PowerPoint プレゼンテーション

Similar documents
PowerPoint プレゼンテーション

めまい

ICUにおける酸素療法

JSEPTIC CE教材シリーズ 対象:レベル1 ICUで働く新人CE(1~3年目程度)

低リスク患者の抜管後のHFNC

HFNCプロトコル

HFNCのメタ解析

スライド 1

救急外来患者におけてqSOFAは院内死亡を予測するか?

腹部手術後の呼吸不全 慈恵 ICU 勉強会 2016 年 4 月 26 日 研修医岡本敦子 JAMA.doi: /jama

SpO2と血液ガス

Journal Club

ARDS に対する HFOV ICU 勉強会 久保友貴子 1

Journal Club PAV vs PSV

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

Awake ECMO

< E6F2E D5D96D F18F6F88CB978A94C E786C7378>

PowerPoint プレゼンテーション

journal club

EBM

Journal Club ICU患者における ビデオ喉頭鏡vs直視型喉頭鏡 初回成功率の比較

重症患者におけるRefeeding症候群

目次 1. 免疫不全患者の疫学 2. NPPV vs 酸素療法 (NEJM2001) 3. NPPV 使用ガイドライン 4. NEJM2001その後 5. JAMA 多施設 RCT 6. NEJM2001/JAMA2015 比較

酸素療法(酸素器具を学ぶ)

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

救急外来患者におけてqSOFAは院内死亡を予測するか?

敗血症の定義におけるSIRS Criteria.pptx

Sepsis-3の予測能と外的妥当性

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

ジャーナルクラブ 2016/4/19

PowerPoint プレゼンテーション

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

敗血症の早期蘇生プロトコル

Introduc>on 鎖骨下 内頚および大腿への中心静脈カテーテル挿入は 感染 血栓形成 機械的合併症と関連性がある カテーテル関連血流感染 (CRBSI) は 患者予後および医療費の増加に重大な影響を及ぼしている

PowerPoint プレゼンテーション

2

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

PaCO 2 は無呼吸テスト開始 2 3 分後から 2 3 分毎に測定する 迅速に測定結果が得られるように 血液ガス分析装置はキャリブレーションが終了した状態であることをあらかじめ確認しておく さらに無呼吸テスト実施中に血液ガス分析装置のキャリブレーションが自動で始まらないよう確認しておく 4) 望

PowerPoint プレゼンテーション

Introduc+on 毎年全世界では 2 億 3400 万件もの外科手術が行われている 術後の肺合併症 (Postopera+ve pulmonary complica+ons:ppcs) は病院滞在期間 罹患率 死亡率を増加させる可能性がある Postopera)ve pulmonary com

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

PowerPoint プレゼンテーション

Jhospitalist.key

意識障害患者の抜管part 2

PowerPoint プレゼンテーション

背景 1) 赤血球輸血は治療の一貫としてよく用いられる 赤血球輸血は免疫能に影響を与え 医療関連感染症のリスクであるとされてきた Blood Cells Mol Dis. 2013;50(1): ) 白血球除去が感染のリスクを減らすともいわれてきた Best Pract Res Clin

The Lancet NPPV July18, 2009 Non-invasive ventilation in acute respiratory failure ( Review)The Lancet, vol. 374, July 18, 2009 H22.9 The Lancet 2009

非心臓手術後高齢者のせん妄予防にデクスメデトミジンは有効か?

呼吸ケア 人工呼吸器の基礎 4: アラームと対応 アラーム 人工呼吸器のみならず医療機器を使用する場合 患者の状態や医療機器自体の異常を発見するために必要なのがアラームです したがって アラームが適切に設定され さらに医療従事者の耳に届く適切な音量に設定されていないと 異常の早期発見や対応の遅れにつ

ネーザルハイフロー療法の適応と限界 図 1 左 : フィッシャーアンドパイケル社システム ( 出典 : 社内資料 ) 右 : パシフィックメディコ社システム ( 出典 : 社内資料 ) と酸素濃度計が付属している. ブレンダーには酸素配管と圧縮空気配管からのガスを混合させるものと, 酸素配管からの酸

スライド 1

1 FEV1.0 FEV % NIH FEV % FEV1.0 50% FEV1.0 cyanosis PaO2 PaCO2 PaO2 PaCO2 40mmHg FEV1.0 25%

PowerPoint プレゼンテーション

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

PowerPoint プレゼンテーション

重症敗血症に対するステロイド投与は ショックを予防するか

栄養について改めて考える

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

PowerPoint プレゼンテーション

introduction 敗血症ショックの患者の死亡率は 30-45% と報告されている N Engl J Med 2017; 377:414-7, Am J Respir Crit Care Med 2016;193: グルココルチコイドは敗血症に 40 年以上も使用されてきた Ann

