第 59 回神奈川腎炎研究会 ブシラミン内服開始後に発症した半月体形成を伴う膜性腎症の一例 眞部俊伴野麻悠子大島康子波多野道康 症 例 考 察 症例 :76 歳女性 主訴 : 浮腫 既往歴 :25 歳時 : 妊娠高血圧症候群 家族歴 : 兄 : 関節リウマチ 生活歴 : 喫煙歴なし, 飲酒歴ほぼなし

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72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m

/12/28 UP 3+, TP 4.2g/dl, Alb 1.9g/dl PSL 50mg/day 1/17 PSL 45mg/day PSL 2006/4/4 PSL 30mg/day mpsl mpsl1000mg 3 2 5/ :90 / :114/64 mmhg

59 20 : 50 : : : : : 2 / :20 / 25 GTP /28 5/3 5/4 5/8 6/1 1 7kg 6/9 :178.7cm :68.55kg BMI:21.47 :37.3 :78 / :156/78mmHg 1

WBC 5700 / l Gran 58.5% Lym 29.0% Eosin 0.3% RBC 499x10 6 / l Hb 14.8 g/dl Hct 44.40% PLT 15.3x10 3 / l PT 157% Fbg 616 mg/dl DD 0.99 g/ml GOT GPT LDH

腎炎症例研究 27 巻 2011 年 図 1 図 2 入院時検査所見 (2008 年 8 月 ) 尿所見 比重 ph 6.0 蛋白 3+ 潜血 3+ RBC >51 /HPF 顆粒円柱 1-3 /WF 蝋様円柱 1-3 /WF 赤血球円柱 1-3 /WF 尿蛋白 /Cr 比 4.5 g/

腎炎症例研究 29 巻 2013 年 入院時血液, 尿検査所見 ( 生化学 ) BS 98 mg/dl T-Bil 0.5 mg/dl AST 23 IU/l ALT 7 IU/l LDH 251 IU/l ALP 115 IU/l TP 6.0 g/dl ALB 2.5 g/dl T-cho 33

第 58 回神奈川腎炎研究会 血清 CRP 0.03 mg/dl IgG 488 mg/dl IgA 195 mg/dl IgM 164 mg/dl C3 121 mg/dl CH /ml ASO 51 入院時検査所見 2 RF 8.2 IU/mL 抗核抗体 陰性 HBsAg 0.1

腎炎症例研究 27 巻 2010 年 図 2 図 3 入院時検査所見 尿検査 PH 5.0 比重 蛋白 (3+) 潜血 (3+) 糖 (-) ケトン (-) 白血球 (1+) 白血球 /HF 赤血球 /HF 硝子円柱 2+ 顆粒円柱 1+ 細菌 1+ 尿中 β2m

第 60 回神奈川腎炎研究会 低補体血症が持続する膜性増殖性糸球体腎炎 3 型の小児の 1 例 1 丸山真理 1 齋藤陽 1 小林久志 2 小池淳樹 1 村田俊輔 3 生駒雅昭 はじめに小児の膜性増殖性糸球体腎炎 ( 以下, MPGN) は一般に予後良好とされているがその多くは 1 型と考えられてい

1996 papilloma virus 2001 Bowen AIHA PSL1mg/kg BMA PRCA parvovirus B19 PVB19 DNA PCR PV IgM 4 PVB19 PRCA MAP PVB19 DNA DNA PR

知っておきたい関節リウマチの検査 : 中央検査部医師松村洋子 そもそも 膠原病って何? 本来であれば自分を守ってくれるはずの免疫が 自分自身を攻撃するようになり 体のあちこちに炎 症を引き起こす病気の総称です 全身のあらゆる臓器に存在する血管や結合組織 ( 結合組織 : 体内の組織と組織 器官と器官

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2 章 +αの 情 報 に 着 目 する! 1 血 球 算 定 検 査 結 果 2 生 化 学 検 査 結 果 手 がかりに 乏 しいのも+α 1 症 例 をみてみよう! 1 60 吉 見 祐 輔 percutaneous coronary intervention PCI

第 52 回神奈川腎炎研究会 膜性増殖性糸球体腎炎様の多彩な光顕所見を呈したネフローゼ症候群の一例 1 高橋大栄 1 西垣啓介 1 青柳誠 2 津浦幸夫 1 坂本麻実 1 森崇寧 1 田中啓之 3 長濱清隆 1 吉田和香子 1 安藝昇太 1 田村禎一 はじめに今回われわれは, 膜性増殖性糸球体腎炎様

日本呼吸器学会雑誌第48巻第6号

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第 59 回神奈川腎炎研究会 入院時身体所見 血算 WBC RBC Hb Ht Plt Cl Ca IP AST ALT LDH ALP CRP Glu TG Tchol LDL-C /μl /μl g/dl % /μl 血液ガス 静脈

腎炎症例研究 26 巻 2010 年 着を一部に認める 糸球体病変はメサンギウ ム細胞 基質の軽度増加を認めた 毛細管係 蹄の変化を認めず 尿細管炎を認め 間質は 混合性の細胞浸潤があり 一部に線維化を伴 う 2 回目 最終発作から 6 ヶ月後 24 個中 14 個で糸球体硬化像を認めた 硬化 を伴

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腎炎症例研究 32 巻 2016 年 症例 88 歳女性 主訴 食欲不振, 背部痛, 発熱 現病歴 入院 2カ月前は腎機能障害や尿異常の指摘なし. 2 週間前から食欲不振,1 週間前から背部痛が出現した. 当院受診し, 冠攣縮性狭心症の疑いで入院になった. 入院時にCr 1.8 mg/dl,crp

