外傷性脳損傷に対する減圧開頭

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えりかみやまる
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1 Trial of Decompressive Craniectomy for Traumatic Intracranial Hypertension RESCUEicp trial N Engl J Med Sep 22;375(12): 慈恵 ICU 勉強会 2016/11/29 研修医 2 年洋

2 Introduction Ø 外傷性脳損傷後脳浮腫や腫脳挫傷頭症の影響で頭蓋内圧が亢進しうる N Engl J Med 2014; 371: 972. Ø 頭蓋内圧亢進によって頭蓋内還流圧が低下することで脳虚をきたすことがある BMJ 2013; 346: f1000 Ø 外傷性脳損傷後の頭蓋内圧亢進は死亡率を増加させるということが数多く報告されている Neurocrit Care 2006; 4: 8-13.

3 Introduction Ø 減圧開頭術は頭蓋をきく取り除きその下にある硬膜を開く外科的な処置である Adv Tech Stand Neurosurg 2012; 38: Ø 頭蓋再建は 2 3 週間後に冷凍保存したのまたはチタンなどの属でわれる Ø 外傷性脳損傷に対して頭蓋内圧亢進をコントロールするために減圧開頭術はしばしばわれ Cochrane Database Syst Rev 2006; 1: CD る

4 減圧開頭術とは Ø 両側側頭頭頂開頭減圧術両側性の広範な脳浮腫に対して施される Ø 側開頭減圧術側性の脳浮腫に対して施される Int J Med Sci. 2010; 7(6):

5 減圧開頭術とは Adv. Tech. Stand. Neurosurg. 38, (2012).

6 減圧開頭術とは Neurosurg Focus. 2007;22(5):E14

7 減圧開頭術とは

8 脳梗塞に対する減圧開頭術の有効性 Early decompressive surgery in malignant infarction of the middle cerebral artery: a pooled analysis of three randomised controlled trials. Lancet Neurol Mar;6(3): Ø DECIMAL, DESTINY, HAMLET に登録された患者 Ø 歳 ( 平均年齢 40 代 ) 93 Ø 多施設, Meta-analysis Ø Primary outcome: 発症 1 年後の mrs 4(0-4 vs. 5-6) Ø Secondary outcome: 発症 1 年後の mrs 3(0-3 vs. 4-6) 2016 年 5 20 先の勉強会でのスライドから引

9 発症 1 年後の死亡率 : 71% 22% mrs:5 の割合 : 減圧開頭群 4% vs. 内科的治療群 5% mrs:2-3 の割合 : 減圧開頭群 43% vs. 内科的治療群 21.5% 減圧開頭群のが機能予後が良い

10 Hemicraniectomy in older patients with extensive middle-cerebral-artery stroke. N Engl J Med 2014; 370: Ø 前向き無作為盲検多施設較試験 Ø 法 :61 歳以上の中脳動脈領域の広範な脳梗塞発症症例 ( 発症 48 時間以内に減圧開頭術を施した群 49 例 vs 保存的に加療した群 63 例 ) Ø 結果 : 全存率重度神経学的後遺症 (mrs:0 4 点 ) を有さない存率の改善 QOL NIHSS スコア HDRS の改善

11 ランダム化後命予後神経学的予後ともに開頭群で優れていた

12 mrs スコア NIHSS スコア Barthel index score に関しても開頭群で良好であった

13 SF-36 score Hamilton Depression rating Scale EQ-5D visual-analogue scale score に関しても開頭群で良好であった

14 こまとめ Ø 広範な脳梗塞に対して減圧開頭術を施した群で存率神経学的予後の改善が有意差をもって証明された

15 外傷性脳損傷に対する減圧開頭術の有効性 Decompressive bifrontal craniectomy in the treatment of severe refractory posttraumatic cerebral edema. Neurosurgery Jul;41(1):84-92 Ø 国 Traumatic Coma Bank Data の観察研究 Ø 法 : 外傷性脳損傷による脳浮腫症例両側前頭減圧開頭術を施した 35 vs 標準治療群 93 Ø 結果 : 神経学的良好あるいは中等度障害症例の割合は開頭群で 13 (37%) 標準治療群で 25 (16%) 児症例では神経学的良好あるいは中程度障害症例の割合は開頭群で 44% であり成例よりも効果的であった

16 減圧開頭術を施した群で死亡率神経学的予後の改善を認めた児症例においてより開頭減圧術の効果がみられた

17 外傷性脳損傷に対する減圧開頭術の有効性 Ø RCTではないものの後ろ向き研究では外傷性脳損傷に対して減圧開頭術を施することによって存率神経学的予後の改善が認められた

