体系数学 補助教材 中学校移行措置対応統計近似値標本調査 0 年度より中学校新学習指導要領が完全実施されます この冊子は, 新学習指導要領実施に先立って行われる移行措置の学習内容のうち, 資料の整理( 統計 ), 近似値, 標本調査 についてまとめたものです 移行措置期間について 中学 年生 009 年度 ~ 0 年度が移行措置期間となる 本冊子の内容のうち, 資料の整理, 代表値とちらばり, 近似値と誤差 は中学 年生で学ぶ 中学 年生 009 年度 ~ 0 年度が移行措置期間となる 追加して学習する内容はなく, 円周角と中心角の関係 が中学 年生から削除される 中学 3 年生 00 年度,0 年度が移行措置期間となる 本冊子の内容のうち, 標本調査 は中学 3 年生で学ぶ なお, 数研出版から発行している 体系数学 シリーズの 代数, 幾何, 代数, 幾何 の各巻には, 本冊子収録内容以外の移行措置の学習内容が含まれています 数研出版
資料の整理 度数分布 次の資料は, ある中学校の 年生 0 人の身長 ( 単位は cm) である.7 6.7 8.8 6. 6.9. 7.3 7.8 60.6 67.8 36. 6.3 8.3 69.. 7.8.3 67..6.0. 63.8 6.9 9.9 70.8. 70.3 9.7 67.0 7.3 3.8 63. 0.9 38. 6. 9.3.0 7. 6. 6.9. 8. 3. 6. 69.6 66.3.7 68. 7. 6.8 この 0 人の身長の特徴を調べる方法を考えてみよう この資料から,0 人の身長の特徴を知るためには, 右の表のように整理するとよい このように, 資料の値の範囲を適当に区切ったとき, 各区間に含まれる資料の個数を度数といい, 各区間ごとの度数を示す表を度数分布表という 度数分布表において, 区切られた各区間を階級, 区間の幅を階級の幅, 各階級の中央の値を階級値という 度数分布表 身長 0cm 階級値 度数 0人 3 以上 0 未満 0 ~ ~ 0 0 ~ ~ 60 60 ~ 6 6 ~ 70 70 ~ 7 37.. 7.. 7. 6. 67. 7. 8 9 7 計 0 資料の整理
度数分布表を, 柱状のグラフで表したものをヒストグラムという 前のページの度数分布表からヒストグラムをつくると, 右の図のようになる ヒストグラムの各長方形の横の長さは階級の幅を表し, 高さは各階級の度数を表している ヒストグラムの各長方形の上の辺の中点を結んでできる折れ線グラフを度数折れ線という 上のヒストグラムから度数折れ線をつくると, 右の図のようになる v 度数折れ線をつくるときには, ヒストグラムの左右両側に度数 0 の階級があるものと考える 人 0 8 6 0 人 0 8 6 0 ヒストグラム 3 0 0 60 6 70 7 cm 度数折れ線 3 0 0 60 6 70 7 cm 練習 ページの 0 人の身長に関する資料について, 次の問いに答えなさい () 36 cm 以上 cm 未満を階級の つとして, どの階級の幅も 6 cm である度数分布表をつくりなさい () ヒストグラムと度数折れ線をつくりなさい (3) このページの上の図のヒストグラムと,() でつくったヒストグラムを比べて, 気がついた点をいいなさい 練習 ヒストグラムの長方形の面積の和と, 度数折れ線と横軸で囲まれた部分の面積は等しくなる そのようになる理由を説明しなさい 資料の整理 3
相対度数 ページの中学 年生 0 人の身長の資料とは別に, 中学 3 年生 0 人の身長を調べて度数分布表をつくったところ, 下の表のようになった 身長 0cm 3 以上 0 未満 度数分布表 階級値 37. 度数 0人 年生 度数 0人 3 年生 0 ~ ~ 0 0 ~ ~ 60 60 ~ 6 6 ~ 70 70 ~ 7. 7.. 7. 6. 67. 7. 8 9 7 0 0 6 0 8 計 0 0 0 年生と 3 年生の身長の特徴を調べるとき, 年生の人数と 3 年生の人数が異なるため, 度数をそのまま比べることはできない このようなときには, 度数で比べるのではなく, 各度数の度数の合計に対する割合で比べるとよい 各階級の度数の, 度数の合計に対する割合を, その階級の相対度数という 相対度数 0相対度数 = 0 その階級の度数 0度数の合計 資料の整理