第 66 回神奈川腎炎研究会 検査所見 < 尿定性 > 尿蛋白尿糖尿潜血 < 尿沈渣 > 赤血球白血球扁平上皮硝子円柱上皮円柱顆粒円柱卵円形脂肪体 (4+) (±) (3+) 多数 多数 (1+) /HPF /HPF /HPF /HPF /HPF /HPF

腎炎症例研究 33 巻 2017 年 Tac3mg (12時間トラフ3 7ng/ml) (mg/dl) mpsl PSL40mg (g/dl) 0.5g (g/gcr) HbA1c 8.0 蛍光顕微鏡所見 LDL-apheresis計12回施行 治療経過 PSL40mg PSL20mg PSL5mg

1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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腎炎症例研究 32 巻 2016 年 検査所見 初診時 生化学 血算 WBC Hb Ht Plt 9300 (/μl) 16.8 (g/dl) 47.5 (%) (/μl) TP Alb Na K Cl㻌 㻌㻌 BUN 㻌 㻌 Cr 㻌㻌 UA GOT 㻌 㻌 GPT 㻌 㻌 TG T

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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当院の血液検査室の概要 血液検査 system 自動血球分析装置塗抹標本作製装置 La-vietal LS (Sysmex 社 ) XN-3000 (Sysmex 社 ) XN 台 ( RET WPC PLT-F の各チャンネル ) XN 台 SP-10 (Sysmex

腎炎症例研究 32 巻 2016 年 肉眼的血尿が出現し急速に腎障害が進行した糖尿病性腎症の一例 1 阿部哲也 1 高橋遼 1 竹内和博 1 村野順也 1 竹内康雄 1 青山東五 1 島田芳隆 1 鎌田真理子 1 内藤正吉 1 関本恵子 1 正木貴教小川みゆき 1 佐野 1 隆 2 病理コメンテータ

第 52 回神奈川腎炎研究会 特異な細動脈病変を呈したループス腎炎の 1 例 鎌田真理子 佐野 隆 酒井健史 古谷昌子 根本千香子 渡会梨紗子 青山雅則 中野素子 内田満美子 坂本尚登 鎌田貢壽 症例症例 :32 歳男性主訴 : 手足のむくみ現病歴 : 平成 21 年 4 月初旬に咽頭痛を自覚し近医

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第 51 回神奈川腎炎研究会 急性腎不全を伴った Streptococcus suis 敗血症 髄膜炎の一例 西脇宏樹平出聡柴潤一郎山本弓月岩崎滋樹 症例症例 :64 歳男性主訴 : 頭痛家族歴 : 兄 : 前立腺癌 (?) 既往歴 :39 歳頃刃物切傷, 64 歳足白鮮嗜好 : タバコ 20 本

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 生化学 TP 7.0 g/dl Alb 3.0 g/dl T-bil 0.7 mg/dl AST 12 IU/L ALT 5 IU/L LDH 648 IU/L ALP 278 IU/L γgtp 39 IU/L BUN 130 mg/dl Cre 21.5 m

血管周囲に細胞浸潤と肉芽腫形成を認めた Figure した ステロイドを漸減し 9月29日プレドニゾロ 3 ン25 mg/dayで退院となった 退院時の下腿筋MRI 入院後経過 Figure 4 検査でも改善を認めた Figure 2b 以後ステロイド サルコイドーシスと診断 プレドニゾロン60 m

PowerPoint プレゼンテーション

腎炎症例研究 29 巻 2013 年 した その約 1 週間後の外来でCr 1.32 mg/dl (egfr 43 ml/min/1.73 m 2 ) と腎機能の急激な低下を認めたため, 加療目的に7 月中旬に再入院とした メチルプレドニゾロン (mpsl) パルス500 mg 3 日間を2クール行

腎炎症例研究 25 巻 2009 年 自己免疫性膵炎に合併した IgG4 関連腎炎の 1 例 藤 井朋子 梅園朋也 呉 瓊 宮 内雅晃 山本直之 豊田雅夫 鈴 木大輔 谷亀光則 遠藤正之 症例症例 :59 歳女性主訴 : 下腿皮疹 1989 年より橋本病にて近医通院 2004 年黄疸, 肝障害を発見

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亜急性 慢性の区別はあいまいであるが 疾患の期間がわかると鑑別疾患を狭めることができる 臨床経過に関するチェック ( 問診 ) 項目 過去の腎疾患 関連疾患の既往はないか 学校検尿での異常は 保健加入時の尿所見の異常は 職場検診での尿所見の異常は 妊娠 出産時の尿所見の異常は 扁桃炎の既往は ( 急

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人間ドック結果報告書 1/5 ページ 所属 : 株式会社 ケンコウタロウ健康太郎 様 性別 / 年齢 男性 / 49 歳 生年月日 昭和 40 年 3 月 17 日 受診日 平成 26 年 5 月 2 日 受診コース 人間ドック ( 胃カメラ ) 問診項目 今回前回前々回平成 26 年 5 月 2

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(1) ) ) (2) (3) (4) (5) (1) (2) b (3)..

