脳 胃酸分泌 心保護 心拍出量 糖産生 消化管 GLP-1 膵臓 インスリン分泌 肝臓 GLP-1=glucagon-like peptide-1 インスリン感受性 筋肉 グルカゴン分泌インスリン合成 β 細胞増殖 β 細胞アポトーシス

Method of administration Prefilled, disposable pen for s.c. injection Contains 18 mg liraglutide in 3 ml 0.6 mg selected 1.2 mg selected 1.8 mg selected Once-daily s.c. injection Select dose (0.6, 1.2 or 1.8 mg) Inject at any time, independent of mealtimes (preferably same time each day) Can use needles up to length of 8 mm and as thin as 32G Abdomen, thigh or upper arm Can change site and timing without dose adjustment Victoza Summary of Product Characteristics

インクレチン (DPP-IV 阻害薬, GLP-1 注射薬 ) 1 インクレチンは従来の糖尿病薬が効きにくい人でも有効 2 インクレチンはインスリン分泌だけでなく グルカゴン過剰分泌を抑制し 血糖コントロールを一層安定させる 3 インクレチンは膵臓 β 細胞を再生させ 糖尿病の経年的悪化の自然歴を変える可能性がある 4 GLP-1 は膵作用のみならず 様々な膵外作用を有し 臓器保護効果が期待できる

将来の経口血糖降下薬選択のアルゴリズム なし 膵 β 細胞脆弱性 あり 従来通り DPP-IV 阻害薬 ( 第一選択 ) 正常 食前血糖 高値 食後高血糖インスリン分泌障害インスリン抵抗性 併用 α- グルコシダーゼ阻害薬 グリニド薬 SU 薬 TZD 薬 BG 薬 山田祐一郎, 糖尿病の最新治療, 2009