練習 3 ページの度数分布表から, 相対度数の分布表をつくりたい 下の表の空欄をうめて, 相対度数の分布表を完成させなさい 相対度数の分布表 身長 0cm 階級値 相対度数 年生 相対度数 3 年生 3 以上 0 未満 37. 0.0 0.00 0 ~. ~ 0 7. 0.0 0 ~. ~ 60 7. 60 ~ 6 6. 6 ~ 70 67. 70 ~ 7 7. 計 相対度数の合計について考えてみよう 度数相対度数たとえば, 度数が右の表のようになっている 3 3 とき, 相対度数の合計は 0 3 0 0 + 0 + 0 = 3+ + = 0 分母も分子も度数の合計 0 となる 計 0? 同じように考えて, どのような度数分布についても, 相対度数の合計は, つねに となることがわかる 資料の整理
ページでつくった相対度数の分布表を, 折れ線で表してみよう ( 相対度数 ) 0.36 0.3 0.8 0. 0.0 0.6 0. 0.08 0.0 0 相対度数の折れ線 3 0 0 60 6 70 7 cm 年生 3 年生 上の折れ線からは,3 年生の身長の分布は 年生の分布に比べて全体に高い傾向にあることや,3 年生の分布は 年生の分布に比べて狭い範囲に集中していることを読み取ることができる 相対度数を利用すると, 度数の合計が異なる複数の分布について比べることができる 練習 A 中学校の生徒 00 人と B 中学校の生徒 00 人の通学時間を調べたところ, 下の度数分布表のようになった この度数分布表を見た P さんは A 中学校と B 中学校における通学時間が 0 分以上 0 分未満の生徒の割合は等しい と考えたが, この考えは誤っている 誤っている理由を, 相対度数を求めることによって, 説明しなさい A 中学校 通学時間 0 分 度数 0 人 0 以上 0 未満 6 0 ~ 0 0 ~ 30 0 計 00 B 中学校 通学時間 0 分 度数 0 人 0 以上 0 未満 0 0 ~ 0 0 ~ 30 6 計 00 6 資料の整理
代表値とちらばり いくつかの値が集まった資料があるとき, その資料全体の特徴を つの数値で表すことを考えよう そのような値を, 資料の代表値という 資料の値から求める平均値資料に含まれる値が全部で n 個であるとする これらの n 個の値をすべて加えたものを n で割った値を, この資料の平均値という 平均値は代表値の例である 例 ある野球チームが行った 0 試合の得点は, それぞれ 3 7 0 6 8 3 であった このとき, 試合あたりの得点の平均値は 3+ 7+ 0+ + 6+ + 8+ + 3+ = 39 0 0 =3.9( 点 ) 練習 ジョギングを日課にしている A さんが最近 日間に行ったジョギングの時間は, それぞれ 3 分 8 分 3 分 7 分 分であった 回あたりのジョギングの時間の平均値を求めなさい 練習 B さんの最近 7 日間の収入と支出について, 収入を正の数で表すと, 次のようになった +300 円 -0 円 -80 円 +0 円 -0 円 -00 円 -60 円平均値を 円の収入 ( または支出 ) のように書きなさい 代表値とちらばり 7
度数分布表から求める平均値 度数分布表にまとめられている資料の平均値を求める方法を考えよう 資料が度数分布表にまとめられているときには, 各階級に属する資料の個々の値はわからないから, ある階級に属する資料は, すべてその階級の階級値をとるものと考えて, 平均値を求める 度数分布表から求める平均値 0平均値 = 6 0階級値 % 0度数 7 の合計 0度数の合計 資料の個々の値から求める平均値と, 度数分布表にまとめたものから求める平均値は一般には一致しないが, その差は大きくない 例 ある学校の男子 0 人, 記録 0 cm 階級値 男子 女子 女子 0 人の上体そらし 6 以上 30 未満 8 の記録 ( 単位は cm) 30 ~ 3 3 8 6 は, 右の度数分布表の 3 ~ 38 36 7 ようになった 38 ~ 0 このとき, 男子 0 人 ~ 6 の記録の平均値は 計 0 0 8% + 3% 8 + 36% + 0% + % 0 = 67 0 =33.6(cm) 練習 3 例 の度数分布表において, 女子 0 人の記録の平均値を求めなさい 8 代表値とちらばり