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ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

行対象症例の選択方針が内外で異なるためと考えられており ヨーロッパ諸国の中でも腎生検を比較的活 発に行っている地域では本症の発現頻度が高いこととともに 無症候性蛋白尿 血尿の比率が高くなってい る 5. 合併症 高血圧 ネフローゼ症候群を呈する場合は脂質異常症 慢性腎不全に進行した場合は 腎性貧血

所見診断のすすめ 腎臓の正常構造と糸球体病変のとり方 所見診断から挙げるべき鑑別診断 所見診断 : 主に光顕所見のみで行う診断最終診断 : 光顕に加えて 蛍光および電顕所見 臨床経過を加味した診断 疾患名や疾患概念を知らなくても記載ができる 最終診断は臨床医に任せ 他の業務に時間を割くことができる

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2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

情報提供の例

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ども これを用いて 患者さんが来たとき 例えば頭が痛いと言ったときに ではその頭痛の程度はどうかとか あるいは呼吸困難はどの程度かということから 5 段階で緊急度を判定するシステムになっています ポスター 3 ポスター -4 研究方法ですけれども 研究デザインは至ってシンプルです 導入した前後で比較

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はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

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腎性尿崩症の3例

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検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

2


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CD1 data

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ROCKY NOTE 食物アレルギー ( ) 症例目を追加記載 食物アレルギー関連の 2 例をもとに考察 1 例目 30 代男性 アレルギーについて調べてほしいというこ

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

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腎炎症例研究 28 巻 2012 年 急性腎不全 不明熱で入院, 血小板減少も併発し診断に苦慮した 1 例 池田信一郎星野太郎中村太一 症例症例 :78 歳男性主訴 : 発熱, 食思不振既往歴 :60 歳頃 ~: 高血圧で内服加療,71 歳 ~: 心房細動 右脚ブロック,75 歳 : 大腸ポリープ切

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ブシラミン内服開始後に発症した半月体形成を伴う膜性腎症の一例 眞部俊伴野麻悠子大島康子波多野道康 症 例 考 察 症例 :76 歳女性 主訴 : 浮腫 既往歴 :25 歳時 : 妊娠高血圧症候群 家族歴 : 兄 : 関節リウマチ 生活歴 : 喫煙歴なし, 飲酒歴ほぼなし, 常用薬バイアスピリン100mg1T, ブシラミン 100mg3T 現病歴 : 毎年健診を受診していたが, 尿所見異常の指摘は無かった 2011 年 12 月より, DIP 関節, 右腫関節に自発痛が出現したため 12 年 1 月に近医を受診して, ブシラミン300mg が開始された 2 月に当院膠原病内科を受診して, その時点では,sCr0.52mg/dl, 尿所見異常は認めなかった 3 月 23 日より眼瞼浮腫, 下腿浮腫が出現し, 約 5kgの体重増加を認めた 3 月 30 日の膠原病内科外来にて,sCr0.63mg/dl, salb1.9g/dl,u-rbc30-49/hpf,u-pro9.4g/gcr であり, ネフローゼ症候群の疑いで当科入院となった 入院時現症 : 身長 142.0cm, 体重 43.0kg, BMI21.3,BT37.0,BP130/77mmHg,HR69/ min,rr12/min. 身体所見 : 皮疹なし, 表在リンパ節腫脹なし 頭頚部 : 眼瞼浮腫あり 胸部 : 心雑音なし, 過剰心音なし, 呼吸音清 腹部 : 圧痛なし, 肝脾腫なし 四肢 : 関節腫脹なし, 圧痛なし 下腿に圧痕性浮腫あり 神経 : 特記事項なし 横浜労災病院腎臓内科 1) ブシラミン腎症は膜性腎症を呈し, 薬剤の中止と共に腎障害を来す事無く軽快する 軽快までに必要な期間は, 膜性腎症の病期に依存するとされている 本症例では ブシラミンの中止に伴い, 尿蛋白は明らかな減少を認め, ネフローゼ領域の蛋白尿, 腎生検での膜性腎症の原因はブシラミン腎症に矛盾しないと考えた Nephron Clin Pract 2006;104:15-19. 2) 半月体形成のetiology は不明であったが, pauchi-immune 型の半月体形成性腎炎の合併 Rheumatic vasculitis,raに合併する半月体形成性腎炎 Lupus nephritis の合併 ( IgA 腎症等の ) メサンギウム増殖性糸球体腎炎の合併 ブシラミン腎症としての ( 免疫複合体型 ) 半月体形成性腎炎 等を鑑別として考慮した Clin J Am Soc Nephrol 2009;4:299-308, Q J Med 1997;90:125-132, 3)ANCA 陰性のpauchi-immune 型の半月体形成性腎炎 ANCA 陰性の定義は報告により異なるが, 間接蛍光抗体法, または, 間接蛍光抗体法, Key Word: ブシラミン腎症, 膜性腎症, 半月体, 関節リウマチ 41

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 ELISA 法の両者での陰性例とされている pauchi-immune 型半月体形成性糸球体腎炎のう ち,20-30% 程度が ANCA 陰性であり,ANCA 陽性例に比較して, 上気道や腎外症状に乏しいとの報告もあるが, その病態を含めて, 一定の見解は得られていない Nephrol Dial Transplant 2005:20:1392-1399, Nephrol Dial Transplant 2000:15:1593-1599, J Am Soc Nephrol 2007:18:299-605. 4)RA に合併する半月体形成性腎炎 Happer らは,RA に合併した vasculitic glomerulonephritis10 例のうち,ANCA を評価 した 5 例のうち 4 例で陽性と報告し, 全例 が p-anca 陽性である また,Qarni らは, Rheumatic vasculitis による全身症状が明ら かでない vasculitic glomerulonephritis2 例両 者で p-anca 陽性であったと報告している Q J Med1997;90:125-132, Clin Nephrol 2000;54:54-58. 5) (IgA 腎症等の ) メサンギウム増殖性糸球体 腎炎の合併 Irie らはブシラミン内服中に発症した半月 体形成を伴う膜性腎症で, メサンギウム領域への IgA 沈着,EM にて傍メサンギウム領域にEDD を認める症例を報告している Nephrol Dial Transplant 1996:11:1338-1341 ブシラミン腎症の報告は, いずれも膜性腎症であり, その臨床経過も尿蛋白, 腎機能の推移に焦点が当たっている 一方で, 報告によっては,22%,65%,61% に血尿の出現を認めており, 基底膜の障害の合併は否定できない Am J Nephrol1991;11:284-288, Nephron Clin Pract 2006;104:15-19, リウマチ 1993;33:215-222. 結語 ブシラミン内服開始後に発症したANCA 陰性, 抗 GBM 抗体陰性の半月体形成を伴う膜性腎症の1 例を経験した ブシラミンによる膜性腎症は一般的に休薬にて自然軽快するが, 本症例では, 尿蛋白は速やかに減少したものの, 臨床的にRPGN を呈し, 腎生検にて半月体形成を確認したため, CS,IVCYにて加療を行った 半月体形成のetiology は不明であり, 基底膜への免疫グロブリン等の沈着と半月体形成の関連をどのように捉えるべきか更なる検討が必要と考えられた 6) ブシラミン腎症としての ( 免疫複合体型 ) 半月体形成性腎炎 ブシラミンとの関連が示唆される半月体形成性腎炎は, 我々の調べた限りでは英文にて2 例が報告されているに過ぎず,1 例は ANCA 陰性,1 例はANCA 未検のpauchi- immune 型の半月体形成性糸球体腎炎である Am J Kidney Disease 1992:411-413, Clin Investig 1992:70:1036-1042. 42

