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国際会議場 3 階 303 会議室

EURACHEM/CITAC による不確かさガイド : (Quantifying Uncertainty in Analytical Measurement: EURACHEM CITAC Guide CG4,Third Edition,2012 年 ) 興味のある方は WEB サイトからダウンロードできる http://www.eurachem.org/index.php/publications/guides/ 日本語訳 : 分析値の不確かさ - 求め方と評価 日本分析化学会監訳 米沢仲四郎訳 丸善出版 改訂の要点は次のとおりである (1) ゼロ付近の不確かさについて補足 (2) モンテカルロ法の新規追加 ISO/IEC Guide 98-3/Sp.1 への対応 (3) 技能試験データの応用の補足 (4) 測定不確かさを用いた適合性評価の補足 ISO/IEC Guide 98-4 への対応 2

(1) ゼロ付近の不確かさについて補足 QUAM2012 本文 9.6 非対称な区間ゼロ付近の測定の不確かさなど事例 : 純度 ( 質量比 ) の場合 純度 :0.995 標準不確かさ 0.005 及び有効自由度 11 において約 95% の信頼区間 0.983~1.000 を伴う QUAM2012 付属書 F F.6. ゼロ付近の拡張不確かさの区間 : ベイズアプローチ 3

(2) モンテカルロ法の新規追加 GUM 補足文書 ISO/IEC Guide 98-3/Sup. 1(JCGM101) : モンテカルロ法による分布の伝播 への対応 < 規格の構成内容 > 序文, 緒言 1. 適用範囲 2. 引用文献 3. 用語と定義 4. 規則と記号 5. 基本原理 6. 入出力量の確率密度関数 7. モンテカルロ法の解釈 8. 結果の妥当性確認 9. 事例 (1) 質量校正 (2) マイクロ波パワー (3) ゲージブロック付録 : 経緯, 感度係数と不確かさの見積もり, 確率分布からのサンプリング等 4

QUAM2012 附属書 E.3.2 原理 GUM 法 (A) 不確かさの伝播則 モンテカルロ法 (B) 分布の伝播 x x x, u( 1) 1 x, u( 2) 2 x, u( 3) 3 x A Y = f (X ) y, u( y) g x1 ( ξ 1 ) g x2 ( ξ 2 ) g x3 ( ξ 3 ) Y = f (X ) g Y B (η) 要因ごとの標準不確かさから伝播則により合成する 要因ごとの確率分布からサンプリングして 多数回の測定のシミュレーションから出力量の分布を求める 5

EXCEL における確率密度分布に対応した乱数発生 確率分布 ( 正規分布を例にしている ) =NORMDIST(x, 100, 3, FALSE) 累積分布関数 =NORMDIST(x, 100, 3, TRUE) 0.2 0.15 平均値 =100 標準偏差 =3 1 0.8 0.6 確率 0.1 累積値 0.4 0.05 0.2 0 90 95 100 105 110 観測値 0 90 95 100 105 110 観測値 累積分布関数の逆関数 =NORMINV(RAND(),100, 3) 縦軸の累積値の値を RAND() 関数で発生して 対応する横軸の数値を求めると目的の分布に対する乱数となる 6

EXCEL における基準矩形分布乱数の生成 (0,1) 区間の矩形分布乱数は EXCEL では次の 2 つの関数が用意されている 1.EXCELシート RAND() シート内のセルに =RAND() と記述する 別のセルに追記すると新たな乱数が作成される 2.EXCEL VBA Rnd() マクロプログラムで Call Randmize に続いて r=rnd() のように使う rは0<r<1の矩形分布乱数を保存する (0,1) 矩形分布乱数 ( 基本矩形乱数 ) は 他の異なる確率分布からのサンプリングに用いられる 7

QUAM2012 附属書 E.3.4 表 1 モンテカルロシミュレーションに用いる計算式 PDF NORMINV(RAND(), x, u), h x + 2*h*(RAND() - 0.5), u x + 2*u*SQRT(3) *(RAND() - 0.5), h, u x + h*(rand() - RAND()) x + u*sqrt(6) * (RAND() - RAND()) t x + u*tinv(rand(), eff ) 8