18 Decompressive Craniectomy in Diffuse Traumatic Brain Injury. DECRA trial N Engl J Med 2011; 364: Ø 多施設共同無作為化盲検下試験 Ø2002 年 10 から 2010 年 4 Ø ニュージーランドオーストラリアサウジアラビアの 15 施設 Ø15 歳から 59 歳の外傷性脳損傷に対する難治性脳浮腫症例 ( 両側前頭減圧開頭術を施した 73 vs 保存的加療 82 )

19 法 Ø 難治性頭蓋内圧亢進 : 保存的加療をっても頭蓋内圧が 1 時間あたりに 15 分以上に渡って 20mmHg 以上である症例 Ø 難治性頭蓋内圧亢進症例に対してランダムに早期に減圧開頭術をう群と標準的治療のみをう群に割り当て ØPrimary outcome ランダム化後 6 かの時点での GOS-E score ØSecondary outcome 1 頭蓋内圧 2 頭蓋内圧 index 3 院内死亡率 4 神経学的予後が良好だった存者の割合 56 か後の死亡率

20 GOS-E score Dead Vegetative State Lower SevereDisability Upper Severe Disability Lower Moderate Disability Upper Moderate Disability Lower Good Recovery Upper Good Recovery 簡単な指に従えるないし何かしら葉をえる家にいるほとんどの時間で補助を必要とする家の中で活をするうえではできる保護作業所で働く競争的な仕事は可就労困難依然っていた仕事量を制限しなければならない社会活動や休暇活動に半分以上参加できる特に活において障がない J Neurotrauma Aug;15(8):

21 死亡率は両群で差はられなかった頭蓋内圧のコントロール ICU 在室数呼吸器装着期間は減圧開頭群で優れているものの神経学的予後は開頭群において不良であった

22 結果 Ø 早期減圧開頭術をった群で GOS-E score は標準的治療群と較し悪化 Ø6 か後の存率は両群間で差はなし Ø 早期の減圧開頭術群でより植物状態重度障害などの転帰をじた

23 ここまでのまとめ Ø 後ろ向き研究では外傷性脳損傷に対する開頭減圧術の有効性が唆された Ø しかし RCT である DECRA trial では有効性をせず死亡率の改善はられず神経学的予後の悪化をきたした

24 今までの経緯を踏まえて Ø 減圧開頭術は頭蓋内圧亢進に対する最終段と位置付けられた ØDECRA trial では頭蓋内圧亢進の定義がいために早期の外科的術をしてしまったため予後を悪化させてしまっている可能性がある Ø また両側減圧開頭術のみではなくより技が簡略な側減圧開頭術も含めた研究も必要である

26 法 Ø23 か国 71 施設 Ø 並群優位性無作為化試験 Ø 期間は 2004 年から 2014 年 Ø 外傷性脳損傷による頭蓋内圧亢進症が認められ内科的治療に治療抵抗性である症例

27 Inclusion criteria Ø10 歳から 65 歳まで Ø 外傷性脳損傷で CT において脳に異常が認められた症例 Ø 難治性頭蓋内圧亢進 :stage 1 と stage2 の内科的治療をうも頭蓋内圧が 25mmHg 以上である時間が 1 12 時間継続する場合を定義

28 Exclusion criteria Ø 両側で瞳孔の散と固定を認めた症例 Ø 存しえないと考えられた程度の外傷 Ø 出傾向のある患者

29 法 Ø 治療抵抗性の症例に対してランダム化に開頭群と内科的治療群に割り当て Ø 腫除去術は減圧開頭術には含めない Ø 内科的治療群であっても患者の状態がさらに悪化するようであるならば減圧開頭術を施する Ø 側性に脳浮腫を認めた場合は側性減圧開頭術両側性に脳浮腫を認めた場合は両側性減圧開頭術を選択する

30 内科的治療

32 Randomization and masking Ø 置換ブロック法によって患者が較群と対照群で 1:1 になるようにランダム化 Ø ランダム化の割り当ては電話によってわれる ØStage3 に到達するまで患者が開頭群か内科的治療群かは明らかにされない

33 Primary end point Ø ランダム化後 6 か時点における GOS-E score Secondary end point Ø ランダム化後 12 か後の GOS-E score 6 12 か後の死亡率退院時の GCS スコアまたは死亡率 ICU 在室数頭蓋内圧のコントロール退院までの期間

34 統計 ØOutcome は ITT 解析をった ØPrimary end point は例オッズモデルに基づいた順序解析をった Ø 神経学的予後をす GOS-E スケールにおける割合に関してはカイ乗検定をった ØICU 在室数に関してはログランク検定をいた Ø そのほかのカテゴリーデータは Mann Whitney U test カイ乗検定をった

35 統計サンプルサイズの算出 Ø コントロール群での発頻度を 60% 介による神経学的予後の改善 15% を検出すると設定 Ø 検出 =80% α=0.05 Ø15% の離脱を考慮 Acta Neurochir Suppl 2006;96:17-20 以上よりサンプルサイズは 400 となった