表 1. 検査所見 <Urinalysis> Gravity 1.016 Protein 4+ Occultblood 3+ Erythrocytes 30-49 /HPF DisformicRBC 1+ Fattycast 10-49 /AVF Protein 6.39 g/gcr Protein 4.67 g/d <Hematology> WBC 6000 /μl Neut 77 % Lymph 13 % Eosino 3 % Baso 1 % Mono 6 % RBC 384 10 4 /μl Hb 11 g/dl Hct 33.8 % Plt 28.5 10 4 /μl <Biochemistry> TP 4.8 g/dl Alb 1.9 g/dl T-Bil 0.16 mg/dl AST 35 U/l ALT 26 U/l ALP 200 mg/dl LDH 191 mg/dl BUN 22.4 mg/dl Cr 0.63 mg/dl Na 142 meq/l K 4.4 meq/l Cl 107 meq/l Ca 8.9 mg/dl ip 3.8 mg/dl T-Chol 261 mg/dl TG 111 mg/dl HDL-C 63 mg/dl CRP 1.04 mg/dl <Serologicaltest> ASO 28 IU/ml IgG 876 mg/dl IgA 284 mg/dl IgM 59 mg/dl C3 111.9 mg/dl C4 29.7 mg/dl CH50 35.6 mg/dl IgM-RF 29 IU/ml IgG-RF - RAPA 40 MMP-3 85.5 ng/ml 抗 CCP 抗体 300 U/ml <Serologicaltest> ANA 40 Homo + Speckled + SS-A - SS-B - MPO-ANCA 10> EU/ml PR3-ANCA 10> EU/ml P-ANCA - C-ANCA - GBM 10> EU/ml CIC(C1q) 1.5> μg/ml Cryo - M-pro - HBsAb - HBsAg - HBcAb - HCVAb - 図 1 図 2 43

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 図 3 図 6 図 4 図 7 図 5 図 8 44

図 9 図 12 図 10 図 13 図 11 45

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 討論眞部よろしくお願いします 横浜労災病院腎臓内科の眞部と申します 症例は76 歳の女性です 主訴は眼瞼, 下腿の浮腫で, 既往に25 歳時の妊娠高血圧症候群があります 現病歴ですが, 毎年健診を受診されていましたが, 尿所見異常の指摘はありませんでした 2011 年 12 月より, 関節腫脹を自覚され, 2012 年の1 月, 近医を受診されました その時点でRAPA が 160 倍, 抗 CCP 抗体が300u/ml 以上,MMP-3が 58ng/ml,CRP0.38mg/dl ということで, 関節リウマチが疑われ, ブシラミンが 300mg で開始されました 同年の2 月に当院膠原病内科を紹介受診となりまして, その時点では血清アルブミンが3.9g/ dl, クレアチニンが0.52mg/dl, 尿潜血, 尿蛋白ともに陰性でした 3 月 23 日より, 眼瞼の浮腫, 下腿浮腫が出現し, 約 5kgの体重増加を認めました,3 月 30 日の膠原病外来受診時にアルブミンが1.9g/dl, 血清クレアチニンが0.63mg/ dl, 尿中赤血球を毎視野 30から49を認め, 尿蛋白が9.4g/gCre であり, ネフローゼ症候群の疑いで, 当科入院となりました 入院時現症ですが, 身長は142cm, 体重は 43kg で, 日ごろより約 5kgの体重増加を認めていました vital signsに特記すべき異常は認めず, 身体所見では, 眼瞼浮腫, 下腿性浮腫を認めましたが, 関節痛や関節炎, 皮疹や神経障害は認めませんでした 入院時の検査所見ですが, 尿検査では変形赤血球を伴う尿中赤血球を毎視野 30から49と蓄尿で4.67gの尿蛋白を認めました 血算ではリンパ球は少ないものの, 前後の採血では異常を認めず, 生化学ではアルブミンが 1 カ月で3.9g/ dl から1.9g/dlへ低下 クレアチニンが0.52mg/ dl から0.63mg/dlへ上昇を認めていました 免疫学的検査では, 免疫グロブリン, 補体に増減を認めず, リウマチ因子, 抗 CCP 抗体 は上昇を認めていました 抗核抗体は40 倍で, MPO-ANCA,PR3-ANCA, 間接蛍光抗体法でのANCAはそれぞれ陰性でした 手のレントゲン検査では, 明らかな軟部組織の腫脹や, 関節周囲の骨密度の低下, 骨びらん等の変化を認めず, 胸部 CTでも, 間質性肺炎や, 胸膜心膜炎を示唆する所見は認めませんでした 腎生検になります 検体は2 本で, 皮質 : 髄質は8:2 でした 糸球体は18 個採取され, うち2 個に全節性の硬化を認めています 半月体を3 個の糸球体に認め, 小動脈に肥厚を認めましたが, 腎内に明らかな血管炎を示唆する所見は認めませんでした 半月体形成を伴う糸球体ですが, 細胞性半月体と考えました 基底膜の一部断裂も認めました また, 画像ではっきりお示しできませんが, masson,pam では明らかなspike 形成は認めないものの,masson で基底膜上皮側に赤染性の沈着物を認めています 続いて, もう一つ糸球体をお示ししますが, こちらも管外増殖を伴う糸球体ですが, 基底内への好中球の浸潤を思わせる多核白血球を認め,droplet protein を認めています IF になりますが,IgG,C3 を有意に係蹄壁に顆粒状に沈着を認め,C1q も弱いながら沈着を認めました IgA はmesangium に軽度の沈着を認めています IgG の分画の染色ですが,IgG1,IgC4 を有意にIgG2,IgG3 も染色を認めています 電子顕微鏡になりますが, ご覧いただくように, 上皮側にelectron dense deposit を認めています これは同じ糸球体のやや下方になるんですが, 沈着物を認める領域と, あまり認めない領域に分かれていて, 沈着物はやや分節性という印象をうけました こちらの上の部分は, 沈着物の多い領域の拡大したものですが, 係蹄壁の断裂と血小板の凝 46