中央値と最頻値 次の値は, 日本の つの都道府県の面積である ( 単位は km ) 898, 03, 63, 6, 836 これらの面積の平均値は 937 km であるが, つだけ極端に面積が 大きいため, 面積の平均値は 836 km 以外の つよりはるかに大きくなり, つの都道府県の面積を代表する値として適当とはいえない このような場合には, つの面積を大きさの順に並べたとき, 中央に くる値 63 km を代表値とする方がよい 一般に, 資料を大きさの順に並べたとき, その中央の順位にくる値を中央値またはメジアンという ただし, 総度数が偶数のときは, 中央に つの値が並ぶから, その つの値の平均値を中央値とする 練習 0 人の生徒の英語のテストの得点は, 次のようになった 7 38 9 88 6 83 67 8 9 0 人の得点の中央値を求めなさい 右の表は, ある店に 内容量 0 m^ 0 0 30 00 70 計 おけるある飲料の内容量ごとの売り上げ本数 売り上げ本数 33 0 9 00 の資料である 度数が最も大きいのは, 内容量が 30 m^のものである 一般に, 度数分布表に整理したとき, 度数が最も大きい階級の階級値 さいひんち を最頻値またはモードという 練習 8 ページの例 について, 男子の記録の最頻値, 女子の記録の最頻値をそれぞれ求めなさい 代表値とちらばり 9
範囲 資料のちらばり方を調べる方法を考えよう 右の表は,A さんと B さんの 人が, 昨年 年間の各月に, 図書館に行った回数の資料である 人とも 年間に 8 回図書館に行ったことから, ヵ月に図書館に行った回数の平均値は等しい 一方, 月ごとに図書館に行った回数について A さん最大 : 回, 最小 :0 回 B さん最大 : 6 回, 最小 : 回となり, 人を比べると, 回数の差が大きく異なる このような場合, 平均値が等しくても, 資料のちらばり方は等しいとはいえない 資料の値のうち, 最大のものから最小のものをひいた差を範囲という 範囲は資料のちらばりの度合いを表す値の つとして用いられる 月 A B 3 0 3 6 3 6 6 7 8 9 0 8 3 3 6 3 平均値 練習 6 A さんと B さんについて, 月ごとに図書館に行った回数の範囲を, それぞれ求めなさい 練習 7 0 人の生徒の英語のテストの得点は, 次のようになった 7 38 9 88 6 83 67 8 9 0 人の得点の範囲を求めなさい 0 代表値とちらばり
確認問題 次の資料は, あるクラスの生徒 30 人のハンドボール投げの記録 ( 単位は m) である この資料について, 次の問いに答えなさい.7 0.7. 8..7 0.9. 7.8 3. 9..9 7.7.9.6 6.3 7.7 7.9.. 0.9.7.3 9. 7.3 6.6 6.8. 0.3 7.8 6.8 () 0 m 以上 m 未満を階級の つとして, どの階級の幅も m である度数分布表をつくりなさい () 記録が m 以上 0 m 未満の生徒の人数を求めなさい (3) ヒストグラムと度数折れ線をかきなさい () m 以上 6 m 未満の階級の相対度数を求め, 小数第 位までの小数で表しなさい 次の資料は, あるクラスの生徒 0 人の垂直とびの記録 ( 単位は cm) である 7 3 6 8 0 3 0 9 3 3 37 9 7 この資料について, 次の問いに答えなさい () 0 人の記録の範囲を求めなさい () 0 人の記録の中央値を求めなさい (3) 30 cm 以上 3 cm 未満を階級の つとして, どの階級の幅も cm である度数分布表をつくりなさい () (3) の度数分布表から,0 人の記録の最頻値を求めなさい () (3) の度数分布表から,0 人の記録の平均値を求めなさい 確認問題
発展 分散と標準偏差 標準偏差 は, 平方根の内容を学習した後に学ぶのが望ましい 範囲は簡単に求められる量であるが, 資料の中に極端に離れた値があるときには, ちらばりの度合いを表すのに適当とはいえない ここでは, ちらばりの度合いを表す新しい量を考えよう 資料に含まれる値が全部で n 個あるとする それらの値を x, x, x 3,, x n とし, これら n 個の値の平均値を a とする このとき,n 個の値 0x-a, 0x-a, 0x3-a,, 0xn-a の平均値を, x, x, x 3,, x n の分散という へんさ また, 分散の正の平方根を標準偏差という 例 つの数,,,9, の分散と標準偏差を求める つの数の平均値は + + + 9+ =6 である よって, 分散は 0-6 + 0-6 + 0-6 + 09-6 + 0-6 + + + 9+ = = 6 =.8 標準偏差は U.8 ( およそ 3.8) v 標準偏差を求めるときには, 必要に応じて電卓を利用してもよい 分散と標準偏差