入力量の確率密度関数 ( ISO/IEC Guide 98-3/Sp.1 6 章 ) 11 種類の密度関数を説明 1. Rectangular: 矩形分布 2. Curvilinear trapezoid (Ctrap): 曲線の台形分布 3. Trapezoida: 台形分布 4. Triangular: 三角分布 5. Arc sine (U-shape):U タイプ分布 6. Gaussian: 正規分布 7. Multivariate Gaussian: 多変量正規分布 8. Scaled and shifted t : 変形 t 分布 (n 個の観測値 ) 9. Scaled and shifted t : 変形 t 分布 ( 推定値 拡張不確かさ 有効自由度 ) 10. Exponential: 指数分布 11. Gamma: ガンマ分布 9

QUAM2012 附属書 E.3.4 事例 : 測定された分析種の質量 a 風袋共の質量 b 容器の質量 c とするときの質量比 y = b a c a b c の数値 標準不確かさ及び指定された分布を表 E3.2 の行 3 から 5 に与える 10

表 E3.2: モンテカルロシミュレーションのスプレッドシート上での実行 1 個の観測値 1 組の観測による計算 ( 測定 ) 値 11

図 3.1 シミュレーション結果のヒストグラム EXCEL シートで実行 : サンプリング数を 500 回としたときの変化を確認 12

EXCEL マクロプログラムで計算 MCM と GUM の比較 2.5 2 MCM PDF GUM PDF MCS 繰返し回数 200000 回 1.5 確率 1 0.5 0 0.2 0.9 1.6 2.3 3 観測値 Average(x) u(x) y(low)95% y(high)95% MCM 1.04 0.22 0.68 1.46 GUF 1.00 0.19 0.63 1.37 どの値を報告すれば良いのか? 13

ISO Guide 98-3/S.1 (JCGM 101) 5.10 Conditions for the valid application of the described Monte Carlo method MCM を適用するための前提条件 a) 関数 f は入力量 Xi の最良推定値 xi の近傍で Xi について連続であること b) 出力量 Y の分布関数は連続であり, 厳密に増加関数であること c) y の PDF は, 最小の包含区間を一意に決定できること その必要条件を次にあげる 1) PDF が厳密に正である区間で連続 2) 単峰形 3) 峰の左側では厳密に増加関数で, 右側では厳密に減尐関数であること d) Y の期待値 E(Y) とその分散 V(Y) が存在すること e) 十分に大きな数の MCM の繰返しが行えること 14

QUAM 2012 附属書 E.3.5 MCS を用いた不確かさ評価における注意点 1 MCS サンプリング数 MCS は数百回の反復シミュレーションでも標準不確かさについては良い推定値を与える ;200 回の少ない試行回数では推定された標準不確かさは最良推定値から ±10 % 程度ずれることがあるが 1000 回及び 10000 回のサンプリングでは予想される範囲は ±5 % 及び ±1.5 % となる ( カイ二乗分布の 95 % 区間に基づく ) 多くの入力量の不確かさがはるかに少ない観察から導かれていることに留意すると 500-5000 の MCS サンプリングによる比較的小さなシミュレーションでも少なくとも試験的な計算として 多くの場合は標準不確かさの報告には適切であると考えられる この目的に対しては スプレッドシート上での MCS 計算は十分であることが多い 15

MCS を用いた不確かさ評価における注意点 ( 続き ) 2 MCS による信頼区間原理的に MCS の結果から有効自由度を使わないで 分位点を利用するなどで信頼区間を評価することができる PDF が基礎とする情報は必ずしも信頼できるとは限らないので PDF に関する情報の欠如については留意する必要がある 特に PDF の裾はそのような情報に敏感である それ故 GUM G1.2 節で指摘されるように 同じような近い信頼の水準 ( 信頼の水準 94 % 又は 96 % など ) を区別することはあまり意味をなさない 加えて GUM では 99 % 又はそれ以上の信頼の水準で区間を求めることはとりわけ困難であることが示されている さらに 出力量の PDF の裾について十分な情報を得ることは少なくとも 10 6 の試行回数の計算を必要とする それ故 ソフトウエア で用いられる乱数生成法が 入力量の PDF からそのような巨大な数をサンプリングすることに対してランダム性を維持することができることを確実にすることが重要である JCGM 101 では信頼できる乱数発生法を推奨している 16