集を認めています 続いて, 臨床の経過です 入院時, これはご本人の判断で, 入院数日前からブシラミンの内服を中止されていました 入院後, 服薬を中止して経過を観察したところ, 速やかに尿蛋白の減少を認めました その一方で血尿は, 継続, 増悪しており, 腎機能障害もクレアチニン 0.63mg/dlから0.84mg/dl と進行を認めたことから, 腎生検を施行しました 前記の腎生検所見を得たことから, メチルプレドニゾロン 500mg,3 日間で治療を開始しました その後も尿所見の改善が乏しかったため,2 度目のパルス療法を施行して, その後は腎障害の進行は止まりました プレドニン20mg で外来経過観察としていましたが, 抑うつ傾向を主体とした精神症状が出現してしまったため,IVCY を投与, プレドニンを減量して終了としています その後も尿蛋白, 血尿, 蛋白尿ともに寛解を維持しています 考察です ブシラミンの中止に伴い, 尿蛋白は明らかな減少を認め, ネフローゼ領域の蛋白尿, 腎生検での膜性腎症の原因は, ブシラミン腎症に矛盾しないと考えました ブシラミン腎症は膜性腎症を呈して, 薬剤の中止とともに腎障害を来すことなく軽快します 軽快までに必要な期間は, 膜性腎症の病期に依存すると考えられており, 尿蛋白の速やかな減りに, 矛盾しないと考えました 続いて, 半月体形成のetiologyですが, まずは pauci-immune 型の半月体形成性腎炎の合併を考えました その中では, 悪性関節リウマチ, lupusnephritisは臨床的に示唆する所見がないと考えました ANCA 陰性の半月体形成性の腎炎ですが, ANCA 陰性の定義は報告により異なりますが, 間接蛍光抗体法, または間接蛍光抗体法, ELISA 法の両者での陰性例とされています pauci-immune 型の半月体形成性腎炎のうち, 20から30% 程度がANCA 陰性であり,ANCA 陽性に比較して, 上気道や腎外症状に乏しいと の報告もありますが, その病態を含めて一定の見解は得られていません RAを合併する半月体形成性腎炎なんですが, 先ほど申し上げたように, 悪性関節リウマチは, この症例では否定的と考えました pauci-immune 型のvasculitis,vasculitic glomerulonephritis を合併したRAも報告されていますが, それらはいずれもp-ANCA 陽性であり, 本症例では否定的と考えています IgA 腎症等のmesangium 増殖性腎炎の合併も考えました 入江先生らはブシラミン内服中に発症した, 半月体形成を伴う膜性腎症で, mesangium 領域のIgA 沈着と電子顕微鏡で, 上皮下にelectron dense deposit を認める症例を認める症例を報告されています 本症例ではIgA 腎症を積極的に疑う,para mesangium 領域への electron dense deposit の沈着はなく, 積極的に疑うものではないと考えました ブシラミン腎症, 免疫複合体型の半月体形成性腎炎の可能性も考えました ブシラミンとの関連が示唆される半月体形成腎炎は, われわれの調べたかぎりでは, 英文では2 例が報告されているに過ぎず,1 例はANCA 陰性,1 例は ANCA 未検のpauci-immune 型の半月体形成腎炎でした 一方で, ブシラミン腎症の報告は, ケースシリーズとなっているものは基本的には全て膜性腎症であり, その臨床経過も尿蛋白, 腎機能の推移に焦点が当たっています 一方で, 報告によっては, その2 割から6 割に血尿の出現を認めていて, 実は本症例のような基底膜への障害があったことは否定できないと考えます 結語です ブシラミン内服後に発症した ANCA 陰性, 抗 GBM 抗体陰性の半月体形成を伴う膜性腎症の一例を経験しました ブシラミンによる膜性腎症は一般的に休薬にて自然軽快しますが, 本症例では尿蛋白は速やかに減少したものの, 臨床的にはRPGN を呈し, 腎生検にて半月体形成を確認したため, ステロイド, IVCYで加療を行いました 47