帝京大学 CVS セミナー スライドの説明 感染性心内膜炎は 心臓の弁膜の感染症である その結果 菌塊が血中を流れ敗血症を引き起こす危険性と 弁膜が破壊され急性の弁膜症による心不全を発症する危険性がある 治療には 内科治療として抗生物質の投与と薬物による心不全コントロールがあり 外科治療として 菌を

PowerPoint プレゼンテーション

慢性重症患者家族への緩和専門医による説明効果

PowerPoint プレゼンテーション

パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会

Microsoft Word - VAEアルゴリズム.docx

PowerPoint プレゼンテーション

背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - H27.5実技研修(呼吸器)配布資料 (2) [互換モード]

N Engl J Med Oct 1 ICU ジャーナルクラブ レジデント 2 年田中厚子

ph

スライド 1

日本皮膚科学会雑誌第117巻第14号

本 の論 N Engl J Med 2018; 378:

PowerPoint プレゼンテーション

HO_edit 重症市中肺炎とステロイド.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

人工呼吸器講習会

アセトアミノフェン オーストラリアとニュージーランドの 38 ICU 2 間の point prevalence study 結果 感染症を疑う 48.9% で使 解熱薬として最も使 頻度が い薬剤 Crit Care Resusc 2013; 15:

慈恵 ICU Journal club 齋藤慎二郎 1

PowerPoint プレゼンテーション

だった ログランク検定でみても ラメルテオンを飲んでいた患者はプラセボよりせん妄の頻度が優位に低かった (χ2=9.83;p=.002) CONCLUSION AND RELEVANCE ラメルテオンは救急入院した高齢者のせん妄予防効果があるかもしれない この結果はメラトニン神経伝達がせん妄発生に病

現況解析2 [081027].indd

_HO_ジャーナル�__%25i%25V%1B%28B3.15%20ver2

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

臨床試験の実施計画書作成の手引き

2018年上半期 集中治療最新論文10選

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

<4D F736F F D D94738C8C8FC782A982E782CC89F1959C82CC8EBF82F08CFC8FE382B382B982E9>

Ⅰ. プロトコールの導入と運用プロトコールの導入にあたっては 施設ごとで運用上の取り決めが必要となる 主に次の項目については 医療従事者間で確認しておくことを推奨する 具体的な対象患者 ( 疾患 病態 ) 対象患者の選定方法 ( 誰が選定するか ) 各基準の評価者とプロトコール指示者 プロトコールの

認定看護師教育基準カリキュラム

対象 : 人工呼吸に携わる医師 看護師 臨床工学技士 皆さん大好きな人工呼吸の 主として設定に関するアンケートです よく考えると 自分ならこうするのになあ と思いながら 現在の施設では別な方法で人工呼吸管理されていることが多かったり 看護師 臨床工学技士や一部の医師の方の中には 自分で呼吸器設定しな

Transcription:

再挿管高リスク患者の抜管後 High-Flow Nasal Cannula 2016.11.8 東京ベイ 浦安市川医療センター 三反田拓志

本日の論文

High flow Oxygen Nasal Cannula 特徴 高流量の高酸素濃度 加温 加湿 粘液絨毛クリアランス UP 解剖学的死腔を洗い流す 軽度の PEEP をかけられる QOL を維持 会話や食事が可能 2015.7.14 小島先生の JC より

HFNC の位置づけ 急性呼吸不全高二酸化炭素血症のない急性呼吸不全患者において HFNC はNPPV フェイスマスクと挿管率に違いはないが 90 日死亡率は低い N Engl J Med. 2015 Jun 4;372(23):2185-96 apnoeic oxygenation HFFM(High-Flow Face Mask) と比較して低酸素化 (lowest desaturation) を予防しない Intensive Care Med. 2015 Sep;41(9):1538-48 Difficult airway 患者の手術麻酔時の挿管では低酸素化が起こるまでの時間は平均 14 分 Anaesthesia. 2015 Mar;70(3):323-9 術後心臓血管外科術後患者の呼吸不全発生率は BiPAP と比較して非劣性 JAMA. 2015 Jun 16;313(23):2331-9

以前の JC(2016.5.17) JAMA. 2016;315(13):1354-1361. 筆頭著者は同一人物

HFNC はリスクが低い患者で再挿管を有意に下げる 再挿管を防ぐ NNT14 (95%CI 8-40)

抜管後の呼吸不全 呼吸不全は換気能と需要のアンバランスで起こる 抜管後呼吸不全が起こる最大の原因は 呼吸筋疲労で呼吸仕事量を維持できないこと 呼吸筋はすでに疲労しており 呼吸困難になってから介入するのは遅い Respir Care 2004;49(7):830 836.