36 フローチャート

38 両群間のベースライン両群間の患者層に差を認めない

39 頭部以外の損傷

40 損傷の原因

41 両群における治療両群において減圧開頭術と stage3 でうバルビツレート投与を除いて差はなかった

42 結果死亡率は開頭減圧術群にて減少するものの重度の神経学的後遺症を有する症例は開頭減圧群で増加傾向であった

43 ICU 退室時の死亡 GCS スコアに関しては減圧開頭群で良好であった頭蓋内圧のコントロールに関しては減圧開頭術で良好であった

44 Primary end point グラフ減圧開頭群において死亡は減少するものの重度の神経学的後遺症を有する患者の割合が開頭群にて増加

45 Secondary end point

46 Secondary end point ICU 退室までの数または ICU 在室中での死亡までの数では中間値に有意差は認めない ICU を存して退室できたものだけに限定すると術群において在室数の短縮を認めた

47 Complication 合併症や有害事象は開頭減圧群で多い

48 Complication 出術中呼吸不全肺炎術後腫術部位感染

49 Discussion ØStage 1 stage 2 でった治療について両群間で差はられなかったことから内科的治療群と減圧開頭術群での結果の差異は減圧開頭術の効果によるものであると考えられる ØDECRA trial では当試験の stage 2 における段階で開頭術をっていたため本研究ではより厳格に術適応を考慮したものと考えられる

50 Discussion Ø 術により頭蓋内圧亢進のコントロールが良好となりその事が死亡率を減少させた因であるかもしれない Ø 減圧開頭術が死亡率を低減させるということが活が困難な障害を来した患者数を増やしたという事にも反映されていると考えられる

51 Discussion DECRA trial RESCUE trial 重症のび漫性外傷性脳損傷と内科的治療に抵抗性の頭蓋内圧亢進症を有する患者頭蓋内の巨な mass を有する症例は除く巨な頭蓋内腫を有する症例も含む内科的治療にもかかわらず頭蓋内圧が 1 時間以内に 15 分以上に渡って 20mmHg 以上両側前頭側頭減圧開頭術内科的治療に対して治療抵抗性で頭蓋内圧亢進の定義を 25mmHg が 1 12 時間続く症例によって側性両側性の減圧開頭術を使い分ける減圧開頭群にて存率は改善なし神経学的予後の悪化が認められた減圧開頭群にて存率の改善はられたものの重度神経的後遺症を有する患者が増加した

52 Limitation Ø 標準療法のみの群であっても減圧開頭術を施した症例が多かったということ Ø 内科的治療群に割り当てられた症例がかなりの割合で外科的治療に移したという事実は治療効果をより分かりにくくした可能性がある

53 Limitation Ø 医師が治療群の割り当てを治療の過程で知っていたこと Ø10 の患者が同意を取り下げたまたは有効な同意を得られていなかった 7 の標準治療群がフォローできなかったこと Ø 減圧開頭術から頭蓋の再建に要した時間を全体的に記録していなかった点

54 Editional Ø 内科的治療をった群において開頭へ移した症例が多いという事実は内科的治療で最善を尽くしてもしばしば頭蓋内圧亢進のコントロールをする為には分ではないという事実をしている Ø 死亡率を改善させるものの神経学的予後が外科的治療群においても良好ではないという事実は患者の治療針を決定するうえで患者の親などとの話し合いのうえでつの指針になりうる

55 私 Ø 外傷性脳損傷ではび漫性に脳に障害が加わるため脳梗塞による頭蓋内圧亢進のケースとは異なりクリアカットな結果が出なかったものと考えられる Ø 本研究では側性減圧開頭術も施されていたが両側性の減圧術は側性減圧開頭術と較し技が複雑であるため DECRA trial との結果の違いに反映されていると考えられる

56 私 Ø 減圧開頭群にて死亡率は減らせるが重度障害を有するをどうするか社会的なありなども問われる Ø 今後の医療費増や少齢化などの社会情勢を考慮すると治療針にを投じる論になりうると考えられる

IntroducAon 重症頭部外傷患者の約 60% は植物状態や要介助など予後不良な転帰を辿る. 約 39% は外傷が原因で死亡する. Lancet 2012;380: 生存例でも一般人口より 3.2 倍短命 Med J Aust 2012;196:40-45 ヨーロッパでは過去 5

N Engl J Med 2015;373(25):2403-12. 頭部外傷と低体温療法 2016.2.23 慈恵 ICU 勉強会研修医谷島和 IntroducAon 重症頭部外傷患者の約 60% は植物状態や要介助など予後不良な転帰を辿る. 約 39% は外傷が原因で死亡する. Lancet 2012;380:1088-98 生存例でも一般人口より 3.2 倍短命 Med J Aust 2012;196:40-45