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 半月体形成のetiologyは不明であり, 基底膜への免疫グロブリン等の沈着と半月体形成の関連をどのように捉えるべきか, さらなる検討が必要と考えられました ありがとうございました 座長ありがとうございました ブシラミンの治療中に発症した半月体形成を伴う膜性腎症ということですね 臨床経過を中心に, ご質問がございましたら, よろしくお願いいたします これはアミロイドは染めたんでしたか congo red 染色はいかがだったでしょうか 眞部この症例はcongo redは染めていないです 座長それっぽいところはなかったので, 染めなかったんですか 眞部はい なかったことで 座長血管あたりはどうですか ちょっと分厚く見えたとこもあったような気がしたんですけど 眞部明らかな沈着物がということと, あとはリウマチの発症から非常に短いということがありまして, 染色は行っていません 座長ほかにコメントはありませんか IVCYも施行したということだったんですけれども, なかなか免疫抑制薬は長濱先生が発表された報告もあったと思うんですけど, 治療により, 蛋白尿の改善するまでの時間は変わらないようです 今回は, 半月体形成しているからということでIVCY を施行したということですね 眞部そうですね あとはステロイドで, 病勢のコントロールはついていたんですが, それに伴う精神症状が出てしまって, 仕方なく行ったというふうに解釈していただければと思います 座長はい どうぞ, 木村先生 木村聖マリアンナ医科大学の木村です 先生,RPGN とおっしゃっていますが, 臨床的にRPGN と考えられたんですか 眞部はい 臨床的にRPGN と考えました 非 常に体格が小さい方なので, クレアチニンの上がりで見ると少ないんですが,eGFR,CCrで見ると, もともとの80,90 から, 約半分まで, 2 カ月の間で下がっています 木村クレアチニンの値の推移はどうでしたか 眞部最初の来院時が, クレアチニンで0.5 の方です その方が,2 カ月の経過で, クレアチニンが1 まで上昇しています 木村確かに腎機能は低下しています それから, 血尿もあって, 蛋白尿もあるということですが, この症例をRPGN 症候群と言っていいかどうか疑問です 定義の問題ですけれど もう一つ, 半月体形成腎炎と, 半月体形成をすごく強調されていますけれど, それ程大きな半月体ではないですね 何 % の糸球体に半月体が見られましたか? 眞部一応 20% なので, 半月体形成性腎炎では, なく 木村そうですね 半月体を伴う腎炎というべきですね 眞部半月体形成を伴う膜性腎症と 木村後で病理の先生からお話はあると思いますが, 係蹄壁の破壊がありますので, 血尿があったり, 半月体ができてもおかしくはないだろうと思います 経過としても, ブシラミンによる膜性腎症でいいように, 私は思いましたけれども, ほかの先生方はどうでしょうか 座長ありがとうございました 確かに腎機能の悪化に関してはネフローゼもありますので, AKI みたいなものが載っかってきてもいいのかもしれないですね 他にコメント, あるいはご質問はありませんでしょうか よろしければ, では病理のほうを解説をお願いしたいと思います では, 山口先生お願いいたします 山口ブシラミンによる膜性腎症は, エピデポが非常に数が少ないことが多いんです ですから, この疾患を膜性腎症と言っていいのかどうかという, 一つ問題があります 48

スライド01 糸球体は全体にhypercellular で, 少し管腔内も見づらくなって, 外来性の細胞がちょっと入っているのかなという印象です crescent 様のものがこの辺にあるんですが, そんなに大きなものではないわけです periglomerularに少し細胞浸潤があります スライド02 PAS で見ますと, 確かに少し間質炎があって,peritubular capillaries 的なところもあります 糸球体は比較的おとなしいところと, 分節状に先ほどsmall crescentを思わせるような, 大したことはないんですが, 上皮細胞の変性, 脱落もある それから, 尿細管系は少し, こういうふうに上皮の剥離, 扁平化が軽度あるということだろうと思います スライド03 ここはちょっと円柱が目立っているんですが, この糸球体を見ると, そんなに全体に細胞が多いようには見えないです 部分的に管内に入り込んで, 少しpodocyteが二層, crescentlike になりつつあるようなところだろうと思います スライド 04 それで,PAM を見ますと, ちょっと銀が厚いともう見えないことがよくありますけれども, あまりはっきりしたspike,bubbling 等ははっきりしません スライド05 ちょっと暗くて申し訳ないんですが, こういうようにhump を思わせるような上皮下沈着がまばらなんですけれど あともう 1カ所ぐらいあったように ちょっと忘れてしまったんですが, こういうような上皮下沈着物はまれに見られると 少しendocapillaryな変化で,smallcrescent を伴っているということだろうと思います スライド06 管内に少し細胞が入り込んで, ちょっと二重化が来ているようなところもあります スライド07 結局, このIF をどう見るかなんです 確かにgranularなんですが,membranous というのは, 顆粒がある程度つながってloop を形成してくるわけなんで, 一部確かに連続性があるような感じのところもあるんですが, 必ず しもどうも ですから,C3 のほうが dominant で, mesangium とperipheral に一部つながっているんですが, やや顆粒が大きいです どちらかというと, 僕はstarry-sky 様の沈着で, これは両方ともκもλも同じようなパターンで陽性ということです hump 様のものが出ているように思います スライド08 膜性腎症で, ブシラミンのときにsubtype がどれかというのを, 僕も調べていないので, 誰か知っている人がいれば教えていただきたいんですが, この症例はG1,G4 が優位で,G2,G3 は弱いということが言えると思います もちろんhump もIgG なんで, 以前にここでcrescentic になった膜性腎症なのか, PSAGNでcrescentic になったのか 問題になった例も, やはりIg1 全て陽性だったような記憶があります われわれもhump のsubtype を正確には染めていないんですが, 大体はG1 優位だというようなことが言われています スライド09 一つブシラミンのときに特徴は何かというと, エピデポはシンボリックにあるだけなんです いわゆるminimalchange 的な foot process fusion がびまん性にあるというのが, ブシラミンのときの特徴なんです 比較的これも意外と付いてはいるんです エピデポのないようなところでも 付いていないところもありますが それから, エピデポがspike の形成はないんです そうすると,hump との鑑別がもう一つ問題になる それから,Intermembrane にもdeposit があって, ここは,dense deposit ではないにしても, なんとなくcontinuance な膜の変性があるんですかね ちょっと変性像が膜そのものに見られます そうすると, ここだけだと, こういうintramembranous deposit は普通はブシラミンだと出ないです もちろん,post-infectious と言いますか,PSAGNのときには, この intramembranous deposit がもわもわとしたものが出るのが特徴なんで, そっちには, そうする 49