乱数について ISO/IEC Guide 98-3/Sp.1 による乱数への推奨事項 : 附属書 C 16 ビット PC のための Wichman と Hill による方法は (0,1) 乱数の繰返しが 2^31 であり 乱数の生成周期は十分でない 32 あるいは 64 ビット用の拡張 Wichman-Hill の場合は 周期は 2^121 に増加するので いかなる場合にも適用できる EXCEL 乱数について マイクロソフトの説明 :http://support.microsoft.com/kb/828795/ja Excel 2007 と Excel 2003 の RAND 関数についてこの資料では Microsoft Office Excel 2007 と Microsoft Office Excel 2003 の乱数ジェネレータ RAND で使用される 変更されたアルゴリズムについて説明します 以前のバージョンの Excel の RAND 関数で使用されていた擬似乱数ジェネレータアルゴリズムは 標準の乱数テストでのパフォーマンスが不十分でした この影響を受けるのは RAND の呼び出しを多数回 ( たとえば 100 万回以上 ) 実行する必要があるユーザーのみであり 大多数のユーザーにとっては問題にならない可能性が高いのですが この資料で説明する擬似乱数ジェネレータアルゴリズムは Excel 2003 で初めて実装されました このアルゴリズムは 同じ一連の標準の乱数テストに合格しています 最新の EXCEL(2003) の周期は 2^43 という情報もある 17

MCS を用いた不確かさ評価における注意点 ( 続き ) 3 出力量の分布における非対称性によるバイアス測定モデルが非線形で推定値 y に付随する標準不確かさが y に比べて大きいとき ( すなわち u(y)/y が 10% よりかなり大きい ) MCS PDF は非対称になりやすい この場合 シミュレーション結果から得られた平均値は 入力量の推定値から計算される測定対象量の値 (GUM 手順による ) と異なるであろう 化学測定における最も実用的な目的のためには 元の入力値から計算された結果を報告するのがよい ; しかしながら 標準不確かさを求めるために MCS による推定値を用いることができる 18

付録 A.2: フタル酸水素カリウム (KHP) 標準物質を使用する水酸化ナトリウム濃度の標定 ( Quantifying Uncertainty in Analytical Measurement: EURACHEM CITAC Guide CG4, Third Edition,2012 年 ) NaOH 標準液の濃度と不確かさ NaOH の濃度 [ mol L -1 ] KHP KHP 質量測定 c NaOH = 1000 m M KHP KHP P V T KHP NaOH NaOH 溶液調製 m KHP KHP [g] 滴定滴定 P KHP KHP M KHP KHP [g mol -1 ] 測定結果 V T NaOH [ml]

本測定について文献を熟読されることを薦める! GUM と MCS の比較 特性要因図の詳細な記述 GUM による詳細な不確かさ評価検討 MCM において 最も影響が大きい要因である滴定に要した体積の確率分布の影響 など

KHP 滴定 モンテカルロ法で計算すると? モデル関数 : 分布が与えられている要因をすべて含める c NaOH = ( M C 8 + 1000( m M H 5 + M KHP,1 O 4 + m M K KHP,2 ) V ) P T KHP [ 1 α( T T )] 0 [ ] 1 moll m KHP P KHP M KHP KHP [g mol -1 ] V T KHP [g] KHP NaOH [ml]

KHP 滴定

KHP 滴定 GUM とモンテカルロ法の比較 Average(x) u(x) Symmetric Shortest y_low y_high y_low y_high MCM 0.1021 0.000110 0.1019 0.1023 0.1019 0.1023 GUF 0.1021 0.000115 0.1019 0.1024 4000 3500 MCM PDF GUM PDF 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 0.1017 0.10185 0.102 0.10215 0.1023 0.10245 0.1026

ご清聴ありがとうございます 質問などは下記へ! Isao.Kojima@jab.or.jp 24