練習 つの数 -3,-,0,, の分散と標準偏差を求めなさい 標準偏差は四捨五入して小数第 位まで求めなさい つの数 3,,6,8,8 の分散を求める 3+ + 6+ 8+ 8 つの数の平均値は =6 である よって, 分散は 03-6 + 0-6 + 06-6 + 08-6 + 08-6 9+ + 0+ + = = 8 =3.6 ページの例 と上の例を比べてみよう どちらも平均値は 6 で等しいが, 分散がそれぞれ.8,3.6 で異なっている 分散 ( 標準偏差 ) の大きさは, 資料のちらばり方の度合いを表していて, 分散 ( 標準偏差 ) が小さいほど, 資料は平均値の近くに集まる傾向がある 例 0 3 6 7 8 9 0 平均値 上の例 0 3 6 7 8 9 0 つの例を比べると, ページの例 より上の例の方が, つの数が平均値の近くに集まっていることがわかる 分散と標準偏差 3
3 近似値と誤差 近似値と誤差円周率 p の値は, 次のようなどこまでも続く小数である p=3.96389793386 小学校では, 円周率を 3. として計算することが多い この 3. は, p の真の値とは異なるが, 真の値に近い値である きんじち このように, 真の値とは異なるが, 真の値に近い値のことを近似値 という 3. は円周率 p の近似値である 例 7 =0.8 であるから, 7 の近似値を, 小数第 位までの小数で表すと,0. となる 練習 次の数の近似値を, 小数第 位までの小数で表しなさい () 7 () 6 ごさ近似値から真の値をひいた差を誤差という 誤差 0誤差 =0近似値 -0真の値 例 7 とその近似値 0. との誤差は 0.- 7 = 98 700-00 700 =- 700 =- 30 近似値と誤差
練習 次の数の近似値を, 小数第 位までの小数で表したとき, 真の値と近似値との誤差を求めなさい () 3 () 7 誤差の絶対値が小さいほど, 真の値は近似値に近いといえるが, 実際には真の値がいくらであるのかわからないことが多い ここでは, 近似値から真の値がどの範囲にあるのかを考えてみよう たとえば, 近似値を小数第 位までの小数で表したとき 3.7 になる数の真の値は,3.6 以上 3.7 未満であることがわかる 真の値の範囲 3.63 3.6 3.6 3.66 3.67 3.68 3.69 3.7 3.7 3.7 3.73 3.7 3.7 3.76 3.77 誤差が正の数となる範囲 近似値が真の値より大きいとき 誤差が負の数となる範囲 近似値が真の値より小さいとき また, 真の値と近似値との誤差を e とすると,e の範囲は, 次のように表される -0.0<e(0.0 練習 3 近似値を小数第 位までの小数で表したとき.08 になる数について, 次の問いに答えなさい () 真の値の範囲を求めなさい () 真の値と近似値との誤差を e とするとき,e の範囲を不等号を用いて表しなさい 近似値と誤差
有効数字真の値が.30 である数について, その近似値を [] 小数第 位までの小数で表すと.3 [] 小数第 位までの小数で表すと.30 となる これらを区別せずに.3 と書くと, その近似値がどのくらいの正確さで表されたものなのかはっきりしなくなる 近似値を表す数のうち, 信頼できる数字を有効数字という 上の例 [] の有効数字は,3,[] の有効数字は,3,0 である 近似値が 700 と表される数があるとする この近似値の有効数字を はっきり示す場合には, 次のように表す 有効数字が 7,, のとき 7.% 0 有効数字が 7,,,0 のとき 7.0% 0 近似値の表し方 以上 0 未満の数 a % 0 n 自然数 近似値が より小さい正の数のときには, 次のように表す a% n 0 (a は 以上 0 未満の数,n は自然数 ) この方法では, たとえば 0.063 は 6.3% 0 と表される 練習 [ ] 内のきまりにしたがって, 次の数の近似値を求め, それを a% 0 または a% () 7 7 n 0 (a は 以上 0 未満の数,n は自然数 ) の形で表しなさい [ 小数第 位までの小数 ] () 9 30 [ 小数第 3 位までの小数 ] n 6 近似値と誤差