Heart & Lung 43 (2014) 99e104 抜管後呼吸不全予防に対する NIV のメタ解析

抜管が予定され SBT をクリアしている患者において予防的 NIV は再挿管率 ICU 死亡率 院内死亡率

Respir Care 2007;52(11):1472 1479. 抜管後呼吸不全の危険因子がある患者における抜管後呼吸不全に対する NIV のメタ解析

抜管後呼吸不全の危険因子がある患者において予防的 NIV は再挿管率と ICU 死亡率を減少 ( 院内死亡率は変わらない )

どんなリスクが含まれたか? Am J Respir Crit Care Med Vol 173. pp 164 170, 2006 1) 65 歳以上 2) 挿管の原因が心不全 3) APACHEⅡ スコアが抜管日に 12 を超える

再挿管リスク患者が高い患者において HFNC は従来の NIV と比較して再挿管を予防できるか?

Methods 多施設ランダム化非盲検化試験 2012 年 9 月 2014 年 10 月 スペイン 3 の ICU 筆頭著者は Fisher & Paykel 社から旅費を受け取っている 前回の 7 施設の研究では 2 つの ICU が Fisher & Paykel Healthcare 社から酸素ブレンダーの提供を受けたが 今回の研究では提供を受けた ICU は含まれていない

Patients 12 時間以上人工呼吸器を使用し 抜管が予定された全ての成人患者が対象 以下のいずれかを満たせば 再挿管リスクが 高い と判定 65 歳以上 人工呼吸器を装着した最大の理由が心不全 中等度以上の COPD 抜管予定日の APACHEⅡ スコアが 12 以上 BMI30 以上 喉頭浮腫の高リスクなどを含めて気道開存の問題がある 気道分泌に対処できない ( 十分な咳嗽反射がないか抜管 8 時間前までに吸引 2 回以上 ) 1 回目の SBT 失敗 合併症が 2 個を超える 人工呼吸器使用が 7 日以上 除外基準 患者が DNR 希望 気管切開後 事故抜管や自己抜管 SBT 中に高二酸化炭素血症

Weaning protocol 以下の条件を満たせば SBT を行う 原病から回復している 呼吸基準 :FiO2 40% PEEP<8cmH2O 動脈血ガス ph>7.35 の条件で PF 比 >150 臨床基準 : 心電図で心筋梗塞の徴候なし 昇圧剤を使用していないか使用していても低用量 (5γ 未満 ) ドパミンのみ 脈拍が 140/ 分未満 Hb>8g/dl 体温 <38 鎮静が不要 呼吸刺激がある 適切な自発咳嗽がある SBT は T ピースまたは PS7cmH 2 O で 30 120 分 SBT をクリアした患者は元の呼吸器設定に戻し 気道開通性 分泌物 上気道閉塞についての評価を受ける

Interventions SBT をクリアし 予定抜管が行われる前にランダム化を受ける HFNC 群の設定 流量は 10L/ 分から開始し 患者が不快に感じるまで 5L/ 分ずつ上げる FiO2 は SpO2 が 92% 以上になるように調整 温度は患者が熱さを訴えなければ 37 度 24 時間後に終了し 必要あればその後は通常酸素投与を行う NIV の設定 フルフェイスマスクを使用 PS/PEEP は呼吸数 25/ 分かつ十分なガス交換 (SaO2 92% かつ ph7.35) を達成するように設定 FiO2 は SpO2 が最低 92% を維持できるように調整 NIV 受け入れのための鎮静は不可 NIV 中止後はベンチュリーマスクによる酸素投与

Primary Outcome 72 時間以内の再挿管と抜管後の呼吸不全 再挿管の適応 呼吸停止もしくは心停止 意識消失による呼吸停止もしくは喘ぎ呼吸 十分な鎮静でコントロールできないせん妄 大量誤嚥 気道分泌を除去する能力が持続しない 意識障害を伴う脈拍 <50/ 分 輸液や昇圧剤に反しない循環動態不安定 抜管後の呼吸不全が持続 抜管後呼吸不全の基準を満たさない様な非呼吸性の原因 ( 緊急手術や意識レベル低下 [GCS9 点未満や 3 点以上の減少 ] で PaCO2 が 45mmHg 未満 ) 抜管後呼吸不全の定義 呼吸性アシドーシス (ph<7.35 で PaCO2>45mmHg) FiO2>40% で SpO2<90% もしくは PaO2<60mmHg 呼吸数 >35/ 分 意識レベル低下 (GCS2 点以上の減少 ) せん妄 臨床的に呼吸筋疲労 呼吸努力のいずれかを認める ( 例 : 呼吸補助筋の使用 シーソー呼吸 陥没呼吸 )