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 とhump ともわもわでいいのかなということにもなります スライド10 エピデポがこういうふうにあるんですが, 並んでいますと, みんな膜性にしてしまうんですが, ここはちょっと膜の反応があるんじゃないかと言われそうですが, ほとんど膜の反応がないんです よくhump が多発してくる場合,Garland type といわれるものに相当する可能性があるように思います mesangium の増殖と内皮の腫大増生があって, ここは外来性の細胞は来ていないですが, 確かにfusion はだいぶ目立ってはいます microvilli formation もだいぶ際立っています ここはcontinuousにずっとつながっているのですが, あまり膜の反応がないのです もちろんstage1の膜という可能性も否定はできないように思います スライド11 こういうようにintramembranous deposit があって, 上皮下にもちょっとspike をつくるような傾向がある ちょっとがたがたしています これが上皮下で,hump なのか, ここのlamina rara externaが少しlucentなところがわずかに残っていると, これはhump としか言いようがなくなります ただ, それ以外にちょっとざらざらしているのもある そうすると,AGN post-infectiousと言いますか endocapillary の humpとプラス何か, ブシラミンのエピデポみたいなものが混ざっているというふうに考えるべきなのか, ちょっと迷うところです こういうちょっとspike formation もありますので このintramembranous deposit は, 通常はブシラミンでは出ないように思います スライド12 僕はちょっと迷ったんですが, 基本的には軽いですが,endocapillary proliferative で,smallcrescentを伴っているかたちということで, あまりcontinuance な peripheral granular のパターンと言うよりは, ちょっとmesangiumが出ているんで,starryskylike で, もちろんimmune,IgG の subtype も特にG1,G4が優位ということで, どちらかと いうと, 感染関連腎炎で, ちょっと変なエピデポがありますから, ブシラミンの関与も否定はできないのかなと思っています ただ, 主体はこちらだろうと思います 以上です 座長ありがとうございました では, また重松先生お願いします 重松山口先生とちょっと意見が違いますけど スライド01 この症例の組織像をざっとまとめていいますと, 管外増殖がある糸球体が四つと, 中に管内増殖も目立つのがある, 全節硬化になったものが一つ それから, 尿細管のほうは間質炎があって, 尿細管の萎縮とか, 線維化が伴っている変化であります スライド02 それと,cellular lesion です 管外性の変化で, これは半月体と言っていいのか, あるいは, かなりフレッシュな管内のものが, 管外へ出てきた, 炎症性のものでできたのか, なかなか難しいですけれども, 管外性の増殖性の変化がある それから, こちらは比較的軽いですが, 管内性の変化がメーンである 間質には, 間質炎と tubulitisが見られます スライド03 ここでも軽いextracellularの細胞増生がある ここもそうです スライド04 それから, これは端っこのほうですけれども, 血管に何か変化があるかなと思ったんです, 内皮の肥厚があるようなところが一部見られました あとは少し大きな macrophage 様の細胞が増えているような間質炎が見られるところもあります スライド05 それから, ここではかなり古くなってしまった管外性病変です 線維細胞性の半月体があって, 係蹄が虚脱してしまい, かなり長い変化の後の残骸が残っているところがある あと, フレッシュな尿細管炎がある スライド06 マッソン染色ですがちょっと画像が暗くて申し訳ないのですけれども, 血管は静脈と動脈はちゃんとお互いにくっつきあって見えます わずかに走行に乱れがありますけれ 50