確認問題 次の数の近似値を, 小数第 位までの小数で表したとき, 真の値と近似値との誤差を求めなさい () 9 () 0 7 近似値を小数第 位までの小数で表したとき.0 になる数について, 次の問いに答えなさい () 真の値の範囲を求めなさい () 真の値と近似値との誤差を e とするとき,e の範囲を不等号を用いて表しなさい 3 次の数を,a% 0 n または a% n 0 (a は 以上 0 未満の数,n は自然数 ) の形で表しなさい () 7.3 () 3.0 (3) 0.0068 () 0.0370 平成 7 年に実施された国勢調査による日本の総人口は,776799 人である 次の問いに答えなさい () この総人口を 0000000 人を単位とした概数で表したときの有効数字をいいなさい () () の概数を,a% 0 n (a は 以上 0 未満の数,n は自然数 ) の形で表しなさい 確認問題 7
標本調査 全数調査と標本調査日本の総人口や人口の分布について調べる国勢調査は, 日本に住む人全員について行われる調査である このように, 対象とする集団に含まれるすべてのものについて行う調査を全数調査という これに対して, 対象とする集団の一部を調べ, その結果から, 全体の状況を推測する調査を標本調査という 例 生徒全員に対して行われる健康診断は, 全数調査である 一方, 電化製品の耐用年数に関する調査は, 標本調査である 練習 例 の電化製品の耐用年数に関する調査は, なぜ全数調査ではなく標本調査であるか, その理由を考えなさい 練習 次のそれぞれの調査は, 全数調査と標本調査のどちらが適当であるか答えなさい () 真空パックされた食品の中身の品質に関する調査 () 届いたお年玉くじ付き年賀はがきが当選しているかどうかの調査 (3) 新聞社が行う世論に関する調査 標本調査において, 調査の対象全体を母集団といい, 調査のために母集団から抜き出されたものを標本, 母集団から標本を抜き出すこと ちゅうしゅつ を標本の抽出という また, 母集団に含まれるものの個数を母集団の大きさ, 標本に含まれるものの個数を標本の大きさという 8 標本調査
標本調査の目的は, 抽出した標本から母集団の状況を推測することである よって, 標本を抽出するときには, 母集団の状況をよく表すような方法をとる必要がある たとえば, ある中学校の生徒 00 人から 0 人を選んでハンドボール投げの記録の平均値を推定するとき, ハンドボール部の部員の中から 0 人選ぶのでは, 生徒 00 人の状況をよく表しているとはいえない このようなときには, くじびきのような方法で 0 人を選ぶ必要がある くじびきなどの方法で, 母集団からかたよりなく標本を抽出することを, 標本を任意に抽出するという 標本を任意に抽出するには, 次のような方法がある まず, 母集団に属するものに番号をつけておく その上で 番号を書いたくじを作り, それでくじびきを行う 正二十面体のおのおのの面に 0 から 9 までの数字が 回ずつ書かれたさいころ ( 乱数さいという ) を使う 乱数表 (*) を利用する (*) 乱数表は,0 から 9 までの整数をでたらめな順序に並べた表で, 上下, 左右 斜めのいずれの並びを取り出しても,0 から 9 までの整数がほぼ等しい確率 で現れるようになっている 乱数表の例 3 0 6 9 8 7 7 0 0 3 8 3 7 0 3 9 3 0 9 6 8 0 7 0 6 9 9 9 3 9 0 0 8 6 8 9 0 9 7 3 7 7 6 6 9 7 6 3 3 3 9 8 8 7 7 8 3 0 6 6 標本調査 9
標本調査の利用 標本調査を利用して, 母集団の性質を推測する方法を考えよう 例 袋の中に大きさが等しい白玉と黒玉が合計 00 個入っている この袋の中の玉をよく混ぜてから 個取り出したところ, 白玉が 6 個, 黒玉が 9 個であった このとき, 抽出した 個 00 個 標本における白玉の 白玉 6 個 比率は黒玉 9 個 6 = このことから, 母集 白玉? 個黒玉? 個 団における白玉の比 白玉と黒玉の割合は同じであると考える 率も であると推 測することができる よって, 袋の中の白玉の個数は, およそ 00% =80( 個 ) くらいと考えられる 標本調査では, 標本の大きさが大きいほど, 標本の比率と母集団の比率が近い値をとる傾向がある よって, 標本調査では, 標本の大きさをできるだけ大きくすると, よい精度で母集団の比率を推測できる 練習 3 袋の中に大きさが等しい白玉と黒玉が合計 300 個入っている この袋の中の玉をよく混ぜてから 0 個取り出したところ, 白玉が 3 個, 黒玉が 7 個であった 袋の中の白玉の個数は, およそ何個と考えられるか 0 標本調査