Secondary Outcome 呼吸器感染症 Sepsis 多臓器不全 ICU および病院滞在期間と死亡率 可能であれば割付群で失敗した理由 ( 患者の快適さのために 6 時間以上の治療中断を必要としたか 鼻中隔や皮膚の損傷 )

Statistical analysis 今回の研究では再挿管率を 20 25% と推定 先行研究では高リスク患者の抜管後の NIV 使用で 再挿管率は 9 32% 非劣性マージン 10% 片側検定で 95%CI を解析 検出力 80% 最大脱落率を 15% として 1 群につき 300 名と算出 非劣性の解析は Per-Protocol 解析と ITT 解析を使用

Results 1121 名が 12 時間以上の人工呼吸器 604 名が無作為化 314 名が NIV 群 290 名が HFNC 群 各群 2 名が脱落

平均年齢はやや若い APACHE2 は両群 16 点 高リスクとして多いのが 合併症 2 つ以上 年齢 APACHE2 が 12 点以上 心不全は HFNC 群で低い (5.5% vs 9.9%)

内科患者が 6 割術後患者が 3 割 呼吸不全が 3 割 ARDS は 8-9% COPD 増悪は NIV 群で多い (10 vs 5%) 術後患者は HFNC 群で高い (43.8% vs 33.4%)

Primary outcome 再挿管に関して NIV と比較して非劣性 ( 非劣性マージンは 10%) Kaplan-Meier 解析では時間経過で再挿管率が上昇 HFNC では 0 24 時間は変わらないが それ以降は上昇 NIV では 24 時間以降は HFNC と比較して鈍い

抜管後の呼吸不全の理由 再挿管の理由については両群で変わりなし 再挿管までの時間は両群で著明な差はない ICU 滞在は HFNC 群でやや短い 有害事象の発生なし

探索的アウトカムは両群同等生理学的変数も有意差なし Secondary outcome の抜管後 院内死亡は両群差なし 17.8% vs 20.3% 差 2.5 (95% 8.8 to 3.8)

Discussion 抜管後の呼吸不全率は先行研究と同等だが NIV 群でわずかに高い (19%vs11-16%) プロトコルが 24 時間で終了となっているため NIV 使用時の鎮静薬を使用しなかったため NIV の使用時間が短い (IQR 8-23hr) 再挿管リスク因子が多い 先行研究では NIV/HFNC を使用していると臨床医が再挿管を引き伸ばす HFNC/NIV の使用は 24 時間に限定 試験環境が ICU 退室までのモニタリングは 24 時間 HFNC が 24 時間までしか使えない環境 HFNC をより長く使えば アウトカムを改善させる報告がある

Discussion これまでの研究では NIV/HFNC を使用することで 再挿管が遅れて死亡増加やアウトカムが悪化する懸念があった 今回は再挿管までの時間に有意差なし 24 時間で通常酸素投与に変えていることも考えると いずれの予防的使用も安全であること示唆している HFNC は抜管成功に様々な点で寄与する 酸素化を改善し低酸素化による再挿管を予防 呼吸仕事量の増加や呼吸筋疲労を予防 高二酸化炭素血症のマネジメントにおいて HFNC の役割は未だ不明 今回の試験では死腔を洗い流す以外の何らかの役割を果たしていそう

Limitation 再挿管高リスク患者の選択基準 前向きに抜管失敗モデルの外的妥当性を検討した研究がない 前向きの研究では咳嗽力 人工呼吸器装着時間 心機能低下がリスクという報告はある 非劣性試験のデザイン 比較対象として NIV を使用 非劣性マージンの設定 ( 片側検定である ) 臨床医は盲検化されていない 統計家は盲検化されている

参考 :HFNC の必要金額 1 回使用あたり 15000 18000 円 ( 回路単価 4500 円込み ) DPC:160 点 設定酸素濃度 100% 40L/min 10,368 円 /day 50L/min 12,960 円 /day 60L/min 15,552 円 /day 設定酸素濃度 40% 40L/min 3806 円 /day 50L/min 4757 円 /day 60L/min 5709 円 /day 酸素単価 :0.18 円 /L ちなみに EV1000 ボリュームビューカテーテル :29000 円プリセップスワンガンツカテーテル :45000 円

Conclusion 再挿管リスクが高い患者で再挿管および抜管後の呼吸不全の点で HFNCは NIVに非劣性であった

私見 抜管後の選択肢が増えるという点は良い しかし COPD や心不全など NIV の有用性が証明されている患者群ではあえて抜管後に HFNC を最初に用いる必要性は感じない NIV の忍容性が悪そうな患者では試す価値はあると思われる