ども, 血管炎を考えるほどのものではないと思いました スライド07 それで, ちょっと糸球体の病変を追跡して見てみたいと思うんですけれども ここに尿管腔があります ここはmacula densa があり輸入血管が入ってくるところです ここで尿円柱ができているんですけれども, ちょっと糸球体とmacula densaとの仕切りがよく分からなくなっているところがあります この糸球体を見ていきます ここをいろいろな断面で見ていきます スライド08 そうしますと, これはPAM 染色ですが, ちょっと変化が出てくるのは, ここら辺なんです ここら辺をちょっと注目しておいてください スライド09 ここでちょっと変なのが出てきています 係蹄の基底膜のところで分断されています だから, ここら辺で,segmentalだけれども基底膜の変化が起こって, ここから管外性の変化が起こる可能性が強く示唆されます スライド10 マッソン染色で見ると, ここに恐らくfibrinだと思われるが, 管腔内に出でいるわけです だから, その辺りの壊れた血管壁から滲出が起こっているということが言えます スライド11 これもちょっと違うステップ切片です 山口先生の最初,HEで出されたところに, すごくいいショットがあって, あれ! と思ったんですけれども, やはり, こういうふうに管外性のフレッシュな変化があります スライド12 ここでは, 管外性病変に少し線維化がかかわっているところです スライド13 それから, もうちょっと巣状, segmentalの異常な変化として, こういうちょっと nodularな変化が見えるところもあります スライド 14 これもその一部です スライド15 それで, 蛍光抗体ではIgG とC3 が, 私の目にはかなりgranularで有意な染色かなと思いました スライド16 電顕なんですけども, 確かに山 口先生がおっしゃるようにhump 様の少しごついdeposit がsubepithelial に散在性に見られます ここにもあります スライド17 ここにもあります ずっと基底膜を追っても, あまり強いdeposition はほかにはあまり見られません スライド18 これはepithelial cell 障害です この基底膜の走行が非常に不規則になっているところが出ています スライド19 ここもdeposition で subepithelial, intramembranous の deposit です スライド20 これはかなり明瞭なsubepithelial deposit スライド21 さて, ここでpodocyte がずっと入ってきているんです ここで, 基底膜が分断されているわけです ここにはdeposit がありませんから, 何かの原因でここの基底膜が障害されて, そして補修的に podocyteが中に入った これは収縮蛋白が増えて, 中に入り込んで, まだ内皮細胞と接着はしていませんけども, かなり近づいている これは修復的な変化だと思います スライド22 それから, 間質のほうでも, tubulitisがあります macrophages が入ったりしているところはあります ということで, この症例は, 管内増殖のある糸球体で, 膜性変化はちょっと光顕では分かりませんけども, 電顕的には上皮下の沈着物があって,IF 上はIgG とC3 は顆粒状のパターンを示している 51

腎炎症例研究 30 巻 2014 年 それから, 分節病変があって, それが管外性増殖と関係して, 中には線維性の半月体もあった こんなふうな基底膜への沈着性の変化と, 管外性の変化と尿細管間質変化があったわけです これを, 私は一元的に考えたい ブシラミンという薬は一つは膜型の腎症を起こす, それから血管炎を起こすことがあると書いてあります そういうわけで, この症例はブシラミンによって, 尿細管間質炎も起こっているし, 膜性腎炎様の症状もあるし, それから, あまり immune depositが見られないかたちで遅延型のアレルギー機序で起こされた管外性病変が三つ重なったのではないかと考えました 以上です 座長ありがとうございました だいぶ読みが違うようなので, 難しくて この臨床の経過, 病理のコメントを聞かれたうえで, ご質問とか, コメントをいただければと思うんですが, いかがでしょうか どうぞ 佐藤菊名記念病院の佐藤といいます 昔の話で申し訳ないんですが,1992 年だったと思いますけど, 私はブシラミンを投与して尿所見異常を呈した症例, 五十何例をまとめて報告しました その内訳では最初からネフローゼを呈するというのは, まずありません それで, 最初のうちは血尿とか蛋白尿で, そのままブシラミンを使っているとネフローゼ症候群になる ネフローゼ症候群になるのに, ブシラミンを使ってから大体 1 年ぐらい要していました この症例は2カ月弱だったでしょうかね しかも, その投与量がこの症例も 300mgでしたが, 当初, 厚生省で 300mg まで一応オーケーだということもあり, 開業医の先生方がことごとく,300mgの MAX まで使用したために, 尿所見異常が非常に多く出てきたました 300mg 投与しなくとも,100mgぐらいでもブシラミンはなんとか効果があるということが分かってきたものですから,300mg 投与をなるべくしないようにしようということになりました その当時まとめたときに,300mgを投与して 約 1 年以上たつと, 蛋白尿を呈する頻度が多くなってきていました それから, 最初の先生の発表のときの電顕の写真がちょっと見えなかったものですから言わなかったんですけれども, 今, 病理の重松先生のスライドで,hump 様のdeposit ということだったんですけれども, そういうdeposit を呈してくるものは1 例もなかったです というのは,drag induce の膜性腎症ですので, 非常に小さなdeposit が, それもdiffuseに基底膜の外側にぽっぽっと載せたような感じで, それで膜のほうの反応はほとんどないというのが特徴だったんです ですから, 蛍光抗体を見ますと, fine granular なんですけれども, ほとんどlineal に近いようなかたちで認められるというのが特徴でした ですから, この症例は2カ月弱でネフローゼ症候群になるというのは, あってもいいのかもしれませんけれども, ちょっとブシラミン以外の原因を考えておいたほうがいいんじゃないかなと思って聞かせてもらいました 座長ありがとうございました 非常に素晴らしいコメントをありがとうございました ほかにどうぞ, 木村先生 木村聖マリアンナ医科大学の木村です 佐藤先生, 血尿を呈した症例というのはどのぐらいあるのでしょうか 佐藤すみません 昔のことなのではっきり覚えていないのですが,30,40% ぐらいあったと思います 代表的なものは, ブシラミンを 300mg の投与でネフローゼ症候群になって, その後もさらにどんどん使っていて紹介されました biopsy した結果は間質の変化が明らかに出ていました ですから, ブシラミンの投与量が長くなればなるほど, 糸球体の変化もありますけれども, 間質の変化も起こしてくるということでした 血尿は30% か,40% だったと思います 木村どうもありがとうございます 座長ありがとうございました ほかにコメント, ご質問はよろしいでしょうか 52

時間も若干過ぎてしまいましたので, このセッションはこれで終わりたいと思います 先生, ご発表ありがとうございました 眞部ありがとうございました 座長皆さんのご協力で, あまり遅れずに済みましたので, 後半, あと15 分ほど休みだと思いますので, ぜひまた後半も活発なご討議をお願いしたいと思います ご協力ありがとうございました 53

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