確認問題 次のそれぞれの調査は, 全数調査と標本調査のどちらが適当であるか答えなさい () 選挙における, 各候補者の得票数の調査 () ある川を流れる水の水質調査 (3) 自動車の安全性を確かめるために, 実際に衝突させて行う調査 ある新聞社が, 有権者 0000 人の中から 00 人を任意に抽出して, 世論に関する調査を行った このとき, 次の問いに答えなさい () この調査における母集団の大きさをいいなさい () この調査における標本の大きさをいいなさい (3) 任意に抽出した 00 人に対して, ある政策 A について賛成であるか反対であるかを聞いたところ,73 人が賛成と答えた このことから, 有権者 0000 人のうち, およそ何人の人が政策 A に賛成であるか推測しなさい 3 ある湖にいる魚の数を推測するのに, 次のような調査を行った [] まず,00 匹の魚を捕獲し, それに印をつけて放す [] しばらくたってから 00 匹の魚を捕獲したところ, そのうちの 匹に印がついていた この湖にいる魚の数を,00 匹単位で推測しなさい 確認問題
解答 資料の整理 (p. ~ 6) 練習 () 身長 0 cm 階級値 度数 0 人 36 以上 未満 39 3 ~ 8 7 8 ~ 7 ~ 60 7 3 60 ~ 66 63 9 66 ~ 7 69 計 0 () 人 0 8 6 0 人 0 8 6 0 ヒストグラム 36 8 60 66 7 cm 度数折れ線 36 8 60 66 7 cm (3) ( 解答例 ) 階級や階級の幅の決め方によって, ヒストグラムの形は異なる 3 ページのヒストグラムは中央付近が高く両側が低いが, 練習 のヒストグラムはそうではない 練習 略練習 3 身長 0 cm 階級値 相対度数 年生 相対度数 3 年生 3 ~ 0 37. 0.0 0.00 0 ~. 0.08 0.00 ~ 0 7. 0.0 0.00 0 ~. 0.6 0.0 ~ 60 7. 0. 0. 60 ~ 6 6. 0.8 0.3 6 ~ 70 67. 0. 0. 70 ~ 7 7. 0.08 0.0 計.00.00 練習 A 中学校における 0 分以上 0 分未満の階級の相対度数は 00 =0., B 中学校における 0 分以上 0 分未満 の階級の相対度数は =0.7 である 00 よって, 両者の割合は等しくない 代表値とちらばり (p. 7 ~ 0) 練習 9 分練習 0 円の支出練習 3 3. cm 解答
練習 6 点練習 男子 :3 cm, 女子 :36 cm 練習 6 A さん : 回,B さん : 回練習 7 7 点 確認問題 (p. ) () 記録 0 m 階級値 度数 0 人 0 以上 未満 ~ 3 3 ~ 6 8 6 ~ 8 7 0 8 ~ 0 9 3 0 ~ 計 30 () 人 (3) 人 0 8 6 0 人 0 8 6 0 ヒストグラム 0 6 8 0 m 度数折れ線 0 6 8 0 m () 0.7 () cm (). cm (3) 記録 0 cm 階級値 度数 0 人 30 以上 3 未満 3 3 ~ 38 36 3 38 ~ 0 3 ~ 6 6 ~ 0 8 6 0 ~ 計 0 () 8 cm () 3.6 cm 発展 分散と標準偏差 (p.,3) 練習 分散 9., 標準偏差 3.03 3 近似値と誤差 (p. ~ 6) 練習 () 0.7 () 0.7 練習 () 300 () - 3 700 練習 3 ().07 以上.08 未満 () -0.00<e(0.00 練習 () 3.67% 0 () 6.9% 0 確認問題 (p. 7) () - () 700 () 3.9 以上.0 未満 () -0.0<e(0.0 解答 3
3 ().73% 0 ().30% 0 3 (3) 6.8% 3 0 () 3.70% 0 (),3 ().3% 0 8 ( 人 ) 標本調査 (p. 8 ~ 0) 練習 耐用年数の調査は製品が壊れるまでの期間を調べるため, 全数調査を行うと出荷する製品がなくなるから 練習 () 標本調査 () 全数調査 (3) 標本調査練習 3 およそ 9 個 確認問題 (p. ) () 全数調査 () 標本調査 (3) 標本調査 () 0000 () 00 (3) およそ 3600 人 3 およそ 800 匹 体系数学 補助教材 中学校移行措置対応統計近似値標本調査 発行所数研出版株式会社